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ピヨリーヌはなんの問題もないかのように、ヘビをペンギン?のひなの口にずずいっと放り込んだ。
「嘘でしょ!」
(そんなミミズみたいにヘビって食べられちゃうものなの?)
するするごっくん。ぺろりとたいらげてみせたペンギン?のひなは、ピヨリーヌがお世話をしていることから考えても、あの卵から生まれた聖獣なのだろう。
(竜とか、不死鳥とか、そういう生き物じゃないものが生まれることもあるんだなあ)
神話や伝説として伝わっていないのは、やはりペンギン?だとなんとなく締まらないからなのだろうか。ぼんやりと考えるエリカに、罵声が浴びせられる。
「お前のせいだ! 急に領主命令で内部調査が入って首になるなんて。卵を取り上げて何が悪い。聖獣というのはな、お前のような地味な女ではなく、わたしのような立派な男が育てるべき生き物なのだ!」
唾を飛ばしながら怒りを露わにしているのは、聖獣保護協会の窓口の男だった。勝手な言葉に、エリカは男をにらみつける。だが男の手には、ナイフが握られていた。
「エリカ!」
遠くから団長の声が聞こえる。
「りょ、領主さま? うわあああ、わたしはおしまいだ!」
(団長が領主さま? そんなことってある?)
だが、今はその質問をするべきときではない。迫りくる刃から少しでも身を守るべく、小さくしゃがむ。けれど恐れていた衝撃が来ることはなかった。代わりに聞こえたのは野太い絶叫。
「ぐえええええええ」
男がピヨリーヌに襲われていた。すごい勢いで蹴りあげられ、くちばしで目を突かれている。
(さすがピヨリーヌさん。的確に急所を狙っていくスタイルね!)
いくらどつき回されているとはいえ、日頃は彼女なりに手加減をしてくれているのだとエリカにも理解できた。
「え、聖獣さん。あなたは何を?」
もきゅもきゅもきゅ……ごっくん。ヘビを飲み込むのだってどう考えてもおかしかったのに、聖獣は聖獣保護協会の男の頭を飲み込んでしまった。
さすがに首より下は口の中に入らないようで、首をあっちに振ったりこっちに振ったり。散々試行錯誤したあとで、結局でろりと吐き出した。
ぺぺぺぺぺ。
さらによだれまみれのカツラがすごい勢いで吐き出される。べとべとの男は、燃え尽きた目で遠くを見ていた。どうやら、聖獣の胃の中で見てはいけないこの世の真理を覗いてしまったらしい。
「大丈夫か!」
「あ、団長。大丈夫です。ピヨリーヌさんと聖獣さんが守ってくれまして」
そこでぎゅっと抱きしめられた。団長の手が震えている。
「頼む。こんな無茶はもう二度としないでくれ。俺は確かにずっと一緒に暮らしてきたピヨリーヌさんよりも信用できないかもしれない。君が大好きな聖獣にも劣るかもしれない。口下手で、好きな相手にプレゼントひとつ贈ることができずに屋敷の部屋に貯め続けてしまうような気持ち悪い男だ。それでもどうか、見捨てないでくれ。俺にできることは何でもするから。どうかこれからもずっと隣にいてほしい。俺に君のことを守らせてくれないか」
驚くような告白を耳にしたエリカは、とりあえずあのスケスケいやんなランジェリーについて詳しく聞いてみようと心に誓った。
「嘘でしょ!」
(そんなミミズみたいにヘビって食べられちゃうものなの?)
するするごっくん。ぺろりとたいらげてみせたペンギン?のひなは、ピヨリーヌがお世話をしていることから考えても、あの卵から生まれた聖獣なのだろう。
(竜とか、不死鳥とか、そういう生き物じゃないものが生まれることもあるんだなあ)
神話や伝説として伝わっていないのは、やはりペンギン?だとなんとなく締まらないからなのだろうか。ぼんやりと考えるエリカに、罵声が浴びせられる。
「お前のせいだ! 急に領主命令で内部調査が入って首になるなんて。卵を取り上げて何が悪い。聖獣というのはな、お前のような地味な女ではなく、わたしのような立派な男が育てるべき生き物なのだ!」
唾を飛ばしながら怒りを露わにしているのは、聖獣保護協会の窓口の男だった。勝手な言葉に、エリカは男をにらみつける。だが男の手には、ナイフが握られていた。
「エリカ!」
遠くから団長の声が聞こえる。
「りょ、領主さま? うわあああ、わたしはおしまいだ!」
(団長が領主さま? そんなことってある?)
だが、今はその質問をするべきときではない。迫りくる刃から少しでも身を守るべく、小さくしゃがむ。けれど恐れていた衝撃が来ることはなかった。代わりに聞こえたのは野太い絶叫。
「ぐえええええええ」
男がピヨリーヌに襲われていた。すごい勢いで蹴りあげられ、くちばしで目を突かれている。
(さすがピヨリーヌさん。的確に急所を狙っていくスタイルね!)
いくらどつき回されているとはいえ、日頃は彼女なりに手加減をしてくれているのだとエリカにも理解できた。
「え、聖獣さん。あなたは何を?」
もきゅもきゅもきゅ……ごっくん。ヘビを飲み込むのだってどう考えてもおかしかったのに、聖獣は聖獣保護協会の男の頭を飲み込んでしまった。
さすがに首より下は口の中に入らないようで、首をあっちに振ったりこっちに振ったり。散々試行錯誤したあとで、結局でろりと吐き出した。
ぺぺぺぺぺ。
さらによだれまみれのカツラがすごい勢いで吐き出される。べとべとの男は、燃え尽きた目で遠くを見ていた。どうやら、聖獣の胃の中で見てはいけないこの世の真理を覗いてしまったらしい。
「大丈夫か!」
「あ、団長。大丈夫です。ピヨリーヌさんと聖獣さんが守ってくれまして」
そこでぎゅっと抱きしめられた。団長の手が震えている。
「頼む。こんな無茶はもう二度としないでくれ。俺は確かにずっと一緒に暮らしてきたピヨリーヌさんよりも信用できないかもしれない。君が大好きな聖獣にも劣るかもしれない。口下手で、好きな相手にプレゼントひとつ贈ることができずに屋敷の部屋に貯め続けてしまうような気持ち悪い男だ。それでもどうか、見捨てないでくれ。俺にできることは何でもするから。どうかこれからもずっと隣にいてほしい。俺に君のことを守らせてくれないか」
驚くような告白を耳にしたエリカは、とりあえずあのスケスケいやんなランジェリーについて詳しく聞いてみようと心に誓った。
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