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第八章
鮮やかな夢
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「景、何位だった?」
期末テストのテスト結果返却というちょっとしたイベントで教室は賑わっていた。
「1位だったよ」
全く屈託なく言ってのけるのでもはや何も思わない。
打倒景に燃えている夏理のことを思うと、そろそろ手加減してやってもいいだろうにという気持ちが湧いた。
ただ、Dクラスの人間が一位になることなんて今までなかったから、誰が一位というのは置いといて、胸がすく思いである。
「いつもだけど、すごいな」
「ねえ、真加は?」
「俺?…まあいいや、はい」
各科目の点数と順位が書かれた紙をそのまま景に渡す。
まあ普通といった真加の成績を景は眺めて「前より上がったんだね」と言う。
成績を把握されていることに特に嫌悪感もない。
「景のおかげだな」
彼は満遍なく勉強しているだろうが、「この辺りが出るんじゃないかな」とヤマを当てるのもうまかった。
おかげでそこそこ順位は上がった。
「真加見て!成績上がったで」
そこに、千里が近づいてきて紙を見せてきた。
「高くんよかったね」
「えっ!千里すごく上がってるじゃん」
思わず紙をぶんどって見ると、Aクラス安全圏内といったかなりいい成績だった。
「置いていくなよ」
「寝る間も惜しんだ甲斐があったわ」
「ああ、一人部屋だっけ?」
入学当初はもちろん二人部屋だったらしいが、色々調整があって千里は今一人部屋を満喫している。
「そうなの?」
「せやで。寂しさ半分、気楽さ半分やな」
「来年は二人部屋だといいね」
景が微笑む。
「いやーどうやろな。今五鳳院くん抜いて二年奇数やろ?誰かは一人部屋になるからなあ」
その辺の塩梅は学年ごとにいる寮長が決めている。
基本的に部屋の組み合わせは持ち上がりで変わらないことが多い。千里がこんな調子なら、来年も一人部屋かもしれない。
その後、理人の安心する低空飛行の成績を見たあと担任が生徒たちに席に戻るよう促した。
担任、というかDクラスを教える教師たちはSクラスと掛け持ちの者は少ない。突然現れた皇太子に驚き、緊張であまりそちらを見ない者が多いので、自然と隣の真加も当てられることがないという良い効果があった。
景と約束したクリスマスがもう目前まで迫っている。
「プレゼントもいらないし、普段着でいいよ」と彼がスマートに気を遣ってくれたおかげで、真加の悩みは無くなった。
今は少しの緊張と、大きな楽しみで心が占められている。
当初はプレゼントを用意しようとも考えていたが、皇太子に贈るものなんて早々思いつかない。
『世界の王室 プレゼント』で検索しても出てくる結果は桁外れのものばかりだったので頭を抱えるしかなかった。
そりゃ貰ってはくれるだろうとは思うが、結局どれだけ悩んでも思い浮かばなかった。
景は真加をとても丁重に扱っていた。
多少のスキンシップはあるものの、強制発情剤を飲まされた日以来キスはされていない。
それは女の子扱いみたいな大袈裟なものではなかった。だから真加も「男同士でもこんなもんなんだな」といった感想を抱いていた。
何なら王族だから何かあってはまずいし慎重にもなるんだろうと思っている。
真加は皇太子に好かれているというこの状況を彼の泰然自若とした態度のせいか、どこか楽観視していた。
普通の学生のような距離の詰め方が出来ているような気がするのだ。たとえ普段食べているものがどんなに高級だろうが、制服の爪の先まで布の素材の質が普通では無くても。
◆
やや暗い照明の中で上等な赤身肉がてらてらと光っていた。
食器も隅々まで磨かれており汚れなどない。
景がこの日のために呼び寄せたらしい王室の給仕は何事にもそつがなく、至る所で王室の力というものを感じ取ることができた。
「この肉もおいしいね」
「そうだね」
「全部美味しいよ。本当にすごいね」
「そんな、初めてではないだろう?」
「まあ、そうだけど」
一流のフルコース料理なんて、食べようと思えば機会がない家庭環境ではないが、寮生活である以上真加は経験がそこまであるわけではなかった。
なにやら複雑な味のソースがかけられた
赤身肉は柔らかいのに食べ応えも抜群で、食欲旺盛な男子高校生の腹も満たした。
「王室ってこんなのばっかり食べてるの?」
給仕は黒子だと言わんばかりに料理の説明以外は話さないので、気を使う必要はなかった。
「まさか。普段は質素に努めてるよ。今日は私が家にわがままを言ったんだ。ね、森末さん」
「ええ。殿下と真加様の晩餐にお付き合いできてとても光栄です」
「そ、そんな様だなんて」
白髪混じりの髪を後ろに流して軽く微笑む姿は長いこと王室に仕えてきた凄みのようなものを感じさせる。
景は森末に真加のことをどういう風に伝えているのか少し気になったものの、あえて言及はしなかった。
2人でゆっくり食事を進め、デザートを食べ終えた頃に気がつくと森末はいなくなっていた。
「王室ってキリストの誕生日祝ってもいいの?」
「痛いところを言うね」
テーブルの装花がなんとなくクリスマスを連想させる赤い花が使われていた。
「まあ、実のところは国教でも何でもないし、何もしないよ。今日は私がかこつけて真加と一緒にいたかっただけだから」
「…なんでも口説き文句に結びつけるね」
「必死なんだ」
「どうするの、俺が他の人好きになったとか言い出したら」
「そうなの?」
隣に腰掛けた景が体を乗り出した。
「たとえばの話!」
「んー…相手によるかもね。…少し、ちょっと、いやかなり…譲れないとは思うけど…」
全面的に無理そうな気がする。
それだけ好かれているのだと思うと、胸がギュッと痛んだ。
「そ、そう…まあそんなことはないと思うから安心してよ」
「…真加こそ、私を焦らしてるよね」
「相手が相手だから慎重になってるの」
「真剣ってこと?」
「そ!」
胸を張って断言した。これは本当である。
この甘くて曖昧な関係にもう少し浸っていたいというのもあるが、これを彼に見抜かれてはいないと思いたい。
「ふーん…じゃあもう少し待ってるよ。ゆっくり考えて」
景は真加の少し伸びた襟足を撫でた。真加がそれに心を弾ませた瞬間、指が離れていく。
「景、うまいね。こういうアピール。どこで勉強したの?」
「王室の家庭教師が教えてくれるよ」
からかったつもりが被せるような冗談が返ってきて少し反省する。
「あ、ちょっと待ってて」
寝室に引っ込んだ景がまたすぐに戻ってきた。手には何やら箱を持っている。
「真加にプレゼント」
箱は紙で包装されていた。
「いいの?俺本当に用意してないよ」
「いいよ」
箱を受け取り紙を丁寧に剥がしていく。
中を開くと、シンプルな時計が収まっていた。黒いバンドで、そんなかしこまる感じではなさそうな。
「かっこいい!つけていい?」
「あ、待って。私がつける」
文字盤には老舗メーカーのロゴが刻んであった。
景は時計を恭しく持ち上げる。
「左でいいよね?」
「うん」
そっと真加の左腕に触れられた。
時計ショップの店員のような丁寧さで景が時計をつけると、真加は時計がはまった左腕を持ち上げて下から眺めた。
シンプルな分、洗練されたデザインで、真加が気を使うほどの高級品では無さそうだし、老若男女を問わない見た目が気に入った。
「なんか頭が良さそうだ。ありがとう!景」
「似合ってるよ。どういたしまして」
「へへ」
傷ひとつない時計が、不釣り合いなくらい照明でキラキラと輝く。
「毎日つけるよ」
この時計がいつまでも傷つかないでいてほしい。そんな感じで、景の気持ちもいつまでも色褪せないでいてほしい。
柄にもなくそんなことを思った。
今日の出来事を鮮明に覚えていたい。脳にも録画機能が欲しい。
「てか、今更だけどもらっちゃっていいの?」
「構わないよ。これでも働いたお金で買ったものだからね」
「公務とか?」
「そんなところ」
「実はめちゃくちゃ高いとか、そんなんじゃないよね?」
シンプルながらも実はとんでもない素材を使用しているとか。
「…一般的な学生が一般的な資産力で買える範囲だと思うよ。そうじゃないやつがよかった?」
少し景が意外そうに聞く。
「いや、気ぃ遣うからいい。これ、景が選んでくれたんだよね?」
「そうだよ」
「へえー…」
センスもいいんだ。それに自慢でもなく真加に似合ってる気がする。
「こんないいのもらっちゃってちょっと申し訳ないな。景の誕生日っていつ?」
ニュースで見てても正直気にしたことはない。口に出してから、スマホで調べればいいと気付いた。
「5月だよ」
「わかった。用意しとくから!」
宣言すると景は嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔に、たまらなく好きだと強く思った。
景の肩書きは彼自身と切っては切れないもので、人格の形成に大いに寄与していることはもちろんだが、それを抜きにして彼自身に惹かれていると感じた。
一国の王子に真面目に恋をしてしまったなんて、笑われてもしょうがない。
それでも真加は少しでもそばにいたいと思った。そして好意をすぐに伝えられるほど器用ではなかった。
でもいつか景がくれた気持ちを自分も返していきたい。
真加はふわふわとした高揚感に包まれていた。
景とは絶え間なく話をしていたが、そのうち夜が更けて、さすがに自室に戻る。
歩いてすぐ、同じ建物だというのに夢のような心地だった。
このまま冬休みに入り、お互い帰省するから会えないだろう。その短い間でさえ、会えないと寂しいと思ってしまった。
期末テストのテスト結果返却というちょっとしたイベントで教室は賑わっていた。
「1位だったよ」
全く屈託なく言ってのけるのでもはや何も思わない。
打倒景に燃えている夏理のことを思うと、そろそろ手加減してやってもいいだろうにという気持ちが湧いた。
ただ、Dクラスの人間が一位になることなんて今までなかったから、誰が一位というのは置いといて、胸がすく思いである。
「いつもだけど、すごいな」
「ねえ、真加は?」
「俺?…まあいいや、はい」
各科目の点数と順位が書かれた紙をそのまま景に渡す。
まあ普通といった真加の成績を景は眺めて「前より上がったんだね」と言う。
成績を把握されていることに特に嫌悪感もない。
「景のおかげだな」
彼は満遍なく勉強しているだろうが、「この辺りが出るんじゃないかな」とヤマを当てるのもうまかった。
おかげでそこそこ順位は上がった。
「真加見て!成績上がったで」
そこに、千里が近づいてきて紙を見せてきた。
「高くんよかったね」
「えっ!千里すごく上がってるじゃん」
思わず紙をぶんどって見ると、Aクラス安全圏内といったかなりいい成績だった。
「置いていくなよ」
「寝る間も惜しんだ甲斐があったわ」
「ああ、一人部屋だっけ?」
入学当初はもちろん二人部屋だったらしいが、色々調整があって千里は今一人部屋を満喫している。
「そうなの?」
「せやで。寂しさ半分、気楽さ半分やな」
「来年は二人部屋だといいね」
景が微笑む。
「いやーどうやろな。今五鳳院くん抜いて二年奇数やろ?誰かは一人部屋になるからなあ」
その辺の塩梅は学年ごとにいる寮長が決めている。
基本的に部屋の組み合わせは持ち上がりで変わらないことが多い。千里がこんな調子なら、来年も一人部屋かもしれない。
その後、理人の安心する低空飛行の成績を見たあと担任が生徒たちに席に戻るよう促した。
担任、というかDクラスを教える教師たちはSクラスと掛け持ちの者は少ない。突然現れた皇太子に驚き、緊張であまりそちらを見ない者が多いので、自然と隣の真加も当てられることがないという良い効果があった。
景と約束したクリスマスがもう目前まで迫っている。
「プレゼントもいらないし、普段着でいいよ」と彼がスマートに気を遣ってくれたおかげで、真加の悩みは無くなった。
今は少しの緊張と、大きな楽しみで心が占められている。
当初はプレゼントを用意しようとも考えていたが、皇太子に贈るものなんて早々思いつかない。
『世界の王室 プレゼント』で検索しても出てくる結果は桁外れのものばかりだったので頭を抱えるしかなかった。
そりゃ貰ってはくれるだろうとは思うが、結局どれだけ悩んでも思い浮かばなかった。
景は真加をとても丁重に扱っていた。
多少のスキンシップはあるものの、強制発情剤を飲まされた日以来キスはされていない。
それは女の子扱いみたいな大袈裟なものではなかった。だから真加も「男同士でもこんなもんなんだな」といった感想を抱いていた。
何なら王族だから何かあってはまずいし慎重にもなるんだろうと思っている。
真加は皇太子に好かれているというこの状況を彼の泰然自若とした態度のせいか、どこか楽観視していた。
普通の学生のような距離の詰め方が出来ているような気がするのだ。たとえ普段食べているものがどんなに高級だろうが、制服の爪の先まで布の素材の質が普通では無くても。
◆
やや暗い照明の中で上等な赤身肉がてらてらと光っていた。
食器も隅々まで磨かれており汚れなどない。
景がこの日のために呼び寄せたらしい王室の給仕は何事にもそつがなく、至る所で王室の力というものを感じ取ることができた。
「この肉もおいしいね」
「そうだね」
「全部美味しいよ。本当にすごいね」
「そんな、初めてではないだろう?」
「まあ、そうだけど」
一流のフルコース料理なんて、食べようと思えば機会がない家庭環境ではないが、寮生活である以上真加は経験がそこまであるわけではなかった。
なにやら複雑な味のソースがかけられた
赤身肉は柔らかいのに食べ応えも抜群で、食欲旺盛な男子高校生の腹も満たした。
「王室ってこんなのばっかり食べてるの?」
給仕は黒子だと言わんばかりに料理の説明以外は話さないので、気を使う必要はなかった。
「まさか。普段は質素に努めてるよ。今日は私が家にわがままを言ったんだ。ね、森末さん」
「ええ。殿下と真加様の晩餐にお付き合いできてとても光栄です」
「そ、そんな様だなんて」
白髪混じりの髪を後ろに流して軽く微笑む姿は長いこと王室に仕えてきた凄みのようなものを感じさせる。
景は森末に真加のことをどういう風に伝えているのか少し気になったものの、あえて言及はしなかった。
2人でゆっくり食事を進め、デザートを食べ終えた頃に気がつくと森末はいなくなっていた。
「王室ってキリストの誕生日祝ってもいいの?」
「痛いところを言うね」
テーブルの装花がなんとなくクリスマスを連想させる赤い花が使われていた。
「まあ、実のところは国教でも何でもないし、何もしないよ。今日は私がかこつけて真加と一緒にいたかっただけだから」
「…なんでも口説き文句に結びつけるね」
「必死なんだ」
「どうするの、俺が他の人好きになったとか言い出したら」
「そうなの?」
隣に腰掛けた景が体を乗り出した。
「たとえばの話!」
「んー…相手によるかもね。…少し、ちょっと、いやかなり…譲れないとは思うけど…」
全面的に無理そうな気がする。
それだけ好かれているのだと思うと、胸がギュッと痛んだ。
「そ、そう…まあそんなことはないと思うから安心してよ」
「…真加こそ、私を焦らしてるよね」
「相手が相手だから慎重になってるの」
「真剣ってこと?」
「そ!」
胸を張って断言した。これは本当である。
この甘くて曖昧な関係にもう少し浸っていたいというのもあるが、これを彼に見抜かれてはいないと思いたい。
「ふーん…じゃあもう少し待ってるよ。ゆっくり考えて」
景は真加の少し伸びた襟足を撫でた。真加がそれに心を弾ませた瞬間、指が離れていく。
「景、うまいね。こういうアピール。どこで勉強したの?」
「王室の家庭教師が教えてくれるよ」
からかったつもりが被せるような冗談が返ってきて少し反省する。
「あ、ちょっと待ってて」
寝室に引っ込んだ景がまたすぐに戻ってきた。手には何やら箱を持っている。
「真加にプレゼント」
箱は紙で包装されていた。
「いいの?俺本当に用意してないよ」
「いいよ」
箱を受け取り紙を丁寧に剥がしていく。
中を開くと、シンプルな時計が収まっていた。黒いバンドで、そんなかしこまる感じではなさそうな。
「かっこいい!つけていい?」
「あ、待って。私がつける」
文字盤には老舗メーカーのロゴが刻んであった。
景は時計を恭しく持ち上げる。
「左でいいよね?」
「うん」
そっと真加の左腕に触れられた。
時計ショップの店員のような丁寧さで景が時計をつけると、真加は時計がはまった左腕を持ち上げて下から眺めた。
シンプルな分、洗練されたデザインで、真加が気を使うほどの高級品では無さそうだし、老若男女を問わない見た目が気に入った。
「なんか頭が良さそうだ。ありがとう!景」
「似合ってるよ。どういたしまして」
「へへ」
傷ひとつない時計が、不釣り合いなくらい照明でキラキラと輝く。
「毎日つけるよ」
この時計がいつまでも傷つかないでいてほしい。そんな感じで、景の気持ちもいつまでも色褪せないでいてほしい。
柄にもなくそんなことを思った。
今日の出来事を鮮明に覚えていたい。脳にも録画機能が欲しい。
「てか、今更だけどもらっちゃっていいの?」
「構わないよ。これでも働いたお金で買ったものだからね」
「公務とか?」
「そんなところ」
「実はめちゃくちゃ高いとか、そんなんじゃないよね?」
シンプルながらも実はとんでもない素材を使用しているとか。
「…一般的な学生が一般的な資産力で買える範囲だと思うよ。そうじゃないやつがよかった?」
少し景が意外そうに聞く。
「いや、気ぃ遣うからいい。これ、景が選んでくれたんだよね?」
「そうだよ」
「へえー…」
センスもいいんだ。それに自慢でもなく真加に似合ってる気がする。
「こんないいのもらっちゃってちょっと申し訳ないな。景の誕生日っていつ?」
ニュースで見てても正直気にしたことはない。口に出してから、スマホで調べればいいと気付いた。
「5月だよ」
「わかった。用意しとくから!」
宣言すると景は嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔に、たまらなく好きだと強く思った。
景の肩書きは彼自身と切っては切れないもので、人格の形成に大いに寄与していることはもちろんだが、それを抜きにして彼自身に惹かれていると感じた。
一国の王子に真面目に恋をしてしまったなんて、笑われてもしょうがない。
それでも真加は少しでもそばにいたいと思った。そして好意をすぐに伝えられるほど器用ではなかった。
でもいつか景がくれた気持ちを自分も返していきたい。
真加はふわふわとした高揚感に包まれていた。
景とは絶え間なく話をしていたが、そのうち夜が更けて、さすがに自室に戻る。
歩いてすぐ、同じ建物だというのに夢のような心地だった。
このまま冬休みに入り、お互い帰省するから会えないだろう。その短い間でさえ、会えないと寂しいと思ってしまった。
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