異世界で勇者兼聖女なりました!……が、現在ドラゴンにストーカーされてます!?

嘉藤 静狗

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第1章 『最初の街』編

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『……それがですねぇ、できない理由があるのですよ~』

 私の疑問にたいして、イリオスはそう答えてしょぼんと俯いてしまった。


 ──曰く。
 事の発端は、イリオスが放置したせいで腐敗し、増長してしまった《イリョス神教》の教会なのだと言う。

 信仰が始まった初期は、物珍しさから何度も教会に出現していたイリオス。
 昔は《イリオスヴァスィレマ》の名前と、真摯な心があれば、簡単に人々の前に顕現出来ていたらしい。
 でも、いつ行っても、どこに行っても人々の態度に変化はない。縋るわ、祈るわ、拝み倒すわで、イリオスにとってはそこにさしたる面白味はなかったのだ。
 それでも、自分の世界の者だから、と当初は乞われるままに奇跡を起こしていた。けれど、ついには飽き飽きしてしまい、こちらに降りることはなくなったのだそう。


 ……そんな理由があったのか。てっきり、忘れてるだけかと。

『ボクが長らくこちらに顔を出さなかったので、教会の権威は一時的に地に落ちました。
 ……まぁ、その頃にはすでにボクの名前を間違えちゃうぐらいには、信心は揺らいじゃってたのですが』

 それって、教会自体には求心力がなかったってことなんじゃ……。
 ま、象徴が消えた途端に手の平を返しちゃう人間の方も、いけなかったんだろうけど……ね。

『そこで教会が、ボクのとして祭り上げるようになったのが、『勇者』や『聖女』と言った《使命職ロールジョブ》持ちのヒトたちです』

 あぁ、なるほど。そーゆーことか。
 前──ギルドマスターのところでも言ったように、《使命職》のは自動的に神の眷属扱いだ。イリオスという分かりやすい旗頭をなくした教会にとっては、これ以上ないほどうってつけの人材だろう。

『えぇ……その通りです。
 彼らが、教会に囲われるようになってからは、《魔王》討伐が以前のように立ち行かなくなってしまいまして。
 ……現在そちらにいる魔王は、から既に百年経ってしまってます』

 出現が百年以上前……なら、はそれよりもっと前だよね?うっわぁ、なにそれヤバそう。

 でも確かに、万が一にも囲っていた《使命職》のヒトが死んじゃったら、教会的には大ダメージだもん。そりゃあ、危険筆頭の《魔王》討伐なんぞ行かせるわけないわな。

 ──あ、だから私に『勇者』と『聖女』を付けたのか!
 なんせ私なら、教会に取り込まれる恐れはないからね。

『はいっ!清明さんはボクから直接説明してありますし、この世界のも教えてあるので、まず騙されないでしょう?これで教会に囲われる心配はないのです!
 それに、器としても最適でして。《使命職》を二つ受け入れても、清明さんなら大丈夫でしたから!』

 ……おい待て、前半は分かるが後半のなんだ。
 もしかして《使命職》って、受け入れる上でマズいことでもあるのか?
 そんなん、言ってたっけ?

『そりゃそうですよ~。仮にも、ボクの眷属になるんですからね!当然ですって!
 あまりにも貧弱だったり、体質が合わなかったりすると、拒絶反応が起きますから。……もっとも、選定の時点でそういうヒトは弾いてますよ?
 でも、《使命職》を複数持つには、器の条件が厳し過ぎてですねぇ……過去にも、片手で足りるほどしかいないです。
 ───あ、ちなみに清明さんなら、あと三つはいける器がありますよ?』

 もっといります?と、無邪気に聞いてくるイリオス。うん、一応聞くけど何を?………やっぱ《使命職》かぁ、そうですか。
 ──それに対しては、私は声を大にして、こう答えたいと思う。

「んなもんいるか──────っ!!」






 身体の中心で、何かがカチリ、と嵌まるような感覚と共に目が覚める。
 ……コレ、この世界に転生してからじゃなくて、前からあったんだよなぁ。
 たしか、仕事を辞めることを決めたときぐらいから。なんなんだろ?


 まぁいいや。
 取り敢えず、イリオスと今後の方針は決めたから、さっそく動き出さなきゃ。

 着替えて荷物をまとめると、私は食事もそこそこに宿をチェックアウトする。
 そして、その足でギルドに向かうと、受付でお姉さんにギルドマスターを呼び出してもらった。……まだ朝早いのに、お姉さんもギルドマスターもお疲れさんです。

「ハルア・キラ様っ!きn───あでっ!?」
「昨日の件については分かってますから周りを見てから発言してくださいギルドマスター!」

 ギルドマスターが、私をしたせいで、周囲一同の視線を集めちゃったじゃあぁんんっ!目立ちたくないのに!
 もーっ、私の労りを返せ!

 って、思わず黙らせるために、足を踏んじゃったけど……ギルドマスターの足、もげてない?………あ、自動制限が働いたのね。よかったよー!
 あれ、でも悶絶してるよ?………んー、骨折はしてない、と。なら、打撲ぐらいはしてるかもね。

 あぁ、もう!
 そんなことしてる場合じゃなかった。

「───ギルドマスター、裏に行きましょう。……話したいことがあります」
「お、おぅ……」

 痛みで丸まった背中をぐいぐい押して、ギルドマスターをカウンター裏にある部屋にぐぐぐいっと押し込む。
 ……ついでに【水】の回復魔法もかけたよ。さすがに痛そうだし、足。
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