異世界で勇者兼聖女なりました!……が、現在ドラゴンにストーカーされてます!?

嘉藤 静狗

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第1章 『最初の街』編

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「……さて、説明してもらおうか。お嬢?」
「その前に、一つだけいいでしょうか。ギルドマスター」
「…………分かった、聞こう」

 ギルドマスターの了承を得るや、私はその場にスッと膝を折る。そして、三つ指突いて頭を深々と下げた。

「大っ変、申し訳ありませんでしたあぁぁぁっ!!」

 これぞ、私の最上級の謝罪姿勢──ジャパニーズ☆土下座である。





 夕方、私は丘の惨状をそのままに、ギルドへとやってきた。……消してきても良かったけど、帯電が切れてからの方が楽だと思ったんだ。まぁ、半ば放心状態だったのもあるんだけど。
 なんだか慌ただしい酒場の方を尻目に、カウンターの方へと進むと、そこに声がかかる。

「お嬢!無事だったか!」
「へ?どーしたんですか?ギルドマスター」

 ギルドマスターは大きな水晶を片手に、私に駆け寄ってくる。……ギルドマスターの容姿に、その水晶は合わないんじゃ………ん?あぁ、あれ魔道具なんだ。《伝言》の魔水晶って言うのか。へー。

 ……じゃなくてっ!なんで、みんなこんなに慌ててるの?何か、とんでもないことでも、起きた?

「さきほど、メリーディエースの丘の方から戦略級魔法以上の魔力波が検出された。
 ……お嬢は、まだ行ってなかったようだがな」

 メリーディエースの丘──戦略級魔法、以上の魔力波……?

 そ、それって。まさかまさかの……?
 うぅ、でも認めざる得ないよね。はぁ、怒られるだろうなぁ。

「たぶん、それ私です。ギルドマスター……」
「な、に……?」

 驚愕するギルドマスター。信じられないって表情かおしてるよ。
 いやでも私以外にあり得ないよね、状況的にさ。だって、あそこに居たの私とスライムだけだし。

「……とりあえず、お嬢は俺と一緒に来てもらおう」



 そして、冒頭に戻るのである。



「お嬢が、戦略級魔法を、使ったぁ?」

 ギルドマスターの呆れたような視線が、グサグサと刺さる。
 ……おかしいって思うよね、普通。私も思うわ~。何このチートスペック振りっ!

「……証拠になりそうな物は、何かあるか?」

 あぁ、でも一応聞いてくれてるみたい。なんて優しい人なんだ!
 んーでも証拠、かぁ……私がここでやってみればてっとり早いだろうけど。そしたら、この都市アトラスヴィル滅ぶよね。余裕で。
 うーあー、どーしよ……あっ、そういえば。

「コレって、どうですか……?」

 《異空間収納》から呼び出したのは、例のブツ──変質したと思われる、スライムの欠片二種である。……内側の方からパチパチ、ピキピキって音をたててスッゴく不気味なんだけど。

 ちなみに、出したのは全部じゃなくて、二つだけ。
 だって、全部合わせて六十個近くあるんだもの。さすがに机に乗せきれないよ。

「スライムの欠片か?───いや、これはっ!」

 つまみ上げた欠片を見つめていたギルドマスターは、その正体に気づくと椅子を蹴倒しながら立ち上がった。
 ……やっぱ、ヤバい物だったっぽい。

「間違いなくお嬢の魔力だな、中にあるの。
 ……こいつなら充分証拠に出来る」

 そう言って、ギルドマスター少しだけホッとしていた。
 だって、コレでメリーディエースの丘に現れた戦略級魔法を使った犯人は分かったんだもんね。危険人物がいなくて安心するのも分かるよ。
 さっそく、《伝言》の魔水晶を使っていろんなところに連絡してるっぽい。……お手数おかけします。


 でも、依然として私のピンチは終わってないんだけど。

「一応聞くが……変質したスライムの欠片は、これで全部だよな?」
「はい。……と言えたら良かったんですが」
「あぁ、分かったよ察したわ。……で、いくつだ?」
「あと、五十四……」

 その言葉に、ギルドマスターは頭を抱えて、ふっかぁ~いため息を吐いた。ホント、お疲れ様です。
 でもね、心労はお察しするけど、こっちだってまだ混乱してるんだよ……。


 ──曰く、変質したスライムの欠片とは、スライム種を対応するで倒した際に発生するものなんだそう。
 何故、稀になのかと言うと、生成条件が厳しいから。

 そもそも、魔法属性六種にはそれぞれ司る領域と上位属性が存在する。


【火】→火炎と熱を司る。上位属性は【爆発】。

【水】→水と生命を司る。上位属性は【氷】。

【土】→土壌と力を司る。上位属性は【金属】。

【風】→風と感覚を司る。上位属性は【雷】。


 以上が、四元素魔法。
 ちなみに、私が使った《氷条天雷之神立ヒョウジョウテンライノカンダチ》は、【水】と【風】の上位属性の【氷】と【雷】の複合魔法だった。……どーりで、戦略級魔法になったワケだ。納得。

 そして、天冥魔法はと言うと。


【光】→閃光と治癒を司る。上位属性は【聖】。

【闇】→暗黒と精神を司る。上位属性は【邪】。


 である。
 もっとも、この二つの上位属性は、正直限定的な場面でしか使用できない。
 【聖】属性はアンデット系かゴースト系の魔物の討伐時に、【邪】属性は暴走した聖獣や神獣の封印に使われる。
 それ以外でも使えないことはないんだけど……まぁ、なかなか使う機会がないのは確かだ。


 で、スライムの欠片の変質は、スライムの属性に対してその上位属性の魔力を浴びることによって起こるのだ。それこそ戦略級魔法のね!
 今回の討伐対象は【水】と【風】のスライム、そこに私が【氷】と【雷】の魔法を使ったから、変質が成立したのだ。

 ……大量に変質した理由?もちろん、オーバーキルのせいだよ。やれやれ。



「───お嬢、一体何者だ?」

 ギルドマスターが訝しげな目で私を見る。いや、よく見ると畏怖の念も込められてるな。
 ……まぁ、無理もない、か。ついこの前会ったばかりの人間が、明らかにおかしいスペックを持ってるんだもの。そりゃあ、警戒するよね。
 ギルドマスターのように、上に立つ人間なら、特に。

(早々に、年貢の納め時かぁ)

 ついに、私は覚悟を決めるしかなかった。
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