異世界で勇者兼聖女なりました!……が、現在ドラゴンにストーカーされてます!?

嘉藤 静狗

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第0章 『辞職からの転生』編

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「……で、私はどーすればいい?」
「はいっ、大まかでいいので転生後の希望をこちらに書いてください♪」

 さっきまでのしおらしい態度、どこ行った?……まぁ、いいけど。

 私はイリオスから手渡された紙を覗き込む。そこにはアンケート形式で色々書かれていた。
 例えば……第一設問。

・転生は生まれ直しからやりたいですか? 
     →Jaヤー/Neinナイン

 な ぜ ド イ ツ 語!?
 普通、Yes/Noじゃないの!?大学で単位取ってたから少しは分かるけどさー。「だからだよ☆」←黙れや。
 ま、ここは『Nein』を取るけど。私の親はあくまでとーさんとかーさんだけだし。生まれ直しとか、自立できるまで恐ろしく時間かかるじゃん。
 そんなことを思っていたら、よく見ると設問のいくつかが薄くなっていた。主に容姿とか性別に関する部分が。

「生まれ直ししないなら、ここは変えられないんだよねぇ」
「え、じゃあ私の見た目どうなるの?」
「んー?今と変わらないよ(ほとんどはね)」
「ならいいや」

 私の容姿は可も不可もなく、平凡……というには少し男前かな。顔つきとか、あと身長も──日本人女子の平均よりは──高いし。父に似すぎるほど似てるからなー。……お胸様はDよりのCですのよ。エヘン。

 でも、同級生には、男装が似合いそうだとよく言われたっけ。この姿のまま転生できるなら、むしろ好都合だ。
 ……だって、鏡で自分を見て「何この美少女!?」って、イヤじゃん。まぁ、美少女とは限らないけど。


 そんなこんなで、他のもポンポンとほぼ直感で決めていく。
 もっと慎重になるべき!……なーんて言われそうだけど、石橋叩いて渡っても後悔するときゃするんだし、いいよね。アンケートなんて、そんなもんでしょ。

 ざっくり100問ほどを書き終わると、最後には『他に希望はありますか?』の枠。芸が細かいなぁ。
 それはそうと。んーんー、希望ねぇ……何かあったっけ?あ、そうだっ!

「うんと、『食べた分だけ太る体質を治してください。見た目に出なければそれでも可』っと。これでよし」
「……女の子は気にするよね、それ」
「まぁね」

 全部(色の薄くなったところも含めて)書き終わって、抜けがないかを確認してから、イリオスに紙を渡す。……ねぇ、あんまりまじまじと見ないでよ。恥ずかしい。

 と、おもむろにイリオスは、満足そうに(そして、面白そうに)ニッコリ笑うと紙を放った。すると紙は空中で淡く発光しながら、私の手元に再び戻ってくる。
 驚いて内容を見ると、さっきとは変わっていた。数字の羅列……まるでこれは。

「な、何ぞこれ」
「それはアンケートの結果から作った、清明さやかさんの基礎ステータスだよっ」
「マジかよ!」

 やっぱりか!なーんか、RPGのヤツに似てると思った。
 でも、ちと待て。このステータス……初期値なら高過ぎじゃない?
 と言うか、むしろラスボス戦直前のステだよな!?

「そりゃそうですよー。貴女の余った改変力を注ぎ込んだら、初期値でもこうなりますって!(しかも、これだけじゃないですし☆)」
「さ、さすがは地球滅亡レベルの力……」

 ステータスは、オールマイティーなバランス型。でも、やや魔法使いより。……と言うか、転生先には魔法があるらしい。スゴいよね。
 で、スキルは探索に役に立ちそうなのがいっぱいだ。《探索》とか《オートマップ作成》とか。あ、《暗視》なんてのもある。
 それ以外で目を引くスキルは《テイム》かな。魔獣や魔物と契約して使役できるらしい。うんうん、転移・転生モノの王道だよねー。
 何だか、某有名RPGのレンジャーとパラディンが混ざったような感じのステータスだ。

「安定志向ですねっ、清明さん」
「特化型もいいんだけど……使いこなせる自信がないからね」

 自分一人で攻撃・防御・治癒・強化が出来るのが理想だよね。知らない世界で生きてくなら。
 だって、私の性格キャラじゃ殺られる前に殺るとか、盾殴りとか、破僧とか、狂戦士バーサーカーとかムリムリ。そもそも、ゲームでもバランス型かサポート系しかしたことなかったし。

「肉体の設定は完了しました~。じゃ、次行きましょ?」

 あどけなさの残る美貌に、満面の笑みを湛えたイリオスに、またも紙を渡される。書類苦手なのにっ……!くうぅ……美形めぇえっ!



 それからは、装備品や刺青──転生者は、その世界の神の眷属になるので、その証明に必要らしい──のデザイン決めやら、初期装備(お金とか食料とか)の設定、はては転生後の世界の常識イロハの勉強など、たくさんのことをやった。

 途中から熱が入ったあまりに、イリオスとあつい友情を交わしてしまったほど。
 ……どうしてこーなった?

 最初は戸惑ったけど、こうしている内に私の中で覚悟が決まっていった。きっと、そんなのもイリオスにはお見通しだったんだろうなぁ……。



 そして、全ての準備が整ったその日。
 ついに、私の旅立ちの瞬間がやって来た──。
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