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第0章 『辞職からの転生』編
1 ※前書き
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===*前書き*===*===*===
注意!
この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。悪しからず。
なお、初回4話までは、隔日で公開します!
===*===*===*===*===
そこそこ給料の良い中堅会社に勤めて、早五年。
私は、入社当時からずっと同じ部署で働く、替えが利く事務職員の一人だった。特に希望部署があったワケじゃないから、仕事内容に不満はない。
……が、そこは地獄だった。人間関係が。
吐く言葉は罵倒か自慢の両極端な上司に、合コンに行く為に仕事を押しつけてくる腰掛けお姉様、誤字脱字は当たり前な上に悪筆な後輩、あとはエトセトラエトセトラ……。
当然のごとく毎日残業、休日返上も珍しくはない。これをブラック企業と言わずして、何と言うのだろう。
そして、私と同じぐらい働いている社員は、果たしてどれくらいいると言うのか。少なくとも、同じ部署にはいない。
……そもそも、私の仕事量は、労働基準法に違反している気がする。いくら給料がよくても、割りに合わない。三日に一度は、サービス残業だった。
そう気づけたのは先日のこと。……常識感覚もマヒしてるらしい。
これは、流石にない。
このままでは、会社に殺される!
だから私は、決意した。
……この前読んだ小説に勇気を貰って。
「部長、私……この会社辞めます」
辞表をデスクに叩きつけ、私は「今まで大変お世話になりました?」、と皮肉を込めて爽やかに笑ってやる。……私がお世話になったのは、すでに寿退社──実際には、ハラスメント+ブラックな環境に耐えかね、結婚に逃げての退社──した先輩だけだっつーの。フーン、だ。
……余談だが、私の顔は、表情によってはかなり威圧感があるらしい。
そのせいか、私が辞表を叩き込んだ時、セクハラ常習犯な部長顔は引き攣っていた。正直、胸がスカッとした。
それが、たった三日前のことだ。
本当なら今頃、今日の半日で私は引き継ぎを済ませ、午後から貯まりに貯まった有給休暇を優雅に消化する……予定だった。
実際は、終わらない仕事と疲れる人間関係から解放されたことにより、張り詰めていた精神が肉体の休養を求めて機能停止していた。
……ようは、風邪を拗らせたのだ。
しかし、これまで体調を崩すことなど滅多になかった私の部屋に、風邪薬なんぞ置いてない。
初日こそ大人しく家でゴロゴロしていたが、やっぱり早く治すには薬は必要かと思い至り、ついさっき会社に連絡をしてから、近所のドラッグストアに出掛けた、のだが……。
……なのに、何がどうしてこうなった?
「勇谷 清明さんっ、おめでとうございます!
貴女の改変力を見込んで、こちらへ招待させていただきました~!」
目の前に広がるのは、際限なく広がる純白の空間。
気が狂いそうなほど広いその中で、妙にテンションの高い人物が私に話し掛けてくる。
その人物は、髪は短いけど、容姿も声音も中性的で、性別がどっちだか検討つかない。やや身長が低いから、女顔の少年っと言ったところだろうか。
どうもアルビノらしく、全体的に《白》の印象が強いが、その瞳だけは引き込まれそうなほど妖しい《赤》だった。でも、クリムゾンと言うより、ヴァーミリオンに近い。
そして、何よりかなりの美形だ。思わず、息を呑んでしまうほどの。
平凡女子の私に、こんな知り合いいない。
「えっと、どちら様でしょう?初対面……ですよね」
「よっくぞ聞いてくれました!さすが清明さんですっ!」
ホント、テンションたっかいな。疲れる。
こちとら風邪引いてんだが……早く話し始めてくれないだろうか?と、思わず胡乱げな目で見てしまった。
そんな私の視線に気づいてか、少年(?)はテヘッと誤魔化し笑いをした。くそぅ、美形だからって、だからってぇえっ……えぇい、許しちゃるわ!(←絆された)
「え~、こほん。
では、改めまして……初めまして清明さん。ボクは《イリオスヴァスィレマ》、この空間の支配者であり、界を繋ぐ者。
貴女に分かりやすく言えば、異世界転移・転生の斡旋及び仲介業をしています」
「は?」
ちょっと待て、なんだ今の。宇宙言語?日本語でおk。……てか、聞き間違いだよね?そうだよね?
だって『異世界転移・転生』とか、あれフィクションでしょう?……もしかして、違うの!?
「……貴女の『信じらんなーい!』って気持ちがよく伝わってきますよ、その表情。でも、これマジなんですよねぇ。
ボクもそこまで関知してる訳じゃないので、おおよその推測に過ぎないですが……貴女の界隈で流行っている『異世界転移・転生』モノは、たぶんそちらへの転生者が書いたのかと。
大半の人は記憶を消去しているので気づかないのですが、魂とかに残ってるとですね……(うんたらかんたら)」
話長い。
……でもまぁ、ようするに異世界への転移・転生は、実際にあるってことは理解した。
で、それを私に話してどうしろと?
「えぇと、はい!貴女には、ある世界に転生して貰いたいのです!」
……ねぇ、ちょっと待って。今度こそ聞き間違い、だよね?「いえ違いm……」黙って「はいぃ」、よし。
まずは落ち着こう。腹式呼吸、深呼吸だ。すーはーすーはー……うん、もう大丈夫。
さて、と。
「ねぇ、ちょっと。イ、イリオスバシレマ……様?」
「様はいいです。全っ然、敬われてないでしょうし。イリオスヴァスィレマと言いにくいなら、イリオスと呼んでください。
何でしょう?」
かっっっるいな、おい。一応お偉いさんでしょうに。……確かに敬ってないけど。
まぁいい、話が逸れた。
私が一番気になったのは、これだ。
「仮に百歩……いえ、千歩万歩譲って『転移』なら分かるけど、どうして『転生』なの?」
そう、そうなのだ。
私は風邪を引いてはいるものの、まだバリバリに生きている。ここに来る前に事故った覚えも、突然死した覚えもない。……気づかないほど鈍いとは思いたくない。
それなのに、『転生』はおかしくないだろうか?
「あー……気づいちゃいましたか。ですよねっ。
でも、これは別に変じゃないんですよー。こっちとしては。
だって、清明さん。
……本来なら貴女は、今頃───『過労死』している予定だったのですから」
「───はぃ?」
注意!
この小説はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。悪しからず。
なお、初回4話までは、隔日で公開します!
===*===*===*===*===
そこそこ給料の良い中堅会社に勤めて、早五年。
私は、入社当時からずっと同じ部署で働く、替えが利く事務職員の一人だった。特に希望部署があったワケじゃないから、仕事内容に不満はない。
……が、そこは地獄だった。人間関係が。
吐く言葉は罵倒か自慢の両極端な上司に、合コンに行く為に仕事を押しつけてくる腰掛けお姉様、誤字脱字は当たり前な上に悪筆な後輩、あとはエトセトラエトセトラ……。
当然のごとく毎日残業、休日返上も珍しくはない。これをブラック企業と言わずして、何と言うのだろう。
そして、私と同じぐらい働いている社員は、果たしてどれくらいいると言うのか。少なくとも、同じ部署にはいない。
……そもそも、私の仕事量は、労働基準法に違反している気がする。いくら給料がよくても、割りに合わない。三日に一度は、サービス残業だった。
そう気づけたのは先日のこと。……常識感覚もマヒしてるらしい。
これは、流石にない。
このままでは、会社に殺される!
だから私は、決意した。
……この前読んだ小説に勇気を貰って。
「部長、私……この会社辞めます」
辞表をデスクに叩きつけ、私は「今まで大変お世話になりました?」、と皮肉を込めて爽やかに笑ってやる。……私がお世話になったのは、すでに寿退社──実際には、ハラスメント+ブラックな環境に耐えかね、結婚に逃げての退社──した先輩だけだっつーの。フーン、だ。
……余談だが、私の顔は、表情によってはかなり威圧感があるらしい。
そのせいか、私が辞表を叩き込んだ時、セクハラ常習犯な部長顔は引き攣っていた。正直、胸がスカッとした。
それが、たった三日前のことだ。
本当なら今頃、今日の半日で私は引き継ぎを済ませ、午後から貯まりに貯まった有給休暇を優雅に消化する……予定だった。
実際は、終わらない仕事と疲れる人間関係から解放されたことにより、張り詰めていた精神が肉体の休養を求めて機能停止していた。
……ようは、風邪を拗らせたのだ。
しかし、これまで体調を崩すことなど滅多になかった私の部屋に、風邪薬なんぞ置いてない。
初日こそ大人しく家でゴロゴロしていたが、やっぱり早く治すには薬は必要かと思い至り、ついさっき会社に連絡をしてから、近所のドラッグストアに出掛けた、のだが……。
……なのに、何がどうしてこうなった?
「勇谷 清明さんっ、おめでとうございます!
貴女の改変力を見込んで、こちらへ招待させていただきました~!」
目の前に広がるのは、際限なく広がる純白の空間。
気が狂いそうなほど広いその中で、妙にテンションの高い人物が私に話し掛けてくる。
その人物は、髪は短いけど、容姿も声音も中性的で、性別がどっちだか検討つかない。やや身長が低いから、女顔の少年っと言ったところだろうか。
どうもアルビノらしく、全体的に《白》の印象が強いが、その瞳だけは引き込まれそうなほど妖しい《赤》だった。でも、クリムゾンと言うより、ヴァーミリオンに近い。
そして、何よりかなりの美形だ。思わず、息を呑んでしまうほどの。
平凡女子の私に、こんな知り合いいない。
「えっと、どちら様でしょう?初対面……ですよね」
「よっくぞ聞いてくれました!さすが清明さんですっ!」
ホント、テンションたっかいな。疲れる。
こちとら風邪引いてんだが……早く話し始めてくれないだろうか?と、思わず胡乱げな目で見てしまった。
そんな私の視線に気づいてか、少年(?)はテヘッと誤魔化し笑いをした。くそぅ、美形だからって、だからってぇえっ……えぇい、許しちゃるわ!(←絆された)
「え~、こほん。
では、改めまして……初めまして清明さん。ボクは《イリオスヴァスィレマ》、この空間の支配者であり、界を繋ぐ者。
貴女に分かりやすく言えば、異世界転移・転生の斡旋及び仲介業をしています」
「は?」
ちょっと待て、なんだ今の。宇宙言語?日本語でおk。……てか、聞き間違いだよね?そうだよね?
だって『異世界転移・転生』とか、あれフィクションでしょう?……もしかして、違うの!?
「……貴女の『信じらんなーい!』って気持ちがよく伝わってきますよ、その表情。でも、これマジなんですよねぇ。
ボクもそこまで関知してる訳じゃないので、おおよその推測に過ぎないですが……貴女の界隈で流行っている『異世界転移・転生』モノは、たぶんそちらへの転生者が書いたのかと。
大半の人は記憶を消去しているので気づかないのですが、魂とかに残ってるとですね……(うんたらかんたら)」
話長い。
……でもまぁ、ようするに異世界への転移・転生は、実際にあるってことは理解した。
で、それを私に話してどうしろと?
「えぇと、はい!貴女には、ある世界に転生して貰いたいのです!」
……ねぇ、ちょっと待って。今度こそ聞き間違い、だよね?「いえ違いm……」黙って「はいぃ」、よし。
まずは落ち着こう。腹式呼吸、深呼吸だ。すーはーすーはー……うん、もう大丈夫。
さて、と。
「ねぇ、ちょっと。イ、イリオスバシレマ……様?」
「様はいいです。全っ然、敬われてないでしょうし。イリオスヴァスィレマと言いにくいなら、イリオスと呼んでください。
何でしょう?」
かっっっるいな、おい。一応お偉いさんでしょうに。……確かに敬ってないけど。
まぁいい、話が逸れた。
私が一番気になったのは、これだ。
「仮に百歩……いえ、千歩万歩譲って『転移』なら分かるけど、どうして『転生』なの?」
そう、そうなのだ。
私は風邪を引いてはいるものの、まだバリバリに生きている。ここに来る前に事故った覚えも、突然死した覚えもない。……気づかないほど鈍いとは思いたくない。
それなのに、『転生』はおかしくないだろうか?
「あー……気づいちゃいましたか。ですよねっ。
でも、これは別に変じゃないんですよー。こっちとしては。
だって、清明さん。
……本来なら貴女は、今頃───『過労死』している予定だったのですから」
「───はぃ?」
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