【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)

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089 イニャス商会

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「ここが宝具店か」

 御者に行き先変更を告げ、オレとシャルリーヌはバルバラに紹介された宝具店へと来ていた。

 馬車を降りて見上げれば、歴史を感じさせるレンガ造りの大店がある。店の入り口には二人の屈強そうな男たちがいた。ドアマン兼警備員って感じかな?

 店の入り口の上には、これまた古そうな木の看板もあった。

「イニャス商会か」

 バルバラのフェアリーダンスと同じく、ゲームには登場しなかった店だ。

「お手をどうぞ」
「ありがとう」

 馬車の中にいるシャルリーヌに手を伸ばすと、シャルリーヌがオレの手を取って馬車を降りる。

 自分が先に降りて、女性が馬車を降りるのに手を貸すのは、この国の一般的な礼儀作法だ。女性の多くは、足元まであるロングスカートを身に着けているからね。

 この礼儀作法だが、オレは面倒に感じたことは一度もない。相手がシャルリーヌだということもあるし、なんとなく紳士ポイントの高い行為に思えたからだ。

 紳士ポイントって何だよ?

「ようこそいらっしゃいました」

 意外と愛嬌のある笑顔で出迎えてくれるドアマンの男たち。開けてくれたドアをくぐると、意外と狭いが綺麗に掃除された清潔な店内だった。

 フェアリーダンスのように服を着たマネキンが置いてあるわけでもなく、一見では何の店かわからない。

 店内には大きなカウンターテーブルがあり、その向こうにいた二人の従業員がオレたちに向かって深々と頭を下げる。

「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか?」
「マジックバッグが欲しい。フェアリーダンスのバルバラから紹介状を受け取っているのだが、ここで出せばいいのか?」
「お預かりいたします」

 紹介状を従業員に渡すと、従業員はさっと紹介状を検めた。

「失礼いたしました。どうぞこちらへ」

 従業員にカウンターテーブルの奥の通路へと案内される。案内されたのは、落ち着きのあるそこそこの広さの部屋の中だった。

 部屋の中央には、テーブルを挟んでソファーが二つ並んでいた。応接間といった感じだね。

 部屋に入ると、すぐにお茶とお菓子を用意してくれた。VIP待遇だね。紹介状がいい仕事をしてくれたのかな?

 まぁ、オレは学園の制服を着ているし、シャルリーヌに至っては一目で平民とは違うとわかるドレスを着ている。裕福な貴族の子どもと判断したのかもしれない。

「失礼いたします。お待たせいたしました」

 さほど時間を置かずに部屋に枯れ木のような老人が入ってきた。老人の後ろには、荷物を持った三人の使用人が老人に付き従うように並んでいる。

「ようこそいらっしゃいました。アベル様とシャルリーヌ様にお会いできて光栄に思います。私はこのイニャス商会の商会長をしております、ジャンと申します。以後お見知りおきを」

 腰の伸びてしゃっきりした老人、ジャンが優雅に頭を下げる。その顔には人好きのする笑顔が浮かんでいた。まさに好々爺といった感じだ。

「アベル・ヴィアラットだ。どうぞ座ってくれ」
「シャルリーヌ・ブラシェールですわ」
「ありがとうございます。失礼いたします」

 オレの家名はともかく、ブラシェールの家名を聞いて驚かないとは。たぶんバルバラの紹介状に書いてあったのだろう。VIP待遇になるわけだ。

 よっこいしょと言いながら、ジャンが向かいのソファーに座る。

「本日はマジックバッグをご所望のようでしたので、こちらにご用意させていただきました。まずはこちらはいかがでしょう?」
「失礼いたします」

 従業員が指輪や腕輪の入った宝石箱をテーブルに置いた。

「こちらは珍しい指輪型や腕輪型のマジックバッグでございます。手荷物になることもなく、場所も取りません。入る容量は鞄型に比べると劣りますが、ちょっとした荷物程度でしたらこちらの方が便利に使えるかと」
「ふむ……」

 宝石箱には、珍しいと言っていた指輪型、腕輪型の宝具が十個も収められている。珍しい宝具も取り揃えてますよという無言の宣伝だろうか?

 まぁ確かに、場所を取らないこれらのマジックバッグは魅力的だ。オレが想定するマジックバッグの使いどころは、なんといってもダンジョンになるだろうからな。荷物にならないというのはかなりの利点だと思う。

 だが問題は……。

「鞄型に比べると容量が少ないと言っていたが、どの程度入るんだ?」
「そうですな……。マジックバッグの容量は、水がどれだけ入るかで計測いたします。とはいえ、いきなり数字を出されても想像しづらいのが正直なところでして……。性能には個別に違いがありますが、こちらの腕輪型ですと、このテーブルいっぱいに置ける荷物が入るといった感じでしょうか。指輪型はその半分程度になります」
「ふむ……」

 オレとジャンの間にあるテーブルはけっこう大きいが、それでもテーブルだ。どうやら腕輪型、指輪型は想像よりも物が入らないみたいだ。

 いや、腕輪や指輪を填めるだけでこれだけの荷物を持てるようになると考えれば驚異的なんだけどね。
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