【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
15 / 117

015 『ゴブリンの地下王国』

しおりを挟む
「さて、行くか!」

 『ゴブリンの地下王国』が見つかって一か月ほど経ったある日。オレは一人で森の中に入っていた。向かう先は先日見つかったダンジョン『ゴブリンの地下王国』だ。

 あの時はなぜ知っているのか問われると面倒になるため回収しなかったが、実は『ゴブリンの地下王国』にはある秘密があるのである。今回は、それを回収しに行くところだ。

「ふぅ……」

 一か月前に大人数が通ったからか、森の中にはダンジョンに続く一本の獣道ができていた。ふかふかの腐葉土の上を歩くのは意外と歩きにくくて体力を消耗するので助かる。まぁ、鍛錬には使えるだろうが。

 木漏れ日なんてなく、薄暗い森の中を歩くこと一時間ほど。目の前には切り立った崖が姿を現し、大きな洞窟の入り口を発見した。

 あれが『ゴブリンの地下王国』ダンジョンへの入り口だ。

「ホーリーライト」

 オレはさっそくダンジョンに潜る。本当なら休憩してから潜りたいところだが、時間は有限だからね。できれば夕食までには戻りたいところだ。じゃないと心配されてしまう。

「せあっ! はあっ!」

 現れるゴブリンたちをサクッと倒し、オレはどんどん洞窟の中のようなダンジョンを進んでいく。道順は覚えているので迷うことはない。

「やっぱ復活してるよなぁ……」

 ダンジョンの土壁から顔を覗かせると、今まで通ってきた通路とは違う広い空間があった。そこにいるのは一匹のゴブリンだ。だが、その見た目はずいぶんと普通のゴブリンとは違っている。

 人の頭蓋骨を三つ連ねたような首飾りをして、その手には骨で作られた白骨の杖を持っている。まるで、邪悪な部族の呪術師みたいな恰好をしているゴブリンだ。

 ゴブリンシャーマン。魔法を使うゴブリンだ。このダンジョンの中ボスでもある。一か月前に父上が魔法ごとぶった切って倒したのだが、さすがに一か月もあれば復活するか。

 オレは、用意していた秘策を手に走り出す。

 いきなり飛び出したオレを見て、ゴブリンシャーマンは慌てることなく魔法を詠唱し始める。ムカつくほど冷静だね。ちくしょうめ。

 当然だが、オレの剣よりもゴブリンシャーマンも魔法の方が射程は長い。オレは魔法を避けつつゴブリンシャーマンに近づく必要がある。

 だが、魔法というのは極めて避けにくい。父上は大剣を盾に無理やり距離を詰めたが、オレに同じことができるとは思えない。

 そこで考えたのが――――ッ!

「喰らえ!」

 オレは右手に持っていたアイテムをゴブリンシャーマンに投げ付けた。

 オレの手から飛んで行った卵状のアイテムは、見事ゴブリンシャーマンに命中した。

 その瞬間、ピシッと軽い音を立てて割れて粉々になるアイテム。ゴブリンシャーマンに大したダメージは与えられていないが、これでいい。

「WOHO!? GEHA!? GEHA!? AGYAAAAA!?」

 粉末を吸い込んだ瞬間、ゴブリンシャーマンが盛大に咽た。

 オレが投げ付けたアイテム。それは、トウガラシの粉末を卵の殻に詰めた物だ。ゲームではトウガラシ爆弾の名称で登場し、使うとモンスターを一定確率で混乱にするアイテムだった。

 混乱状態になれば、魔法の詠唱もできないだろうと考えて作っておいたのだが、予想以上の効き目だね。ゴブリンシャーマンは魔法の詠唱どころか、目を開けることもできないみたいで、闇雲に杖を振り回している、

 こうなるとちょっと哀れだが、仕方ないね。

 オレは音もなくゴブリンシャーマンの背後に回ると、一撃でその首を刎ねた。

「ふぅ……」

 ボフンッと白い煙となったゴブリンシャーマンに安堵の溜息が出た。

 どうなるか賭けの部分もあったが、上手くいってよかったよ。

 残るトウガラシ爆弾は二つ。有効活用していかないとね。

「ん?」

 白い煙が晴れると、そこには一本の短剣が落ちていた。

「やった。レアドロップだ!」

 ダンジョンのモンスターのドロップ品には、通常ドロップ品とレアドロップ品があるのだが、この短剣は後者だ。

 短剣の柄にドクロが彫られ、なんとも気味の悪い感じだが、装備すると魔法攻撃力が上がる珍しい短剣である。

 まぁ、ヴィアラット領には魔法使いなんていないし、売ってお金にしちゃおう。

 オレはバックパックに大事に短剣を仕舞うと、更にダンジョンの奥へと足を進めるのだった。


 ◇


 中ボスの部屋を超えると、ダンジョンの難易度が少し上がる。今まで棍棒しか持っていなかったゴブリンたちが、錆の浮いた鉄の武器を持つようになるのだ。

 そして、弓矢を使うゴブリンアーチャーや、ホブゴブリンなんかも普通に現れるようになる。どちらも厄介なモンスターだ。気を引き締める必要がある。

「くっ!」

 コッと鋭い音を立てて、盾に矢が生える。ゴブリンアーチャーの放った矢だ。

 父上と母上から贈られた盾を傷付けられ、怒りでどうにかなってしまいそうだが、努めて冷静であることを心掛ける。

 もう一回、矢を盾で防いでから、オレはゴブリンアーチャーとの距離を詰めてその首を刎ねた。

 ボフンッと白い煙になって消えるゴブリンアーチャー。盾に刺さっていた二本の矢も白い煙となって空気に溶けるように消えていく。

 残ったのは、傷付いた左腕の盾だけである。

「あぁあ……」

 盾で防ぐ必要があったのは事実だし、盾は見事オレの命を守ってくれた。盾を使えば、傷付くのは当たり前。そのことはわかっているが、実際に傷付くと凹むなぁ……。

「はぁ……」

 オレはやりきれない思いを溜息で体の出しながら、トボトボとダンジョンの最奥を目指すのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

【モブ魂】~ゲームの下っ端ザコキャラに転生したオレ、知識チートで無双したらハーレムできました~なお、妹は激怒している模様

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
よくゲームとかで敵を回復するうざい敵キャラっているだろ? ――――それ、オレなんだわ……。 昔流行ったゲーム『魔剣伝説』の中で、悪事を働く辺境伯の息子……の取り巻きの一人に転生してしまったオレ。 そんなオレには、病に侵された双子の妹がいた。 妹を死なせないために、オレがとった秘策とは――――。

スマホアプリで衣食住確保の異世界スローライフ 〜面倒なことは避けたいのに怖いものなしのスライムと弱気なドラゴンと一緒だとそうもいかず〜

もーりんもも
ファンタジー
命より大事なスマホを拾おうとして命を落とした俺、武田義経。 ああ死んだと思った瞬間、俺はスマホの神様に祈った。スマホのために命を落としたんだから、お慈悲を! 目を開けると、俺は異世界に救世主として召喚されていた。それなのに俺のステータスは平均よりやや上といった程度。 スキル欄には見覚えのある虫眼鏡アイコンが。だが異世界人にはただの丸印に見えたらしい。 何やら漂う失望感。結局、救世主ではなく、ただの用無しと認定され、宮殿の使用人という身分に。 やれやれ。スキル欄の虫眼鏡をタップすると検索バーが出た。 「ご飯」と検索すると、見慣れたアプリがずらずらと! アプリがダウンロードできるんだ! ヤバくない? 不便な異世界だけど、楽してダラダラ生きていこう――そう思っていた矢先、命を狙われ国を出ることに。 ひょんなことから知り合った老婆のお陰でなんとか逃げ出したけど、気がつけば、いつの間にかスライムやらドラゴンやらに囲まれて、どんどん不本意な方向へ……。   2025/04/04-06 HOTランキング1位をいただきました! 応援ありがとうございます!

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた

砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。 彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。 そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。 死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。 その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。 しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、 主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。 自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、 寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。 結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、 自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……? 更新は昼頃になります。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

処理中です...