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15 新作戦①中断、自称神の介入
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「まさか……」
気がつけば思っていたことが言葉に出ていた。もう一度「まさか」と言いながら、止めた足の行き先を真っ白な燕尾服を着た男へと向ける。
顔を強張らせながら歩くオペラに周囲は誰一人として声をかけなかった。それどころか視線さえ向けない。どんな場所でも、もっとも注目を集めてきたのはオペラだ。いまも王太子妃候補の一人として、さらに王弟と噂のある令嬢として注目されている。それなのに傍らを通り過ぎても声をかける者はなく、ひそひそと囁く者すらいない。
オペラが自称神の前に立った。ティーカップをくいっと持ち上げ中身を飲み干した神が、テーブルにカップを置いてから「やぁ」とオペラを見る。
「紅茶は断然ファーストフラッシュ派なんだけど、セカンドフラッシュも悪くないね。いや、夏ならウバの濃厚なミルクティーのほうがいいかな」
傍のテーブルに置いてあったティーポットを持ち上げた神が、頭上より高い位置まで持ち上げると勢いよくポットを傾けた。そのまま地面にこぼれ落ちると思われていた中身はなぜか空中でくるくると円を描き、まるで透明なティーカップに注がれているような不思議な現象を見せる。それがオペラには男が神だと見せつけているような気がしてならなかった。
「どうしてここにいらっしゃるのかしら」
「ん~? そうだねぇ。なんだか思ってたのと違う方向に進んでいるのが気になったからかなぁ?」
中身が空になったポットを神がテーブルに戻す。それを見ながらオペラは「やはり」と確信した。
いまの状況は神が思い描いた物語ではなくなっている。それが“ぷろぐらむ”の不具合のせいかはわからないが、オペラが望む“誰も悪役令嬢にならない”という結末に向かっているに違いない。
(だから再び姿を現した)
それはつまりオペラたちにとって悪い方向へ再び進むということだ。
「あんなに何度もテストしたのに、まさかこんなに早くバグにぶち当たるとは思わなかったなぁ。おかげで王太子妃候補の二人がバチバチとやり合うはずが、あっさり三人目が現れてしまった。しかも候補者の一人には新しい恋のお相手までできている。このままじゃ彼女は候補から脱落だ。こういうのも寿退社って言うのかな。いや、退社じゃなくて退場か」
「寿退場……ははっ、ウケる」と笑いながら、今度は空中に留まったままの紅茶を指先でつつき始めた。
「このバグを導き出したのは、もしかしなくてもきみかな?」
「おっしゃっている意味がわかりませんわ」
「もう一人の子が何かできるとは思えないんだよね。ぽや~っとした、明らかにお馬鹿さん系のご令嬢だからね。となると、バグを引き起こす何かに気づいたのはクール系才女のきみしかいない」
紅茶をつついていた指をオペラに向ける。
「さて、何をしたのかな?」
口元は笑っているが赤い目は笑っていない。国王の前でも緊張することのないオペラだが、赤い目で見つめられた途端に背中をゾクッとしたものが走り抜けた。権力者に対する恐れとはまったく違う感覚が体に広がっていく。
(……これが畏怖というものなのね)
夢の中では感じなかった感覚だが、いまは確かに畏怖と呼ぶべきものを感じる。あのとき平気だったのは偶然だったのか、それとも現実に神が現れると誰もがこうなるのか……感じたことがない畏れに耐えるようにオペラが右手をグッと握り締めた。
(たとえ相手が本物の神だったとしても、わたくしは負けるわけにはいかない)
小さく深呼吸をし、きりりと神を見つめ返した。
「わたくしは何もしていませんわ」
「またまた~。神様に嘘をつくなんていけないなぁ」
「嘘は申していませんわ。わたくしはあの夢を見る前と同じ生活を送っているだけですもの。それにあなたにとってわたくしたちは物語の中の登場人物なのでしょう? 登場人物が物語を勝手に書き換えることなどできるはずがありませんわ」
「まぁ、本来はそうなんだけどさ。きみたちが物語の根幹を書き換えるなんて天地がひっくり返っても不可能だ。でも、この物語が変容しつつあるのも間違いない。極めつけはボクが徹夜してまで完成させたプログラムがバグってしまったことだ。急きょ仕込んだとはいえ、バグるほどの負荷がかかったとは思えないんだよなぁ」
神がオペラを指していた指で自分のこめかみをトントンと叩いている。「うーん」と言いながら目を閉じ、「そこそこの情報量にも耐えられるはずなのになぁ」とつぶやいた。そうして目を開き「やっぱりきみしか考えられない」と赤い目でオペラを見た。
「というわけで、きみにはここで退場してもらうことにした」
「え?」
「ここで三人のうち一人が消えれば王太子妃候補は二人になり、当初の予定どおりということになる。ホワイト嬢はバグを生み出すほどの何かに気づくことはないだろうし、ミルフィ嬢は王太子妃になるために手段を選ばない。二人ならドロッドロの展開しか起こり得ないだろうねぇ」
赤い目をキラキラさせた神が「これこそがボクの求めていた物語だ!」と高らかに声を上げた。こめかみを叩いていた指を天に突き上げ、まるで大衆演劇の役者のようにくるりと身を翻す。
「オペラ嬢、残念ながらきみはここで退場だ。本当は悪役令嬢になって断罪ルートを進む先が退場になる予定だったんだけど、そうもいかなくなったからね。さぁて、どうやって退場してもらうかだけど……そうだねぇ。有力貴族たちが大勢集まるお茶会なら、邪魔者を狙った暗殺に巻き込まれる、なんていうのはどうかな?」
「暗、殺」
「うんうん、そういうのも物語のスパイスとしては悪くないだろう? それにいまきみは微妙な立場に置かれている。王太子妃候補なのに王弟に色目を使う令嬢、完璧な淑女は偽りだったのか、なんて破廉恥な、そういう噂があちこちで囁かれている。となれば誰かが命を狙ってもおかしくない。とくにきみのファンは男女問わず熱烈な人が多い。完璧な淑女のまま死なせてやりたい! なんておかしなことを考えるファンに一服盛られたっていうのはどうかな?」
ところどころ意味がわからない言葉が混じっているものの、おおよそは理解できた。
(わたくしをこのお茶会で毒殺し、退場させる気なのだわ)
握り締めた右手にさらに力が入った。整えてある爪が手のひらに食い込み嫌な痛みが走る。それでもオペラは表情を変えることなく神を見つめた。
「さぁ、ここからはちょっとした余興だ。久しぶりに王城に戻ってきた王弟殿下が開くお茶会で、一人の美しいご令嬢が命を落とす。倒れたご令嬢のそばには割れたティーカップが、ご令嬢の口元には泡を吹いたような痕跡がある。そして口元からわずかに毒の匂いが漂い……おっと、どんな毒にするか決めないとなぁ。まぁ、そのあたりは登場人物たちに適当に決めてもらうことにしよう」
神が被っていた真っ白なシルクハットを取った。それを胸に当て、ニッと笑いながら優雅にお辞儀をする。
「ガトーオロム公爵令嬢オペラ、最後のシーンだ」
まるで大衆演劇の役者のように声高に宣言した神は、青色の髪をなびかせながらくるりと回った。そうしてテーブルにあったティーカップを持ち上げる。
「これがこのシーンでもっとも重要なアイテム、毒入り紅茶だ」
神の声に反応するかのように宙に浮いていた紅茶がティーカップへと移った。「いい香りだ」と香りを嗅いだ神がニッと笑い、「さぁ、召し上がれ」とカップを差し出す。
(受け取っては駄目)
わかっているのにオペラの足は一歩、また一歩と神に近づいた。そうして震える手でティーカップを受け取ると、再び神がニッと笑う。
オペラは生まれて初めて絶望を感じた。自分の力ではどうにもならなことがあるのだと初めて痛感した。それでも顔を歪めることなく涙を見せることもない。凜とした眼差しでティーカップの中身を見つめる。
「これで物語は予定どおりに紡がれる」
神の「あとはラストに向かうだけだ!」という楽しそうな声が響いた。
気がつけば思っていたことが言葉に出ていた。もう一度「まさか」と言いながら、止めた足の行き先を真っ白な燕尾服を着た男へと向ける。
顔を強張らせながら歩くオペラに周囲は誰一人として声をかけなかった。それどころか視線さえ向けない。どんな場所でも、もっとも注目を集めてきたのはオペラだ。いまも王太子妃候補の一人として、さらに王弟と噂のある令嬢として注目されている。それなのに傍らを通り過ぎても声をかける者はなく、ひそひそと囁く者すらいない。
オペラが自称神の前に立った。ティーカップをくいっと持ち上げ中身を飲み干した神が、テーブルにカップを置いてから「やぁ」とオペラを見る。
「紅茶は断然ファーストフラッシュ派なんだけど、セカンドフラッシュも悪くないね。いや、夏ならウバの濃厚なミルクティーのほうがいいかな」
傍のテーブルに置いてあったティーポットを持ち上げた神が、頭上より高い位置まで持ち上げると勢いよくポットを傾けた。そのまま地面にこぼれ落ちると思われていた中身はなぜか空中でくるくると円を描き、まるで透明なティーカップに注がれているような不思議な現象を見せる。それがオペラには男が神だと見せつけているような気がしてならなかった。
「どうしてここにいらっしゃるのかしら」
「ん~? そうだねぇ。なんだか思ってたのと違う方向に進んでいるのが気になったからかなぁ?」
中身が空になったポットを神がテーブルに戻す。それを見ながらオペラは「やはり」と確信した。
いまの状況は神が思い描いた物語ではなくなっている。それが“ぷろぐらむ”の不具合のせいかはわからないが、オペラが望む“誰も悪役令嬢にならない”という結末に向かっているに違いない。
(だから再び姿を現した)
それはつまりオペラたちにとって悪い方向へ再び進むということだ。
「あんなに何度もテストしたのに、まさかこんなに早くバグにぶち当たるとは思わなかったなぁ。おかげで王太子妃候補の二人がバチバチとやり合うはずが、あっさり三人目が現れてしまった。しかも候補者の一人には新しい恋のお相手までできている。このままじゃ彼女は候補から脱落だ。こういうのも寿退社って言うのかな。いや、退社じゃなくて退場か」
「寿退場……ははっ、ウケる」と笑いながら、今度は空中に留まったままの紅茶を指先でつつき始めた。
「このバグを導き出したのは、もしかしなくてもきみかな?」
「おっしゃっている意味がわかりませんわ」
「もう一人の子が何かできるとは思えないんだよね。ぽや~っとした、明らかにお馬鹿さん系のご令嬢だからね。となると、バグを引き起こす何かに気づいたのはクール系才女のきみしかいない」
紅茶をつついていた指をオペラに向ける。
「さて、何をしたのかな?」
口元は笑っているが赤い目は笑っていない。国王の前でも緊張することのないオペラだが、赤い目で見つめられた途端に背中をゾクッとしたものが走り抜けた。権力者に対する恐れとはまったく違う感覚が体に広がっていく。
(……これが畏怖というものなのね)
夢の中では感じなかった感覚だが、いまは確かに畏怖と呼ぶべきものを感じる。あのとき平気だったのは偶然だったのか、それとも現実に神が現れると誰もがこうなるのか……感じたことがない畏れに耐えるようにオペラが右手をグッと握り締めた。
(たとえ相手が本物の神だったとしても、わたくしは負けるわけにはいかない)
小さく深呼吸をし、きりりと神を見つめ返した。
「わたくしは何もしていませんわ」
「またまた~。神様に嘘をつくなんていけないなぁ」
「嘘は申していませんわ。わたくしはあの夢を見る前と同じ生活を送っているだけですもの。それにあなたにとってわたくしたちは物語の中の登場人物なのでしょう? 登場人物が物語を勝手に書き換えることなどできるはずがありませんわ」
「まぁ、本来はそうなんだけどさ。きみたちが物語の根幹を書き換えるなんて天地がひっくり返っても不可能だ。でも、この物語が変容しつつあるのも間違いない。極めつけはボクが徹夜してまで完成させたプログラムがバグってしまったことだ。急きょ仕込んだとはいえ、バグるほどの負荷がかかったとは思えないんだよなぁ」
神がオペラを指していた指で自分のこめかみをトントンと叩いている。「うーん」と言いながら目を閉じ、「そこそこの情報量にも耐えられるはずなのになぁ」とつぶやいた。そうして目を開き「やっぱりきみしか考えられない」と赤い目でオペラを見た。
「というわけで、きみにはここで退場してもらうことにした」
「え?」
「ここで三人のうち一人が消えれば王太子妃候補は二人になり、当初の予定どおりということになる。ホワイト嬢はバグを生み出すほどの何かに気づくことはないだろうし、ミルフィ嬢は王太子妃になるために手段を選ばない。二人ならドロッドロの展開しか起こり得ないだろうねぇ」
赤い目をキラキラさせた神が「これこそがボクの求めていた物語だ!」と高らかに声を上げた。こめかみを叩いていた指を天に突き上げ、まるで大衆演劇の役者のようにくるりと身を翻す。
「オペラ嬢、残念ながらきみはここで退場だ。本当は悪役令嬢になって断罪ルートを進む先が退場になる予定だったんだけど、そうもいかなくなったからね。さぁて、どうやって退場してもらうかだけど……そうだねぇ。有力貴族たちが大勢集まるお茶会なら、邪魔者を狙った暗殺に巻き込まれる、なんていうのはどうかな?」
「暗、殺」
「うんうん、そういうのも物語のスパイスとしては悪くないだろう? それにいまきみは微妙な立場に置かれている。王太子妃候補なのに王弟に色目を使う令嬢、完璧な淑女は偽りだったのか、なんて破廉恥な、そういう噂があちこちで囁かれている。となれば誰かが命を狙ってもおかしくない。とくにきみのファンは男女問わず熱烈な人が多い。完璧な淑女のまま死なせてやりたい! なんておかしなことを考えるファンに一服盛られたっていうのはどうかな?」
ところどころ意味がわからない言葉が混じっているものの、おおよそは理解できた。
(わたくしをこのお茶会で毒殺し、退場させる気なのだわ)
握り締めた右手にさらに力が入った。整えてある爪が手のひらに食い込み嫌な痛みが走る。それでもオペラは表情を変えることなく神を見つめた。
「さぁ、ここからはちょっとした余興だ。久しぶりに王城に戻ってきた王弟殿下が開くお茶会で、一人の美しいご令嬢が命を落とす。倒れたご令嬢のそばには割れたティーカップが、ご令嬢の口元には泡を吹いたような痕跡がある。そして口元からわずかに毒の匂いが漂い……おっと、どんな毒にするか決めないとなぁ。まぁ、そのあたりは登場人物たちに適当に決めてもらうことにしよう」
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「ガトーオロム公爵令嬢オペラ、最後のシーンだ」
まるで大衆演劇の役者のように声高に宣言した神は、青色の髪をなびかせながらくるりと回った。そうしてテーブルにあったティーカップを持ち上げる。
「これがこのシーンでもっとも重要なアイテム、毒入り紅茶だ」
神の声に反応するかのように宙に浮いていた紅茶がティーカップへと移った。「いい香りだ」と香りを嗅いだ神がニッと笑い、「さぁ、召し上がれ」とカップを差し出す。
(受け取っては駄目)
わかっているのにオペラの足は一歩、また一歩と神に近づいた。そうして震える手でティーカップを受け取ると、再び神がニッと笑う。
オペラは生まれて初めて絶望を感じた。自分の力ではどうにもならなことがあるのだと初めて痛感した。それでも顔を歪めることなく涙を見せることもない。凜とした眼差しでティーカップの中身を見つめる。
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