いじめられっ子たち

星磨よった

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決行の日

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 やがて、決行日を月曜とすることが決められた。理由は土日と休日を挟むことで、いじめっ子への恐怖心を和らげ、計画を一斉に確実に実行するためだった。


 その月曜の朝、それぞれの子供は感じたことのない緊張状態の中、家を出た。だがそれと同時に、ようやく開放されると言う安心感も彼らの中に芽生えていた。


 そして、決行の時間と決められた朝8時から9時の間に各地で事件は起きた。


 ある学校では、朝の会が行われている最中に、少年が突然立ち上がり、教師の静止も聞かずに突然ある男の子の椅子と机を倒し、驚く男の子を尻目に何度も腹を踏みつけた。


 やがて、少年は周りの子供や教師に止められたが、やられた男の子は少年にとって眺めるのが爽快な顔をして、腹を抑えながら立ち上がり、やり返そうとした。だが、これも騒ぎを聞いて駆けつけた別の教師によって止められた。


 少年は、相手に不快な行いをし、なおかつ相手にはやり返させない事が、こんなにも気持ちの良いことなのかと高揚感に浸っていた。


 また、とある学校では子供が、家から持ち出した包丁をいじめを行っていた子供がドアを開けて入って来た瞬間、立ち上がってそっちに向かって飛び出して行き、周りの子供にぶつかったことなど気にも止めず、太ももを刺した。


 何とも言えない痛々しい音が包丁を目にし、一瞬静寂に包まれた教室の中に響いた。直後、耳を塞ぎたくなる聞いたこともない、聞き取りようの無い絶叫が起きた。


 刺した少年は、血の海となった教室のドア付近を眺めて満足感に浸り、少し口角を上げて立ちすくんでいた。集まった教師によって、取り押さえられたが特に何も抵抗はしなかった。


 悲鳴を聞きつけた教師が、他の教師に救急車を呼ぶよう大声で指示し、自分はありえない奇声を発する子供を抱き抱えて保健室へと走り去った。


 またある子は、一時間目が始まった直後にようやく決心をつけ、家から持って来た鋭利な大きなハサミを持って隣の席に座る子に詰め寄り、それを首に突きつけた。それから、学校では出したこともない大声で


「今すぐ教室を出ていけ!出ていかなければ、殺す」と叫んだ。


 教師は驚きながらも咄嗟に


「言うとおりにしろ」


 と言って、他のクラスメイトを外に出し、自分も教室から出た。


 ハサミを突きつけられた女の子の友達は、その教室から離れて避難する際、大声で泣いた。その声が、突きつけられた女の子の何も言えずにただ鼻をすする音だけがこだます教室に響いた。ハサミをつきつけた男の子はそれを聞いて激怒した。


 自分を誰かがいじめていたときは、悲しんだり怒ったりもせず、ただ眺めていただけだったのにと。


 男の子は、女の子の結んである後ろ髪を一気に引っ張り上げ、それに彼女は言葉にならない悲鳴を上げた。


 離れたところから警察を待っていた教師達はそれを聞き、教室に近付いて男の子に話し合いでの解決を求めた。だが、何を話しかけても何故いじめを容認したと泣き叫ぶ声が聞こえてくるだけだった。


 やがて警察が到着し、警察は立てこもる子の母親を呼ぶよう学校側に要請した。やがて、母親が到着すると、第一声に震えた声で


「お願い!女の子を話して」と話かけた。


 男の子はこれに何かを感じたようで、はさみの手をゆっくりと遠ざけ、ドアの方に女の子を軽く押した。女の子が後ろを恐る恐る少し振り返ると、目に涙を浮かべ、それを手で覆う男の子の姿があった。


 女の子は急いで走り出し、ドアを猛烈な勢いで開けた。開けた扉が壁にぶつかってドーンという音が鳴ったと同時に、女性の警察官に抱きかかえられ、そのままゆっくり歩いて行き保護された。


 男の子はすぐに警察に拘束された。拘束されてからも、何時間も男の子が泣き止むことは無かった。


 こうした様々な形での犯行が日本各地で発生した。その数は約650件程。そのうち600人程が警察に逮捕された。約700人が負傷し、そのうち50人が重症だった。また、その他に5人が重体となった。
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