悪役になりたかったのに!

rikuro

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10歳になりました【2】

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おはようございます!
本日はエルンスト様に先日のお詫びしに行こうかと思い、早めに来たんですが……、エルンスト様の周りの人壁が厚すぎて近寄れません。エルンスト様以外にも殿下達がいるので、更に厚みが半端ない……。
「どうしよう……」
これ以上見ていても時間を浪費するだけで近寄れなさそうだ。今は諦めて、エルンスト様だけになったところを狙うしかないかも。……なるよね?昨日は1人の時に会ったし大丈夫だよね。



「どうしよう……」
既に本日の授業も全て終わってしまった。一応、授業の合間に声をかけようと思ったがやっぱり壁は厚かったのだ。
「あまり日を置いても良くないよね……。やっぱり一度、あの壁に挑戦しよう」
もう勢いで行くしかない!と、エルンスト様のクラスにやって来たは良いが……今日一番の壁が目の前に。
うん。今日は諦めよう!

「はぁ、凄い人だかりだったな……。あれじゃ、移動も大変そうだ」
てくてくと学校の校舎を出ようと廊下を歩く。頭にあるのはエルンスト様とその周りの人壁だ。あんなに周囲に人がいては身動きが難しそうで、帰るのも一苦労しそうとしか思えない。
とにかく今日は諦めて、また後日行くとしよう。
「気合いを入れてみたけど、あれは無理だね……」
「何が無理なの……?」
「ん?エルンスト様の周りの人壁だよー」
「あぁ、あれね。殿下も同じクラスにいるから余計に凄いよねー」
「あ、そうだったんだ。だからあんなにも人が多かったんだね……」
「んで、エルンスト様に用事なの?」
「えぇ、そうなんですけど………………って!だれ!?」
いつの間にか自分の独り言に混ざっていて気付かなかったよ。誰なのか確認するために振り替えるとそこにいたのはカイン・バンライ様だった。

「えっ?バンライ様!?」
「はいはーい、カイン・バンライですよー。シャベナレイ様、エルンスト様に用があるなら一緒においでよ」
「え?えっと、どちらに……?」
「こっちだよ」
エルンスト様に用が用があることも聞かれていたみたいで、手を引かれて何処かに連れて行かれる。
手を引かれるままについてきてしまったが、この先にあるのって……思い当たるのが学生会室しかないんだけど……




「さあ、ここにエルンスト様がもう着いてるか向かってるかだから話せるよー」
「え!?学生会室ってなんで!?なぜここに?」
「んー?シャベナレイ様知らなかったの?エルンスト様や殿下達も今期の学生会だよー?僕もだけどね」
「そ、そうだったんですね……。失礼なことを申してしまいました。謝罪致します」
ペコッと頭を下げ、カイン様に謝罪をする。殿下も学生会に所属しているなら、知っていないといけない情報なのに……。
「気にしなくていいですよ?まだ、今期の学生会の全メンバーが決まっていないので着任の挨拶もしてないですからー」
「お心遣いありがとうございます」
「さぁさ、入ってください。……んー、エルンスト様まだ来てないみたいなので、お茶でも入れますねー。そこのソファーにてお待ちくださいね」
カイン様に慰められたが、それでも一貴族として情報収集を怠った明かしになる。更に落ち込んだことも感づかれるなんてとんだ失態だ。何故か、カイン様の前では素が出ているみたいだ。気を引き締めないと。

学生会室に入るがエルンスト様はまだ来ておらず、カイン様がお茶を入れてくれるそうだ。何から何まで申し訳ない。
言われたソファーで待っているとカイン様が茶器をトレイに乗せて運んで来てくれたので、エルンスト様が来られるまで二人でお茶を頂くことになった。










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