残念なことに我が家の女性陣は、男の趣味が大層悪いようなのです

石河 翠

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「本当にごめんなさい! 今日のお茶会の予定なんだけれど急遽欠席という形にしてもらってもいい?」
「まあ、またですか。今回は、一体何を押し付けられたんです」
「兄さまが溜め込んでいた書類が発掘されちゃったんだ。僕ひとりじゃ、仕事が終わりそうにないの。お願い、アデル手伝って」
「発掘って、一体どれだけ溜め込んだのやら」
「えーと、これくらい?」
「あなたの背丈より多いとか、王太子殿下も第二王子殿下も何を考えていらっしゃるのですか」
「でも、僕はおしゃべりとか苦手だから。兄さまたちに面倒な社交を任せている分、事務仕事でできることはできるだけ手伝いたいんだ。僕の出来があんまりよくないせいで、アデルがお茶会や夜会に参加できる機会を潰しちゃって本当にごめんなさい」

 うるうるした眼差しで私を見上げてくるのは、四歳下の婚約者である第三王子殿下。可愛らしい小動物のような彼にお願いされてしまうと、駄目だとか嫌だなんて言えなくなってしまう。私も大概、彼に甘いのかもしれない。

「もう、仕方ありませんね」
「アデル、怒ってる? アデルが参加したいなら僕のことは気にせずにアデルだけお茶会に行ってもいいんだよ?」

 僕を置いていかないよね? 僕以外の人間の手をとったりしないよね?と言わんばかりの涙目で見られてお茶会に行けるほど、私も肝が据わっていない。

「何をおっしゃっているのやら。さあ、お手伝いします。さっさと済ませてしまいましょう」
「うん、わかった! じゃあアデル。アデルのお部屋でお仕事しよう。僕、書類を全部持ってきたから、わざわざ王宮に向かわなくても大丈夫だよ!」
「殿下いけませんよ。とても大事なものもたくさんあるのに、そんな不用意に外に持ち出しては」
「うううう、ごめんなさい」

 こらえきれずにべそをかき始める可愛らしい婚約者をなだめながら、私は自室にて書類仕事を手伝うことにした。隣国の王女も参加するという王宮のお茶会に出席しないで済むということにほっと胸を撫でおろしながら。
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