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第2章 『対・四天王①』編
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しおりを挟む〈【急募】魔獣退治
ヴァストークの森に魔蟲『大蜘蛛』が大量発生。至急退治されたし。
推奨ランク→B以上、最低でも+C。
推奨人数→四~五人。(Aランク以上なら、一人でも良)
達成条件→大蜘蛛三十匹以上の討伐。(アイテム・大蜘蛛の牙等の数で判断)
追加報酬→七割討伐(←現時点で九十二匹)達成で、償金の追加あり〉
「最近、こんな依頼ばっかねぇ……」
私は、《アトラスヴィル》を出た後、そこから東に向かった。
そして、二つほど町を経由して、今いるのは《ドロワヴィル》。特に目立つ町ではないはずの所だ。
しかし、着いて直ぐに気づいた。……ここは、どうもおかしい。
──『勇者』のスキルか『聖女』のスキルか、はたまた両方のか。魔力の源《シィーラ》の澱みを強く感じたのだ。
たぶん、この付近に《魔王》本体か、その配下──《四天王》がいる。
そう思った私は、「これかな?」と思った依頼を片っ端から受けていた。
……まぁ、勘はあまり当たってないんだけど。
でも、怪しい=難しい依頼のお陰で一気にお金が稼げたのは有り難い。ついでに、ランクも上がった。今は、+Bだ。
……こんときまで、知らなかったんだけどさ。《アトラスヴィル》でギュミルさんに依頼完了の手続きをしてもらった時に、ランクが初期のG(←これは身分証登録のみのヒトのランク)から-Cに上げられてたみたい。
ちなみに、一つの依頼で五階級特進は、限界値。
よーするに、上げられるところまで上げました☆ってこと。
ん?五階級特進は、ギルド規定に存在するだけで、実例はないらしいよ?アハハハハ……orz
ランクは、ギルドから冒険者に対する実力の保証度。強ければ高ランクになるし、逆もまた然り。
だから、ランク外の依頼を受けられないワケじゃないんだけど……上のランクを受けるのは、実力の比較が出来ない初依頼の時か、よっぽどの命知らずが大半だ。後者は大抵、受付で断られる。
でも、私は五階級特進の記録が残ってた為に、推奨ランク以上の依頼も受けられた。
ホント一気に上がったからね!なら、これも大丈夫では?と、言うことらしい。事実、私はB~-Aまでなら、無傷余裕だし。それ以上は、受けたことないから分かんないけど……たぶん、平気。
あ、余談だけど、私が未だ+Bで留まってるのは、端に受けた依頼の数が足らないからだって。
Aランクになるには、Bランク以上の依頼百件の成功が条件だ。
これもギルド規定にあるらしい。
「すみませーん、今日はコレ受けまーす」
「えぇと、どれですか?……あぁ、助かります!
そろそろ誰かを強制指名する予定だった件ですね。分かりました。折角ですし、こちらで少々色付けしましょうか」
すっかり馴染んでしまった受付のお姉さん。
野暮ったい瓶底丸メガネをしているけど、ホントはスッゴい美人さんなのだ。……たぶん、それを隠すためのアイテムなんだろうけど。
ところで、《色付け》とは、ギルド報酬の一種だ。期限切れ間近だったり、【急募】依頼だったり、あと危険度が高い依頼にギルドから追加報酬が付くのだ。
貰えるならありがたいので、笑顔で頷くと受付のお姉さんはにこにこと笑い返してくれた。
あぁ、眼福ですっ!キレイ系!!
「お気を付けていってらっしゃいませ、ハルア様!」
お姉さんに見送られながら、上機嫌でギルドを出てヴァストークの森に行って──。
──で、帰って参りました。
獣人族のお兄さんを一人連れて。
あ、依頼は完了してますよ?百十三体ほど倒して、ついでに上位種──『巨大蜘蛛』も二体。コレなら文句なしに成功でしょう!
でも、お兄さんプルプルしちゃってるんだよね。あんまりにも圧倒的すぎるところ見せちゃったからかなぁ。
うぅ、折角初めて獣人族のヒトと会ったのに!仲良くなれないかも……。
「お姉さん、依頼完了の手続きお願いしまーす。あと、このお兄さん蜘蛛に追いかけられてました」
「まぁっ、あれも半日で完了したんですか!流石ですね、ハルア様!
では、討伐証明のアイテム提示をお願いします。
あ、アシル君は《救出・保護証明》を書いてね~」
「はーい!」
「お、おぅ……(え、この子が依頼達成したこと疑わねぇの?マジで!?)」
……お兄さん、小声なんだろうけどさ。私には丸聞こえなんだよ。チートスペックで。
………え?やっぱ私、子どもに見えてるの?コレでもアラ○○なんだけど……。日本人って、スゴいわぁ(遠い目)。
さて、気を取り直して《異空間収納》から『大蜘蛛』(冷凍済)を取り出してカウンターに並べる。
えーと、ひぃふぅみぃ……うん、百十三匹欠損無しね。あ、『巨大蜘蛛』一匹は完全体(コレも冷凍済)だけど、もう一匹は腹(乾燥済)と牙だけだったか。
「……ハルア様、ハルア様。今回の依頼は『大蜘蛛』の討伐でしたよね?」
「───?はい、そうですよ」
「じゃあ……ここに見える、『巨大蜘蛛』の完全体は気のせいですか?」
「いいえ。……森の浅場に五匹ほどいたので、ついでに狩ってきました」
五匹ほど、のところで受付のお姉さんが青褪める。
まぁ、無理もない。あの森は初心者冒険者が練習のために行けるレベルの場所なのだ。そこに、『巨大蜘蛛』なんぞいたら、間違いなく死傷者が出るだろう。
でもね、もう安心していいと思うの。
「残りの『巨大蜘蛛』も、手負いにしてありますよ?
───みんなダルマになって、転がってるはずです」
そう答えた途端、受付のお姉さんと獣人のお兄さんの顔が引き攣った。
あれ?私、何かマズいこと言いました?
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