ダンゴムシは押しかけ女房ならぬ、世話焼き侍女でした~恩返しは正直お腹いっぱいです。今すぐ帰ってください~

石河 翠

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ダンゴムシは押しかけ女房ならぬ、世話焼き侍女でした(4)

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 ふたりで自宅に戻ると、玄関脇の蜘蛛の巣にダンゴムシが引っかかっていた。あのさあ、ここの蜘蛛の巣はダンゴムシホイホイなの? ダンゴムシよ、もう少し賢くなりなさい。それから蜘蛛の巣を張るなとは言わないからさ、蜘蛛ももうちょっと別のところに張りなよ。ダンゴムシ捕獲しても、たぶん美味しくないよ。

「お嬢さま、そのダンゴムシはどうなさいます? よろしければ……」
「食べないからね。絶対に食べないからね! そうだねえ、イケメンならミシェルの弟分として一緒に住んでもいいかも」

 なーんてね。正直、美少女だけで手一杯。これにイケメンなんて来たら、荷が重いわ。それなのに、軽口を叩いた次の瞬間、ダンゴムシがイケメン執事に様変わりした。黒いスーツと白の手袋で爽やかに一礼をきめられる。

 おいこら、様式美ってもんはどこに行った。こういうのは何かを助けてやった何日か後に、「自分はあの時助けていただいた○○です」って恩返しに来るんじゃなかったんかい。えらくお手軽に来やがったな。

「お嬢さま。私はあなたに助けていただいた……」

 知ってるから。今、この瞬間、助けたばっかりだから。

「まったくお嬢さまったら、本当にお優しい方なんですから」

 いや、そんな笑顔でこっちを見つめるのはやめてくれる?
 ってか家主の許可を得ずにうちに上り込むのはなんで?
 一緒に暮らすことは決定済みってどういうこと?
 イケメン執事め。勝手知ったる我が家感を醸し出しながら、お茶とかつがないでほしい。

「ですから、最初はわたくしです。それは譲れませんわ」
「わかりました。それではその後の順番は?」
「毎日交互にするにしても、お嬢さまも単調では飽きてしまわれるかもしれません。たまには三人で……」

 あとさあ、当たり前のように昼日中から、いかがわしい会話をするのやめてくれないかな。っていうかやるなら、本人に聞こえないようにするとかそういう気遣いが必要なんじゃない? え、聞こえるように会話している? 本当にお前たちはさっさとダンゴムシの国に帰れ。

 両手に花どころか、頭痛のタネが増えた翌日。
 今度は幼児特有の甲高い声が玄関に響いた。

「あの、すみません。すづくりのじゃまをしていた、ダンゴムシをとってくれたおれいに……」

 もういい! もういいから!
 恩返しはもうお腹いっぱいです!!!
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