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始まりました
しおりを挟む春の始まりに咲く木が学園の門前から校舎前までを彩っている。薄いピンク色をした桜に似た木で、この国では春を告げるとして春告の木と呼ばれている。
(え?そのまんまじゃないかって?……自分も思ったよ。多分、アニメで見てた人は一度はそう思ったんじゃないかな……?)
春告の木は桜よりも一回り大きめの花弁を風に乗せヒラヒラと今年入学する新入生たちに降り注ぐ。高等部の入学に相応しい真新しい学校指定の制服に身を包んだ学生達はその並木道を思い思いの顔をしながら歩いている。
高等部は小等部中等部の学舎と離れており、広大な敷地を擁した郊外にある。小等部中等部は王都のやや中心部に位置した場所にあり、こちらも広いが高等部に比べるとやや規模は小さく見えてしまう。ま、要は高等部が広すぎるのだ。
そんな高等部の入学式が今日、この晴れの日に行われる。
※※※※※※※※※※※※※※※
自分が『あなたの瞳に映りたい』の主人公と発覚してから7年が経ちました。
現在は17歳になって、あのアニメのオープニングの場面が始まるんだけど…………
何故か目の前で始まりました………………………………?
…………オレ氏ここ、主役のオレ氏ここだよ……?何故かウィリアムズ様相手にヒロインの女の子がオープニング始めちゃったよ……?
あ。オープニングは主人公であるオレことディーレンがヒロインの女の子との出会いから始まり、彼女の能力が有能であると発覚。ヒロインは庶民の出だが、さすが実力主義の学園に入学するだけあり下手な貴族よりも能力が高い。その為、ディーレンは自身が仕えている殿下に有能な人物だと紹介するのだ。
有能であると判断したのは、入学すぐにある能力テスト。通常、庶民は属性が1つであることが大半で、貴族や王族でも2~3つ程しか使える属性として言わない。それをヒロインは3つ挙げ難なくと操り、実技だけでなく頭の回転も早いとくれば有能であると判断するだろう。
現に先の読める貴族は声を掛けようとしていたのだが、主人公が先に声を掛け、殿下に紹介したので諦めた者達がいたのも少なくない。
…………紹介……するんだけど……オレ、殿下に仕えて側近になってない……!……あれ?……何かがおかしい!?
「おはようございます、ディーレン殿」
「ぁ、おはようございます。エルンスト様…………あ、あの…………近いです……」
何故か高等部に入ってからエルンスト様に名前呼びを強要され、毎朝挨拶に現れ、そして、毎回だけど凄い密着して話しかけてくる……
エルンスト様の身長って、アニメだと自分よりも小さかったはずなのに……めっちゃ見下ろされてるんだけど……?
……あれれ?
しかも、密着してるから分かったけど、引き締まった筋肉で細マッチョっぽい。
「おや?これは失礼を。……本日も、ディーレン殿はいい匂いがされますね……」
「ゃ!あ、あの!…………離して欲しいのですが……。あと、匂いを嗅がないでください!」
「…………残念ですね。もう少しディーレン殿を堪能したかったのですが……」
「!!?」
遠回しに離れてほしいことを伝えると何故か更に密着し、匂いまで嗅がれる始末。本当にやめて。
毎日のように同じやり取りをしているのに、次の日も同じことをされる。たまに殿下達のいる前でも同じことをされ、それを見た殿下達は苦笑い。……いや、止めてよ!って何度言いかけたか……
もう!何を考えているのか分からないよーーー!誰か教えて!
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