108 / 117
108 『洞窟』③
しおりを挟む
昼食を終えて元気いっぱいのオレたちは、第十一階層へと足を踏み入れた。
そこはどこまでも続く洞窟の地下世界だった。そこを隊列を組んで並んで歩く。まるでアリにでもなった気分だな。
出現するモンスターも第一から第十階層までとあまり変わらない。だが……。
「さっきのってホーンラビットだったよな?」
先ほど、確かにホーンラビットを倒したエロワが疑問を口にする。
「なんか、デカくなかったか? それに妙にすばしっこくなってたような……」
「ボクが戦ったゴブリンも少し大きかったんだなー」
さすがに今まで何度もホーンラビットやゴブリンと戦ってきたエロワとポールは気が付いたようだ。
「二人の感覚は間違いじゃないよ。モンスターは確かに大きく、そして強くなっている」
そう。出現するモンスターの種類こそ今までとは変わらないが、モンスターのレベルが違うのだ。
まぁ、エロワもポールも一撃で倒せるから、勘違いかと迷う程度の差しかないけどね。それだけエロワとポールも成長しているのだ。
そして、成長しているのはオレたち男だけじゃない。シャルリーヌ、アリソン、ブリジットの女の子たちも成長している。三人ともオレみたいに休みの日にダンジョンに潜るわけじゃないから成長は限定的だけど、毎朝の朝練で技量はかなり上がっている。
ゲームでは、肉体的な強度を示す肉体レベルと、武器や魔法の扱いの習熟度を表した技量レベルというものが存在した。シャルリーヌたちは、肉体レベルこそまだ低いが、技量レベルはクラスメイトの中でも高めだろう。
技量レベルが上がれば、新しい技や魔法を覚えられる。シャルリーヌたちは手札の多い状態で攻略に臨んでいるわけだね。
低かった肉体レベルも今回のダンジョン攻略で育つだろうし、なかなか将来有望だと思う。
七色クリスタルに照らされた洞窟を進むこと一時間弱。次の階層への下り坂が現れた。
「上級生の方たちには『洞窟』はまるで迷路のような構造だから攻略には時間が取られると教えられましたけど……アベル様は一度も行き止まりにぶつかりませんね」
「ま、まぁ運がよかったんじゃないか?」
ヤッベ。やっぱたまに道を間違えないといくらなんでも不自然だよなぁ。
だからといって、マッピングしているアリソンに指摘された直後に道を間違えるのもわざとらしい。十二階層では、一度くらいはミスしておくか。
そんなことを考えながら、オレたちはホーンラビットを倒し、ゴブリンを倒し、ウルフを倒し、第十二階層を攻略していく。
「お?」
順調に攻略していると、初めて見た物体が姿を現した。
まるで幼稚園児が石を積み上げて作った二メートルほどの人形のようなフォルム。その頭部、人形の目に当たる部分には赤い丸い水晶球が填まっており、鈍い輝きを放っていた。
ストーンゴーレム。ゴーレム系のモンスターは、第十一階層から出現する物理ダメージに高い耐性を持つモンスターだ。
「はぁああああああああああああああああッ!」
オレはストーゴーレムを見つけると同時に斬りかかった。
ガキンッという硬質な音が洞窟内に響き渡り、右腕が強く痺れた。文字通り、本当に石を殴ってるみたいだ。これでは武器の方が壊れてしまう。事実、オレはこれまで連れ添ってきた片手剣に若干の違和感を感じていた。
だが、斬りかかった効果はあったようで、ストーンゴーレムはオレを標的に選んだようだ。その石柱のような両腕を振り上げてオレに迫る。
「アイスランス!」
シャルリーヌの涼やかな声が洞窟内に響き渡り、洞窟内の気温が下がったような気がした。
その瞬間、ゴカーンッと凄まじい激音を立ててストーンゴーレムと氷柱がぶつかり合う。シャルリーヌのアイスランスだ。ストーンゴーレムはバラバラに砕け散り、白い煙となって消えた。
倒したみたいだ。
「シャルリーヌ、いい魔法だったよ。助かった」
「ふふんっ! いいのよ」
「アベル、ストーンゴーレムはどうだった? 斬れそうか?」
「斬るのは難しいな。良くて少し砕けるくらいだろうし、そんなことをしても意味があるとも思えない。さっきみたいに魔法で片付けるか、コアである目を狙うかだな」
「硬い相手は苦手なんだなー……」
「わたくしの弓も役に立ちそうにありませんね……」
シャルリーヌは得意げだったが、ポールとブリジットがげんなりとしていた。オレだって硬い相手は苦手だ。
「シャルリーヌ様、ドロップアイテムを見つけました」
「ありがとう、アリソン」
シャルリーヌがアリソンからストーンゴーレムのドロップアイテムを受け取って、腰のマジックバッグに収めていた。
パッと見たところ、あの黒い石はたぶん鉄鉱石だな。ゴーレム系のモンスターは、ゲーム通りなら鉱石かコアである赤い宝玉をドロップするはずだ。
「ストーンゴーレムの相手はシャルリーヌに任せるよ。大丈夫そう?」
「任せておきなさい!」
これまで魔法禁止で鬱憤が溜まっていたのか、シャルリーヌはとてもいい笑顔で頷いた。
スクショしたい。
そこはどこまでも続く洞窟の地下世界だった。そこを隊列を組んで並んで歩く。まるでアリにでもなった気分だな。
出現するモンスターも第一から第十階層までとあまり変わらない。だが……。
「さっきのってホーンラビットだったよな?」
先ほど、確かにホーンラビットを倒したエロワが疑問を口にする。
「なんか、デカくなかったか? それに妙にすばしっこくなってたような……」
「ボクが戦ったゴブリンも少し大きかったんだなー」
さすがに今まで何度もホーンラビットやゴブリンと戦ってきたエロワとポールは気が付いたようだ。
「二人の感覚は間違いじゃないよ。モンスターは確かに大きく、そして強くなっている」
そう。出現するモンスターの種類こそ今までとは変わらないが、モンスターのレベルが違うのだ。
まぁ、エロワもポールも一撃で倒せるから、勘違いかと迷う程度の差しかないけどね。それだけエロワとポールも成長しているのだ。
そして、成長しているのはオレたち男だけじゃない。シャルリーヌ、アリソン、ブリジットの女の子たちも成長している。三人ともオレみたいに休みの日にダンジョンに潜るわけじゃないから成長は限定的だけど、毎朝の朝練で技量はかなり上がっている。
ゲームでは、肉体的な強度を示す肉体レベルと、武器や魔法の扱いの習熟度を表した技量レベルというものが存在した。シャルリーヌたちは、肉体レベルこそまだ低いが、技量レベルはクラスメイトの中でも高めだろう。
技量レベルが上がれば、新しい技や魔法を覚えられる。シャルリーヌたちは手札の多い状態で攻略に臨んでいるわけだね。
低かった肉体レベルも今回のダンジョン攻略で育つだろうし、なかなか将来有望だと思う。
七色クリスタルに照らされた洞窟を進むこと一時間弱。次の階層への下り坂が現れた。
「上級生の方たちには『洞窟』はまるで迷路のような構造だから攻略には時間が取られると教えられましたけど……アベル様は一度も行き止まりにぶつかりませんね」
「ま、まぁ運がよかったんじゃないか?」
ヤッベ。やっぱたまに道を間違えないといくらなんでも不自然だよなぁ。
だからといって、マッピングしているアリソンに指摘された直後に道を間違えるのもわざとらしい。十二階層では、一度くらいはミスしておくか。
そんなことを考えながら、オレたちはホーンラビットを倒し、ゴブリンを倒し、ウルフを倒し、第十二階層を攻略していく。
「お?」
順調に攻略していると、初めて見た物体が姿を現した。
まるで幼稚園児が石を積み上げて作った二メートルほどの人形のようなフォルム。その頭部、人形の目に当たる部分には赤い丸い水晶球が填まっており、鈍い輝きを放っていた。
ストーンゴーレム。ゴーレム系のモンスターは、第十一階層から出現する物理ダメージに高い耐性を持つモンスターだ。
「はぁああああああああああああああああッ!」
オレはストーゴーレムを見つけると同時に斬りかかった。
ガキンッという硬質な音が洞窟内に響き渡り、右腕が強く痺れた。文字通り、本当に石を殴ってるみたいだ。これでは武器の方が壊れてしまう。事実、オレはこれまで連れ添ってきた片手剣に若干の違和感を感じていた。
だが、斬りかかった効果はあったようで、ストーンゴーレムはオレを標的に選んだようだ。その石柱のような両腕を振り上げてオレに迫る。
「アイスランス!」
シャルリーヌの涼やかな声が洞窟内に響き渡り、洞窟内の気温が下がったような気がした。
その瞬間、ゴカーンッと凄まじい激音を立ててストーンゴーレムと氷柱がぶつかり合う。シャルリーヌのアイスランスだ。ストーンゴーレムはバラバラに砕け散り、白い煙となって消えた。
倒したみたいだ。
「シャルリーヌ、いい魔法だったよ。助かった」
「ふふんっ! いいのよ」
「アベル、ストーンゴーレムはどうだった? 斬れそうか?」
「斬るのは難しいな。良くて少し砕けるくらいだろうし、そんなことをしても意味があるとも思えない。さっきみたいに魔法で片付けるか、コアである目を狙うかだな」
「硬い相手は苦手なんだなー……」
「わたくしの弓も役に立ちそうにありませんね……」
シャルリーヌは得意げだったが、ポールとブリジットがげんなりとしていた。オレだって硬い相手は苦手だ。
「シャルリーヌ様、ドロップアイテムを見つけました」
「ありがとう、アリソン」
シャルリーヌがアリソンからストーンゴーレムのドロップアイテムを受け取って、腰のマジックバッグに収めていた。
パッと見たところ、あの黒い石はたぶん鉄鉱石だな。ゴーレム系のモンスターは、ゲーム通りなら鉱石かコアである赤い宝玉をドロップするはずだ。
「ストーンゴーレムの相手はシャルリーヌに任せるよ。大丈夫そう?」
「任せておきなさい!」
これまで魔法禁止で鬱憤が溜まっていたのか、シャルリーヌはとてもいい笑顔で頷いた。
スクショしたい。
105
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~
キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。
異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。
役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。
隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。
戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。
異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。
まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。
ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。
それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。
次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。
その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。
「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」
※カクヨムにも掲載中です。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。
彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。
最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。
一種の童話感覚で物語は語られます。
童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる