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見定める目と割り切り

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 叔母様は論文が一段落したらしく、暫く滞在なさるらしい。
 ん? 叔母様にとってラーズシュタイン邸は自宅だから滞在って言葉は違うかな?
 んん? 多分生活拠点にしている場所があるから『地球風』に言えば里帰り?
 なら、滞在でいいような?
 えーと、ともかく! 叔母様は今ラーズシュタイン邸にいらっしゃる。
 パワフルでありながらも貴族らしい所作によって乱雑な感じがしない。
 なんとも不思議な方だと思う。

 しいて言えばビルーケリッシュさんに似てるかな? ただあの人と違って叔母様は自身が貴族である事を隠してはいないけど。……別にビルーケリッシュさん自身に「自分が貴族だ」と聞いた訳じゃないけど、きっと貴族だったと思うんだよねぇ、あの人。そっくりで全く違うあの男が貴族だったみたいだし。どうして隠してるかは知らないし、聞く気もないけど。

 あ、思考がずれてるな。
 まぁいっか。
 うーん、脳裏にビルーケリッシュさんと叔母様を並べてると何となく違う気がするんだよなぁ。
 経歴はともかく現状は似てるはずなんだけど……ビルーケリッシュさんと似てるけど似てないなぁと思う所があるのは何でなのかな?
 うーん、心持ちの違い?
 叔母様は貴族でありながらも学者である自分を受け入れている。
 貴族である部分を無理に切り離す必要が無いし、自身もその気が無い。
 貴族である過去を切り離して、隠しているビルーケリッシュさんとの最大の違いはそこかな、と思う。
 何方も自由を求めて行動したのだろうけど。
 ただ、私の眼には叔母様の方が自由に見える。
 単なる主観だけど。
 
 ビルーケリッシュさんも初めて会った時に比べると自由、というか肩の力が抜けた気がするんだけどね。

 よくよく考えるとあの人が変わったと感じたのは帝国から帰って来たからな気がする。
 単純に私という存在に慣れたためか、他に理由があるのか……。

 ま、追及しても意味は無いからしないけど。悪い方に変化したわけでもないし。

 そう言えば冒険者云々で思い出したけど、叔母様も冒険者登録はしているらしい。
 まぁ遺跡を探し、研究するなら必要なのは分かるが。
 魔法の腕前は高位。
 剣も扱えるという事で単身遺跡探索に乗り出せるレベル、らしい。
 流石に危ないので殆どした事がないらしいが、その調子で今後も自重して頂きたい所である。
 ……あれ? “殆ど”って事は行った事があるって事かな?
 うん、考えないで方向で。
 多分行ってないはず……言葉の綾だよね?
 叔母様の良心を信じるしかないね。
 いや、錬金術師特有の好奇心の強さで何処でも行きたくなる私に言われたくないだろうけど。
 話を聞いた時は流石のお父様も心配して注意していたけど、何やら言い返されて黙らされてしまっていた。
 あまりに鮮やかに黙らせていたので思わず拍手してお父様に苦笑されてしまったり。
 ただ、あまりに鮮やかな手腕だったので、どうしてなのかなぁと疑問に思ったので、後でこっそりお母様に聞いた所、結構驚くお話を聞く事ができた。
 どうやらお父様も錬金術師特有の好奇心が強い方らしく、当主になるまでは心の赴くまま行動する事が多々あったらしい。
 其の度にお母様や叔母様達に心配をかけていたし、注意しても聞かなかったそうな。
 もしかして、案外好奇心が強いのと目的の為なら即行動は血筋なのでは?
 ……うん、気を付けよう。
 せめて事前に何処に行くか書置きだけは残しておかないと。
 決意を込めてクロイツにそう言うと、何故か呆れられた上盛大にため息をつかれた。
 え? そこまで?

「<家出じゃねーんだから、誰か連れて行けよ>」
「<思いついた時に誰かいればそうするけどさぁ>」
「<呼べば来る奴なんざいるだろ。犬っコロや元キシサマとかな>」
「<あー>」

 ルビーン達は兎も角アズィンゲインは勘弁して欲しいかなぁ?
 今日も元気に訓練しているアズィンゲインが脳裏をよぎり苦笑する。
 あの一件からアズィンゲインは一兵卒からやり直す事になった。
 とは言え、元々近衛騎士団の騎士だったのだから、実力は折り紙付き。
 性格もまぁ素直でおおよそ人に嫌われる性質ではない。
 御蔭であっという間に汚名は返上し、周囲に認められて、今は私の専属護衛の一歩手前と言った所なのだ。
 そもそも専属の護衛は要りませんけど? と言ってみたけど、流石に認めてくれなかった。
 順当にいけばアズィンゲインが私の専属になるだろう。
 ……どうして、こう問題児ばかりが側に集まるのだろうね?
 本当に癒しはリアだけである。
 
 悪い人ではないとは分かっている。分かってるんだけどさぁ。あの思い込み? 思い込んだら一直線な性格がなぁ。何処かの誰かさんのせいで縋る先が私になってるし。上手く使えって言われてもねぇ?

 放逐できないなら内に入れるしかないのは分かるんだけど。
 所謂“大っぴらに話せない事情”もある程度分かってしまっているからこそ、何とも言えない気分である。
 
 ああ、周囲が段々男臭くなっていくなぁ。何でかこの世界顔立ちが整っている人が多いけどさ。男ばっかりって時点でむさくるしいのは変わりないんだよねぇ。

 本当に何処かに有能な女騎士はいないかねぇ。
 いや、真っ当な人が私の専属になったら胃に穴空きそうだけど。

「<彼等を連れて行くくらいなら一人で採取に行きたい>」
「<オマエ、いちおー令嬢様な? 一人での外出は厳禁だろーが>」
「<……そーなんだよねぇ>」

 街の中ですら一人で出る事が出来ないのが貴族令嬢の宿命である。
 目の前にはそんな貴族令嬢の当たり前をぶち壊して歩んでいる稀有な存在がいるけど。
 今、叔母様はお兄様と魔法の訓練をしている。
 魔術師として叔母様はお兄様の良き師となっているようだ。
 ああやってお兄様に丁寧に教えている叔母様を見ると、お父様を言い包めてトーネ先生とシュティン先生すら転がしていたのが嘘みたいだ。
 そう。
 学園時代からの友人であるトーネ先生とシュティン先生と叔母様は顔見知りである。
 しかも先生方にとっても叔母様は姉のような存在だったらしく今でも頭が上がらない。
 シュティン先生なんて、叔母様を見た途端踵を返して帰ろうとしたし。
 いまやまぁ直ぐに叔母様に捕まっていたけど。
 どうやら苦手度はシュティン先生の方が上らしい。
 一体学生時代何があったのやら。

「<叔母様って貴族らしくないよねぇ?>」
「<まぁな。別に平民! って感じでもねーけどな>」
「<確かに>」

 貴族の家で育ち、次期当主として教育を受けて来たのだ。
 所作などはやはり平民とは言いずらい。
 本人も貴族である事を隠していないのだから余計だ。
 けど、貴族女性としては有り得ない行動力と発想をしている。
 だからか基本的に貴族と接する時間の多い私にとって叔母様はとても不思議な人に見えるのだ。

「<オマエのオニーサマはあっという間に懐いたけどな>」
「<同じ魔術師として思う所があったんじゃないかな?>」

 私だって叔母様が嫌いなわけじゃない。
 訳じゃないけど、好きと言い切れないのも事実だ。
 お父様の叔母様に対しての距離を測るような言動も理由だけど、それ以上に私自身叔母様をいまいち信じ切れないのだ。

「<悪い方じゃないし、本来なら付き合いやすいタイプなんだけどさぁ>」
「<オマエ、単純にオニーサマを取られて寂しいだけじゃねーの?>」
「<いや、そんな……いや、うん。それはあるけどさぁ。それだけじゃないんだよね>」
「<そこは否定しろよ>」
「<事実は否定できないし。ただ、それだけじゃないんだよねぇ>」

 お兄様はもう少ししたら学園に戻ってしまう。
 だからお兄様の時間を持って行ってしまう叔母様に少しだけ嫉妬している。
 指摘された通りなので、それは否定しない。
 けど、お兄様自身が魔術師として叔母様を尊敬し師事しているのだから、邪魔する事は出来ないし、したくない。
 一応その部分は納得しているのだ。
 まぁ納得してはいても叔母様に対しての感情が少々複雑になるのは仕方ない。
 仕方ないのだけれど、叔母様に対しての感情が定まらない大部分は違う理由が占めている。
 叔母様が私に向ける視線に引っかかるモノがある……それが一番の理由なのである。

「<叔母様は私を観察? いや違うなぁ。うん。“見定めようとしている”?>」
「<見定める? オマエをか?>」
「<うん>」
 
 初対面の時から叔母様の眼差しから注がれる愛情が薄れた事は無い。
 叔母様にとって私は今でも「愛する姪っ子」なのだろう。
 勿論お兄様に対しても同量の愛情を注いでいるのが傍から見て分かる。
 けれど、お兄様と私に向ける視線の中に一つだけ違うモノが混ざっているのを見つけてしまった。
 そうなれば、私が叔母様を完全に信用するのは難しくなる。
 そう、私にだけ向けている視線……それが私を「見定めている」と云った、それが信用したいと思う気持ちを阻んでいる。
 
「<次の日からかな? もしかしたら【神々の気紛れ】だっけ? その話を聞いたから警戒しているのかと思ったんだけどさ>」

 私は転生者だから、見方を変えると「キースダーリエ」ではない、となる。
 はっきり言って、根幹が同じな上、「わたくし」と「わたし」が混ざり合ったのだから違う人間だと言われても困る。
 けど、まぁ事実を知る中には「私」を受け入れない存在もいるだろうとは思っていた。
 家族がそうでなかった事が幸運であって、そういった警戒心を持つ存在がいるのも当然。
 だからまぁ叔母様がそうなのだろう、と最初は思ったのだが。

「<その割には私に注ぐ愛情には変わりがない気がするんだよねぇ>」

 知った後でも普通に抱きしめられるし「可愛い」やら「妖精」のようだとか言われる。
 過剰とも言える注ぎこまれる愛情の奔流に溺れそうになるくらいだ。
 これが疑心を隠すためだったと言われたら人の愛情を信じられなくなりそうである。
 そう伝えるとクロイツも大きく頷いた。

「<確かにあれを疑うのは無理だな。正直、あの過剰なやつのせいで出禁されてたんじゃね? とか思ったぞ、オレは>」
「<いや、それはないでしょ。……無いよね?>」
「<知らん。愛情云々に関してはオマエの両親も大概だからな>」
「<それ、遺伝子に組み込まれてるのかって疑うレベルって事にならない?>」

 お父様もお母様も貴族にしては分かりやすい愛情を私達に注いでくださっている。
 だからこそ私達は両親に愛されていると疑う事は無い。
 と言っても、そんな両親と比べても叔母様の愛情はちょっと過剰すぎる気がしなくもない。
 今の所、叱られた事がないせいか叔母様が怒った所は見た事がないし、私達にだだ甘な所しか見た事がないせいか「このせいで出禁になったのでは?」と言う疑いがちょっとだけ拭えないのだ。
 
 肯定だけだと人って駄目になるもんねぇ。叔母様がそういう類いの人間じゃないとは言えないし。

 こればっかりは貴族教育など関係無く、もって生まれた性質などが強く左右するだろうから分からないのだ。
 
「<って叔母様の愛情はともかくとして、そんな押し流しそうな愛情の中に時々観察するような? 観察するには温度があるような? なんて言えばいいのかな? しいて言えば何かを期待してて、それを私がなせるかどうかを見定めている感じ? そんな視線を感じるんだよね>」
「<例えがわかりずれーんだが>」
「<うっさい。私自身も言葉にするのが難しいの>」

 初対面のシュティン先生のように実験対象を見るような温度の無い視線ではない。
 初めて行ったギルドに居たタンネルブルクさん達のように見極めているような探る視線とも違う。
 疑心に溢れていた皇女様達の視線とも違う。
 
「<あー。うん。うだうだしていた時のアズィンゲインの視線が近いって言えば近いかな。ただし、叔母様の方が目的ははっきりしてるっぽいけど>」
「<それで見定めてる、か>」
「<そう>」

 ラーズシュタインは士官してあの隊長さんの所に殴り込みをかけるまでの間、私に対して何とも言えない視線を度々寄越してきていた。
 どうやらアズィンゲインは私という存在が自分の持つ像と違い、それでいて私という人間に上に立つ者としての才を感じ取り困惑していたらしい。
 もしかしたら今度こそ自分にとって仕えるべき主になりうるかもしれない。
 けど、それなら噂やかつての隊長の言動や隊長に対する非道な態度は何なんだ?
 本質は何処にあるのだろうか?
 なんて期待と疑心の狭間にあったらしく、それが視線にも出ていた。
 正直私にしてみれば「何様?」やら「騎士の考えはさっぱり分からないなぁ」とか思ったわけだけども。
 此処まで来るともはや同じ生き物ではないのでは? なんてアホな事を考えてしまいそうだった。
 だからまぁ、こういう考えの人もいるのだなぁと許容する方向で落ち着く事にしたのだ。
 そんな感じで私はアズィンゲインの内心が今でもさっぱり分からない。
 現在はどんな私だろうと仕えるべき主だと思い込み、頑張っているらしいけどね。
 何度も言うようだけど、中々強かというか失礼な事を考えていたし、現状もどうなんだろうか? と思わなくもない。
 
 案外アズィンゲインみたいな人っているんだろうけどねぇ。
 
 叔母様をそんなアズィンゲインに似ていると称するのは失礼な気がする。
 気がするけど、しいて言えば、一番似てるのは彼なのだ。

「<叔母様はきっと何かを私に期待している。けどその期待に私が応える事が出来るかどうかを見定めている。多分、そんな所なんじゃないかなぁ>」
「<ふーん>」
「<けどこっちにしてみれば勝手に期待されて勝手に見定められるって状態でしょう? だから素直に心を開いて良いもんだか>」

 何かを期待されるのはまぁ良い。
 相手が叔母様なら、別に嫌悪する程ではない。
 けれど、見定められるってのはあまり良い気分はしない。
 お父様が妙に罪悪感を感じている事も含めると叔母様に対して素直に対応するのを戸惑ってしまうのだ。

「<あれだけ愛情を注いでもらっているし、悪いとは思ってるんだけどね>」
「<別にいーんじゃねーの?>」
「<え? いいの?>」

 あっさり言われて私の方が戸惑ってしまう。 
 注がれる愛情が嘘ではない以上、必要以上に身構えるのは悪いのでは? と思っていたのだけれど。
 困惑する私をクロイツは鼻で笑った。

「<叔母って言ったって他人じゃねーか。それともオマエにとってはもう身内なのか?>」
「<まさか。ただ血が繋がっているだけでしょ? ……ん? ……言われてみればそうね。お父様とお母様にとって大切な方でお兄様が懐いていらっしゃるけど、私の懐には入ってないわ>」

 他人よりは大事だけど、別に私の大切な人ではない。
 言われてみればそうである。
 私にとって血の繋がりは最初の取っ掛かりにはなっても、それ以上は関係ない。
 
「<だろ? 後、もしも身内だとしても、そんな目でみられりゃ身構えるだろーよ。反発してもいい所してないんだから大人しい方なんじゃね?>」
「<うーん。成程?>」

 身内……例えばお父様とかから同じように見られたら?
 身構えるかもなぁ。
 身構えるにしても理由が違うから何とも言えないけど。

「<お父様とかからなら期待に応えたいって意気込むけど、お父様からの課題?! って身構えるかな?>」
「<いや、それは意味がちげーよ>」
「<分かってる、分かってる。けど多少は“見定められる”って行為に対して身構えると思う。……そっか。いいんだ。そう思っても>」

 家族が皆、心を許してるから私も、なんて考えていたけど。
 私ってそんなに殊勝な性格してなかったわ。
 愛情を注いで下さっている事には素直に感謝しつつも、視線に対しては思う所あり、と。
 うん、それで問題ないよね。
 
「<少し考えすぎたかな?>」
「<ってか、オマエのことだし、家族が心を開いているやつに対して自分が懐かないと、とうの家族が悲しむから悩んでたんだろーよ>」
「<ん? お、おお! そっか。そうかも>」

 うん。
 お父様、お母様、そしてお兄様に「どうして?」と悲しまれるのは凄い嫌だ。
 そんな顔見るくらいなら懐いたふりした方が良い。
 あー成程。
 そうだよね。
 私、そんな良い子じゃないもんね。
 今ようやく腑に落ちたよ。

「<クロイツ、ありがと。ようやくすっきりしたわ>」
「<おい。無意識かよ>」
「<うん。今回は叔母様って言う比較的近しい関係だから気づいてなかったわ>」

 事実、私が疑いの眼で叔母様を見た時お父様が少し困った顔をなさっていたから、余計そう考えたのかも。
 けど、私が叔母様をどう思うかは私の勝手だし、表立って反発しなければ問題ないものね。
 お父様達にはそんな私の心の内を見抜かれるかもしれないけど、表に出さなければ注意とかされないと思うし。
 「どうして」と問われたら素直に答えよう。
 そうすれば苦笑しつつもそれ以上は言われないと思う。
 
「<悩む必要無かったみたい>」
「<すっきりしつつオバサマを外に心の外側にやるつもり満々だけどな>」
「<そこは仕方ないよね! 私の懐に入ってる人はそんなに多くないんだからさ!>」

 私、心狭いから!
 クロイツにはっきり告げると再びため息をつかれてしまった。
 事実だから仕方ないよね。

「<すっきりしたし、書庫に行こうか>」
「<見張らなくていーのか?>」
「<うん? お父様達の好意に付け込んで何かするタイプには見えないから、もういいかな>」

 そもそも私がお兄様を見て居たかったって言うのが一番の理由だし。
 そろそろ叔母様とお兄様の会話に理解が付いて行かなくなってきたしね。
 
「<私も学園に入れば理解できるようになるかな?>」
「<さぁな。オマエは魔術師じゃなくて錬金術師だしな>」
「<そっか。そうだね。採取のために鍛える必要はあるんだけどねぇ>」
「<剣技だけで十分じゃねーの?>」
「<いやー出来れば遠距離攻撃の方法も欲しいかなぁ>」
「<……オマエ、本当に一人で採取に行くんじゃねーぞ?>」
「<あーあははは>」

 笑って誤魔化したいけど、クロイツは誤魔化されてくれない。
 うーん。
 約束は出来ないけど。

「<少なくともクロイツは一緒だけどね>」
「<……オレ一人の負担がデカすぎるっての>」

 そうは言っても「行かない」とは言わないクロイツに顔がにやけそうだ。
 必死に表情を繕うと私は書庫へと行くために踵を返すのだった。




 後ろで相変わらず私を密かに観察していた叔母様が苦笑しながらも「本当に聡い子ね」と呟いていた事を私は知らない。
 その細められた目に強固な意思が宿っていた事にも。
 叔母様の目的を知るのはこの後直ぐだった。
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