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第2章 『対・四天王①』編
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しおりを挟む『ヴェリココ』…春頃に淡紅色の花を咲かせる樹木型の魔獣=魔樹。この世界には広く分布する樹木。夏頃に収穫を迎える実や種子は、多分に魔力の源《シィーラ》含み、数多くの魔法薬の材料に使われる。
ふむふむ、なるほど。
ここまでの表示は《世界事典》と大して変わらんね。まぁ、ソースが同じだからか。
ちなみに、ヴェリココは桜ではなさそう。幹が違うもの。
他に、春に咲く淡紅色の花と言えば……梅、かな?あー、でも、梅の花はギリギリ冬の終わりか。近いとは思うんだけど、なんだろ?
………あ、杏っぽいもの?なのね。へぇー。
確かに、杏から採れる杏仁は、前世の漢方でも有名だったわ。風邪薬とかで。
ふーん、納得納得~。
って、じゃなくて!《完全解析》の結果だよ!
本題を忘れるとこだった。あ、あぶねー。
「えーと、解析結果の表示……っと」
『ヴェリココ』
体力…グリーン域
→87%(正常値)
魔力…グリーン域
→92%(正常値)
状態…弱疲労
行動力…無し(非移動型魔樹)
攻撃…無し(非移動型魔樹)
→魔攻…有り(【土】魔法)
防御…普通
→対魔…やや強
幸運…普通
補足…再生疲労、一時的加護強化
特殊…ヴァストークの主の加護、『ИчжЮО"м族』の魔力効果→(!)
……なんか、思ったよか細かいね?
や、別にさぁ……細かいのは、悪いことじゃないんだけど。こんだけ丸裸になるのもなぁ。プライバシーを侵害してるようで、ビミョーな罪悪感。まぁ、相手さんはあくまで植物だからそこまででもないけど。
うーん、ヒトには使えないよねぇ。よっぽどのコトがなけりゃさ。
てか、最後の(!)←コレは何ぞや?
あと、その直前のヤツも文字化けしてね?
んーと、何とか出来ないかなぁっと……あ。
(!)→この世界史上初の『ИчжЮО"м族』による魔力干渉。
な、何か出てきた……ぞ?結局、詳しいことは分からんが。
まぁ、察するに、この『ИчжЮО"м族』ってのが、私本来の種族なんだろーね。今は『人族』のフリしてるけど。
でも、そっかー。史上初なら、過去に『ИчжЮО"м族』とやらは、この世界に存在してなかったっぽいね。新人種だったのか、私。
ん?いや、待て。そもそも──コレ、人間種なのか??
………あ、生きてる間はギリギリ人間種なんですか、そーですか。でもってソレ、暗に死んだら違うって言ってるようn……もがっ!?(←何故か口封じ?された。解せぬ)
はぁ、まぁいっか。
この調子で他の木の様子もバンバン確認していこー!おーっ!
──はい、確認終了☆
『杏っぽいの』以外には、『胡桃っぽいの』と『柘榴っぽいの』、あと一本だけ『林檎っぽいの』の樹があったよ。どれもちゃんと回復出来ているみたいで、一安心~。やれやれだぜ(←渋い声)。
あ、ついでにアシルお兄さんも確認したよ。………んー?さっき「ヒトには使えないよね」って言ってたって?……私はねぇ、ストーカーに人権を与えるほど甘くはないのだよ。フフフ……(黒笑い)
でも、コレもマジな話。結構、切実な問題だと思うんだ。
何せ、この世界にはインターネットなんぞない。口コミ……ってか伝聞・噂が評価に直結する。勘違いで祭り上げられるのもだけど、コレで私の正体がバレようものなら、二度と自由は望めないだろーね。
第一、元々私は『頼まれたら断れない☆』を地で行く典型的な日本人だったのだよ……!「勇者様・聖女様(←寒っ)、どうか助けてください」って言われたら、たぶん拒否できないと思う。ま、その性格のせいで前世で過労死したんだから、世話ないよねぇ。
さて、そんな私の秘密を暴こうとする悪質なストーカーに慈悲はいるか?
……答えは当然、Nein 一択!
前世のアニメなんかで、「知られたからには、死んでもらう……!」みたいなシーンあったけど、今ならその重要性がよく分かるよ。
誰だって、自分を脅かすモノが存在するコトに、耐えきれないもの。そんなもの、消してしまう=殺す方が、心情的に楽だ。
……でもさー、私は臆病者だから、殺人なんてできないワケさ。
だから、この世界だからこそ出来る方法で、縛らせてもらおうか?
「(詠唱なんぞ要らんよね。)……そぉれ」
「はっ?───うおぁ!?」
はいはい、確保☆
ふっ、阿呆面晒して油断しているヤツが悪いんだぜ?
……そもそも、今日一日の付き合いだけど、こーゆーところがアシルお兄さんの冒険者クラスが上がらない原因だと思う。はっきり言うと、チョロいしザコい。言い方悪いけどね~。
そうそう、ちなみに冒険者クラスはさっき《完全解析》で覗いちった☆((テヘペロ
結果はこちら↓
『アシュルタルト(アシル)』…『獣人族』の男性、五十三歳。冒険者歴は九年で、ランクはD。前職は実家で家業の薬師見習い兼配達人。長兄が家を継ぎ、跡継ぎである甥が成人(=十八歳)したので、それを機に冒険者へとなった。
体力…グリーン域
→94%(正常値)
魔力…グリーン域
→89%(正常値)
状態…弱疲労、捕縛
行動力…スピード特化+
攻撃…普通
→魔攻…有り(【土】魔法)
防御…普通
→対魔…やや弱
幸運…普通
補足…再生疲労
特殊…《四天王》から解放されし者、『ИчжЮО"м族』の魔力効果
……うん、正直Dランクは納得。
C以上は-・無印・+がつくことから分かりやすいように、同じランク内でも実力差が出やすい。だって、取り敢えずCクラスの条件を満たしてなれたヒトと、実力的にはすでにBだけど、上がるには条件を満たせてないってだけのヒトとじゃ全然違うもの。私も今でこそ+Bだけど、実力ならおそらく+AAはかたいね!ふふん♪
そうそう、Dクラスまでは、依頼やギルドに納品した素材のポイントさえ貯まれば簡単に上がるんだ。
……中には、わざわざC以上にならないように気を付けてるってツワモノもいるけど、まぁアシルお兄さんに限ってはないわな。だとしたら、迂闊すぎるもの。
あ、もちろん怪我はさせてないよ?
だって、せっかく私が回復させたのに、また傷つきでもしたら、完っ全に魔力のムダでしょ?無尽蔵に魔力を使えるとしても、そんなのイヤだもの。
ケチ臭い、なんて言わないでよね!節約温存は、大事だから!
そもそも捕縛=生かして捕まえるってコトだから、傷つけるなんてヘマはしないさ!
あははっ☆
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