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10歳になりました【3】
しおりを挟むカイン様とお茶をしていると、学生会室の扉が開き殿下やエルンスト様、ルーセント様方が入ってきた。
「ん?そこにいるのはシャベナレイ家のディーレン殿だったかな?」
「は、はい。シャベナレイ家三男のディーレンと申します。殿下には先触れもなく拝謁しましたこと申し訳なく」
「あぁ、よいよ。ここは城ではなく、学園だからな。いつ目にするとも限らん。気にするな」
「有り難き御言葉、感謝致します」
「それで、こちらには何用で参られた?あと、堅苦しい話し方は止せ。折角城から離れられて息抜きでもあるからな」
「……お言葉に甘えさせていただきます。えと、昨日エルンスト様に失礼を働いてしまいましたので謝罪をと思いまして」
殿下と直に話すのは初めてでまともに話せていたのか凄く不安だ。ただ、殿下の言葉に胸を撫で下ろしたのも確かで、普段からあまり畏まった言葉を使う機会が無く苦手なので本当に助かった。
「ああ、昨日のことはお気になさらずとも良かったんですよ?わざわざ足をお運び頂かなくても」
にっこりと可愛らしいお顔をこちらには向けてくれたのはエルンスト様で、その笑顔に少し薄ら寒いものを感じた。気のせいかな?
「いえ、昨日は急いでいたとはいえ充分な礼も取れなかったものですから。そのお詫びとなればと思いまして此方をご用意したのですがお受取り頂けますか?」
お詫びにと差し出したのは王都で人気を泊している演劇のペアチケットだ。チケットを取るのも難しいと言われており、貴族でもおいそれとは手に入らない。チラッとこれを受け取って貰えないかと伺う。
「……っ、こちらのチケットは2枚ありますね。一緒に行かれたいとのことですか……?」
「!いえ、違います。こちらは元々、私と弟で見に行こうと用意していたのでペアに成っているのです。ですから、エルンスト様で一緒に行かれたい方とお使いいただければと。もし、エルンスト様には不要であれば別のお詫びを考えますが……」
だ、だめかなぁ?
「……っ、わかりました。こちらを頂くことにします。ですから、もう気になさらないでくださいね」
「ありがとうございます。受け取って頂けて安心致しました。……えと、部外者が何時までもこちらに居るわけにはいけませんから、これで失礼させて頂きます」
ペコッと殿下やエルンスト様方に頭を下げ退室する。
そろそろ今日も帰らなくてはいけない時間に近づいているので足早に去ることにした。
「ねぇねぇ、エルンスト様?その演劇誰と行くのー?」
「……てっきり、お詫びとか言いながらエルンストと一緒に行きたいとか言うのかと思ったが以外だったな」
「……そうですね、今までの同様な事が有った場合はお詫びをだしにいかに近づくための布石とするかでしたからね。ま、私だけでなくあなた方にも近づいて来る者達は似たり寄ったりでしょうけどね。最終的には殿下とお近づきになりたいとかね……」
「学生会室で待っているのを見たときはどうかと思ったがな……」
「あ、それー。僕が連れてきたんだよー。殿下とエルンストを人壁の外から今日1日そっと伺っていたから。見極めようと思ったんだけどー、ディーレン様、僕達が学生会に所属することになったの知らなかったみたいー」
「「「え!?」」」
「居たのはカインが連れてきたのか……、って本当に知らなかったのか?振りをしていたのではなく?」
「んーん。エルンスト様に用事があるって言っていたけど、あの人壁は無理って嘆いていたからここに向かったんだけど。何で学生会室に行くのか本当に分かっていなかったみたいで教えたら落ち込んでたよ。まぁ、まだ公表してないから知らないのも仕方ないよって慰めたんだけどねー。しょんぼりしてたよー」
「……っ、まぁ他の方々とは違うみたいですね。……さ、それよりも早く仕事をして帰りますよ」
オレが帰った後の学生会室ではオレの話題が出ていたみたいだが知るよしもなく。
それよりも、オレは衝撃の事実に打ちのめされていた……
「……………………オレ……『あなたの瞳に映りたい』の………………主人公じゃん………………」
先程、学生会室で揃っているメンバーを一挙に見て思い出した。前世で大人気だったアニメを……。
とりあえず自宅に帰り、自室のベッドに突っ伏すと叫んだ。
「………………何でだよお!最近のブームは悪役転生だろお!?そんでもって、チートを駆使してハーレム築くんじゃないのかあ!!?……最近のは主人公とは名ばかりのアンチじゃねぇかよぉ……」
異世界転生の夢、チートハーレムの俺強ぇぇぇぇぇぇ!が出来ないことがここで発覚した。最近の主人公はチート能力無いもんね…………クスン。
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