53 / 117
053 エルネストとの決闘
しおりを挟む
決闘の結果に不満だったテオドールは、今度は上級生を使って決闘に勝とうとする。
これはゲームで見たシナリオの通りだ。
だが、なぜ絡む相手が主人公ではなくオレなんだ?
やはり、シナリオを無視した行動ばかりするテオドールは転生者の可能性がある。
それを確かめるためにも勝たなくてはな。
「その決闘を受ける」
「ちょっ!? アベル!?」
「おま、正気か!?」
「危ないんだなー」
オレが決闘を承諾すると、シャルリーヌたちから悲鳴のような声があがり、テオドールとエルネストがにやりと笑った。
「相手は上級生、それも三年生の方ですよ!?」
「まぁ、大丈夫だろ。負けたって最初の状態に戻るだけだ。そうだろ、シャルリーヌ?」
「それはそうですが……」
「バカおま! せっかく借金がチャラになったってのに、また借金してたまるかよ!」
「借金は嫌なんだなー」
どうやらみんな反対っぽい?
たしかに、相手は上級生で二歳も年上だ。十代の、それも十代前半の二歳差は、それこそ絶望するほど変わってくる。体格的な意味でもそうだし、それは技術的な面でもそうだろう。
普通なら勝てないかもしれない。
だが、オレにはここで引くという選択肢はなかった。
ゲームで何度も勝っていたからかな?
どうやっても負けるイメージが浮かばないんだよなぁ。
「言質は取ったぞ! もう逃げられると思うな!」
「べつにいいよ」
「こっちに来い!」
「ああ」
テオドールに連れられて、オレたちは闘技場の舞台に上がった。舞台から見ると、観客席が段々畑のように徐々に高くなっていく。まるですり鉢の底から見上げているみたいだ。
「よく逃げずに来たな。褒めてやる。先輩、お願いします」
「任せておきたまえ」
あっちはもう準備OKなようだな。
「アベル……」
「大丈夫だよ、シャルリーヌ。オレは負けない」
「絶対、負けんじゃねーぞ!」
「勝ってほしいんだなー!」
エロワもポールも借金は嫌なのか、マジな目でオレを見ていた。
「テオドール様ー! 呼んできましたー!」
その時、闘技場の入り口に現れたのは、テオドールの腰巾着のシラスだった。その後ろには、不満そうな顔のコランティーヌ先生が見える。
シラスの姿が見えないと思ったが、コランティーヌ先生を呼びに行ってたのか。
なんとも準備がいいことだね。
「また決闘とのことでしたが……」
「そうだ。俺の代理人であるエルネスト先輩とアベルが決闘する」
「……アベルくんはそれでいいんですか?」
「はい。かまいません」
「はぁ……。なんで貴族はもー……」
コランティーヌ先生はなんだかやりきれないものを感じているように頭をガシガシと掻いていた。
だが、コランティーヌ先生は気が進まない仕事でもキッチリやるタイプなのか、それからは立会人として決闘の条件や賭けの内容を確認していった。
その様子をエルネストは余裕そうな笑みを浮かべて眺めている。
エルネスト・ラシーヌ。
ゲームでは第二のかませ犬として登場したキャラクターだった。
主武器は悪趣味なほどゴテゴテと装飾されたレイピア。レイピアによる素早い連続攻撃と風魔法が得意だったと記憶している。
ゲーム通りの悪趣味なレイピアを腰に佩いているし、人違いということはないだろう。
エルネストの技量はそこまで脅威ではない。
注意しなくてはいけないのは、レイピアの攻撃が高確率でクリティカルになる特性と、やはり風魔法だろう。
辺境でレイピアなんて使う奴はいなかったし、風魔法はまだ実際に見たことがない魔法だ。
噂では、風魔法は不可視の刃とも呼ばれることのある強力な魔法らしい。
これはぜひとも体験して攻略しないとな。
「では、テオドールくんの代理人であるエルネストくんとアベルくんの決闘を始めます。両者、準備はいいですね?」
「はい」
「かまいませんよ」
エルネストは自信があるのだろう。太々しく感じるほど余裕そうだ。
「では……始め!」
そして、決闘の幕が切って落とされる。
これはゲームで見たシナリオの通りだ。
だが、なぜ絡む相手が主人公ではなくオレなんだ?
やはり、シナリオを無視した行動ばかりするテオドールは転生者の可能性がある。
それを確かめるためにも勝たなくてはな。
「その決闘を受ける」
「ちょっ!? アベル!?」
「おま、正気か!?」
「危ないんだなー」
オレが決闘を承諾すると、シャルリーヌたちから悲鳴のような声があがり、テオドールとエルネストがにやりと笑った。
「相手は上級生、それも三年生の方ですよ!?」
「まぁ、大丈夫だろ。負けたって最初の状態に戻るだけだ。そうだろ、シャルリーヌ?」
「それはそうですが……」
「バカおま! せっかく借金がチャラになったってのに、また借金してたまるかよ!」
「借金は嫌なんだなー」
どうやらみんな反対っぽい?
たしかに、相手は上級生で二歳も年上だ。十代の、それも十代前半の二歳差は、それこそ絶望するほど変わってくる。体格的な意味でもそうだし、それは技術的な面でもそうだろう。
普通なら勝てないかもしれない。
だが、オレにはここで引くという選択肢はなかった。
ゲームで何度も勝っていたからかな?
どうやっても負けるイメージが浮かばないんだよなぁ。
「言質は取ったぞ! もう逃げられると思うな!」
「べつにいいよ」
「こっちに来い!」
「ああ」
テオドールに連れられて、オレたちは闘技場の舞台に上がった。舞台から見ると、観客席が段々畑のように徐々に高くなっていく。まるですり鉢の底から見上げているみたいだ。
「よく逃げずに来たな。褒めてやる。先輩、お願いします」
「任せておきたまえ」
あっちはもう準備OKなようだな。
「アベル……」
「大丈夫だよ、シャルリーヌ。オレは負けない」
「絶対、負けんじゃねーぞ!」
「勝ってほしいんだなー!」
エロワもポールも借金は嫌なのか、マジな目でオレを見ていた。
「テオドール様ー! 呼んできましたー!」
その時、闘技場の入り口に現れたのは、テオドールの腰巾着のシラスだった。その後ろには、不満そうな顔のコランティーヌ先生が見える。
シラスの姿が見えないと思ったが、コランティーヌ先生を呼びに行ってたのか。
なんとも準備がいいことだね。
「また決闘とのことでしたが……」
「そうだ。俺の代理人であるエルネスト先輩とアベルが決闘する」
「……アベルくんはそれでいいんですか?」
「はい。かまいません」
「はぁ……。なんで貴族はもー……」
コランティーヌ先生はなんだかやりきれないものを感じているように頭をガシガシと掻いていた。
だが、コランティーヌ先生は気が進まない仕事でもキッチリやるタイプなのか、それからは立会人として決闘の条件や賭けの内容を確認していった。
その様子をエルネストは余裕そうな笑みを浮かべて眺めている。
エルネスト・ラシーヌ。
ゲームでは第二のかませ犬として登場したキャラクターだった。
主武器は悪趣味なほどゴテゴテと装飾されたレイピア。レイピアによる素早い連続攻撃と風魔法が得意だったと記憶している。
ゲーム通りの悪趣味なレイピアを腰に佩いているし、人違いということはないだろう。
エルネストの技量はそこまで脅威ではない。
注意しなくてはいけないのは、レイピアの攻撃が高確率でクリティカルになる特性と、やはり風魔法だろう。
辺境でレイピアなんて使う奴はいなかったし、風魔法はまだ実際に見たことがない魔法だ。
噂では、風魔法は不可視の刃とも呼ばれることのある強力な魔法らしい。
これはぜひとも体験して攻略しないとな。
「では、テオドールくんの代理人であるエルネストくんとアベルくんの決闘を始めます。両者、準備はいいですね?」
「はい」
「かまいませんよ」
エルネストは自信があるのだろう。太々しく感じるほど余裕そうだ。
「では……始め!」
そして、決闘の幕が切って落とされる。
131
あなたにおすすめの小説
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる