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078 『嘆きの地下墳墓』攻略
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「倒したか。よくやった」
声に振り返れば、フェルディナンをはじめ、上級生たちが拍手しながらオレたちを称えていた。
「一年生のこの時期にワイトを倒せるとはな。二人とも、誇っていいぞ」
マスクで隠れていてわからないが、フェルディナンが目を細めて褒めてくれる。
なんだろう。褒めてくれているのはわかるんだけど、上から発言過ぎて素直に喜べない。
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
しかし、横のジゼルが嬉しそうに元気よくお礼を言っていたので、オレもマネしてみた。
オレは辺境育ちだからか、前世の記憶があるからか、あんまり貴族の階級差とか、王族がどれだけ偉いとかわかってないんだよなぁ。まぁ、偉いのはわかるんだけどさ。
でも本当に偉いのは、過去に爵位を貰うほど功績を残した貴族たちのご先祖さまであって、今の貴族じゃないんじゃないかとも思うんだよなぁ。
まぁ、そんな考えを持っているなんて知られたら怒られそうだから誰にも言わないけどさ。
「あそこに宝箱がある。お前たちで開けたまえ」
フェルディナンの指差す方向を見れば、たしかに木でできた宝箱があった。ゲームの通りだが、いつの間に出現したんだろう?
「ジゼルが開けたら?」
オレは何度もゲームで宝箱を開けてきたからね。ここはジゼルに譲ろう。それに、運がよければジゼルの使えるナックルダスターが出るはずだ。
「え? いいの?」
「ああ、ジゼルが開けてくれ」
「じゃあ……」
ジゼルがわくわくと緊張が入り混じったような真剣な顔で宝箱を開けた。
「うげ、気持ち悪……」
ジゼルの後ろから覗くと、ジゼルの手の平にはまるで死蝋のように白いナックルダスターが置かれていた。
「へー、当たりじゃん」
ジゼルが持っているナックルダスターは、何度もゲームで見た物と一緒だった。
ワイトズネイル。攻撃時に低確率で相手を麻痺にするナックルダスターだ。
ボスのドロップアイテムは他にも蝋燭やナイフ、槍などが出るが、ジゼルにとってはナックルダスターが一番の当たりだろう。意外と基礎攻撃力も高いし、しばらくお世話になるんじゃないかな?
「当たり? この気持ち悪いのが?」
「これ、ナックルダスターなんだよ。せっかくだし、ジゼルが使ったら?」
「えぇー……」
ジゼルが嫌そうな顔で手に乗せたナックルダスターを見ている。
「ふむ。今回はナックルダスターが出たか。ちょうどいい、そのナックルダスターはジゼルにやろう。初めてダンジョンをクリアした記念だ。大事にすることだな」
「はい!」
フェルディナンの言葉に、ジゼルは飛び切りの笑顔を浮かべて頷いていた。
どうでもいいけどさ、ジゼルのオレとフェルディナンへの態度の差ヤバくない?
ジゼルはフェルディナンが好きなんだろうか?
まぁ、フェルディナンはイケメンだからなぁ。ジゼルが惚れるのも無理はない。
ちなみに、オレはモブっぽいというか男臭い顔をしている。
まぁ、オレには愛しのシャルリーヌがいるからノーダメージだけどさ。
シャルリーヌはかわいいんだ。早起きが苦手なのに、オレと一緒に朝練するって毎朝早起きして付き合ってくれるんだぜ? かわいいよなあ!? 眠たい目をこすりながらやってくるシャルリーヌのかわいさは天元突破してるね!
ああ、早くシャルリーヌに会いたいよお!
「気持ち悪!? アベル突然くねくねしてどうしたのよ!? また変な毒にでもなったんじゃあ!?」
「いや、そんな奇怪な毒は今まで確認されていないが……」
「どうしたんでしょうね?」
オレはジゼルたちから向けられる白い目にも負けず、シャルリーヌへの想いを募らせていった。
声に振り返れば、フェルディナンをはじめ、上級生たちが拍手しながらオレたちを称えていた。
「一年生のこの時期にワイトを倒せるとはな。二人とも、誇っていいぞ」
マスクで隠れていてわからないが、フェルディナンが目を細めて褒めてくれる。
なんだろう。褒めてくれているのはわかるんだけど、上から発言過ぎて素直に喜べない。
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
しかし、横のジゼルが嬉しそうに元気よくお礼を言っていたので、オレもマネしてみた。
オレは辺境育ちだからか、前世の記憶があるからか、あんまり貴族の階級差とか、王族がどれだけ偉いとかわかってないんだよなぁ。まぁ、偉いのはわかるんだけどさ。
でも本当に偉いのは、過去に爵位を貰うほど功績を残した貴族たちのご先祖さまであって、今の貴族じゃないんじゃないかとも思うんだよなぁ。
まぁ、そんな考えを持っているなんて知られたら怒られそうだから誰にも言わないけどさ。
「あそこに宝箱がある。お前たちで開けたまえ」
フェルディナンの指差す方向を見れば、たしかに木でできた宝箱があった。ゲームの通りだが、いつの間に出現したんだろう?
「ジゼルが開けたら?」
オレは何度もゲームで宝箱を開けてきたからね。ここはジゼルに譲ろう。それに、運がよければジゼルの使えるナックルダスターが出るはずだ。
「え? いいの?」
「ああ、ジゼルが開けてくれ」
「じゃあ……」
ジゼルがわくわくと緊張が入り混じったような真剣な顔で宝箱を開けた。
「うげ、気持ち悪……」
ジゼルの後ろから覗くと、ジゼルの手の平にはまるで死蝋のように白いナックルダスターが置かれていた。
「へー、当たりじゃん」
ジゼルが持っているナックルダスターは、何度もゲームで見た物と一緒だった。
ワイトズネイル。攻撃時に低確率で相手を麻痺にするナックルダスターだ。
ボスのドロップアイテムは他にも蝋燭やナイフ、槍などが出るが、ジゼルにとってはナックルダスターが一番の当たりだろう。意外と基礎攻撃力も高いし、しばらくお世話になるんじゃないかな?
「当たり? この気持ち悪いのが?」
「これ、ナックルダスターなんだよ。せっかくだし、ジゼルが使ったら?」
「えぇー……」
ジゼルが嫌そうな顔で手に乗せたナックルダスターを見ている。
「ふむ。今回はナックルダスターが出たか。ちょうどいい、そのナックルダスターはジゼルにやろう。初めてダンジョンをクリアした記念だ。大事にすることだな」
「はい!」
フェルディナンの言葉に、ジゼルは飛び切りの笑顔を浮かべて頷いていた。
どうでもいいけどさ、ジゼルのオレとフェルディナンへの態度の差ヤバくない?
ジゼルはフェルディナンが好きなんだろうか?
まぁ、フェルディナンはイケメンだからなぁ。ジゼルが惚れるのも無理はない。
ちなみに、オレはモブっぽいというか男臭い顔をしている。
まぁ、オレには愛しのシャルリーヌがいるからノーダメージだけどさ。
シャルリーヌはかわいいんだ。早起きが苦手なのに、オレと一緒に朝練するって毎朝早起きして付き合ってくれるんだぜ? かわいいよなあ!? 眠たい目をこすりながらやってくるシャルリーヌのかわいさは天元突破してるね!
ああ、早くシャルリーヌに会いたいよお!
「気持ち悪!? アベル突然くねくねしてどうしたのよ!? また変な毒にでもなったんじゃあ!?」
「いや、そんな奇怪な毒は今まで確認されていないが……」
「どうしたんでしょうね?」
オレはジゼルたちから向けられる白い目にも負けず、シャルリーヌへの想いを募らせていった。
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