ダンゴムシは押しかけ女房ならぬ、世話焼き侍女でした~恩返しは正直お腹いっぱいです。今すぐ帰ってください~

石河 翠

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ダンゴムシは押しかけ女房ならぬ、世話焼き侍女でした(3)

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 美少女ミシェルはそんなこんなでちゃっかりあたしの家に住みついた。なんと、周囲のみんなもミシェルのことを受け入れている。いや、もっと怪しめよ。ふたりで買い物に行くと、あたしひとりで買い物に行く時よりもおまけの量が桁違いに多くて、あたしは軽く絶望した。

「ミシェルちゃん、これ売れ残りのブーケなんだけどね。良かったら持って行ってくれたら嬉しいなあ」

 いや、それ全然しおれてないし! 普通に売り物のブーケだし! ってか、あたし、そんなこと一回も言われたことないし! ちょっと待て、どういうことだよ。

「今日もミシェルちゃんは可愛いねえ。どうだい、うちの息子の嫁に来ないかい?」

 結構本気っぽい勧誘をする八百屋のおっさんや、肉屋のおっさんに向かって、ミシェルは天使のような微笑みを浮かべる。

「いいえ、わたくしの喜びはこのまま一生お嬢さまにお仕えすること。それ以上の望みはありませんわ」

 そのまま周囲の視線があたしに突き刺さる。OK、OK。皆まで言うなよ。あたしにだってよくわかる。なんでこんな美少女が、あたしみたいな平凡娘に仕えているのかって言いたいんでしょ。むしろあたしが知りたいわ。

「本当なら、お嬢さまにはわたくしそのものを召し上がっていただきたかったのですが、お断りされてしまいましたので……」

 ため息をついたミシェルの姿に、八百屋の息子と肉屋の息子が鼻血を出して倒れた。いや、違うから。ミシェルが言ってるのは、そんなスイートなお誘いじゃなくって、ダンゴムシとして物理的に食べろって意味だからね。なんか、「鼠婦そふ」っていう薬になるらしいよ。効果は利尿作用……いらねー! あと、非常食としてそのまま食べることも可能らしいよ。絶対、食べないけどね!

「わたくし、お嬢さまのことは頭のてっぺんから脚のつま先まですべて存じあげておりますのに……」

 それはさ、水と燃料費の節約のために一緒にお風呂に入っているだけで……。あ、魚屋の息子も鼻血を出して倒れた。ここの商店街さ、本当に大丈夫?
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