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後宮に繋がれしは魔石を孕む御子
12 十日振りの行為
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足の間からヌチャヌチャといやらしい音が聞こえる。僕は仰向けのまま必死に敷布を掴んでいた。そうしないと体が暴れ出しそうだった。
(まだ、続ける、の、かな)
僕の中で軍帝の指が動いている。たっぷりの香油を中に塗り込めるため、と言ったのは軍帝だ。それなのに三本目の指を入れてからは指を開いたり中を押したりするばかりで、そうされるたびに僕の体はビクンビクンと跳ねてしまう。
「んっ!」
まただ。軍帝の指がお腹の中の何かを押すとゾクゾクとしたものが背中を駆け上がった。そのたびに腰が跳ね、枕で持ち上げられている下肢を軍帝に見せつけるような格好になってしまう。
(こんな、の、恥ずかしい、だけのはず、なのに)
それなのにどうしようもなく興奮した。行為そのものが怖くてたまらなかったのが嘘のようだ。魔石を生み出さなくていいとはっきりわかったからか、それとも軍帝が愛してやると言ってくれたからか、何をされても気持ちがよくて心も体も震えっぱなしだった。
(あぁ……何かが僕の中で……)
震える体の奥深い場所で、何かが渦を巻くように蠢いている。それは魔力の澱みのような、それよりもっと重々しい生き物のようにも感じた。それが段々と形を作り、僕の中で何度も揺らめいた。深い場所で揺らめいていたものが穴蔵から顔を覗かせる。ずるりと這い出し、ずるりずるりと体の内側を舐めるように這い回り始めた。
「あ……あぁ……や……」
恐ろしい感覚と快感が混じり合い、体の中がぐちゃぐちゃになった。息が止まり、見開いた僕の目に軍帝の美しい姿が映り込む。
「心配するな。すべて俺が食らってやる」
敷布を掴んでいた手に何かが触れた。温かくて大きなそれが僕の手をそっと持ち上げる。そうして指先に柔らかいものが触れた。
パチン。
何かが弾けた。パチンパチンと弾けるような音が何度も響く。音とともに、体の中に渦巻いていた苛々するような熱がフッと和らいだような気がした。
目を開けると僕の指先に軍帝が口づけていた。触れている場所がチリチリと熱い。僕の内側を這い回っていたものが少しずつ大人しくなっていく。
「おまえの魔力は極上だな」
その言葉に「あぁ、やっぱりこの人しかいない」と思った。僕の本能がそう理解した。この人になら魂の底まで愛されてもいい。
(この人なら、きっと僕のすべてを愛してくれる)
僕のすべてを……すべて……? 何かが脳裏をかすめたけれど、指先を甘噛みされて意識が軍帝に戻る。
「さぁ、次はおまえが食らう番だ」
にやりと笑った軍帝が僕の両足を抱えた。散々いじられた後ろが心許ないようにヒクヒクと収縮している。柔らかく潤んだそこに硬いものが触れ、一気に僕を貫いた。僕は悲鳴のような声を上げながら精を吐き出した。
「もう、くるし……」
「十日ぶりなんだ、まだまだイケるだろ?」
楽しそうな声のあと、さらに深いところをズンと突き上げられた。何度も抉られているせいで奥も入り口も熱を持っている。突き上げられると痛みさえ感じるのに、それを上回る快感に何度も背中が震えた。
(こんなに、気持ちいい、なんて……っ)
奥をトントンと叩かれて「あ!」と声が漏れた。自分のものとは思えない高い声に頬が熱くなる。同時に初めて感じる深い快感にあちこちが粟立った。
(これが、素直に感じる、こと……)
兄上様の言葉が蘇った。
――何を感じてもいいし、自由に感じていいんだよ。
この行為は魔石を生み出すためのものじゃない。僕は“魔血”だからこうされているわけじゃない。
(軍帝は僕を愛してくれる。そのための行為だ)
体の芯を寒気にも似た強烈な感覚が突き抜けた。ゾクゾクとしたそれがうなじを這い上がり、僕の脳天を貫く。
気がつけば覆い被さっている大きな体に縋りついていた。もっと触れてほしいと貪欲な気持ちが膨れ上がる。頬も額も唇も、腕も首も胸も、僕のすべてにもっと触れてほしい。お腹も太ももも足首も、体の中にもたくさん触れてほしい。
(もっとあなたでいっぱいにしてほしい)
必死にしがみつく僕の様子がおかしいのか、軍帝が「ははっ」と笑ったのがわかった。
「そうだ、おまえはただ素直に感じてりゃいい。俺だけを感じ、俺に満たされることに悦んでろ」
グンと突き入れられた熱の塊が僕の中で大きく膨らんだ。そのままさらに奥へと突き進んでいく。そうしてたどり着いた深い場所で、膨らんだそれが一気に広がり僕を覆い尽くした。
(何かが……僕を見ている……なに……?)
大きく膨らんだ真っ黒なそれは、まるで獣のような形と気配をしていた。影のようにしか見えない黒い中に爛々と光る二つの目のようなものが見える。グワッと広がった口の中は目眩がするほど真っ赤だ。
その口がゆっくりと僕に近づいてきた。とても大きくて、僕の体なんてすっぽり入ってしまう。そう思いながら見上げていると、大きくて真っ赤な口に頭からがぶりと喰われてしまった。
柔らかい何かがぐじゅりと潰れた。そこから何かがプシュッと噴き出す。どろりとした生温かいものが果汁のようにぽたぽたと滴り落ちていく。
(ああ……あぁ……すごい……どうしよう……あぁ、ああぁ、ああぁぁあ!)
真っ黒な獣に喰われながら、僕は生まれて初めて感じる強烈な快楽に打ち震えていた。僕の中の何かが軍帝に喰われている。それはとても恐ろしいことのはずなのに信じられないほど気持ちがよかった。
熱くて硬いものに貫かれるよりももっと鋭く、奥を押し広げられるより深い場所を暴かれる。快感という言葉では言い表せないほどの感覚に、僕はガクガクと震えながら逞しい体に必死にしがみついた。そうしなければ粉々に砕け散ってしまいそうだった。
「あ――――! ぁ、は、はっ……ぁ……っ」
僕の中の何かが弾け飛んだ。思わず漏れた悲鳴に軍帝が息を詰め、直後に体の深くでドクンと何かがほとばしった。それが僕の奥深いところを濡らし、隅々まで満たしていく。
「きもち、いぃ」
つぶやくように声が漏れた。自分の声が耳から入り、体の中をぐるりと巡る。そうして甘いため息になって再び僕の口から出てきた。その瞬間、体の奥がきゅうっと締まった。僕の内側が体の中で脈打つ熱いものをぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「なんだ、そんなに食い締めてまだ足りないのか?」
楽しそうな軍帝の声に、僕の中がまた引き締まった。直後、腰から背中にかけてゾクゾクとしたものが駆け上がってきた。悲鳴のような鳴き声のようなものが聞こえたけれど、もしかして僕の声だったんだろうか。
仰け反るように背中がしなる。浮き上がった体と敷布との隙間に軍帝の逞しい腕が入り込み、背骨が軋むほどの力で抱きしめられた。そのまま腰を打ちつけられ、乱暴なほど体の中を掻き混ぜられた。グジュグジュといやらしい音が響き、その音さえも気持ちがよくてガクガクと体が震える。
(体が……溶けていく……)
何も考えられなかった。初めて感じる連続した強烈な快感に頭も体もドロドロに溶けていく。同時に僕の中に渦巻いていた何かが悲鳴を上げたような気がした。
(あぁ……これは僕の……)
獣のような黒い塊がべろりと赤い舌で口を舐めている。満足げに見えるのは喰らい尽くして満腹になったからだ。
僕のものからトロトロといやらしい液体がこぼれ落ちた。ほぼ同時に体の奥で軍帝の熱がほとばしる。弾け飛んだ僕の頭は真っ白になり、そのまま深い眠りの底に落ちていった。
(まだ、続ける、の、かな)
僕の中で軍帝の指が動いている。たっぷりの香油を中に塗り込めるため、と言ったのは軍帝だ。それなのに三本目の指を入れてからは指を開いたり中を押したりするばかりで、そうされるたびに僕の体はビクンビクンと跳ねてしまう。
「んっ!」
まただ。軍帝の指がお腹の中の何かを押すとゾクゾクとしたものが背中を駆け上がった。そのたびに腰が跳ね、枕で持ち上げられている下肢を軍帝に見せつけるような格好になってしまう。
(こんな、の、恥ずかしい、だけのはず、なのに)
それなのにどうしようもなく興奮した。行為そのものが怖くてたまらなかったのが嘘のようだ。魔石を生み出さなくていいとはっきりわかったからか、それとも軍帝が愛してやると言ってくれたからか、何をされても気持ちがよくて心も体も震えっぱなしだった。
(あぁ……何かが僕の中で……)
震える体の奥深い場所で、何かが渦を巻くように蠢いている。それは魔力の澱みのような、それよりもっと重々しい生き物のようにも感じた。それが段々と形を作り、僕の中で何度も揺らめいた。深い場所で揺らめいていたものが穴蔵から顔を覗かせる。ずるりと這い出し、ずるりずるりと体の内側を舐めるように這い回り始めた。
「あ……あぁ……や……」
恐ろしい感覚と快感が混じり合い、体の中がぐちゃぐちゃになった。息が止まり、見開いた僕の目に軍帝の美しい姿が映り込む。
「心配するな。すべて俺が食らってやる」
敷布を掴んでいた手に何かが触れた。温かくて大きなそれが僕の手をそっと持ち上げる。そうして指先に柔らかいものが触れた。
パチン。
何かが弾けた。パチンパチンと弾けるような音が何度も響く。音とともに、体の中に渦巻いていた苛々するような熱がフッと和らいだような気がした。
目を開けると僕の指先に軍帝が口づけていた。触れている場所がチリチリと熱い。僕の内側を這い回っていたものが少しずつ大人しくなっていく。
「おまえの魔力は極上だな」
その言葉に「あぁ、やっぱりこの人しかいない」と思った。僕の本能がそう理解した。この人になら魂の底まで愛されてもいい。
(この人なら、きっと僕のすべてを愛してくれる)
僕のすべてを……すべて……? 何かが脳裏をかすめたけれど、指先を甘噛みされて意識が軍帝に戻る。
「さぁ、次はおまえが食らう番だ」
にやりと笑った軍帝が僕の両足を抱えた。散々いじられた後ろが心許ないようにヒクヒクと収縮している。柔らかく潤んだそこに硬いものが触れ、一気に僕を貫いた。僕は悲鳴のような声を上げながら精を吐き出した。
「もう、くるし……」
「十日ぶりなんだ、まだまだイケるだろ?」
楽しそうな声のあと、さらに深いところをズンと突き上げられた。何度も抉られているせいで奥も入り口も熱を持っている。突き上げられると痛みさえ感じるのに、それを上回る快感に何度も背中が震えた。
(こんなに、気持ちいい、なんて……っ)
奥をトントンと叩かれて「あ!」と声が漏れた。自分のものとは思えない高い声に頬が熱くなる。同時に初めて感じる深い快感にあちこちが粟立った。
(これが、素直に感じる、こと……)
兄上様の言葉が蘇った。
――何を感じてもいいし、自由に感じていいんだよ。
この行為は魔石を生み出すためのものじゃない。僕は“魔血”だからこうされているわけじゃない。
(軍帝は僕を愛してくれる。そのための行為だ)
体の芯を寒気にも似た強烈な感覚が突き抜けた。ゾクゾクとしたそれがうなじを這い上がり、僕の脳天を貫く。
気がつけば覆い被さっている大きな体に縋りついていた。もっと触れてほしいと貪欲な気持ちが膨れ上がる。頬も額も唇も、腕も首も胸も、僕のすべてにもっと触れてほしい。お腹も太ももも足首も、体の中にもたくさん触れてほしい。
(もっとあなたでいっぱいにしてほしい)
必死にしがみつく僕の様子がおかしいのか、軍帝が「ははっ」と笑ったのがわかった。
「そうだ、おまえはただ素直に感じてりゃいい。俺だけを感じ、俺に満たされることに悦んでろ」
グンと突き入れられた熱の塊が僕の中で大きく膨らんだ。そのままさらに奥へと突き進んでいく。そうしてたどり着いた深い場所で、膨らんだそれが一気に広がり僕を覆い尽くした。
(何かが……僕を見ている……なに……?)
大きく膨らんだ真っ黒なそれは、まるで獣のような形と気配をしていた。影のようにしか見えない黒い中に爛々と光る二つの目のようなものが見える。グワッと広がった口の中は目眩がするほど真っ赤だ。
その口がゆっくりと僕に近づいてきた。とても大きくて、僕の体なんてすっぽり入ってしまう。そう思いながら見上げていると、大きくて真っ赤な口に頭からがぶりと喰われてしまった。
柔らかい何かがぐじゅりと潰れた。そこから何かがプシュッと噴き出す。どろりとした生温かいものが果汁のようにぽたぽたと滴り落ちていく。
(ああ……あぁ……すごい……どうしよう……あぁ、ああぁ、ああぁぁあ!)
真っ黒な獣に喰われながら、僕は生まれて初めて感じる強烈な快楽に打ち震えていた。僕の中の何かが軍帝に喰われている。それはとても恐ろしいことのはずなのに信じられないほど気持ちがよかった。
熱くて硬いものに貫かれるよりももっと鋭く、奥を押し広げられるより深い場所を暴かれる。快感という言葉では言い表せないほどの感覚に、僕はガクガクと震えながら逞しい体に必死にしがみついた。そうしなければ粉々に砕け散ってしまいそうだった。
「あ――――! ぁ、は、はっ……ぁ……っ」
僕の中の何かが弾け飛んだ。思わず漏れた悲鳴に軍帝が息を詰め、直後に体の深くでドクンと何かがほとばしった。それが僕の奥深いところを濡らし、隅々まで満たしていく。
「きもち、いぃ」
つぶやくように声が漏れた。自分の声が耳から入り、体の中をぐるりと巡る。そうして甘いため息になって再び僕の口から出てきた。その瞬間、体の奥がきゅうっと締まった。僕の内側が体の中で脈打つ熱いものをぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「なんだ、そんなに食い締めてまだ足りないのか?」
楽しそうな軍帝の声に、僕の中がまた引き締まった。直後、腰から背中にかけてゾクゾクとしたものが駆け上がってきた。悲鳴のような鳴き声のようなものが聞こえたけれど、もしかして僕の声だったんだろうか。
仰け反るように背中がしなる。浮き上がった体と敷布との隙間に軍帝の逞しい腕が入り込み、背骨が軋むほどの力で抱きしめられた。そのまま腰を打ちつけられ、乱暴なほど体の中を掻き混ぜられた。グジュグジュといやらしい音が響き、その音さえも気持ちがよくてガクガクと体が震える。
(体が……溶けていく……)
何も考えられなかった。初めて感じる連続した強烈な快感に頭も体もドロドロに溶けていく。同時に僕の中に渦巻いていた何かが悲鳴を上げたような気がした。
(あぁ……これは僕の……)
獣のような黒い塊がべろりと赤い舌で口を舐めている。満足げに見えるのは喰らい尽くして満腹になったからだ。
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