142 / 386
あなたが見えない
あなたが見えない・・・その2
しおりを挟む
ズズズ・・・。なんて、恥ずかしそうにコーヒーを飲んでる場合じゃないわ!
しっかし・・・まあ~。あんで!よりによって夏樹さんに会いに行くかな~?
あっ、あんで!じゃなくて、なんで!だったわ。
しかも、夏樹さんの家に行くなんて、ちょっと、信じられないわ。
まあ~ね~。確かに、雪子が、夏樹さんのいる街に帰ったんだから。
それで、夏樹さんと何もないとは思わないわよ。何もないとはね・・・でもね。
いくらなんでも、会いに行く?
しかも、夏樹さんの家までって。普通、そこまではしないでしょ?
とりあえずメールか電話でって感じが、雪子が許されるギリギリのボーダーラインだと思うのに。
今の雪子のとっている行動って、思いっきり!バイオハザードいっちゃってるんじゃないのかしら?
まったく、もう~。いったい、どこをどうすれば、そんな無謀な行動が出来るのよ?
普段なんか、ホラーゲームの一つで、怖い怖いって騒いでるくらいの臆病な怖がりなのに。
ほんとに!もう~。あんたの行動が、すでにホラーゲームだっちゅ===の!
でも、あの雪子が、こんなにも大胆な行動をとるなんて、う~んって感じだわ!
とはいえ、このままってわけにもいかないわよね?
雪子の件は、それは、それとしても。今日は、愛奈ちゃんが病院にいるわけだし。
それに、雪子の旦那さんに何を言われたのかは知らないけど、あの真面目な愛奈ちゃんが、
仕事を休んでまで、雪子と一緒に帰って来たって事は、お父さんに、何か知らないけど、
それらしい事でも言われたのか?何か、不安になるような事でも言われたか?よね?
そうでなきゃ、普通は、お母さんが友達に会いに行ってくるって出掛けたとしても、
そんな、たわいもないような雪子の行動が、気になったりなんてしないと思うし。
それでなくても、わざわざ、愛奈ちゃんが私に電話なんてかけてくるわけがないと思うわ。
とりあえず、愛奈ちゃんには、雪子が本当に友達を会ってるみたいって伝えておいた方が、
少しは、愛奈ちゃんも安心すると思うし・・・。本当にもう~!雪子ったら!
裕子が、雪子の事を心配して、あれこれ考えているだけではなく、
愛奈ちゃんに雪子が疑われないようにと、嘘までつこうと親身になっている裕子の心配をよそに、
当の本人である、雪子はというと、一歩、また一歩と近づいてくる夏樹を、恥ずかしそうに見つめている。
昔から、変わってないわね・・・。
雪子って、昔から、あたしに会いに来る時って、今にも壊れそうなガラス細工の人形みたいに、
あたしの方から声をかけてくれるのを、じっと待ってるのよね。
そのくせ、数分もしないうちに小悪魔雪子に変身しちゃうんだから。理解不能なんだけど!
そんな昔を、懐かしそうに頭の中の記憶と戯れながら、雪子との距離を縮めていく夏樹・・・。
「来たの・・?」
「うん・・・。来たの・・・」
「タクシーで来たの・・・?」
「うん・・・。タクシーで来たの・・・」
「連絡くれたら、迎えに行ったのに・・・」
「連絡くれたら、ちゃんと待ってたのに・・・」
恥ずかしそうに少し下を向いたまま、あたしを見つめる仕草も変わってないのね。
それに、最初に交わす会話も。そう・・・。
あたしの言葉を、オーム返しみたいに返してくる。雪子の言葉遊び。
それじゃ・・・いったい、何が変わったのかしら・・・?
何も変わらない雪子・・・。
34年前のあの日のままの雪子が、今、あたしの目の前にいるのに。
微笑みながら手を差し伸べるべきなのか?
それとも、優しく引き寄せながら肩を抱くべきなのか?
そして、あの頃のように、愛しい眼差しで、唇に軽くキスをするべきなのか・・・。
変わったのは、それを悩んでしまう、あたしの・・・今・・・?
「キスは出来ないわよ・・・」
「うん・・・。キスは出来ないのだ・・・」
「肩も抱かないわよ・・・」
「うん・・・肩は抱けないのだ・・・」
「ぬいぐるみたちが、雪子に会いたいって言ってるわよ・・・」
「私も、ぬいぐるみさんたちに会いたいのだ・・・」
「おいで・・・」
「うん・・・」
そう言って、優しい笑みを浮かべながら、そっと、左手を差し出す夏樹。
夏樹が差し出す左手の意味を知ってるはずの雪子なのに、
その先にある未来へのためらいも、過ぎていく時間への戸惑いも見せないまま、
夏樹が近づいてくるのをじっと待ちながら立ちすくんでいた雪子は、左足を半歩前に進める。
何気ない雪子の仕草に合わせるように、夏樹も、左足を半歩前に進める。
雪子の肩に手が届く距離が消えない記憶に触れるように、夏樹は雪子の肩をそっと抱き寄せる。
セピア色の中にある、あの日のように、優しく肩を抱きしめながら、雪子の唇にキスをした。
しっかし・・・まあ~。あんで!よりによって夏樹さんに会いに行くかな~?
あっ、あんで!じゃなくて、なんで!だったわ。
しかも、夏樹さんの家に行くなんて、ちょっと、信じられないわ。
まあ~ね~。確かに、雪子が、夏樹さんのいる街に帰ったんだから。
それで、夏樹さんと何もないとは思わないわよ。何もないとはね・・・でもね。
いくらなんでも、会いに行く?
しかも、夏樹さんの家までって。普通、そこまではしないでしょ?
とりあえずメールか電話でって感じが、雪子が許されるギリギリのボーダーラインだと思うのに。
今の雪子のとっている行動って、思いっきり!バイオハザードいっちゃってるんじゃないのかしら?
まったく、もう~。いったい、どこをどうすれば、そんな無謀な行動が出来るのよ?
普段なんか、ホラーゲームの一つで、怖い怖いって騒いでるくらいの臆病な怖がりなのに。
ほんとに!もう~。あんたの行動が、すでにホラーゲームだっちゅ===の!
でも、あの雪子が、こんなにも大胆な行動をとるなんて、う~んって感じだわ!
とはいえ、このままってわけにもいかないわよね?
雪子の件は、それは、それとしても。今日は、愛奈ちゃんが病院にいるわけだし。
それに、雪子の旦那さんに何を言われたのかは知らないけど、あの真面目な愛奈ちゃんが、
仕事を休んでまで、雪子と一緒に帰って来たって事は、お父さんに、何か知らないけど、
それらしい事でも言われたのか?何か、不安になるような事でも言われたか?よね?
そうでなきゃ、普通は、お母さんが友達に会いに行ってくるって出掛けたとしても、
そんな、たわいもないような雪子の行動が、気になったりなんてしないと思うし。
それでなくても、わざわざ、愛奈ちゃんが私に電話なんてかけてくるわけがないと思うわ。
とりあえず、愛奈ちゃんには、雪子が本当に友達を会ってるみたいって伝えておいた方が、
少しは、愛奈ちゃんも安心すると思うし・・・。本当にもう~!雪子ったら!
裕子が、雪子の事を心配して、あれこれ考えているだけではなく、
愛奈ちゃんに雪子が疑われないようにと、嘘までつこうと親身になっている裕子の心配をよそに、
当の本人である、雪子はというと、一歩、また一歩と近づいてくる夏樹を、恥ずかしそうに見つめている。
昔から、変わってないわね・・・。
雪子って、昔から、あたしに会いに来る時って、今にも壊れそうなガラス細工の人形みたいに、
あたしの方から声をかけてくれるのを、じっと待ってるのよね。
そのくせ、数分もしないうちに小悪魔雪子に変身しちゃうんだから。理解不能なんだけど!
そんな昔を、懐かしそうに頭の中の記憶と戯れながら、雪子との距離を縮めていく夏樹・・・。
「来たの・・?」
「うん・・・。来たの・・・」
「タクシーで来たの・・・?」
「うん・・・。タクシーで来たの・・・」
「連絡くれたら、迎えに行ったのに・・・」
「連絡くれたら、ちゃんと待ってたのに・・・」
恥ずかしそうに少し下を向いたまま、あたしを見つめる仕草も変わってないのね。
それに、最初に交わす会話も。そう・・・。
あたしの言葉を、オーム返しみたいに返してくる。雪子の言葉遊び。
それじゃ・・・いったい、何が変わったのかしら・・・?
何も変わらない雪子・・・。
34年前のあの日のままの雪子が、今、あたしの目の前にいるのに。
微笑みながら手を差し伸べるべきなのか?
それとも、優しく引き寄せながら肩を抱くべきなのか?
そして、あの頃のように、愛しい眼差しで、唇に軽くキスをするべきなのか・・・。
変わったのは、それを悩んでしまう、あたしの・・・今・・・?
「キスは出来ないわよ・・・」
「うん・・・。キスは出来ないのだ・・・」
「肩も抱かないわよ・・・」
「うん・・・肩は抱けないのだ・・・」
「ぬいぐるみたちが、雪子に会いたいって言ってるわよ・・・」
「私も、ぬいぐるみさんたちに会いたいのだ・・・」
「おいで・・・」
「うん・・・」
そう言って、優しい笑みを浮かべながら、そっと、左手を差し出す夏樹。
夏樹が差し出す左手の意味を知ってるはずの雪子なのに、
その先にある未来へのためらいも、過ぎていく時間への戸惑いも見せないまま、
夏樹が近づいてくるのをじっと待ちながら立ちすくんでいた雪子は、左足を半歩前に進める。
何気ない雪子の仕草に合わせるように、夏樹も、左足を半歩前に進める。
雪子の肩に手が届く距離が消えない記憶に触れるように、夏樹は雪子の肩をそっと抱き寄せる。
セピア色の中にある、あの日のように、優しく肩を抱きしめながら、雪子の唇にキスをした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる