平凡な男娼は厳つい軍人に恋をする

朏猫(ミカヅキネコ)

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本編

2 もしかして間違いじゃないですか?

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 日が暮れてから部屋にやって来た軍人さんは、とんでもなく大きな人だった。娼館で見かける軍人さんは貴族らしくスラッとした人が多いのに、目の前の人は背が高い僕でも見上げなければいけないほど大きい。筋骨隆々っていうのはこういう人のことを言うに違いない。思わず「熊みたいだ」なんて思ったことは黙っておこう。

(っていうか、どうして何もしないんだろう)

 さっきから僕をじっと見ているだけで、喋ることも何かすることもない。先にお酒やお茶を飲むのかと思って勧めてみたけど首を横に振るだけだった。それなら話をしたいのかと思って待ってはみたものの、一向に口を開く様子がない。
 それなら行為を始めたいのかと様子を伺ってみたけど、ただじっと椅子に座ったまま動くことすらなかった。

(えぇー。これって、どうしたらいいんだ?)

 こんなお客さんは初めてだ。その気もないのに大金を払ってまで高級娼館に来る人はいないはずなのに、何もしようとしないのはどうしてだろう。もしかして僕が何かするのを待っているんだろうか。一瞬そう思ったけど、ムッとした顔で座っている大きな軍人さんというだけで近づくのがためらわれた。

「えーと、その、……始めますか?」

 お伺いをたてるように行為を確認するなんて、男娼としては最悪だ。それでも勝手に近づいたら睨み殺されそうな気がして、おずおずと声をかけた。
 声をかけてから、そっと軍人さんを見た。上級士官だと聞いていたけど肌はこんがりと日焼けしていて、娼館で見かけるほかの軍人さんたちとはまるで違っている。鋭い眼差しは僕より薄い碧眼で、短く刈り込まれた金髪は僕のよりもずっと色が濃くて茶色に見えなくもない。左頬には薄いけど傷跡があって、それも強面に見える原因だろうなぁと思った。

(何か喋ってくれないかなぁ)

 僕の言葉が聞こえなかったのかと思うくらい、軍人さんは無表情で無口だった。勝手にやったほうがいいんだろうかと思い始めたとき、ようやく軍人さんが口を開いた。

「あぁ」

 一瞬、何を言われたのかわからなかった。しばらくポカンとしていると、軍人さんの眉が寄ったのがわかった。

(そっか、始めてもいいって返事だったのか)

 時間差がありすぎてわからなかった。軍人さんのお客さんは初めてだけど、こんな感じだとみんな大変じゃないだろうか。それとも、僕がこんな見た目だから気が乗らないのだろうか。

(そうだとしたら、なんで僕を指名したんだろう)

 娼館の主人が差配を間違えるとは思わないけど、やっぱり間違えたんじゃないかと思えてきた。それでもいまは僕のお客さんだ。そう思って椅子に座ったままの軍人さんの足元に膝をつく。
 目の前には何の反応も示していない股間があった。先に湯を使いたいというお客さんもいるけど、軍人さんからそういった意思表示はない。僕の準備は終わっているし、行為を始めていいって言うのであれば、あとはその気になってもらうだけだ。
 僕はいつもよりも丁寧にズボンの前をくつろげた。まだ下着の中に隠れている逸物は体に見合った大きさで、思わずゴクリと喉が鳴ってしまった。

(すごく立派だ。これ、全部口に入るかな)

 口淫で一気に育てる気満々だった僕は、目の前の逸物を見て自信がなくなる。まだ反応していないのに結構な質量の逸物に完全に気圧されてしまった。

(いやいや、僕だって高級娼館の男娼なわけだし!)

 僕にも男娼としての自負がある。男娼は見下される仕事かもしれないけど、給金をもらっている以上は立派な仕事だ。それだけは忘れないように心がけてきたし、簡単に諦めるわけにはいかない。
 それに、お客さんが気持ちよくなってくれるのは僕も嬉しかった。お客さんに「最高だった」と言われるたびに、ここにいてもいいんだと言われている気がして安心できる。

(よし!)

 気合いを入れ直した僕は、下着に指をかけて勢いよくずり下げた。ボロンと飛び出た逸物は思ったとおりの大きさで、思わずじっと見入ってしまった。

(……いけない、いけない)

 立派だなぁなんて見惚れている場合じゃなかった。まだ柔らかな逸物を片手で取り出し、まずは先端をペロッと舐めてみる。ピクンと反応したということはその気がないわけじゃないってことだ。それならと、今度はパクンと咥えてみた。

(……あれ?)

 大抵のお客さんは咥えただけでムクムクと大きくする。それなのに軍人さんの逸物はほとんど変わらなかった。

(いやいや、ここからだ)

 柔らかな逸物を口の奥まで迎え入れながら舌でしゃぶる。ちゅぽちゅぽと濡れた音を立てながら頭を動かし、ひたすら刺激を与え続けた。それなのに軍人さんの逸物は半勃ちにもならない。

(これじゃ駄目ってこと?)

 一旦逸物を口から出した僕は、今度は唾液でベタベタになった竿を手で固定してからカリの部分に舌を這わせた。
 まだ完全に勃起していないのに、軍人さんの逸物は男娼の僕が惚れ惚れするくらい立派だった。竿は太くて長く、カリ高だから奥まで簡単に気持ちよくなれそうだ。そんなことを考えるだけで僕の後ろはいやらしくひくついてしまう。
 早く完成形が見たくて、カリの縁に舌を這わせてペロペロと舐めた。頭を傾けて横から竿を咥えるようにしてから、カリの辺りを唇と舌でクニクニと刺激する。しばらくいろんな方法で口淫をしてみたけど、軍人さんの逸物はどうしても完勃ちにはならなかった。

(なんで完勃ちにならないんだよぅ)

 男娼としての自信が崩れ落ちそうになる。これじゃ駄目だと思った僕は「ベッドに行きましょう」と声をかけて太い腕を引っ張った。何か言おうとした軍人さんを無視してベッドに仰向けに寝かせる。
 このままじゃ男娼としての僕が廃る。「なんとしても完全体にしてやる!」と意気込み、軍人さんのズボンも下着も取っ払って足の間に陣取った。
 半勃ちでも立派な大きさの逸物を手で擦りつつ、その下にあるたっぷりとした双玉をベロリと舐める。そのまま口に含んでハムハムと食んだりチュウっと吸ったりしているうちに、手の中の竿がグン! と成長したのがわかった。
 僕は心の中で「よっしゃ!」と拳を握りながら、ビン! と育った逸物を改めてしっかりと見た。

「うひゃぁ」

 軍人さんの逸物は、僕が想像していたよりもずっと立派でずっと逞しかった。竿の部分はグンと長くて太くて、思っていたよりもエラが張っている。ほとんど凶器みたいな逸物に、僕は涎が出そうなくらい見入った。

(これはすごいモノに出会ったぞ)

 口の中がじゅわっと濡れてくる。ほかの男娼なら頬が引きつるかもしれない逸物でも、僕にとっては気持ちよくしてくれる最高のモノにしか見えなかった。

「んぐ、」

 心の中で「いただきます」と合掌してから逸物を咥えた。口淫に自信がある僕でも、半分くらいしか咥えることができない大きさに武者震いする。

(どんだけ大きいんだよ!)

 仕方がないから、口に入らない部分は右手で上下に擦ることにした。左手はパンパンに膨らんだ双玉を優しくしごきながら、そこに溜まっている白濁を刺激するのも忘れない。口の中いっぱいの逸物は舌で舐めながら、頬っぺたの粘膜に先端を擦りつけたりして刺激し続ける。
 そのうち先走り特有の味が広がってきて、ますます気分が載ってきた。

(もっと舐めたい、もっと奥を突いてほしい、そのまま喉の奥で出してほしい……!)

 むしろ喉が壊れるくらいガンガンに突いてほしい。そんなことを思ってしまう僕は、やっぱり少し変わっているのかもしれない。
 僕は十分に育った軍人さんの立派すぎる逸物の先端を、ゴクンと飲み込むように喉の奥に招き入れた。思ったとおりカリ高の先端が喉を圧迫して苦しくなる。喉の奥を突かれることに慣れている僕でも嘔吐きそうになるくらいだ。
 そのくらい苦しくてつらいはずなのに、頭がジンジン痺れてきて気持ちよくなってきた。この苦しさと気持ちよさの狭間がたまらない。僕はきゅうっと吸い込むように口を動かして、逸物の先端を喉の奥で刺激した。

 ビクン!

 軍人さんの逸物が口の中でビチビチと動くのを感じた。ようやく僕の口淫で感じてくれたんだと喜んだのも束の間、急に頭を大きな手に押さえつけられて驚いた。そのまま逞しすぎる逸物がズン! ズン! と勢いよく喉の奥を突き始めて目を白黒させる。
 ついさっきまで人形みたいに動かなかった軍人さんが急に動き出すから、覚悟していなかった僕の喉はやられ放題だ。ズルリと引き抜かれた逸物は、次には上顎を擦りながら喉の奥に入り込んで奥の奥をグッグッと突いてくる。本格的に嘔吐きそうになるのを我慢しながら、僕は逸物に歯をあてないように必死に耐えた。

(ちょ、まって、無理、もう奥のほう、無理だか、らぁ!)

 喉の奥の感覚がなくなってきた。吐き気はすごいし気持ちいいのかどうかもわからない。少し前から涙も出てきて、涎も鼻水も出まくっているはずだ。
 それなのに仰向けに寝たままの軍人さんの腰はガンガンに動きまくって、延々と僕の喉を性器のように扱っていた。

(あぁ、そっか。僕の口って、性器なんだ)

 そう思った瞬間、左手の中にあった軍人さんの双玉がググッと迫り上がるのを感じた。同時に立派すぎる逸物が喉の奥に突き刺さって、グン! と膨れ上がる。

 ビシャ!

 喉の奥でそんな音が聞こえたような気がした。奥に入り込んだ逸物がビクビクしながら勢いよく射精している。喉の奥深くに大量の精液を流し込まれた僕は、鼻の奥に痛みと雄の匂いを感じながら目を閉じた。
 ドクドクと脈打ちながら精液を注ぎ込まれるのを感じつつ、いつの間にか僕の性器も弾けてしまっていた。
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