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013 二人の少女
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頭部を失ったゴブリン体が、ふらふらと前後に揺れた後、ベシャリと湿った音を立てて地面に倒れた。
「GA!?」
「GEGYA!?」
「A!?」
突然、頭部を失って倒れたゴブリンの姿に、後続のゴブリンたちが驚きの叫びを響かせる。
「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
オレはヘヴィークロスボウを投げ出し、大声を上げてゴブリンの集団へと突撃していく。ウォークライ。戦士たちが戦いに際して上げる雄叫びだ。少しでもゴブリンどもの注意を引くために声を張り上げる。
「GOBU!」
「GEHA」
「GOHYA」
ゴブリンどもも、迫るオレの姿に気が付いたようだ。ゴブリンどもの視線がオレに集まるのを感じる。殺気を帯びた鋭い視線だ。だが、オレは足を止めることなく疾走する。ヘヴィークロスボウの一撃が、オレにいろいろなことを教えてくれたのだ。
オレの視線の先に居るゴブリンども。奴らの強さはそこまで高いわけでもない。ヘヴィークロスボウで一撃で屠れたこと、ヘヴィークロスボウの攻撃に反応もできていなかったことが理由だ。ダンジョンで例えるなら、レベル6以下だろう。
オレが肉弾戦で相手にできるのは、レベル4ダンジョンのモンスターまでだ。それ以下の強さであることを切に願う。
「起きろ! 走れ! 死にてぇのかッ!」
オレは、未だに倒れ伏している小柄な少女に怒鳴り、逃げるように指示を出す。しかし、二人の少女は動こうともしない。オドオドとしているだけだ。なにをしているんだ!? 本気で死にたいのか!?
「クソがッ!」
オレがゴブリンどもの注意を引いた今こそが少女たちの逃げる最高のタイミングなのだ。その黄金よりも貴重な時間が無為に消費されることに怒りを覚える。
最悪だな。オレは二人の少女を守りながらゴブリンどもと戦わなくてはならないらしい。
視界の先に見えるゴブリンの数は八体。五体が剣や棍棒を装備したゴブリンウォーリア。残りの三体が、弓を持ったゴブリンアーチャーだ。
ゴブリンアーチャーどもが、オレを狙って弓を引く姿が見えた。クソッタレ!
オレはゴブリンアーチャーどもを注視しながら、更に足を速めた。
ブンッ! ブンッ! ブンッ!
軽い空気を切り裂く音が三度響く。ゴブリンアーチャーどもが矢を発射した音だ。弦の鳴る音が耳に届いた瞬間、オレの目は迫る三本の矢を視認する。
意外に思うかもしれないが、矢ってのは横から見ると目で追えないほどの高速だが、縦から見ると、意外と視認できる。オレは迫る三本の矢の軌道を瞬時に把握すると、左にサイドステップを踏む。
ザリリッ!
左に飛ぶべく、オレは右脚に力を籠める。右のブーツの底で草を踏み潰し、土が弾ける感覚が足に返ってくる。
「ふっ!」
グッと体に左向きの力がかかり、オレの体が左へと流れる。
ヒュゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!
ゴブリンアーチャーの放った矢が、鋭い飛翔音を響かせながら、オレの顔のすぐ傍を通過する。欠けて錆の浮いた鏃の貧相な矢。こんなのでも当たり所が悪ければ死ぬ。下にチェインメイルを着ているとはいえ、チェインメイルは矢や突きに弱いからな。
「あぁああああああああああああああああああ!」
オレは再度ウォークライを上げて、ゴブリンどもへと突撃する。コイツらの視線を少女たちに戻すことはできない。
「GYAGYA!?」
「GOBU!?」
オレが矢を避けたのがそんなに驚愕することなのか、ゴブリンどもがどよめくのが見えた。この隙を見逃すわけにはいかない。
オレは進路をやや左に向け、ゴブリンどもを横目に少女たちとゴブリンとの間に割って入る。チラリと二人の少女たちを見れば、転んだままの黒髪の少女が、背を丸めて右の足首を押さえていた。足でもくじいたのか。どおりで走って逃げないわけだ。クソッタレッ!
「ぐ……ぅ……」
「あ……?」
草の上に倒れ伏した黒髪の少女苦しそうに喘ぐ。そして、もう一人の小柄な銀髪の少女は、先程まで放心していたのか、たった今オレの存在に気が付いた様子だ。なんとも頼りない。
二人の少女は、親子ほど体格が違う。小柄な銀髪の少女に黒髪の少女を運んで逃げさせるのは、厳しそうだ。
オレは無言で収納空間を展開すると、左手で素早く目的の物を取り出すと、つっ立ったままの銀髪の少女に投げて渡した。
「回復薬だ。お前も教会の人間なら心得くらいあるだろ!」
「……ッ! おねッ! おね、さま……」
数瞬経ってオレの言葉を理解したのか、銀髪の少女が弾かれたように動き出す。その様子を尻目に、オレは目の前のゴブリンどもを睥睨した。
「GA……」
「GOBU……」
ゴブリンどもは、オレに気圧されたように遠巻きにオレを見る。突然、仲間のゴブリンの頭が弾けてオレが現れたからな。警戒しているのかもしれない。
「………」
常には無い睨み合いに、オレも緊張が走った。ダンジョンのモンスターは、彼我の実力差を考えずに襲ってくるからな。睨み合いなんて発生しない。
どちらが先に動くのか……。
「GA!?」
「GEGYA!?」
「A!?」
突然、頭部を失って倒れたゴブリンの姿に、後続のゴブリンたちが驚きの叫びを響かせる。
「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」
オレはヘヴィークロスボウを投げ出し、大声を上げてゴブリンの集団へと突撃していく。ウォークライ。戦士たちが戦いに際して上げる雄叫びだ。少しでもゴブリンどもの注意を引くために声を張り上げる。
「GOBU!」
「GEHA」
「GOHYA」
ゴブリンどもも、迫るオレの姿に気が付いたようだ。ゴブリンどもの視線がオレに集まるのを感じる。殺気を帯びた鋭い視線だ。だが、オレは足を止めることなく疾走する。ヘヴィークロスボウの一撃が、オレにいろいろなことを教えてくれたのだ。
オレの視線の先に居るゴブリンども。奴らの強さはそこまで高いわけでもない。ヘヴィークロスボウで一撃で屠れたこと、ヘヴィークロスボウの攻撃に反応もできていなかったことが理由だ。ダンジョンで例えるなら、レベル6以下だろう。
オレが肉弾戦で相手にできるのは、レベル4ダンジョンのモンスターまでだ。それ以下の強さであることを切に願う。
「起きろ! 走れ! 死にてぇのかッ!」
オレは、未だに倒れ伏している小柄な少女に怒鳴り、逃げるように指示を出す。しかし、二人の少女は動こうともしない。オドオドとしているだけだ。なにをしているんだ!? 本気で死にたいのか!?
「クソがッ!」
オレがゴブリンどもの注意を引いた今こそが少女たちの逃げる最高のタイミングなのだ。その黄金よりも貴重な時間が無為に消費されることに怒りを覚える。
最悪だな。オレは二人の少女を守りながらゴブリンどもと戦わなくてはならないらしい。
視界の先に見えるゴブリンの数は八体。五体が剣や棍棒を装備したゴブリンウォーリア。残りの三体が、弓を持ったゴブリンアーチャーだ。
ゴブリンアーチャーどもが、オレを狙って弓を引く姿が見えた。クソッタレ!
オレはゴブリンアーチャーどもを注視しながら、更に足を速めた。
ブンッ! ブンッ! ブンッ!
軽い空気を切り裂く音が三度響く。ゴブリンアーチャーどもが矢を発射した音だ。弦の鳴る音が耳に届いた瞬間、オレの目は迫る三本の矢を視認する。
意外に思うかもしれないが、矢ってのは横から見ると目で追えないほどの高速だが、縦から見ると、意外と視認できる。オレは迫る三本の矢の軌道を瞬時に把握すると、左にサイドステップを踏む。
ザリリッ!
左に飛ぶべく、オレは右脚に力を籠める。右のブーツの底で草を踏み潰し、土が弾ける感覚が足に返ってくる。
「ふっ!」
グッと体に左向きの力がかかり、オレの体が左へと流れる。
ヒュゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ!
ゴブリンアーチャーの放った矢が、鋭い飛翔音を響かせながら、オレの顔のすぐ傍を通過する。欠けて錆の浮いた鏃の貧相な矢。こんなのでも当たり所が悪ければ死ぬ。下にチェインメイルを着ているとはいえ、チェインメイルは矢や突きに弱いからな。
「あぁああああああああああああああああああ!」
オレは再度ウォークライを上げて、ゴブリンどもへと突撃する。コイツらの視線を少女たちに戻すことはできない。
「GYAGYA!?」
「GOBU!?」
オレが矢を避けたのがそんなに驚愕することなのか、ゴブリンどもがどよめくのが見えた。この隙を見逃すわけにはいかない。
オレは進路をやや左に向け、ゴブリンどもを横目に少女たちとゴブリンとの間に割って入る。チラリと二人の少女たちを見れば、転んだままの黒髪の少女が、背を丸めて右の足首を押さえていた。足でもくじいたのか。どおりで走って逃げないわけだ。クソッタレッ!
「ぐ……ぅ……」
「あ……?」
草の上に倒れ伏した黒髪の少女苦しそうに喘ぐ。そして、もう一人の小柄な銀髪の少女は、先程まで放心していたのか、たった今オレの存在に気が付いた様子だ。なんとも頼りない。
二人の少女は、親子ほど体格が違う。小柄な銀髪の少女に黒髪の少女を運んで逃げさせるのは、厳しそうだ。
オレは無言で収納空間を展開すると、左手で素早く目的の物を取り出すと、つっ立ったままの銀髪の少女に投げて渡した。
「回復薬だ。お前も教会の人間なら心得くらいあるだろ!」
「……ッ! おねッ! おね、さま……」
数瞬経ってオレの言葉を理解したのか、銀髪の少女が弾かれたように動き出す。その様子を尻目に、オレは目の前のゴブリンどもを睥睨した。
「GA……」
「GOBU……」
ゴブリンどもは、オレに気圧されたように遠巻きにオレを見る。突然、仲間のゴブリンの頭が弾けてオレが現れたからな。警戒しているのかもしれない。
「………」
常には無い睨み合いに、オレも緊張が走った。ダンジョンのモンスターは、彼我の実力差を考えずに襲ってくるからな。睨み合いなんて発生しない。
どちらが先に動くのか……。
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