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これが普通の初対面?(2)

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<7.これが普通の初対面?(2)>




「この男に問題が無いのならば実技に移るぞ」

 そんな言葉と共に先生は私に杖を投げ渡してきた。
 受け取った杖は新品のようだったけど、何と言うか高価そうな気がした。
 杖は多分木で出来ていて、長さは私の背くらい。
 先に無色の石が付いている。
 ……何と言うか【大鍋】や離れのドアに付いていた石にそっくりな気がするかな?

「それは取り敢えず魔法を使うための杖だ。暫くはそれを使えば良い。……これを創ったのはオーヴェだ。後で礼でも言っておけ」
「お父様がお作りに? ……有り難う御座います」

 こういう時、本当にお父様は私を愛してくれていると思う。
 はっきりと言葉にはしないけど、行動でこうして私という娘を気に掛けてくれているのが分かる。
 愛されているという事は素直に嬉しいと思うから。
 杖をぐっと握るとツィトーネ先生が苦笑と言うか、微笑ましいと言うか、なんとも言えない顔になった。

「オーヴェも変わらねぇなぁ」
「そうでなければ貴様を呼び寄せたりはしないだろう」
「そりゃそうだ」

 先生達の会話は内輪ネタと言えば良いのか私には分からない事ばかりだ。
 それはお父様やお母様も含めた全員で今まで育んできた絆と呼べるモノなのかもしれない。
 私はそんな絆を誰かを築く事ができるのだろうか?
 
 ふと『地球』の親友や悪友達が脳裏に浮かぶ。
 あんな出来事が起り孤立し、一人でいようと思って居た『わたし』の内側に強引に入り込んできた彼女達。
 それぞれ個性も癖もある人間ばかりで……けど一緒に居て楽しかった大切な友人達。
 もう二度と会えない事を寂しく思う。
 けど彼女達なら大丈夫だろうと思う気持ちもある。
 泣いて、怒って、喚いて……そうして前を向いて歩いて行く。
 それが出来ると『わたし』は知っている。
 だから心配はしていない……会えない事は純粋に寂しいけど。
 
 私は此処でそんな関係を築く事が出来るのだろうか?
 身分という壁を越えた絆を。

「キースダーリエ?」
「キース嬢ちゃん。どうかしたか?」
「あっ。いえ……ただ先生方は仲が良いのだな、と」
「コイツと仲が良いだと? 冗談じゃ無い」
「おぉーい。俺達滅茶苦茶仲良しだろうが! ……って本気で嫌な顔をすんじゃねぇよ!」
「顔に出ていたか。私もまだまだだな」
「それ以上無表情磨く気かてめぇは!」

 まるで漫才のような会話に私は悪いとは思っても笑ってしまう。
 コルラレ先生も何時もそんな風ならば厭世的とは思われないのに。
 まぁ先生の場合厭世的なのは演技では無く、本当なのだろうけど。
 ただ例外にお父様とツィトーネ先生、それに多分お母様がいるだけ。
 例外ばかりが近くにいるせいで私の中でコルラレ先生の性格が把握出来ないと思うけど。
 
 笑う私に二人は漫才を辞めたようで授業が再開された。
 実技はツィトーネ先生だけど説明はコルラレ先生がしてくれるらしい。

「まず魔術師が扱う補助武器である杖についてもう一度説明する」

 魔術師は魔法を扱う人間である。
 基本的に魔法は【詠唱】し【発動呪文】さえ唱えれば発動する。
 杖とは魔術師が魔法を発動しやすく補助する機能が付加された武器の中で最もメジャーなモノである。
 魔力を流し込む事で循環が不得意な人でもスムーズに純度を上げる事が出来る。
 さっきメジャーなモノが杖であると言ったように魔術師の補助する武器の形状が必ずしも杖である必要は無い。
 攻撃を主としない、又は魔法だけで戦闘を行う魔術師は杖を使っているのが一般的だという話なのだという。

「実際俺は剣が第一武器だからな。【魔法補助】の術式が組み込まれた石が剣に埋め込まれている」

 ツィトーネ先生はあっさり剣の柄を見せてくれた。
 一瞬武器も人にはあまり見せない方が良いんじゃないかなぁと思ったんだけど、講師として来て下さっているし今更か、とも思った。
 じっくり見てみると使い込まれた剣の柄に金色の石と緑の石が埋め込まれているのが見えた。
 
「(無色じゃないの?)」

 補助なら無色でも可笑しくは無いと思うんだけど。

「俺は苦手な魔法を平均にするんじゃなく、得意な魔法を極めるためにこの魔石なんだ」
「……ワタクシ、そんなに分かりやすいのでしょうか?」

 流石にここまで的確に読まれてしまうのは問題な気がする。
 幾ら経験が段違いだとは言っても、私、この年にしては表情をコントロール出来てると思うんだけど。
 やっぱりこの世界で揉まれて生きてきた人間と平和な『地球』で生きてきた人間じゃ経験値の意味も違うのかもなぁ。
 何となくしょっぱい気持ちになる私だけど、私にそんな事を言われると思わなかったのかツィトーネ先生の方が驚いた表情になっていた。

「俺の武器を見た人間は皆最初に同じ事を疑問に思って聞いてくるんだ。だから嬢ちゃんもだろうと思っただけで表情は全く変わってなかったぞ」
「……そうですか」

 フォローしてもらっておいて何だけど、無表情で武器を見ている幼女ってのも中々シュールではないかと思うんだけど? ……ま、いっか。
 と、私とツィトーネ先生の会話が途切れた所でコルラレ先生に主導権が戻り先生は再び口を開く。

「目指すものによって魔石の種類は変わる。が最初は皆無色だ。一生無色の魔石という事もよくある話だな」
「ってかパルがそうだしな」

 ……コルラレ先生は貴方の呼び方を訂正したそうですよツィトーネ先生。
 それにしても、コルラレ先生も諦めませんね。
 お父様もツィトーネ先生もそう簡単に我が道を変えるタイプには思えませんけど。
 あ、先生も同類でしたね。
 そりゃ何時までも決着が付かないわけです。
 私だったら早々に諦めると思いますけど……一種のコミュニケーションなんでしょうか?
 
 取り敢えず訂正は後回しにするつもりらしく先生は杖を出し見せてくれた。……本当に簡単に武器を見せてくれるんですね、先生方は。
 武器は知られても問題無いモノなんでしょうか?
 後、空間収納の魔法もあるんですね、きっと。
 先生は文字通り、何も無い空間から杖を取り出してくれました。
 その魔法は使い勝手が良さそうです。
 コルラレ先生って実は高位の魔術師なんでしょうか?
 流石に空間を把握する魔法が初級、中級の魔法だとは思えないですしね。
 後で本で確認だけはしておこう。

 先生の杖は意外と短くて私が頂いた杖と同じくらいです。
 これって身長に合わせる訳じゃ無いんだなぁ。
 色は黒くて先には無色の石が付いている。
 更に銀色で細かい装飾が施されている。
 材質は触れてないから分からないけど無駄な装飾の無いシンプルだけど美しい杖だと思った。
 何と言うか性格が出ているなぁと思わなくも無い。
 多分先生は合理主義なんだろうね。
 過度な装飾をして自分の力を誇示する必要も無い程高位の【錬金術師】なのかもしれない。

「そういえば……コルラレ先生は【採取】の際魔法を使い戦うのですか?」
「いや、違う。私は基本的に剣を扱う。若干コイツよりも細身の剣だ」

 そういって剣も見せてくれた。……もはや武器披露については突っ込みません。
 私はお礼を言って剣を受け取る。
 確かにツィトーネ先生よりは細身の剣だった。
 柄には無色の魔石が埋め込まれている。
 これもやはり使い込まれた合理的な美しさがあるな、と思った。
 
「やはり魔法だけだと難しいですか?」
「……そうだな。魔術師として立つつもりがないのならば身を守るために武器を持つ方が良いだろう」
「そこら辺は俺の領分だ。自分に見合う武器を探す所からだし、頑張ろうな」
「宜しくお願い致しますわ」
「ある程度魔法を学んでいく事も無駄にはならない。手を抜かない事だ」
「はい」

 錬金術を学ぶ事が第一だとしても魔法に全く興味がない訳じゃ無いんだけどなぁ。
 どうやら先生の中では私が魔法には全く興味がない人間だと思われているらしい。
 強ち間違いでもないけど、やっぱり魔法はそれなりに楽しみにしている。
 まぁ優先順位一番ではないけど。
 取り敢えず、一人で【採取】出来るくらいは頑張ろうとは思ってる。

 実は『ゲーム』では錬金科に入った時点で装備出来るのは杖一択だった。
 錬金術師はあくまで創った様々な錬金物によって支援する事がメインだった。
 ゲーム後半になれば強力な錬金物で攻撃とか出来たし一人で【採取】も全然行けたんだけど、最初の頃は護衛が居なければ直ぐにゲームオーバーになって自室に逆戻りになってしまう仕様だった。
 そういう意味で錬金術師はひ弱な研究者というイメージだったんだけど。
 どうやら実際の錬金術師はもっとアクティブらしい。

 武器の適正とかは【ステータス】を見ても分からないから本当に手探りなんだろうなぁ。
 自衛のためだし頑張ろう。
 魔法だって学びたくない訳じゃ無いし。
 ともかく全てにおいて基礎を疎かにしちゃダメだよね。
 私は密かに気合を入れ直す。

「では魔法の実技に入る。……使う魔法は火魔法の初級だ。的は……」

 先生が無音で杖を向けた先で拳だしの石ころが浮かび上がり、先生達の目線くらいの所で静止した。
 ……的、小さくないですか?
 
 どうやら先生はスパルタらしい……まぁ今更か。
 スパルタ教育じゃなければ座学をあそこまで教え込まれないだろうし。

「初級火魔法の【Feuer-フォイアー-】は覚えているな?」
「はい」

 密かに「ファイアー」じゃないんだ? とか思ってすみません。
 何と言うか初級の魔法の【詠唱】と【発動呪文】を覚えたんだけど、何か微妙に『英語』じゃ無かったんだよね。
 「火」は「ファイアー」じゃなくて「フォイアー」だし。
 ついでに「水」は「ヴァッサァ」で「風」は「ヴィント」で「土」は「エーアデ」である。
 ……多分『英語』じゃない言語に近いのがあったんだろうけど残念ながら私は『英語』しか分からないし、知る方法は無い。
 知りたいとも思わないからいいけど。
 「光」と「闇」は又特殊で初級魔法に当たる魔法も難しくて初心者に使えない代物なんだよね。
 一応【詠唱】と【発動呪文】は覚えているけどいつ使える様になる事やら。
 後、初級魔法はどの属性において攻撃と防御が存在するけど、どうやら中級以降、特に上級は攻撃に特化している属性と防御に特化している属性とに別れると本に書いてあった。
 「光」と「闇」に関しては攻防関係無くあるらしいけどね。
 多分創造神である「光」と「闇」の属性である事と、その子供に当たる神である四元素の属性の違いなんだと私は解釈している。
 これも色々な説がありそうだけど。
 
 なにはともあれ幾ら私の属性が【闇】だろうと直ぐに闇魔法が使える訳じゃ無いって事になるってわけ……闇魔法って何か悪役の人が使ってそう。
 この世界ではそんな事言葉にしたら異端として白い目で見られるか、排除されるだろうけど。

 私はそんな事をつらつらと考えつつ杖を構えると的である石を睨みつけていると言われそうな程強く見る。
 この距離でこの大きさって絶当たらないと思うんだけど……後ろの木に燃え移ったらどうするんだろうか?
 先生の事だから抜かりは無いかな?

 杖を構えると意識を集中させる。
 杖に魔力が通り無色の石……魔石に集まる。
 何かの気配――多分【精霊】――が杖の先に集っていくのを感じた。

「【我が魔力よ 変異し敵を倒す力となれ! 我が願うは猛々しき炎の集い! 全てを焼き尽くせ!】」

 魔力が赤く染まっていく感覚に襲われる。
 杖を循環器とし体内を魔力が一巡したかたと思うと強い力となり放出される。
 それは目の前に収束していき【魔法陣】を描く。
 赤の線で描かれた【魔法陣】の細かい部分は分からない。
 けれど、これが完成されたモノなのだという直感にも似た何かを感じた。
 前の時と同じく分かった……これは発動する、と。

「【Feuer!!】」

 【発動呪文】と共に複数の火の玉が出現する。
 火の玉は一斉に的へと降り注いだ。
 ……全弾、的を外れて後ろの木に当たりそうな所を先生の張っていた壁にぶち当たり消えていったけど。

「(さ、最後が決まらなさすぎる。え? 私って実はノーコン?)」

 自分の思わぬ弱点に膝をついて嘆きたくなる。
 けど、一応貴族の淑女がそんな事出来る訳も無く、私はただ引きつった笑みで突っ立ている事しか出来なかった。
 落ち込むしかない私だったけど、どうやら先生達は違ったらしく声音に僅かに賞賛の感情が混じっている気がした。

「一発で成功しただけ凄いんだけどなぁ……最後が決まらなかったな」
「これで全弾命中などされた方が問題だ。ただでさえ規格外だというのに」
「え? これって想定内なのか?」
「一応な……だがまさか複数の火の玉を発生させるとは」

 私は後ろの先生方の会話が聞こえ振り返る。
 するとツィトーネ先生は驚きと苦笑の混じった表情をしていてコルラレ先生は頭痛を感じてそうな表情をしていた。

「申し訳御座いません。的に掠りもしませんでしたわ」
「それは問題無い。初回から魔法を発動させただけで合格点だ。だが……キースダーリエ、お前は魔法が発動する前に気づいていたな? ――魔法が発動すると?」

 コルラレ先生の言葉にツィトーネ先生が驚いた表情をしていた。
 確かに私は発動前に「あ、これ発動する」って分かった。
 けれど、感覚な問題だし、直感に近いんだけど……これって珍しいのかな?
 そう考えた時、脳内で何かがカチッと嵌まった音がした気がした。

「……ん?」
「嬢ちゃん、どうした?」
「今、何かが嵌まったような気が?」
「【ステータス】を確認してみろ」

 唐突なコルラレ先生の指示に驚きつつ私は再び【ステータス】を表示させようとする。
 ツィトーネ先生も止めないし、必要な指示なんじゃ無いかと思ったし。
 
「【ステータス】」

 私の前に再び【ステータス画面】が現れる。
 にしても本当に【魔力】を必要としないんだなぁ、これ。
 それはともかく、えぇとステータスは……――

 名:キースダーリエ=ディック=ラーズシュタイン
 称号:「公爵令嬢」「闇の愛し子」「転生者」
 HP:60/60
 MP:495/500
 スキル:【闇の愛し子】【錬金術】【精霊眼】【魔法直感】

 ――……やばい、称号に「転生者」が増えてる。
 あの時、感覚ってこれの事だったんだ。
 そして今回の何かが嵌まったような音はスキルが増えた音ですか。
 親切と言えば親切だけど、ちょっとスキル習得が簡単すぎやしませんか?
 そりゃ習得しやすいモノとしづらいモノがあるんでしょうが、これ、どっちなんだろう?

 どうやら相当マジマジと見ていたらしく、何か変化があったのだと一目瞭然だったらしい。
 先生方は苦笑していた……すみません、詰めの甘い生徒で。

「何のスキルを習得したんだ?」
「……さぁ? 先生が何を言っていらっしゃるのかワタクシにはわかりませんわ。ただワタクシは今の魔法による魔力消費を確認していただけですので。コルラレ先生も魔力消費がいくらか目で確認した方が良いと言うなら先に言って下されば良いのに。行き成り【ステータス】を確認しろでは驚いてしまいますわ」

 かなり無理があるのは承知で取り敢えずはぐらかすような事を言った私にツィトーネ先生が虚を突かれたような顔になりコルラレ先生は「及第点だ」という顔になった。
 どうやらこれは正解の言動だったようです。
 合格点ではないであろうことは分かる。
 多分音の事を云った時点で合格点ではないだろうから。
 ただ、その後強引でも誤魔化す方向に思考を巡らせたから及第点くらいはくれるかなぁと思ってはいるけど。

「他人に【ステータス】を明かしたりはしないだろう、馬鹿者。学園にもう一度通ってみたらどうだ?」
「あの課題の山は勘弁だ! じゃなくて、何だ? もしかして既にそこら辺の危険性を教えてるのか?」
「少し時間は掛かったが自力で導き出した。危機感は貴様よりあるかもしれんな?」
「自力って……すげぇな」

 ツィトーネ先生が私に向ける視線には素直な賞賛の感情が込められています。
 幼い私にも凄い所は素直に凄いと言え受け入れる事が出来る。
 それは先生の器が大きいのか、おおらかなのか。
 ばk……ゴホン、ではないとは思いますけど。
 ドチラにしろツィトーネ先生はもしかしたら教師に向いているのかもしれない。
 少なくともコルラレ先生よりは向いてそうだ。

「魔力量の確認は済んだか?」
「はい」
「ああ、そう言えば。スキルの説明の時には言わなかったが、世間にはスキルの効力、効果と分かっている“条件”と“修練の工程”が記された書物が存在する。勿論全てが載っている訳では無い上間違っている事もある。だが参考程度にはなるはずだ」
「……有り難う御座います」

 やっぱりコルラレ先生にも私が新しいスキルを習得したってバレてるみたい。
 というか確定していると考えた方がよさそう。
 けど突っ込まずスキルを調べる術を教えてくれた。
 ……前言撤回します。
 コルラレ先生も案外教師に向いているかもしれません。

「降参、降参。パルに頭脳戦を仕掛ける気はさらさら無い。オーヴェと良い、お前と良い勝てるはずがねぇからな」
「シュティンヒパルだ。……こんなモノ駆け引きの内にも入らないが?」
「うげぇ。……その意図をその年で把握出来る所、キース嬢ちゃんも末恐ろしいな」
「オーヴェとラーヤの子供だからな」
「……なんてーか。これ以上無いってくれぇの納得が襲ってくるんだが」
「(お父様とお母様は一体何者なんですか?)」

 正直この質問一つで両親の武勇伝が沢山出てきそうで怖いのですが。

「……ともかく魔法を失敗して暴走させる心配も低いようだな。今日は的に当てる事を目標に練習するぞ」
「おーい。それ俺が指示する所じゃね?」
「ああ。あんまり遅いから決めてしまったぞ。あまり呆けていると講師を変えられるな。私はそれでも問題はないが?」
「そりゃマズイ! クビになった時のオーヴェがこえぇ!」

 そこは普通、貴族の教師をクビになる事が怖いのだと思うんだけど。
 どうしても「貴族の当主=お父様」の構図で話しているようには聞こえないのですが?
 ……深くは突っ込むまい。
 藪蛇過ぎる。

「とは言えパルの言った通りだな。的の周りは結界を張ってあるからな。外しても周りが燃える事はないから安心しろ」
「魔力残量に気をつけて練習しろ」

 反復練習って事だね。
 とはいえ今日の目標って所が……今日中には的に当てろと言う事なんですね。
 色々思うところあれど「はい、頑張ります」としか言えないんですけどね。

「はい、頑張りますわ」

 私は良い子の返事をすると的に向き合い再び意識を集中させるのだった。


 後で思ったんだけど、もしかして私が【魔法直感】ってスキルを習得したのってコルラレ先生に自覚を促されたから?
 それがこのスキルの“修練の工程”だったりして?
 ……否定出来る要素がありません。
 コルラレ先生、侮りがたし。 









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