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104 半年
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オレたちが入学してからもう半年が過ぎようとしていた。
「ふむ……」
オレは配られたテストの説明書きを見ながら、考えに耽る。
オレはもうゲームで知っていることだが、学園にもテストがある。テストの得点が筆記試験とダンジョン攻略で決まるのもゲームの通りだ。
この学院では、筆記試験の得点の他にも、どれほどダンジョンを深く攻略したかでテストの点数が決まってくるのである。
ダンジョンをどれだけ深く潜れたかなんて、いくらでも詐称できそうだとも思ったのだが、ダンジョンの潜った深さを知るための魔法の道具があるみたいだ。便利でいいね。
そして、今回のテストでは、一年生は初級ダンジョンである『嘆きの地下墳墓』の他に、中級ダンジョンまで攻略することが初めて可能になる。
初めてのダンジョンでどれだけ的確に動けるかというところだろう。
ダンジョン攻略だが、上限六人までのチームを組むことが許されている。どんなチームを組むかも査定項目なのだろう。
オレが悩んでいるのは、このチーム分けだ。
オレとしては、主人公であるギーと組みたい。ギーなのだが、主人公なのになんだかあんまり活躍してないんだよなぁ。
今のギーの立ち位置は、マルゲリットと面識のある平民の中で一番強い生徒といった感じだ。普通すぎる。
ゲームだったら、事あるごとにテオドールがギーに難癖をつけて、それをギーがテオドールをコテンパンにするというイベントが起きるのだが、当のテオドールがなぜか動かないんだ。
「……オレのせいか?」
いやまぁ、薄々感づいてはいたけど、もしかしなくてもオレがテオドールをボコボコにしてしまったせいだろうか?
あの決闘以来、テオドールはいつも憔悴したような顔をしているし、目に生気がない。とてもギーに絡む元気はなさそうだ。
というか、テオドールのじっとりとした瞳は、確実にギーではなくオレをロックオンしている。
なんでこんなことになったのやら……。
それに、オレが『嘆きの地下墳墓』を最速でクリアしたのもよくなかった。
オレに遅れること一か月、ギーも『嘆きの地下墳墓』をソロで攻略した。したのだが、あまり話題にならずに終わってしまった。オレの後だからね。
ギーだって、オレより一か月も遅いが、オレがいなければ歴代最速タイムでのソロクリアだった。
本来ならば、学園のみんなに一目置かれるのはギーだったはずだ。
ついでに言えば、オレがアンセルムから一本取ったのもよくなかった。
アンセルムといえば、自分の道場を持ち、王族や貴族、そして騎士にもたくさんの門下生がいる王国最強だ。
知らなかったとはいえ、オレはそんなすごい人から一本取ってしまった。
そのせいで、ギーの印象など吹き飛んでしまい、一年生の実力者の一人という認識になってしまった。
そんなつもりじゃなかったんだけど、まぁなんだ、ごめんね?
そんなこんなで、そんなつもりはなかったのにオレがギーの邪魔をしているみたいなのだ。
なので、オレとしても罪滅ぼしのつもりでギーのサポートでもしようかと思ったのだが、オレってギーとまともな接点がないんだよなぁ。どうやって声をかけよう?
ギーは主に平民のグループで固まっているし、いきなりオレが声をかけるのもなぁ。
同じく平民のジゼルとはたまに話すようになったんだけど、ギーにはちょっと声をかけにくい。
「どうしたもんか……」
「どうしたんだよ?」
オレの呟きが聞こえたのか、隣の席のエロワがオレを見ていた。
「いや、今度テストがあるだろ? どのメンバーで行こうかと思ってな」
「あん? 何を悩む必要があるんだ? いつものメンバーでいいだろ?」
「いつもの?」
「ほら、一緒に朝練してるメンバーだって。ちょうど六人ぴったりだろ?」
「あー……」
オレとエロワ、ポール、シャルリーヌ、アリソン、ブリジットの六人か。
「いつものメンバーなら呼吸もわかってっし、他の奴と組むメリットがねえよ」
たしかに、オレたちは朝練を通してお互いのやれることやできないことを知っている。オレたち以上に息の合うメンバーはいないだろう。それに、チームを組んだ時のバランスもいい。
今さらオレがメンバーを抜けるのも不義理かもしれない。メンバーにはシャルリーヌもいるし、ギーとシャルリーヌどっちの方が大切かと言われれば、オレはシャルリーヌと即答する。
まぁ、オレにとって究極のところ、ギーはどうなってもいいしな。
「じゃあ、そうするか」
「そうしろ、そうしろ。あっちは人気だろうから、早くいかないと取られちゃうかもしれないぜ?」
「そうだな」
ゲームでのシャルリーヌは教室の隅でポツンといるタイプだったけど、今のシャルリーヌの周りにはアリソンとブリジットをはじめ、たくさんのクラスメイトがいる人気者だ。きっとこれが本来のシャルリーヌなのだろう。
「行ってくるわ」
オレは椅子から立ち上がると、シャルリーヌに向けて歩き出した。
「ふむ……」
オレは配られたテストの説明書きを見ながら、考えに耽る。
オレはもうゲームで知っていることだが、学園にもテストがある。テストの得点が筆記試験とダンジョン攻略で決まるのもゲームの通りだ。
この学院では、筆記試験の得点の他にも、どれほどダンジョンを深く攻略したかでテストの点数が決まってくるのである。
ダンジョンをどれだけ深く潜れたかなんて、いくらでも詐称できそうだとも思ったのだが、ダンジョンの潜った深さを知るための魔法の道具があるみたいだ。便利でいいね。
そして、今回のテストでは、一年生は初級ダンジョンである『嘆きの地下墳墓』の他に、中級ダンジョンまで攻略することが初めて可能になる。
初めてのダンジョンでどれだけ的確に動けるかというところだろう。
ダンジョン攻略だが、上限六人までのチームを組むことが許されている。どんなチームを組むかも査定項目なのだろう。
オレが悩んでいるのは、このチーム分けだ。
オレとしては、主人公であるギーと組みたい。ギーなのだが、主人公なのになんだかあんまり活躍してないんだよなぁ。
今のギーの立ち位置は、マルゲリットと面識のある平民の中で一番強い生徒といった感じだ。普通すぎる。
ゲームだったら、事あるごとにテオドールがギーに難癖をつけて、それをギーがテオドールをコテンパンにするというイベントが起きるのだが、当のテオドールがなぜか動かないんだ。
「……オレのせいか?」
いやまぁ、薄々感づいてはいたけど、もしかしなくてもオレがテオドールをボコボコにしてしまったせいだろうか?
あの決闘以来、テオドールはいつも憔悴したような顔をしているし、目に生気がない。とてもギーに絡む元気はなさそうだ。
というか、テオドールのじっとりとした瞳は、確実にギーではなくオレをロックオンしている。
なんでこんなことになったのやら……。
それに、オレが『嘆きの地下墳墓』を最速でクリアしたのもよくなかった。
オレに遅れること一か月、ギーも『嘆きの地下墳墓』をソロで攻略した。したのだが、あまり話題にならずに終わってしまった。オレの後だからね。
ギーだって、オレより一か月も遅いが、オレがいなければ歴代最速タイムでのソロクリアだった。
本来ならば、学園のみんなに一目置かれるのはギーだったはずだ。
ついでに言えば、オレがアンセルムから一本取ったのもよくなかった。
アンセルムといえば、自分の道場を持ち、王族や貴族、そして騎士にもたくさんの門下生がいる王国最強だ。
知らなかったとはいえ、オレはそんなすごい人から一本取ってしまった。
そのせいで、ギーの印象など吹き飛んでしまい、一年生の実力者の一人という認識になってしまった。
そんなつもりじゃなかったんだけど、まぁなんだ、ごめんね?
そんなこんなで、そんなつもりはなかったのにオレがギーの邪魔をしているみたいなのだ。
なので、オレとしても罪滅ぼしのつもりでギーのサポートでもしようかと思ったのだが、オレってギーとまともな接点がないんだよなぁ。どうやって声をかけよう?
ギーは主に平民のグループで固まっているし、いきなりオレが声をかけるのもなぁ。
同じく平民のジゼルとはたまに話すようになったんだけど、ギーにはちょっと声をかけにくい。
「どうしたもんか……」
「どうしたんだよ?」
オレの呟きが聞こえたのか、隣の席のエロワがオレを見ていた。
「いや、今度テストがあるだろ? どのメンバーで行こうかと思ってな」
「あん? 何を悩む必要があるんだ? いつものメンバーでいいだろ?」
「いつもの?」
「ほら、一緒に朝練してるメンバーだって。ちょうど六人ぴったりだろ?」
「あー……」
オレとエロワ、ポール、シャルリーヌ、アリソン、ブリジットの六人か。
「いつものメンバーなら呼吸もわかってっし、他の奴と組むメリットがねえよ」
たしかに、オレたちは朝練を通してお互いのやれることやできないことを知っている。オレたち以上に息の合うメンバーはいないだろう。それに、チームを組んだ時のバランスもいい。
今さらオレがメンバーを抜けるのも不義理かもしれない。メンバーにはシャルリーヌもいるし、ギーとシャルリーヌどっちの方が大切かと言われれば、オレはシャルリーヌと即答する。
まぁ、オレにとって究極のところ、ギーはどうなってもいいしな。
「じゃあ、そうするか」
「そうしろ、そうしろ。あっちは人気だろうから、早くいかないと取られちゃうかもしれないぜ?」
「そうだな」
ゲームでのシャルリーヌは教室の隅でポツンといるタイプだったけど、今のシャルリーヌの周りにはアリソンとブリジットをはじめ、たくさんのクラスメイトがいる人気者だ。きっとこれが本来のシャルリーヌなのだろう。
「行ってくるわ」
オレは椅子から立ち上がると、シャルリーヌに向けて歩き出した。
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