異世界で勇者兼聖女なりました!……が、現在ドラゴンにストーカーされてます!?

嘉藤 静狗

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第0章 『辞職からの転生』編

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清明さやかさんは、運命って信じます?」

 『運命』──それは、一般的には決して変えることの出来ないもの。また、それをもたらす力のこと。
 だから、人間はそれを神の御心の業とも表す。まぁ、ぶっちゃけその存在は曖昧なものだと思う。
 ……でも、それが一体どうしたと言うのだろうか。

「実は、世界って割りと単純に出来てまして。ごとに、ある程度のシナリオが決まってるのですよ。いつ滅ぶとか、誰が死ぬとか」

 さらりと言ったけど、それけっこう怖い話だね?だって、誰がどんな人生歩むのかとか、確定されてるってことでしょう?
 こーんなところで、カ○ヴァンの予定説が証明されるとか……知りたくなかったわぁ。

「……で、そちらの世界では、シナリオ通りなら貴女は過労死しているはずだった」

 それも、知りたくなかったね。自分の死亡予定とかさ。
 しかも、過労死かぁ……。あのまま、あそこで勤めてたらあり得た未来だったんだ。やっぱり。
 ……あれ?じゃ、何で私回避できたんだ?

「し か し っ、偶然が起きて貴女の死は、なんとっ回避されたのです!
 いやぁ~、命に関わる運命ってそうそう変わらないのですが……貴女は凄いですねぇ☆
 だって、まさかに影響されて会社辞めちゃうなんて!」

 吃驚です、と言い、少年(?)はケロリと笑った。……冷静に振り返ると反論できないよ。ぐぅの音も出ねぇ。
 え、でもちょい待ち。


「……運命って不変じゃないの?」


 そう言ってキョトンとしていると、イリオスは微苦笑した。
 ねぇ、子ども扱いしてません?見た目的には、あなたの方が子どもショタなのに。くぅっ!

「そんなことないですよ~。むしろ、つまんないじゃないですか!意外性なくって」

 あはは~っと、言いきったコヤツを脳内でボコった私を責められる人がいるなら、頼むから出てきてほしい。

 えぇと、ごめん。取り乱したわ。

 ……とにかくイリオス曰く、とか次元とかを取っ払った先にある場所?定義?の向こうの存在が、こちら側──もちろん、私たちの生きる世界を含む──を覗くとき、退屈しないようあらかじめシナリオを緩く設定しているそうな。

 ……『この世は誰かのみる夢』説みたいで、これも怖い話だよね。
 その結果、シナリオを破る──つまり運命改変を引き起こすことが、稀に起こるらしい。


 なら、何で私がここに呼ばれたんだろ?
 私が無自覚に運命改変したのは分かったけど、そのとやらの垣根を越えれば、他にも候補がいたんじゃないの?

「いえ、貴女ほど大きな改変をした者は、ここ数百年単位の界隈にはいませんよ?
 まぁ、その所為せいで貴女はこの世界に居られなくなってしまったのですが……」
「えぇ……なんでよ」
「それは、バタフライ効果とシナリオ改変による再編された予定調和の結果、ですかね?」

 バタフライ効果と予定調和、ね。
 ……確か、バタフライ効果は、蝶の羽ばたきが未来の嵐の原因になっているとか、なんとかってヤツ。
 予定調和の方は、神様が世界を調和させるために……って、これはさっきのシナリオうんぬんそのままだよね。たぶん。
 私、倫理は苦手だったからな~。よく覚えてないんだ。なんせ、暗記が苦手だから。

「貴女が生き延びたことにより、まず貴女の勤めていた会社の調査介入が遅れます。
 その間に、親会社の方で幹部役員が横領をするのですが……その金は浮気相手を経由して、とある反社会勢力の懐に流れますね。いわゆる、美人局だったのでしょう。
 しかも、その資金を元手に増えたお金が、そこから某宗教団体に回りまして……その、この先聞きたいですか?」
「聞きたい気もするけど、とりま結論言って」
「最終的に、地球はドカーンッ☆ですっ。約26年後ぐらいに」

 数字が具体的だな!?
 てか、あれからどうしたらそんな事に……あ、やっぱりいいです。聞きたくないわ。

「それに、清明さん自体もかなりの力を持ってしまいましたからねぇ。
 や、特に目に見えるようなものじゃないのですよ?でも、他のシナリオの因果律にも影響が……(ごにょごにょ)」

 ……つまり、私が生きていると都合が悪いと。
 それは、何とも──酷い話だね?


 だって、せっかく生き残ったのに。
 それでも、世界のために死んでた方が良かった、って聞かされるなんて、ね。全くもって、酷いよなぁ……。

 思わず私が俯いていると、イリオスはしゅんと眉を下げてしまった。

「……ごめん、なさい。
 だけど、言わなければ納得できないでしょう?
 ……このままでは周囲に与える影響が強過ぎるので、本来のシナリオに戻させてもらいたい。
 異世界への転生は主にこちらの都合を押しつけるお詫び、なのです」

 そっか、お詫びなのかぁ。へぇへぇへぇー。了解了解ー。


 ──……なぁんて、聞き逃すとでも思った?


 『主に』……ねぇ、まだ何か隠してるっぽいな。

 ジト目でじいぃっと見つめると、失言を悟った当のイリオスはうっと息を詰まらせた後、しばらくは首を左右振っていた。
 が、ついには根負けして全てを白状した。(←させた、とも言う)

「……異世界転移・転生には、膨大なエネルギーが必要なんです。特に記憶を残したままにするには、魂を保護したりとか。肉体情報だけ、送り先仕様にしたりとか、その他にも諸々……。
 貴女の持ってしまった改変力は、転移させても有り余るほど。だから、一度死んでリセットしていただいてから、転生してもらいたいのですよ。
 それでも若干余ってしまうので、残り分は貴女の肉体へと還元しますが」

 ……はぁ、分かったよ。
 私の力──改変力?だっけか。それをどーしても消費させたいのね……。それで、異世界転生かぁ。

 まぁ、どうにかこうにか事情は呑み込めたわ。
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