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繋がる刹那
繋がる刹那・・・その11
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雪子が、離婚届を残して姿を消した次の日、
裕子は、愛奈を連れて、高速道路を北に向かって車を走らせていた。
「裕子さんって、車の運転も出来るんですか?」
「出来るんですか?って、今、運転してるじゃない?」
「そうですけど、いつも、旦那さんに乗せられている姿しか見た事がなかったから、ちょっと、ビックリかも」
「うちの旦那が、私のお抱え運転手みたいに?」
「まあ、そんな感じかも・・・です」
「ふふっ、車の運手は、旦那よりも私の方が数段上手なのよ」
「そうなんですか?」
「でも、雪子は、私とは正反対で、車の運転は大の苦手」
「お母さんも、車を運転した事があるんですか?」
「昔ね!まだ、免許を取ったばかりの頃に、何回か運転した事があるけど、お巡りさんに注意されてからは、運転するのをやめちゃったけどね」
「お巡りさんにって、お母さんは何か違反とかしたんですか?」
「ふふっ、その逆でね、あまりに遅すぎたものだから、それで注意されたのよ」
「そういうのって、何となく、お母さんらしいですね」
「まあね。だから、今回の事には、正直、私も驚いたのよ」
「確かに、私も、ビックリしました。でも、お父さんのショックはもっとだったみたい」
「まあね。そりゃそうよね。いつも通りの妻が、突然、離婚届を残して消えちゃうんだもの」
「でも、昨夜は、裕子さんが一緒にいてくれたので助かりました」
「そうお・・・?」
「はい、もちろんです。それに、裕子さんの一喝で、お父さん大人しくなったし」
「それじゃ、不良だった頃の私も、少しは、役に立ったのね」
「やっぱり・・・」
「やっぱりって・・・?」
「いや~、あの時の裕子さんって、迫力があったっていうか、正直言って私も怖かったですよ」
「そうお?でもね、これでも、少しは気が咎めたのよ」
「どうしてですか?」
「どうしてって、だって、まがりなりにも、愛奈ちゃんたちのお父さんだからに決まってるじゃない」
「私や、翔太の事は、気にしなくても大丈夫ですよ」
「そうは言ってもね、やっぱり、気にしちゃうわよ」
「でも、あんなに怖い裕子さんが怖いっていうくらいなんだから、やっぱり、夏樹さんって人は、あっち系の人だったりして」
「ふふっ、違うわよ。きっと、愛奈ちゃんも、夏樹さんに会えば分かると思うわ・・・。ただ、変態なのは変態なんだけどね」
「変態で、怖い人なんですね」
「しかし、まあ、そんな変態にハマってる雪子も、もしかしたら変態なのかもね?」
「う~ん・・・その点については、未だに信じられないというか、何というか」
「でもね~、35年も、いえ、結婚してからずっと家族のために生きてきたんだもの、残りの人生くらいは、雪子の好きなように生きたってバチは当たらないと思うの」
「あの~・・・35年っていうのは?」
「あら・・・私ったらダメね。また、口が滑っちゃったみたい」
「35年って・・・うそみたいに長い年月ですね」
「そうね・・・私も、そんな雪子を知ったのは1年くらい前なの」
「それって、もしかして夏樹さん?・・・だったりして」
「これから、夏樹さんに会いに行くのだから、そろそろ、言ってもいいのかもしれないわね。昨日、愛奈ちゃんに話したように、35年前の、その二人というのは、夏樹さんと雪子なの」
「やっぱり、そうだったんですね。でも、昔は同性愛って世間からは認められなかったから、だから、今なんですね」
う~ん・・・愛奈ちゃん?
愛奈ちゃんともあろう者が、どうして、そこを疑わないわけ?
裕子は、愛奈を連れて、高速道路を北に向かって車を走らせていた。
「裕子さんって、車の運転も出来るんですか?」
「出来るんですか?って、今、運転してるじゃない?」
「そうですけど、いつも、旦那さんに乗せられている姿しか見た事がなかったから、ちょっと、ビックリかも」
「うちの旦那が、私のお抱え運転手みたいに?」
「まあ、そんな感じかも・・・です」
「ふふっ、車の運手は、旦那よりも私の方が数段上手なのよ」
「そうなんですか?」
「でも、雪子は、私とは正反対で、車の運転は大の苦手」
「お母さんも、車を運転した事があるんですか?」
「昔ね!まだ、免許を取ったばかりの頃に、何回か運転した事があるけど、お巡りさんに注意されてからは、運転するのをやめちゃったけどね」
「お巡りさんにって、お母さんは何か違反とかしたんですか?」
「ふふっ、その逆でね、あまりに遅すぎたものだから、それで注意されたのよ」
「そういうのって、何となく、お母さんらしいですね」
「まあね。だから、今回の事には、正直、私も驚いたのよ」
「確かに、私も、ビックリしました。でも、お父さんのショックはもっとだったみたい」
「まあね。そりゃそうよね。いつも通りの妻が、突然、離婚届を残して消えちゃうんだもの」
「でも、昨夜は、裕子さんが一緒にいてくれたので助かりました」
「そうお・・・?」
「はい、もちろんです。それに、裕子さんの一喝で、お父さん大人しくなったし」
「それじゃ、不良だった頃の私も、少しは、役に立ったのね」
「やっぱり・・・」
「やっぱりって・・・?」
「いや~、あの時の裕子さんって、迫力があったっていうか、正直言って私も怖かったですよ」
「そうお?でもね、これでも、少しは気が咎めたのよ」
「どうしてですか?」
「どうしてって、だって、まがりなりにも、愛奈ちゃんたちのお父さんだからに決まってるじゃない」
「私や、翔太の事は、気にしなくても大丈夫ですよ」
「そうは言ってもね、やっぱり、気にしちゃうわよ」
「でも、あんなに怖い裕子さんが怖いっていうくらいなんだから、やっぱり、夏樹さんって人は、あっち系の人だったりして」
「ふふっ、違うわよ。きっと、愛奈ちゃんも、夏樹さんに会えば分かると思うわ・・・。ただ、変態なのは変態なんだけどね」
「変態で、怖い人なんですね」
「しかし、まあ、そんな変態にハマってる雪子も、もしかしたら変態なのかもね?」
「う~ん・・・その点については、未だに信じられないというか、何というか」
「でもね~、35年も、いえ、結婚してからずっと家族のために生きてきたんだもの、残りの人生くらいは、雪子の好きなように生きたってバチは当たらないと思うの」
「あの~・・・35年っていうのは?」
「あら・・・私ったらダメね。また、口が滑っちゃったみたい」
「35年って・・・うそみたいに長い年月ですね」
「そうね・・・私も、そんな雪子を知ったのは1年くらい前なの」
「それって、もしかして夏樹さん?・・・だったりして」
「これから、夏樹さんに会いに行くのだから、そろそろ、言ってもいいのかもしれないわね。昨日、愛奈ちゃんに話したように、35年前の、その二人というのは、夏樹さんと雪子なの」
「やっぱり、そうだったんですね。でも、昔は同性愛って世間からは認められなかったから、だから、今なんですね」
う~ん・・・愛奈ちゃん?
愛奈ちゃんともあろう者が、どうして、そこを疑わないわけ?
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