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077 『嘆きの地下墳墓』ボス戦③
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「げはっ! かはっ!」
目の前で盛大に咳き込むジゼル。おそらく、ワイトの瘴気を吸ってしまったのだろう。
ゲームでは、ワイトを攻撃すると、一定確率で毒になったことを覚えている。おそらく、ジゼルは毒に侵され苦しんでいるのだ。
ゲームでは、毒のステータス異常になっても、スリップダメージが入るだけで問題なく行動することができたのだが……。これもゲームと現実の違いなのだろう。
立ち止まってしまったジゼルは、ワイトにとって格好の獲物だ。ワイトが両腕を振り上げ、ジゼルを叩き潰そうとする。
それをただ見ているだけのオレではない。
「うおおおおおお!」
オレは少しでもワイトの注意をこちらに向けようと声をあげ、ワイトに向けて突進する。
しかし、ワイトはこちらを見ない。先にジゼルを潰すことを選んだようだ。
「ちっ!」
「きゃっ!?」
オレはジゼルの腰に飛び蹴りを入れると、振り下ろされたワイトの腕を盾で受け止める。
すっ飛んでいくジゼルが視界の端に映った。すまん。
その直後、ズシンとした衝撃が左腕に走る。ワイトの振り下ろし攻撃だ。
ペキペキという音も聞こえ、ワイトの緑色の爪の欠片が落ちていく。どうやらワイトの爪は鋭いが、強度はそんなに高くないらしい。
「せあっ!」
オレは盾を左に傾け、ワイトの重圧を受け流す。そして、一歩踏み込むとワイトの両腕、二の腕辺りを剣で斬り上げた。
ワイトの腕の肉は抵抗なく斬れたが、骨は断てなかった。
「くっ!」
盾に感じていたワイトの重圧が緩んだところで、オレはバックステップを踏んでワイトと距離を取る。
斬られたワイトの二の腕からは、もくもくと真っ黒な瘴気が漂っていた。
ワイトを攻撃すればダメージが入る。しかし、その傷口からは瘴気が溢れるのか。そして、瘴気を吸い込めば毒に侵される。本当に厄介なモンスターだな。
「ナオポイズン、ヒール」
「かはっ!」
横に転がっていたジゼルに解毒と回復の魔法を唱えると、一度咳き込んだ後、ジゼルはすくっと立ち上がった。ファイティングポーズを取っているところを見ると、まだ心は折れていないようだな。
「ありがとう、助かったわ」
「いいさ。それより、気付いているかもしれないが、一応注意だ。あの瘴気を吸うと毒になる」
「ええ。まったく、嫌な相手ね。あたし、嫌いだわ」
ジゼルもワイトの厄介な点に気が付いているようだな。
「息を止めて攻撃する?」
「それもありだが、オレに考えがある。しばらく、ワイトの相手を任せていいか? 攻撃はしなくていい。ただ、ワイトの注意を引いてくれ」
「何するつもりなの? まあいいわ。任せたわよ!」
それだけ言うと、ジゼルはワイトに向かって疾走した。
「気が強いというか、なんというか……」
パニックを起こしたり、弱気になるより全然いいが、うすうすそうじゃないかと思っていたけど、ジゼルってもしかしてイノシシ系か?
息を止めているからだろう。ジゼルが無言でワイトに殴りかかり、ワイトはそれに呼応するように両腕を振るう。
ワイトの注意は、完全にジゼルに向いていた。
「やるか。ヒール!」
オレは、回復の魔法を唱える。その対象はジゼルではない。ワイトだ。
緑色の輝く光の粒子がワイトを包み込み、晴れる。その姿はヒールを受ける前とまったく変わりがない。
だが、確実にダメージは入っている。
原理はよくわからないが、ゲームの知識により、オレはアンデッドを回復するとダメージが入ることを知っているのだ。
神聖魔法の使い手は、対アンデッド戦においてのみ、優秀な攻撃魔法の使い手となれるのだ。
「ヒール! ヒール! ヒール! ヒール!」
ヒールは一般的な攻撃魔法よりも消費MPが少ない。こんなふうに連射だって可能だ。
ヒールを受けるごとに、ワイトの動きが緩慢になっていく。
その原因がオレだとワイトも気が付いているだろう。ワイトがオレに向かってこようとするが、それを邪魔するようにジゼルがワイトを攻撃する。
ワイトは、ヒールによるダメージを無視できないが、ジゼルの存在も無視できない。
「ヒール!」
ワイトはどうすることもできず、最後はヒールによって完全に浄化されたのか、ボフンッと白い煙となって消えた。
目の前で盛大に咳き込むジゼル。おそらく、ワイトの瘴気を吸ってしまったのだろう。
ゲームでは、ワイトを攻撃すると、一定確率で毒になったことを覚えている。おそらく、ジゼルは毒に侵され苦しんでいるのだ。
ゲームでは、毒のステータス異常になっても、スリップダメージが入るだけで問題なく行動することができたのだが……。これもゲームと現実の違いなのだろう。
立ち止まってしまったジゼルは、ワイトにとって格好の獲物だ。ワイトが両腕を振り上げ、ジゼルを叩き潰そうとする。
それをただ見ているだけのオレではない。
「うおおおおおお!」
オレは少しでもワイトの注意をこちらに向けようと声をあげ、ワイトに向けて突進する。
しかし、ワイトはこちらを見ない。先にジゼルを潰すことを選んだようだ。
「ちっ!」
「きゃっ!?」
オレはジゼルの腰に飛び蹴りを入れると、振り下ろされたワイトの腕を盾で受け止める。
すっ飛んでいくジゼルが視界の端に映った。すまん。
その直後、ズシンとした衝撃が左腕に走る。ワイトの振り下ろし攻撃だ。
ペキペキという音も聞こえ、ワイトの緑色の爪の欠片が落ちていく。どうやらワイトの爪は鋭いが、強度はそんなに高くないらしい。
「せあっ!」
オレは盾を左に傾け、ワイトの重圧を受け流す。そして、一歩踏み込むとワイトの両腕、二の腕辺りを剣で斬り上げた。
ワイトの腕の肉は抵抗なく斬れたが、骨は断てなかった。
「くっ!」
盾に感じていたワイトの重圧が緩んだところで、オレはバックステップを踏んでワイトと距離を取る。
斬られたワイトの二の腕からは、もくもくと真っ黒な瘴気が漂っていた。
ワイトを攻撃すればダメージが入る。しかし、その傷口からは瘴気が溢れるのか。そして、瘴気を吸い込めば毒に侵される。本当に厄介なモンスターだな。
「ナオポイズン、ヒール」
「かはっ!」
横に転がっていたジゼルに解毒と回復の魔法を唱えると、一度咳き込んだ後、ジゼルはすくっと立ち上がった。ファイティングポーズを取っているところを見ると、まだ心は折れていないようだな。
「ありがとう、助かったわ」
「いいさ。それより、気付いているかもしれないが、一応注意だ。あの瘴気を吸うと毒になる」
「ええ。まったく、嫌な相手ね。あたし、嫌いだわ」
ジゼルもワイトの厄介な点に気が付いているようだな。
「息を止めて攻撃する?」
「それもありだが、オレに考えがある。しばらく、ワイトの相手を任せていいか? 攻撃はしなくていい。ただ、ワイトの注意を引いてくれ」
「何するつもりなの? まあいいわ。任せたわよ!」
それだけ言うと、ジゼルはワイトに向かって疾走した。
「気が強いというか、なんというか……」
パニックを起こしたり、弱気になるより全然いいが、うすうすそうじゃないかと思っていたけど、ジゼルってもしかしてイノシシ系か?
息を止めているからだろう。ジゼルが無言でワイトに殴りかかり、ワイトはそれに呼応するように両腕を振るう。
ワイトの注意は、完全にジゼルに向いていた。
「やるか。ヒール!」
オレは、回復の魔法を唱える。その対象はジゼルではない。ワイトだ。
緑色の輝く光の粒子がワイトを包み込み、晴れる。その姿はヒールを受ける前とまったく変わりがない。
だが、確実にダメージは入っている。
原理はよくわからないが、ゲームの知識により、オレはアンデッドを回復するとダメージが入ることを知っているのだ。
神聖魔法の使い手は、対アンデッド戦においてのみ、優秀な攻撃魔法の使い手となれるのだ。
「ヒール! ヒール! ヒール! ヒール!」
ヒールは一般的な攻撃魔法よりも消費MPが少ない。こんなふうに連射だって可能だ。
ヒールを受けるごとに、ワイトの動きが緩慢になっていく。
その原因がオレだとワイトも気が付いているだろう。ワイトがオレに向かってこようとするが、それを邪魔するようにジゼルがワイトを攻撃する。
ワイトは、ヒールによるダメージを無視できないが、ジゼルの存在も無視できない。
「ヒール!」
ワイトはどうすることもできず、最後はヒールによって完全に浄化されたのか、ボフンッと白い煙となって消えた。
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