寂しいきみは優しい悪魔の腕でまどろむ

朏猫(ミカヅキネコ)

文字の大きさ
21 / 24

21 姫始め

しおりを挟む
「そろそろ日付が変わるな」

 藤也トウヤさんの言葉に時計を見たら、あと二十分くらいで十二時になるところだった。いつもなら寝ている時間だけど、今日はたくさん昼寝をしたから全然眠くならない。
 だからお笑い芸人が出ている番組とか歌番組とか、いろんなテレビをぼんやり眺めていた。藤也トウヤさんは隣でずっとお酒を飲んでいる。「いつか一緒にお酒を飲めるといいな」と思っていたら「こっち向け」って言われてキスをされた。

「これから始めりゃあ、姫始めになるな」
「ひめはじめ、」

 またわからない言葉だ。俺の知らないことをたくさん知っている藤也トウヤさんは、やっぱりすごい。そんなことを思いながらかっこいい顔を見ていたら、藤也トウヤさんがニヤッて笑った。

「おまえ、姫始めって意味わかってねぇだろ」

 わからないから、うんって頷く。

「新年一発目にするセックスを、姫始めって言うんだよ」
「ふひゃっ」

 急に抱き上げられて変な声が出てしまった。慌てて藤也トウヤさんの首に抱きつきながら、言われたことを考える。

(新年一発目の、セックス)

 明日から新しい年になる。藤也トウヤさんが「正月はゆっくりするぞ」って言っていたお正月だ。

「まぁ本来の意味はいろいろあるんだろうが、んなこと気にして使う奴なんて、いまどきいねぇしな。新年一発目のセックスって覚えてりゃいい」
「うん」
「ってことで、せっかくだから日付またぎながらセックスするか」

 ベッドにポフンって置かれた俺の上に、かっこよく笑っている藤也トウヤさんが乗っかた。



 温泉旅館では浴衣を着る。浴衣を着るときにはパンツは穿かないんだって藤也トウヤさんが教えてくれた。だから浴衣をペラってめくるだけで、すぐに俺のちんこが見えてしまった。

「んっ」

 俺のちんこを擦っていた手が、今度はお尻の中に入ってきた。いつもは一本ずつ増やしていくけど、今日は温泉でたくさんいじったからか最初から二本入ってきた。指が動くとグチュグチュ音がするのはジェルを塗ってくれているからだ。

(ケガしないようにしてくれるのは嬉しいけど)

 でも、今夜はすぐに入れてほしかった。温泉でたくさん擦られた中はすぐに熱くなって、早く入れてほしいってキュウキュウしている。

「本当に物覚えがいい体だな」

 そう言って藤也トウヤさんがほっぺたにキスしてくれた。それからハンドクリームみたいなチューブを持って、中身を手に出している。

(いつもと違う匂いだ)

 いつもはオレンジジュースみたいな匂いがするジェルだけど、これは花の匂いがする。それを藤也トウヤさんの指がお尻の中にグチュグチュ塗り始めた。

「ん……ぅ」

 ダメだ、もうガマンできない。そう思って腰をカクカク動かし始めたとき「ほら、入れてみろ」って声が聞こえた。

(今日は、俺が乗っかる日なんだ)

 起き上がって藤也トウヤさんを見る。藤也トウヤさんも下着を穿いていないから、浴衣の間から大きなちんこがにょきって見えていた。

「前に教えた背面座位、やってみろ」

 忙しくなる前に、藤也トウヤさんに背面座位って方法を教えてもらった。一回しかやってないけど、ちゃんと覚えている。
 背中を向けた俺は、一度膝にお尻を乗せてから藤也トウヤさんの太ももを掴んだ。そうしてお尻を上げて、失敗しないようにゆっくりと下ろしていく。藤也トウヤさんが尻たぶをグッと広げてくれているから、あとはこのままちんこが入るように下ろすだけだ。

「んっ」

 最初はちょっとだけ苦しい。でも、一番大きいところが入ればあとはズブゥって入ってくれる。

「ふ、ふ、」
「おー、うまく飲み込むようになったなぁ」
「俺、うま、い?」
「俺のペニスを咥えるのは、上も下もアオイが一番だな」

 一番って言われたのが嬉しくて、お尻がきゅうってなった。きゅうってなると苦しいけど、全部入れたくてゆっくりとお尻を下ろしていく。そうしたらフサフサした毛がお尻に触った。

(……半分以上は、入ったかな……)

 あと半分だと思ったところで、下からズボッと押しつけられて「ひぃ!」って声が出てしまった。

「おー、ほとんど入ったな」
「ひ、ふ、ふ、」
「見てみろ。腹が俺ので膨らんでるぞ」
「ふ、ぅ、」

 撫でられている自分のお腹を見た。おへその下あたりがポッコリしている。

「初めての姫始めだしなぁ。それにザーメンのプレゼントもあるし、たっぷり気持ちよくなろうな?」

(いま、ザーメンのプレゼントって、言った……?)

 クリスマスにくれるって言っていたけど、俺が寝てしまったからもらえなかったものだ。そのあと藤也トウヤさんが忙しくなって、結局そのままになっていた。それを、いまくれるってことなんだろうか。

(……ゴムの袋が、ない)

 いつもならベッドのどこかに捨ててあるのにどこにもなかった。そういえば俺が後ろを向く前もゴムはしていなかった。ってことは、いま俺のお尻に入っているのは藤也トウヤさんの生のちんこだ。

「ふ、ふ、ぁ、あ、」

 急にお腹がきゅんきゅんしてきた。動いていないのに気持ちがよくなってくる。

「おーおー、必死にしゃぶり出しやがって。おまえのここ、ケツマンコっていうよりまんこじゃねぇか。ってことは、奥には子宮があるかもなぁ」
「しきゅ、」
「俺のザーメンをたっぷり飲み込むところだよ」

 しきゅうっていうのが俺のお腹にあるかはわからない。でも、あるような気がしてきた。だって、藤也トウヤさんのザーメンがほしいってお腹が言っている。だからこんなにグニュグニュ動くんだ。

「しきゅぅ、に、ザーメ、ほし、ザーメン、しきゅぅに、ちょうだぃ、」
「わかってる。もう飲めないってくらい、いっぱい飲ませてやるよ」
「うれし、いっぱい、ちょうだ、」

 ちょうだいと言い終わる前に顎を掴まれて後ろを向かされた。そうしてガブッて感じのキスをされた。

(早く、早く)

 首が苦しいけどキスはしたい。キスもしていたいけど、早くザーメンがほしい。気がついたら変な格好のまま腰をゆらゆら揺らしてしまっていた。

「本当にエロくなったなぁ」

 口を離した藤也トウヤさんが、笑いながらグイッてちんこを奥に入れた。

「ひっ!」

 それからたくさんグリグリされた。熱くて浴衣を脱ぎたかったけど、藤也トウヤさんが「浴衣の着衣エロも温泉旅館の醍醐味だ」って言うから脱ぐことができなかった。藤也トウヤさんも浴衣を着たまま腰をグイグイしてきて、同じくらい乳首を摘んだり引っ張ったりしている。

「んぁっ」

 奥をグリグリされて、俺のちんこからまたピュッてシオが吹き出した。

「ペニスをちょっと動かすだけで潮吹くなんて、最高に可愛いじゃねぇか」
「も、でにゃ、」
「出なくても構わねぇよ。さっきからほとんどメスイキだろ」
「おく、もぅのめな、」
「大丈夫、大丈夫」

 そう言いながら、またちんこをグイッて奥に入れてくる。もう出ないって思っていたのに、俺のちんこからはまたピュピュッてシオが噴き出した。

(気持ちいい、けど……も、お腹、いっぱいに、なってきた)

 俺は体が小さいから、しきゅうも小さいんだと思った。せっかく藤也トウヤさんがザーメンをたくさんくれるのに、すぐにお腹いっぱいになって飲めなくなってしまう。

「あと二、三回は飲めるな?」
「でちゃ、ぅ、かりゃ」
「漏れても新しいのを飲ませてやるよ」
「おにゃか、いっぱ、のめにゃ、いっぱぃ、だかりゃ」
「おーおー、舌が回らねぇのも可愛いなぁ?」
「ぉ、く、も、はぃら、にゃ、のめにゃ、にゃぃ」

 もう無理だからって、お腹を撫でている藤也トウヤさんの手を両手で必死に握り締めた。それなのに撫でている手も動いているちんこも止まってくれない。

「ひぐ!」

 撫でている手でお腹をグゥって押されて、また変な声が出た。せっかく出してもらったザーメンが少し漏れてしまった。それでも止まらないちんこにグイグイ奥を押されて、同じくらいお腹を押されてゾクゾクした。頭もビリビリしてきて、それが一気に膨らんで弾け飛ぶ。

「あ……あ……」

 気持ちよくて頭もお尻もバカになった。気持ちいい、藤也トウヤさんのちんこが気持ちいい。それしかわからない。

「気持ちいいのはペニスだけか?」

 違う。ちんこも、手も、キスも、気持ちいい。全部気持ちよくて、全部好き。

「好きなのは気持ちいいことだけか?」

 違う、そうじゃない。藤也トウヤさんが好き。藤也トウヤさんだけが、好き。好き、好き、藤也トウヤさんが、大好き。

「俺もアオイが好きだよ」

 藤也トウヤさんに好きって言ってもらえた。嬉しい、どうしよう、嬉しすぎて体がもっとバカになる。

「あ、ぁ、」

 お腹がすごいことになってきた。ゾクゾクして、それに頭と目もチカチカしている。

「奥に、たっぷり出してやろうな?」

 グポォって音が聞こえた気がした。そのくらい奥のほうまでちんこが入ってきた。

 びゅる、びゅるる。

 奥でちんこがドクドク動いている。ビュルビュルしたものがお腹の奥に当たっているのも感じた。

(これって、藤也トウヤさんの、ザーメンだ)

 しきゅうの奥で、またいっぱい出してくれたんだ。嬉しいなぁって思った瞬間、俺の全部が真っ白になった。チカチカ真っ白になったかと思ったら、すぅっと真っ黒になった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる

七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。 だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。 そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。 唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。 優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。 穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。 ――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

異世界に勇者として召喚された俺、ラスボスの魔王に敗北したら城に囚われ執着と独占欲まみれの甘い生活が始まりました

水凪しおん
BL
ごく普通の日本人だった俺、ハルキは、事故であっけなく死んだ――と思ったら、剣と魔法の異世界で『勇者』として目覚めた。 世界の命運を背負い、魔王討伐へと向かった俺を待っていたのは、圧倒的な力を持つ美しき魔王ゼノン。 「見つけた、俺の運命」 敗北した俺に彼が告げたのは、死の宣告ではなく、甘い所有宣言だった。 冷徹なはずの魔王は、俺を城に囚え、身も心も蕩けるほどに溺愛し始める。 食事も、着替えも、眠る時でさえ彼の腕の中。 その執着と独占欲に戸惑いながらも、時折見せる彼の孤独な瞳に、俺の心は抗いがたく惹かれていく。 敵同士から始まる、歪で甘い主従関係。 世界を敵に回しても手に入れたい、唯一の愛の物語。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

前世が教師だった少年は辺境で愛される

結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。 ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。 雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。

処理中です...