ダンゴムシは押しかけ女房ならぬ、世話焼き侍女でした~恩返しは正直お腹いっぱいです。今すぐ帰ってください~

石河 翠

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ダンゴムシは押しかけ女房ならぬ、世話焼き侍女でした(2)

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「そういうわけで、お伺いしましたミシェルと申します。誠心誠意お仕えしますので、どうぞよろしくお願いいたします」

 あたしが朝食を食べ始めたその数分後。なぜかとびきりの美少女が我が家を訪ねてきた。パリッとした小綺麗な侍女服に毛先までしっかり手入れされたツヤツヤの髪がまぶしい。おやおや、貴族街はあちらですよ~。訪ねる家、間違ってるんじゃないの。話をテキトーに聞き流していたあたしの荒れた手を、美少女はしっとりとした手で包み込んだ。

「先ほど、お嬢さまが『美少女になって出直せ』とおっしゃったでしょう。神さまに頼んで『チョッパヤ』で仕上げていただいたんです。もしかして、お好みに合わなかったのでしょうか……」

 しょんぼりした美少女もいいもんだなあ。いやあ眼福だわあ……って、え、何それ、展開はやっ。なんでこの国の神さま、こういうことばっかり仕事早いの。もっと他にやることないの? 思わずスプーンを取り落としたあたしのことを放置して、美少女は台所で何やら勝手に作り始めた。さすが侍女の格好をしているだけあって、仕事が手早い。

「これは、ビスクとよばれるクリームスープです。ぎゅぎゅっと濃縮されたエビやカニの旨みを全部食べることができる上に、栄養たっぷりなんです」

 エビとかカニとか貧乏人の家には縁のない高級食材なんですけど! 単純に押しかけるのではなく、手土産持参とはやっぱり美少女は強い。これは思わず追い返せなくなる高等テクニック。さすが、神さまと直接話したことがあるひとはやることが違うわ~。意地汚いだけ? ふふん、なんとでも言うがいいわ。腹が減っては戦はできぬ。貧乏人なめんなよ。

「わたくしたちは、おおざっぱに言うと甲殻類の仲間なので、エビやカニとも言葉が通じるんですよ~。ここに来る直前に海で捕獲してきました♪」

 おいおいおいおい、食べづらいじゃん!

 まあ、高級食材と美少女の努力を無駄にするわけにはいかないので、全部美味しくいただいたけどね。何か問題でも?
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