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花のように7
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ディニに番になってほしいと告げられて半年が経った。相変わらずディニはクリュスを指名し「番になってほしい」と口説き続けている。
もちろんクリュスは断り続けていた。三十近い華が名家の花嫁になってはならない。そもそもアフィーテが番になること自体あり得ないことだ。そう思い、頑なに断り続けた。
(こうして断らなくてはいけないのも、あと少しの間……)
クリュスは三十歳になる日、華を辞めると決めていた。これはスキアとも相談したことで、辞めたあとは東の館の裏方としてスキアを手伝うことになっている。東の館で仕事に慣れたら別の館に移ろうとも考えていた。そうすればディニと顔を合わせることもない。
そんなことを考えていたある日、クリュスは衝撃的な噂話を耳にすることになった。
「ねぇ聞いた!? アフィーテが名家の花嫁になったんだって!」
興奮したようにそう叫んだのは兎族の雌だった。聞けば花嫁の相手は狼族の長の息子だという。そんな名家中の名家がアフィーテを花嫁に選んだことは兎族にとって青天の霹靂で、遠く離れたこの港街でも瞬く間に噂話が広がっていった。
(そんなことが起きるなんて……)
クリュスは驚いていた。これまでアフィーテが狼族の番になったという話は聞いたことがない。
(しかも月の宴で正式に決まったなんて)
月の宴に参加できる兎族の雄は、同じ兎族が決める。だからどの土地からもアフィーテが選ばれることはなかった。兎族がアフィーテを徹底的に排除しようとするのは昔から続くことだからだ。
(どういう経緯で月の宴に参加することになったのだろう……)
残念ながら、そのあたりは噂話には含まれていなかった。ただアフィーテが唯一の花嫁として長の息子の番になったということしか語られない。
その話を聞いたとき、クリュスはゾッとするような思いがした。「この話をディニ様が聞けばどうなるのか」と考えたからだ。同時にほのかな期待のような感情がわき上がった。駄目だと戒めてもどうしても淡い期待は消えてくれない。
(そんなこと、わたしの身に起きてよいはずがないのに)
そもそも自分は華で、噂のアフィーテは十八歳と若く名家で働いていたと聞いた。年齢も立場も大きく違うのだから期待するほうが間違っている。
ディニのためにも自分が番になるわけにはいかない。まだ十八歳と若いディニにはこれからいくらでも美しい兎族の花嫁候補が現れるだろう。そちらに意識を向けさせるためにも早く離れなければ。
そう思っているのに、いまだにディニを拒絶できないでいた。下働きからディニが来ると聞くたびに「わたしには断ることはできないから」ともっともらしい理由を思い浮かべながら支度をする。
(三十になれば強制的に会えなくなる。だからそれまで……)
気がつけばそんなことを思うようになっていた。そうして今夜もディニを迎え入れてしまっていた。
「……クリュス、全然笑わなくなった」
「はい?」
「前からあんまり笑わなかったけど、最近もっと笑わなくなった」
「そうでしょうか」
そう言ってにこりと微笑む。ところがディニはすっと目を逸らし眉を寄せた。
クリュスは首を傾げた。華としての微笑みはディニに初めて指名されたときから忘れないように心がけている。いまのような微笑みも何度も見せてきた。もちろん番にしたいと言われた後も微笑むことを忘れないようにしてきた。
「そういう笑いじゃなくて、あのときみたいなやつだよ」
「あのとき……?」
「……初めてそういうことしたとき、クリュスはすごく綺麗に笑ったんだ」
言われてもよくわからない。あのときはディニの初々しさにばかり目がいき、この手で快楽を教えてやりたいと考えていた。だからといって特別何かしたわけではなく、いつもどおりの笑顔を浮かべていたはずだ。
「もしかして笑顔になってくれるかもと思ったけど、違ったな」
「どういうことです?」
「あの話、聞いただろ?」
オレンジの瞳がちろっとクリュスを見る。「あの話」というのは、もしかしなくてもアフィーテが花嫁になったことだろうか。
「アフィーテが長の息子の、蒼灰の君の花嫁になったって話。長の息子がそうなら、俺だって大丈夫だと思ってくれたんじゃないかって、ちょっと期待してた」
クリュスは「やっぱり」と思った。同時に自分の中で淡い期待がまた膨らみそうになり、慌てて駄目だと戒める。
「詳しくはわかりませんが、ここでも話題になっていますよ」
「話を聞いて、クリュスは何も思わなかったのか?」
「わたしは華です。たしかに同じアフィーテではありますが、わたしには関係ないこと。それにお相手は長のご子息ということですから、何か理由があったのでしょう」
クリュスの言葉にディニが「クリュスらしいな」とため息を漏らした。
「ディニ様?」
「ちょっとくらい期待してくれたらいいのにって思ってたけど、やっぱり駄目だったか」
「それは申し訳ありませんでした」
「……しばらく会えなくなるから、せめてあの笑顔が見たいと思ってたんだけど」
「え……?」
思わずそんな声がこぼれてしまった。慌てて「そうでしたか」と言い繕う。
「前に見たような笑顔を見たいって思ってた。それから抱きしめて……いや、やっぱり抱きしめるは駄目だ。いま抱きしめたらいろいろ我慢できなくなりそうだし」
「ここは華街ですから、別に我慢される必要はありませんよ」
「そういうことじゃなくて……あー、うん、わかってる。でも、一応けじめとしてやめておく」
ディニの返事にクリュスは内心残念に思った。そう思ってしまう自分に呆れる。
(わたしがこんなふうでは、ディニ様にとってもよくないのに)
密かに抱いてしまった恋心は絶対に隠しとおさなくてはいけない。ディニのためにもそうするのが一番だ。それなのに、つい未練がましく期待してしまった。またその手に抱きしめられ、熱い肌を触れ合わせたいと願ってしまう。
(でも、それももう終わりということですね)
ディニは「しばらく会えなくなるから」と言った。つまり華街にはもう来ないということだ。そういうことはここでは珍しくない。華のことを気にして「また来るよ」と言いながら来なくなる客は大勢いる。古株のクリュスはそういったことを何度も経験してきた。
「絶対にまた来るから。それまで待ってて」
眩しいほどの眼差しに、クリュスはただふわりと微笑み返した。
次の日以降、ディニが東の館にやって来ることはなかった。どうやら華街自体に来ていないようで、そのうちヒソヒソと噂話が囁かれるようになった。
「やっぱり名家の狼族だから、月の宴に参加してるのかも」
「花嫁を選ぶなら月の宴だもんねぇ」
「すっごい綺麗な兎族ばっかり選ばれるんでしょ?」
「華街の華も綺麗だけど、本物と比べたら違うもんな」
噂話を聞き流しながら、クリュスは喫茶室でディニにもらったハーブティーを飲んでいた。多少胸が痛むものの、それで気が沈んでしまうほど若くはない。むしろ華を辞める前にすべてが丸く収まってよかったとさえ思っていた。
(そう、わたしは間もなく華ではなくなる)
つまり、二度とディニを客として迎えることはないということだ。そう思うと、最後になったあの日に肌を重ねておけばよかったなどと未練がましい気持ちがわき上がった。それを苦笑とともに押さえ込みながら、これまで華として生きてきた日々に思いを馳せる。
(振り返るほどのことがない人生でしたが、最後にこんなにもいい思い出をもらうことができた)
つらい幼少期から始まったアフィーテでも、最後に恋をすることができた。しかも相手も同じだけ自分を想ってくれていた。番に求められるのは一生にあの一度だけだろう。この思い出があれば、この先何があっても生きていける。
これまでのことを振り返ったクリュスは、たまに指名してくれていた常連たちに手紙を出すことにした。長年かわいがってくれたお礼と華を辞めることの挨拶、そして健やかに過ごしてほしいという願いをしたためる。
一方、最後の客となったディニにはどうしても言葉をしたためることができなかった。代わりに、もし辞めたあとに訪ねてきたら渡してもらうハーブティーの小瓶を用意した。華を辞める日スキアに託そうと決め、そっと棚に仕舞う。
「さて、あとは身の回りの片付けだけですね」
そう言いながら質素な部屋をぐるりと見回した。残っているのは華として使っていた衣装や小物ばかりで、クリュス自身の私物はほとんどない。いつか華を辞めるときのことを考え、できるだけ物を持たないようにしてきた結果でもあった。
ふと、ディニにもらった茶葉の瓶が目に留まった。あと数回飲めば空になる。これまで茶葉が入っていた瓶はすべて処分してきたが、きっとこの瓶は処分できないに違いない。
(これもいい思い出になれば……)
そう思っているのに、どうしても胸の奥がズキズキと痛む。その痛みに蓋をしたクリュスは、慈しむように指先で瓶を撫でた。
もちろんクリュスは断り続けていた。三十近い華が名家の花嫁になってはならない。そもそもアフィーテが番になること自体あり得ないことだ。そう思い、頑なに断り続けた。
(こうして断らなくてはいけないのも、あと少しの間……)
クリュスは三十歳になる日、華を辞めると決めていた。これはスキアとも相談したことで、辞めたあとは東の館の裏方としてスキアを手伝うことになっている。東の館で仕事に慣れたら別の館に移ろうとも考えていた。そうすればディニと顔を合わせることもない。
そんなことを考えていたある日、クリュスは衝撃的な噂話を耳にすることになった。
「ねぇ聞いた!? アフィーテが名家の花嫁になったんだって!」
興奮したようにそう叫んだのは兎族の雌だった。聞けば花嫁の相手は狼族の長の息子だという。そんな名家中の名家がアフィーテを花嫁に選んだことは兎族にとって青天の霹靂で、遠く離れたこの港街でも瞬く間に噂話が広がっていった。
(そんなことが起きるなんて……)
クリュスは驚いていた。これまでアフィーテが狼族の番になったという話は聞いたことがない。
(しかも月の宴で正式に決まったなんて)
月の宴に参加できる兎族の雄は、同じ兎族が決める。だからどの土地からもアフィーテが選ばれることはなかった。兎族がアフィーテを徹底的に排除しようとするのは昔から続くことだからだ。
(どういう経緯で月の宴に参加することになったのだろう……)
残念ながら、そのあたりは噂話には含まれていなかった。ただアフィーテが唯一の花嫁として長の息子の番になったということしか語られない。
その話を聞いたとき、クリュスはゾッとするような思いがした。「この話をディニ様が聞けばどうなるのか」と考えたからだ。同時にほのかな期待のような感情がわき上がった。駄目だと戒めてもどうしても淡い期待は消えてくれない。
(そんなこと、わたしの身に起きてよいはずがないのに)
そもそも自分は華で、噂のアフィーテは十八歳と若く名家で働いていたと聞いた。年齢も立場も大きく違うのだから期待するほうが間違っている。
ディニのためにも自分が番になるわけにはいかない。まだ十八歳と若いディニにはこれからいくらでも美しい兎族の花嫁候補が現れるだろう。そちらに意識を向けさせるためにも早く離れなければ。
そう思っているのに、いまだにディニを拒絶できないでいた。下働きからディニが来ると聞くたびに「わたしには断ることはできないから」ともっともらしい理由を思い浮かべながら支度をする。
(三十になれば強制的に会えなくなる。だからそれまで……)
気がつけばそんなことを思うようになっていた。そうして今夜もディニを迎え入れてしまっていた。
「……クリュス、全然笑わなくなった」
「はい?」
「前からあんまり笑わなかったけど、最近もっと笑わなくなった」
「そうでしょうか」
そう言ってにこりと微笑む。ところがディニはすっと目を逸らし眉を寄せた。
クリュスは首を傾げた。華としての微笑みはディニに初めて指名されたときから忘れないように心がけている。いまのような微笑みも何度も見せてきた。もちろん番にしたいと言われた後も微笑むことを忘れないようにしてきた。
「そういう笑いじゃなくて、あのときみたいなやつだよ」
「あのとき……?」
「……初めてそういうことしたとき、クリュスはすごく綺麗に笑ったんだ」
言われてもよくわからない。あのときはディニの初々しさにばかり目がいき、この手で快楽を教えてやりたいと考えていた。だからといって特別何かしたわけではなく、いつもどおりの笑顔を浮かべていたはずだ。
「もしかして笑顔になってくれるかもと思ったけど、違ったな」
「どういうことです?」
「あの話、聞いただろ?」
オレンジの瞳がちろっとクリュスを見る。「あの話」というのは、もしかしなくてもアフィーテが花嫁になったことだろうか。
「アフィーテが長の息子の、蒼灰の君の花嫁になったって話。長の息子がそうなら、俺だって大丈夫だと思ってくれたんじゃないかって、ちょっと期待してた」
クリュスは「やっぱり」と思った。同時に自分の中で淡い期待がまた膨らみそうになり、慌てて駄目だと戒める。
「詳しくはわかりませんが、ここでも話題になっていますよ」
「話を聞いて、クリュスは何も思わなかったのか?」
「わたしは華です。たしかに同じアフィーテではありますが、わたしには関係ないこと。それにお相手は長のご子息ということですから、何か理由があったのでしょう」
クリュスの言葉にディニが「クリュスらしいな」とため息を漏らした。
「ディニ様?」
「ちょっとくらい期待してくれたらいいのにって思ってたけど、やっぱり駄目だったか」
「それは申し訳ありませんでした」
「……しばらく会えなくなるから、せめてあの笑顔が見たいと思ってたんだけど」
「え……?」
思わずそんな声がこぼれてしまった。慌てて「そうでしたか」と言い繕う。
「前に見たような笑顔を見たいって思ってた。それから抱きしめて……いや、やっぱり抱きしめるは駄目だ。いま抱きしめたらいろいろ我慢できなくなりそうだし」
「ここは華街ですから、別に我慢される必要はありませんよ」
「そういうことじゃなくて……あー、うん、わかってる。でも、一応けじめとしてやめておく」
ディニの返事にクリュスは内心残念に思った。そう思ってしまう自分に呆れる。
(わたしがこんなふうでは、ディニ様にとってもよくないのに)
密かに抱いてしまった恋心は絶対に隠しとおさなくてはいけない。ディニのためにもそうするのが一番だ。それなのに、つい未練がましく期待してしまった。またその手に抱きしめられ、熱い肌を触れ合わせたいと願ってしまう。
(でも、それももう終わりということですね)
ディニは「しばらく会えなくなるから」と言った。つまり華街にはもう来ないということだ。そういうことはここでは珍しくない。華のことを気にして「また来るよ」と言いながら来なくなる客は大勢いる。古株のクリュスはそういったことを何度も経験してきた。
「絶対にまた来るから。それまで待ってて」
眩しいほどの眼差しに、クリュスはただふわりと微笑み返した。
次の日以降、ディニが東の館にやって来ることはなかった。どうやら華街自体に来ていないようで、そのうちヒソヒソと噂話が囁かれるようになった。
「やっぱり名家の狼族だから、月の宴に参加してるのかも」
「花嫁を選ぶなら月の宴だもんねぇ」
「すっごい綺麗な兎族ばっかり選ばれるんでしょ?」
「華街の華も綺麗だけど、本物と比べたら違うもんな」
噂話を聞き流しながら、クリュスは喫茶室でディニにもらったハーブティーを飲んでいた。多少胸が痛むものの、それで気が沈んでしまうほど若くはない。むしろ華を辞める前にすべてが丸く収まってよかったとさえ思っていた。
(そう、わたしは間もなく華ではなくなる)
つまり、二度とディニを客として迎えることはないということだ。そう思うと、最後になったあの日に肌を重ねておけばよかったなどと未練がましい気持ちがわき上がった。それを苦笑とともに押さえ込みながら、これまで華として生きてきた日々に思いを馳せる。
(振り返るほどのことがない人生でしたが、最後にこんなにもいい思い出をもらうことができた)
つらい幼少期から始まったアフィーテでも、最後に恋をすることができた。しかも相手も同じだけ自分を想ってくれていた。番に求められるのは一生にあの一度だけだろう。この思い出があれば、この先何があっても生きていける。
これまでのことを振り返ったクリュスは、たまに指名してくれていた常連たちに手紙を出すことにした。長年かわいがってくれたお礼と華を辞めることの挨拶、そして健やかに過ごしてほしいという願いをしたためる。
一方、最後の客となったディニにはどうしても言葉をしたためることができなかった。代わりに、もし辞めたあとに訪ねてきたら渡してもらうハーブティーの小瓶を用意した。華を辞める日スキアに託そうと決め、そっと棚に仕舞う。
「さて、あとは身の回りの片付けだけですね」
そう言いながら質素な部屋をぐるりと見回した。残っているのは華として使っていた衣装や小物ばかりで、クリュス自身の私物はほとんどない。いつか華を辞めるときのことを考え、できるだけ物を持たないようにしてきた結果でもあった。
ふと、ディニにもらった茶葉の瓶が目に留まった。あと数回飲めば空になる。これまで茶葉が入っていた瓶はすべて処分してきたが、きっとこの瓶は処分できないに違いない。
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