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第2章 『対・四天王①』編
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どうしたものか、と悩んでいるうちに『樹角鹿』は完全に戦闘体勢に入ったらしい。
……初手が突進、か~ら~のっ角突き上げ!なのは、やっぱり獣だからだろうか?な、なんて単純な。
ちょっとジャンプしただけで、簡単に避けられるじゃないかっ!
いやまぁ、コレもチートスペックのお陰ではあるけど。二メートルは跳んでるし。
「単調過ぎ───だってぇーのっ!」
すれ違い様に、角の一部を【火】の魔力を纏わせた双剣で、斬り払って落とす。
鹿角のいわゆるスパイクと呼ばれる部分だ。コレが刺さると痛い。てか、フツーのヒトなら死ぬ!
ちなみに角は魔樹なので、きちんと焼かないと秒で再生してしまうので、要注意だ!
………誰も聞いていないのは分かってるのだよ、くすん。
コホン。
……気を取り直して、『樹角鹿』の背後に着地して、今度は【風】の魔法で角の枝部分をを何ヵ所か伐っておく。
焼いてしまったスパイク部分には、当たらないようにするのがコツだ。
実は『樹角鹿』の枝角は、かなりのレアアイテムだ。
モノ自体には、明確な効果があるワケじゃないんだけど、なんだっけ……えっと、そうだ!触媒に使われるんだ!あと、特殊な魔法インクの材料とか、お香(?)とか。
そもそも、なんでレアアイテムなのかって?
それは『樹角鹿』が、個体数が少ない上に、臆病でエンカウント率もそう高くないからだ。
そのため、本来は狩猟自体が制限されてる魔獣になってる。前世で言う、絶滅危惧種みたいなもの。
ただ、今回のように相手の方から向かってくるなら別。むこうが逃げない限りは、害獣として狩っても問題はないのだ。
だって、狩猟制限されてるからって、放置してヒトを襲うのが常習化するのは、マズいからね。
まぁでも、魔樹はすぐに生えてくるので、いくらでも刈れる。つまり『樹角鹿』は、絶好の無限アイテム量産機でもあるのだ。
ただ、フツーは刈るのが難しいだけで。
けど、私には簡単に刈ることができる。
また、向かってくる相手は狩ってもいい。(主個体だから殺らないけどね)
そしてレアアイテムは、お金になる。とても、とてもお金になる。
……この絶好の機会を、逃す方がバカでしょ?
「ほぉらほらっ!こっちにおいで!
───せぇえのっで、もーいっかぁーいっ!」
チートスペックな体力で縦横無尽に跳ね回りながら、『樹角鹿』の枝角を刈りまくる。スパスパと切り落とす。
アイテムは、いつも通り《異空間収納》に自動回収されるので、フィールド上に転がって足をとられる──なんてヘマもしない。
『樹角鹿』は狂ったように、もしくは怒ったように頭を振りたくって突撃してくるけど、動きが単調過ぎて、もはや避けるのはよゆーだ。
よゆー過ぎて、ジャンプのついでにバク転やロンダート、果てはムーンサルトまで決めていた。
あぁ、流石はチートなり!前世では出来なかったんだよね。特にムーンサルト!
あ、そうそう。
『樹角鹿』は時々【風】魔法も使ってるっぽい。たぶん、あれは真空波だと思う。
けど、思ったより私との魔力差がありすぎて、全く攻撃としてこっちに届いてないんだが(笑)。
なんでも、私から無意識に放たれる魔圧が、魔法を阻んでるんだとか。
残念だったね!
……かれこれ跳ね回ること小一時間。
そろそろ、『樹角鹿』の動きが鈍くなってきたかな?
すぐに回復するとは言え、枝角──もとい、魔樹の再生もただじゃない。魔力と体力、どちらも消費していくのだ。
それに加えて、突進なぞ動きの無駄が多い攻撃と魔法攻撃もしているのだから、まぁ疲労はたまるよね。
じわりじわりと追い詰める。
『樹角鹿』はやがて、息を切らし、足を縺れさせていく。この森の主でありながら、フラフラと無様な姿をさらす。……なんか、ゴメン。
───プヒュウゥ……ブェエエェェ…………ッ
苦しげな鳴き声をあげる『樹角鹿』に、さらに罪悪感が沸くけど……ゴメンよおぉ!
後で何とかするから許して!追い討ちかけるわ!!
最後の仕上げに、またも【火】魔法を纏わせた双剣で頭上を跳ねると同時に、角を全て切り払う。
魔樹が《異空間収納》に仕舞われたのを確認すると、私は樹角鹿から少し距離を取る。
獲物に意識を集中させ、それでいてゆるりと身体から力を抜く。そして、はあぁ……っと息を吐き、スゥッと空気を吸い込む。
……想像するのは、捉え、捕らえる力。
それでいて、森を傷つけることなく、被害は最小限に。
だから、【火】と【雷】は使わない。と言うか、使えない。あれらは、森を燃やしてしまうから。
望む力は、
包み込むように、優しく。
守るように、強く。
さぁ、詠え。我が身よ。
[───来たれ、万象。
その真の名は《冠雪晏然天籟》、いざ我が意に応えよ]
真っ白な綿雪で『樹角鹿』の身体を包容し、抱擁する。
魔法のイメージは、冬。
冬は、あらゆるモノが停止する季節。生き物は皆、来たる時──春まで、穏やかな眠りにつく。
そう、冷たいはずの雪が、彼らの眠りを守るのだ。
[顕現、《雪暗調》]
そう唱えた瞬間。
身体から魔力が抜け、辺りの気温が急に下がった──。
……初手が突進、か~ら~のっ角突き上げ!なのは、やっぱり獣だからだろうか?な、なんて単純な。
ちょっとジャンプしただけで、簡単に避けられるじゃないかっ!
いやまぁ、コレもチートスペックのお陰ではあるけど。二メートルは跳んでるし。
「単調過ぎ───だってぇーのっ!」
すれ違い様に、角の一部を【火】の魔力を纏わせた双剣で、斬り払って落とす。
鹿角のいわゆるスパイクと呼ばれる部分だ。コレが刺さると痛い。てか、フツーのヒトなら死ぬ!
ちなみに角は魔樹なので、きちんと焼かないと秒で再生してしまうので、要注意だ!
………誰も聞いていないのは分かってるのだよ、くすん。
コホン。
……気を取り直して、『樹角鹿』の背後に着地して、今度は【風】の魔法で角の枝部分をを何ヵ所か伐っておく。
焼いてしまったスパイク部分には、当たらないようにするのがコツだ。
実は『樹角鹿』の枝角は、かなりのレアアイテムだ。
モノ自体には、明確な効果があるワケじゃないんだけど、なんだっけ……えっと、そうだ!触媒に使われるんだ!あと、特殊な魔法インクの材料とか、お香(?)とか。
そもそも、なんでレアアイテムなのかって?
それは『樹角鹿』が、個体数が少ない上に、臆病でエンカウント率もそう高くないからだ。
そのため、本来は狩猟自体が制限されてる魔獣になってる。前世で言う、絶滅危惧種みたいなもの。
ただ、今回のように相手の方から向かってくるなら別。むこうが逃げない限りは、害獣として狩っても問題はないのだ。
だって、狩猟制限されてるからって、放置してヒトを襲うのが常習化するのは、マズいからね。
まぁでも、魔樹はすぐに生えてくるので、いくらでも刈れる。つまり『樹角鹿』は、絶好の無限アイテム量産機でもあるのだ。
ただ、フツーは刈るのが難しいだけで。
けど、私には簡単に刈ることができる。
また、向かってくる相手は狩ってもいい。(主個体だから殺らないけどね)
そしてレアアイテムは、お金になる。とても、とてもお金になる。
……この絶好の機会を、逃す方がバカでしょ?
「ほぉらほらっ!こっちにおいで!
───せぇえのっで、もーいっかぁーいっ!」
チートスペックな体力で縦横無尽に跳ね回りながら、『樹角鹿』の枝角を刈りまくる。スパスパと切り落とす。
アイテムは、いつも通り《異空間収納》に自動回収されるので、フィールド上に転がって足をとられる──なんてヘマもしない。
『樹角鹿』は狂ったように、もしくは怒ったように頭を振りたくって突撃してくるけど、動きが単調過ぎて、もはや避けるのはよゆーだ。
よゆー過ぎて、ジャンプのついでにバク転やロンダート、果てはムーンサルトまで決めていた。
あぁ、流石はチートなり!前世では出来なかったんだよね。特にムーンサルト!
あ、そうそう。
『樹角鹿』は時々【風】魔法も使ってるっぽい。たぶん、あれは真空波だと思う。
けど、思ったより私との魔力差がありすぎて、全く攻撃としてこっちに届いてないんだが(笑)。
なんでも、私から無意識に放たれる魔圧が、魔法を阻んでるんだとか。
残念だったね!
……かれこれ跳ね回ること小一時間。
そろそろ、『樹角鹿』の動きが鈍くなってきたかな?
すぐに回復するとは言え、枝角──もとい、魔樹の再生もただじゃない。魔力と体力、どちらも消費していくのだ。
それに加えて、突進なぞ動きの無駄が多い攻撃と魔法攻撃もしているのだから、まぁ疲労はたまるよね。
じわりじわりと追い詰める。
『樹角鹿』はやがて、息を切らし、足を縺れさせていく。この森の主でありながら、フラフラと無様な姿をさらす。……なんか、ゴメン。
───プヒュウゥ……ブェエエェェ…………ッ
苦しげな鳴き声をあげる『樹角鹿』に、さらに罪悪感が沸くけど……ゴメンよおぉ!
後で何とかするから許して!追い討ちかけるわ!!
最後の仕上げに、またも【火】魔法を纏わせた双剣で頭上を跳ねると同時に、角を全て切り払う。
魔樹が《異空間収納》に仕舞われたのを確認すると、私は樹角鹿から少し距離を取る。
獲物に意識を集中させ、それでいてゆるりと身体から力を抜く。そして、はあぁ……っと息を吐き、スゥッと空気を吸い込む。
……想像するのは、捉え、捕らえる力。
それでいて、森を傷つけることなく、被害は最小限に。
だから、【火】と【雷】は使わない。と言うか、使えない。あれらは、森を燃やしてしまうから。
望む力は、
包み込むように、優しく。
守るように、強く。
さぁ、詠え。我が身よ。
[───来たれ、万象。
その真の名は《冠雪晏然天籟》、いざ我が意に応えよ]
真っ白な綿雪で『樹角鹿』の身体を包容し、抱擁する。
魔法のイメージは、冬。
冬は、あらゆるモノが停止する季節。生き物は皆、来たる時──春まで、穏やかな眠りにつく。
そう、冷たいはずの雪が、彼らの眠りを守るのだ。
[顕現、《雪暗調》]
そう唱えた瞬間。
身体から魔力が抜け、辺りの気温が急に下がった──。
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