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047 決闘の後
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なんかコランティーヌ先生が黙って俯いてしまった。どうしたんだろうね?
「先生、これはオレの勝ちでいいですよね?」
「え? はい。そうですね……。アベル・ヴィアラットの勝利です」
「「「「「おおー」」」」」」
「なんかよくわからなかったが、すごかったぞー!」
「まさか魔法を斬るとはな」
「おめでとう!」
コランティーヌ先生がオレの勝利を告げると、クラスメイトたちの間から歓声が上がり、拍手が巻き起こる。
テオドールが言っていたように、決闘は神聖な行為だ。どちらの主張が正しいのか、女神様に判断を仰ぐというある種の宗教行事のような意味合いもある。
だから、決闘の勝者は女神様に勝利を贈られた者として称えられるのだ。
「アベル!」
「シャルリーヌ!」
シャルリーヌがはしたないと言われない限界を攻める競歩のようなスピードで駆けてきた。
「やったわね! おめでとう! これでヴァネッサは無事よ!」
「それとシャルリーヌもね」
「ええ!」
シャルリーヌは嬉しそうにウキウキしていた。かわいい。
抱き付いてきてもいいんだよ? かもん!
「それで、テオドール・ダルセーは無事なのですか?」
両腕を広げてシャルリーヌが飛び込んでくるのを待っていたら、コランティーヌ先生に尋ねられた。
結局、シャルリーヌは不思議そうな顔でオレを見るばかりで飛び込んでこなかったよ。ちくしょうめ!
「テオドールでしたっけ? 無事にしますよ。ヒール」
オレはテオドールにヒールを唱える。
そういえば、テオドールを剣の峰で殴った時、ポキポキと骨の折れる手応えがあったからね。治しておこう。
それに、ゲームでは気絶のバットステータスが付いても、ヒールをすれば回復していた。たぶん今回もいけるだろう。
「魔法!?」
「あいつ、神聖魔法まで使えるのかよ!?」
「ぐあ……」
騒ぐクラスメイトたちの声にかき消されそうなほどの小さな呻きがテオドールから聞こえた。
「ここは……、私は……ぐッ!」
テオドールがのっそりとした緩慢な動きで体を起こす。
「テオドール、痛い所はあるか?」
「お前は……ッ!?」
オレの顔を見たテオドールが勢いよく立ち上がった。そして、すごい顔でオレを睨んでいる。
「その分だと怪我は大丈夫そうだな」
「怪我? 私はなぜ寝ていた……?」
「テオドール、お前はオレに負けたんだ」
「そんな、そんなことはありえない! 私が魔法も使えない者に後れを取るなど……。あッ!」
テオドールがなにかに気が付いたような表情をした。だが、どんどんとその顔が曇っていく。
自分の負けた記憶でも思い出したのだろうか?
「思い出したか?」
「ッ!? いや、私は何も知らない! 私が知らないのだから決闘は無効だ!」
「安心しろ、お前が忘れていても問題ない。そうですよね、コランティーヌ先生?」
「はい。立会人のわたくしがアベル・ヴィアラットの勝利を証言します」
「くっ!」
コランティーヌの証言を聞いて、テオドールが怯むように一歩下がった。その顔色はひどく悪い。
まぁ、テオドールの独断でヴィアラット領がダルセー辺境伯家から独立するという約束をしてしまったからな。後で辺境伯にしこたま怒られることだろう。
「わた、私は認めないぞ!」
「テオドール・ダルセーが認めなくても問題ありません。担任であり、立会人であるわたくしの方からダルセー辺境伯に報告します」
「くそっ! アベル・ヴィアラットぉおおおおおお!」
「ッ!?」
テオドールが右腕をオレ向けて突き出すと、その手の先には深紅の熱が生成されていく。ファイアボールだ。
こいつ、不意打ちのつもりか?
オレは腰の剣を抜くと、迷いなくテオドールの右腕に走らせた。
「ぐがああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
ボトッとまるで水袋を落としたような音を響かせてテオドールの右腕が落ちる。
まるで獣のように吠えるテオドール。その落ちた右腕からは、魔力の供給が断たれてファイアボールが霧散する。
この距離で魔法使いが剣士に勝てるわけがないじゃないか。こいつはアホなのか?
「う、うで!? 私の腕があああああああああああああああああああああああ!?」
「きゃああああああ!?」
「アベル・ヴィアラット!?」
右腕を失くしたテオドールが喚き、シャルリーヌの悲鳴とコランティーヌ先生の焦ったような声が聞こえた。
さすがに腕を斬り飛ばすのは刺激が強かったかな?
しかし、オレがテオドールの右腕を斬り飛ばさなければファイアボールの爆発でシャルリーヌもコランティーヌ先生も被害が出ていただろうし……。
まぁ、過去は変えられない。これからどうするかだな。
とりあえず、テオドールの右腕をくっ付けるか。
オレは落ちていたテオドールの右腕を拾うと、地面にうずくまっているテオドールを軽く蹴飛ばした。
「ぐほッ!?」
「ほら、治してやるから、右腕を出せ。ヒール」
淡い緑の光がテオドールの右腕の接合部を覆うように現れた。ヒールの光だ。
「腕が……」
無事に右腕がくっ付くと、テオドールが呆けたような声を出した。そして、何度も手をぐーぱーしてちゃんと動くことを確認している。
「すごい!」
「まさか、あんな強力なヒールを使えるなんて!?」
後ろでは、シャルリーヌとコランティーヌが驚きの声をあげていた。
「先生、これはオレの勝ちでいいですよね?」
「え? はい。そうですね……。アベル・ヴィアラットの勝利です」
「「「「「おおー」」」」」」
「なんかよくわからなかったが、すごかったぞー!」
「まさか魔法を斬るとはな」
「おめでとう!」
コランティーヌ先生がオレの勝利を告げると、クラスメイトたちの間から歓声が上がり、拍手が巻き起こる。
テオドールが言っていたように、決闘は神聖な行為だ。どちらの主張が正しいのか、女神様に判断を仰ぐというある種の宗教行事のような意味合いもある。
だから、決闘の勝者は女神様に勝利を贈られた者として称えられるのだ。
「アベル!」
「シャルリーヌ!」
シャルリーヌがはしたないと言われない限界を攻める競歩のようなスピードで駆けてきた。
「やったわね! おめでとう! これでヴァネッサは無事よ!」
「それとシャルリーヌもね」
「ええ!」
シャルリーヌは嬉しそうにウキウキしていた。かわいい。
抱き付いてきてもいいんだよ? かもん!
「それで、テオドール・ダルセーは無事なのですか?」
両腕を広げてシャルリーヌが飛び込んでくるのを待っていたら、コランティーヌ先生に尋ねられた。
結局、シャルリーヌは不思議そうな顔でオレを見るばかりで飛び込んでこなかったよ。ちくしょうめ!
「テオドールでしたっけ? 無事にしますよ。ヒール」
オレはテオドールにヒールを唱える。
そういえば、テオドールを剣の峰で殴った時、ポキポキと骨の折れる手応えがあったからね。治しておこう。
それに、ゲームでは気絶のバットステータスが付いても、ヒールをすれば回復していた。たぶん今回もいけるだろう。
「魔法!?」
「あいつ、神聖魔法まで使えるのかよ!?」
「ぐあ……」
騒ぐクラスメイトたちの声にかき消されそうなほどの小さな呻きがテオドールから聞こえた。
「ここは……、私は……ぐッ!」
テオドールがのっそりとした緩慢な動きで体を起こす。
「テオドール、痛い所はあるか?」
「お前は……ッ!?」
オレの顔を見たテオドールが勢いよく立ち上がった。そして、すごい顔でオレを睨んでいる。
「その分だと怪我は大丈夫そうだな」
「怪我? 私はなぜ寝ていた……?」
「テオドール、お前はオレに負けたんだ」
「そんな、そんなことはありえない! 私が魔法も使えない者に後れを取るなど……。あッ!」
テオドールがなにかに気が付いたような表情をした。だが、どんどんとその顔が曇っていく。
自分の負けた記憶でも思い出したのだろうか?
「思い出したか?」
「ッ!? いや、私は何も知らない! 私が知らないのだから決闘は無効だ!」
「安心しろ、お前が忘れていても問題ない。そうですよね、コランティーヌ先生?」
「はい。立会人のわたくしがアベル・ヴィアラットの勝利を証言します」
「くっ!」
コランティーヌの証言を聞いて、テオドールが怯むように一歩下がった。その顔色はひどく悪い。
まぁ、テオドールの独断でヴィアラット領がダルセー辺境伯家から独立するという約束をしてしまったからな。後で辺境伯にしこたま怒られることだろう。
「わた、私は認めないぞ!」
「テオドール・ダルセーが認めなくても問題ありません。担任であり、立会人であるわたくしの方からダルセー辺境伯に報告します」
「くそっ! アベル・ヴィアラットぉおおおおおお!」
「ッ!?」
テオドールが右腕をオレ向けて突き出すと、その手の先には深紅の熱が生成されていく。ファイアボールだ。
こいつ、不意打ちのつもりか?
オレは腰の剣を抜くと、迷いなくテオドールの右腕に走らせた。
「ぐがああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
ボトッとまるで水袋を落としたような音を響かせてテオドールの右腕が落ちる。
まるで獣のように吠えるテオドール。その落ちた右腕からは、魔力の供給が断たれてファイアボールが霧散する。
この距離で魔法使いが剣士に勝てるわけがないじゃないか。こいつはアホなのか?
「う、うで!? 私の腕があああああああああああああああああああああああ!?」
「きゃああああああ!?」
「アベル・ヴィアラット!?」
右腕を失くしたテオドールが喚き、シャルリーヌの悲鳴とコランティーヌ先生の焦ったような声が聞こえた。
さすがに腕を斬り飛ばすのは刺激が強かったかな?
しかし、オレがテオドールの右腕を斬り飛ばさなければファイアボールの爆発でシャルリーヌもコランティーヌ先生も被害が出ていただろうし……。
まぁ、過去は変えられない。これからどうするかだな。
とりあえず、テオドールの右腕をくっ付けるか。
オレは落ちていたテオドールの右腕を拾うと、地面にうずくまっているテオドールを軽く蹴飛ばした。
「ぐほッ!?」
「ほら、治してやるから、右腕を出せ。ヒール」
淡い緑の光がテオドールの右腕の接合部を覆うように現れた。ヒールの光だ。
「腕が……」
無事に右腕がくっ付くと、テオドールが呆けたような声を出した。そして、何度も手をぐーぱーしてちゃんと動くことを確認している。
「すごい!」
「まさか、あんな強力なヒールを使えるなんて!?」
後ろでは、シャルリーヌとコランティーヌが驚きの声をあげていた。
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