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第五章
意外
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着いた先は環境省直轄の赤目の引き取り施設で、通称回収センターと呼ばれる所だ。広大な駐車場に、鉄筋コンクリート製の三階建ての建物、それに大きなプレハブ小屋が隣接されている。
建物の一階は赤目を引き取ってもらう窓口になり、こちらで赤目の種類や、状態などを査定してもらう。
二階は証明書などの書類を、発行する行政機関となっており、持ち込んだ赤目に関しての、駆除証明書を発行してもらい、後日それに基づいた請求を環境省に行い、政府の方から報酬を得る。
三階は職員施設で、直接的には関係はなく、隣接するプレハブ小屋は引き取った赤目を、保管しておく倉庫となっていた。
引き取った赤目は有用な資源や、貴重な研究材料として大学などの研究機関や、企業などに卸される。聞くところによると、希少な薬剤の原料や、レアメタルの代わりなどに使用されているらしい。
まあ、そんなに詳しい仕組みは分からないのだが、取り敢えずそれらのおかげで、猟人の報酬は割と高額である。
回収センターは割かし混んでいたので、順番待ちになった。
シゲさんは顔見知りの猟人達と、タバコを吹かしながら談笑し、絹江さんは自販機から購入した、缶ジュースを飲んでいた。
それにしても、今日は疲れたなぁ。大細鹿に会うまでは、楽勝だったのに、簡単にはいかないね。
ポーチから板チョコを取り出す。思いの外溶けていないことに、少し感動しながら、丁寧に銀紙を剥いて頬張った。
……チョコって、素晴らしいね。疲れている時も、そうでない時でも至福を与えてくれる。
絹江さんが話しかけてきた。
「狛彦君、ちょっといい?」
「ハイ、何でしょうか?」
「実はちょっと、お願いがあるの」
結構真剣な顔だな。ということは……。
「チョコ欲しかったですか?」
「違う!」
違うのか⁉ この世の中に、チョコを欲しがらない人がいるとは……。
「では、何でしょうか?」
「実は……ね」
絹江さんは話しづらそうに、急にモジモジとし始めた。
「えぇとね……呼び方を……変えてくれないかと……」
「………?」
絹江さんの意図することが、よく分からなかった。
「どういうことでしょうか?」
「だから……私のことは『絹江』以外で、呼んで欲しいの」
これはどういうことだろうか? 絹江さんを『絹江』以外で呼んでほしいとは?
瞬時に色々と考えたのだが、答えは出なかった。
なので、素直に聞いてみることにする。
「どうしてでしょうか?」
「何というか……『絹江』って、何か古臭い感じがしない? ちょっと変な感じで目立つし、だから、名前で呼ばれるのは、あまり好きじゃなくて、違う呼び方に変えて欲しいの」
確かに今風の名前ではないな。今時の女子高生としては、結構な悩みごとなのだろうか? そういえば初めて会った時に、微妙な表情をしたのはこの為か、それなら今まで我慢していたことだろうし、ご期待に沿えたいところだ。
しかし、何と呼べばいいのだろうか? 苗字の『蜂須賀』で呼ぶ手もあるが、その場合だと事務員の美咲さんと被ってしまい、区別をすることが難しくなる。シゲさんの様に『嬢ちゃん』と呼ぶ方法もあるが、同い年でこの呼び方は如何なものか。
瞬時に色々と考えてみたが、答えは出なかった。
もう一度、素直に聞いてみよう。
「……何とお呼びすれば、良いのでしょうか?」
「そこは色々と考えたけど、良いのが思いつかなくて、狛彦くん、何か良い名前を考えて欲しいの」
えッ⁉ それこっちが決めるの? 今まで我慢していたのだから、呼び方を変えるのは構わないけど、それをこちらに決めて欲しいと言われても……正直、面倒くさい。疲れていることも相まって、余計に面倒くさい。
何よりも、それが思い浮かばないから、素直に聞いてみたのに……。
絹江さんは期待に満ちた眼差しで、こっちを見つめている。
ちょっと視線が痛い。う~~ん、どうしよう?
「出来るだけ可愛らしい感じで、お願い」
あッ! ハードル上げやがった。
そう言われても……取り敢えず、可愛らしいというと、アイドルみたいな感じだよな?
考えに考えて、出した答えは……。
「『キューティー絹江』はどうでしょう?」
「何? その安直な感じは! それにどこかで聞いた覚えがあるし」
「名プロデューサー秋〇康さんの、過去のネタを潔くパクリました」
「パクリはダメ! それに『絹江』は入れないで!」
「でしたら『暫定、絹江さん』でお願いします!」
絹江さんにデコピンされた。
「痛い!」
「『絹江』変わってないじゃない! というか『暫定』って何よ⁉」
「世界ランキングみたいで、可愛らしいかと思って」
「そんなものが、可愛い訳ないでしょ!」
「それじゃあ『絹江・ネンダマギン・スー』で!」
絹江さんにまたデコピンされた。
「 ouch!」
「何よ、その変な名前!」
「NFL選手みたいで、可愛らしかと思って」
「あんなゴツイ奴らの、どこに可愛らしいがあるの⁉ 『絹江』は入ったままだし、さっきの方がまだマシよ!」
「なら『暫定、絹江』さんで、お願いします!」
またまた絹江さんにデコピンされた。
「Aua!」
「ま・じ・め、・に・か・ん・が・え・て!」
絹江さんは今にも噛みつきそうな勢いだ。
ただ、そうは言ったところで、思いつかないものは、思いつかない。
「ええと……じゃあ最後に……」
「なぁに?」
「ギブアップします!」
「何だと~~ッ⁉」
絹江さんが鬼のような形相で、襟首を締め上げてきた。
「ギブ……ギブです……ギブ……アップ……」
視界が暗くなっていくなか、必死に絹江さんの手にタップする。
その時、救世主が現れた。
「何やってんだ? お前たち……」
シゲさんが、不思議そうな顔をして立っていた。
「何でもないです」
先ほどとは打って変わって、絹江さんは天使のような笑顔で返した。
この人、二面性があるな。今の暴力的な部分が、本性だよね。
何だよ~~結構厄介な人なのか?
「順番が来たから行くぞ」
シゲさんは先に歩いて行った。
絹江さんは笑顔で答える。
「分かりました。直ぐ行きます」
絹江さんが、シゲさんを追いかけて歩いていく。だが、突然踵を返して、急に顔を近づけてきた。
「さっき私の悪いこと、考えていたよね?」
「いえ、そのようなことは……」
ドキッとして、絹江さんから顔を背けた。
「本当に?」
絹江さんが背けた顔を逃さないように、回り込んでくる。
「本当です! 天地神明に誓って、そのようなことは考えていません」
絹江さんは、イマイチ納得していない顔つきだ。
「ふ~~ん、まあ、いいわ。さっきの件、ちゃんと考えておいてね」
絹江さんはそう言うと、シゲさんの後を追いかけていった。
……どうしようかな? というか、どうすればいいの?
自問自答しながら、二人の後を追いかけていった。
事務所に帰ってきて、銃のメンテナンスと、報告業務を終わらせると、三階の喫煙所に向った。
無論未成年なのでタバコを吸う訳ではなく、絹江さんが先に着替えているので、時間を潰す為だ。
更衣室は一部屋しかなく、一応カーテンで区切られているのだが、若い女性と同じ部屋で着替えるのは、ちょっと気が引けてしまう。
だから、絹江さんとは時間をズラして、着替えるようにしていた。
喫煙所に着くと、いつもの様に小鳥遊所長と、シゲさんがタバコを吹かしながら談笑していた。
疲れていたこともあって、ぼんやりと外の街並みを眺める。
数分後に二階の方から、ドアの開閉する音が聞こえた。
下を眺めると、階段を下りていく女性の後ろ姿が見えた。
事務員の美咲さんは、この時間は既に上がっている筈だ。となると、件の女性は絹江さんであろう。
疲れているし、とっとと帰ろう。
小鳥遊所長と、シゲさんにお疲れの挨拶をして、下へと向かった。
更衣室のドアを開けて、中へと入る。
そこには、予想外の光景が広がっていた。
ブルーのスポーツブラと、ショーツ姿の絹江さんが立っていたのだ。
透き通るような白い肌と、美しくくびれた腰回り、小さくキュッとしたお尻に、細く長い綺麗な足が際立っていた。因みに、胸は少々小さいかな。
思わず、素っ頓狂な声を上げる。
「へッ……何で?」
「……………………」
絹江さんと無言で見つめ合い、一拍ほど置いて、絹江さんは悲鳴を上げた。
「きゃぁぁーーあqwせdrft………」
そして、右拳が飛んできた。
「和風キノコパスタを、一つ下さい」
絹江さんがメニュー表を指しながら、パスタを追加注文していた。
その前にはハンバーグステーキと、ドリアの空き皿が広がっている。
痛む左頬を擦りながら尋ねた。
「……よく食べますね」
絹江さんがスマホの画面を覗きながら、すました顔で呟いた。
「へぇ~~覗きって、軽犯罪法違反何だ……知らなかったなぁ」
「うッ………」
左頬が更に痛んできた。
ここは雑居ビルの三階に入っているファミレス。
現在の状況を説明すると。
忘れ物を取りに来た美咲さんが、絹江さんと世間話をした後で帰る。
それを見た俺が、絹江さんと勘違いする。
更衣室を開けて、下着姿の絹江さんを発見。
絹江さんによる鉄拳制裁が発動。
食事を奢ることで示談が成立。
ファミレスで食事。← 今ここ。
食事をしながらも絹江さんは、チクリチクリと攻めてくる。
「普通ノックもせずに、ドアを開けるかなぁ?」
ノックをせずに、ドアを開けた非は認めますけど、カーテンを閉めていなかった絹江さんにも、責任はあると思いますけどね。
一切口には出しませんけど、取り敢えず、思うだけは思っておきます。
ふと、メニューに載っている、デザートが目についた。
最近やたらとCMでよく流れている、イチゴのサンデーだ。
鮮やかな赤と白の断面のアイスに、フワリとした雲のようなソフトクリームがかかっていて、その上に瑞々しいイチゴの群れが咲き乱れ、煌びやかなシロップが掛かっている。
見た目もすごく美味しそうだし、なにより『サンデー』って響きが、これまた良いよなぁ。CMを見た時から気になっていたし、頼んじゃおっかな~~?
タイミング良く食器を下げに、女性の店員さんがやって来た。
「あ、すみません。この『極上イチゴのフロマージュサンデー』を一つお願いします」
絹江さんが便乗してきた。
「私にもそれ一つ」
「ええッ⁉ まだ入るの?」
絹江さんがニッコリ笑った。
「成長期なので」
成長期って自分で言うなら、そうなんだろうけど、少々存在感の薄い胸も、これから成長していくのだろうか?
ていうか、人の奢りだと思って~~!
「……それ本当に、全部食べられますよね? 嫌がらせに、無理やりに無茶苦茶な、注文していないですよね?」
絹江さんが、半ギレ気味に答えた。
「そんなことない! これぐらい余裕よ! 嫌がらせだなんて、失礼しちゃうわね!」
「……本当に?」
絹江さんに疑惑の眼差しを向けると、何故か、女性の店員さんが代わりに答えた。
「こちらのお客様、一見華奢な体つきでございますが、内臓がすこぶる健康で丈夫ときており、成長期なのも相まって、無尽蔵の胃袋となっております。お客様の懸念もご理解出来ますが、特に問題なく完食されるでしょう」
「急に何を言っているんですか⁉ というか何でそんなこと分かるんですか? それにイマイチ褒めているのか、けなしているのか分かんないですけど?」
これまた何故か、絹江さんが誇らしげに答えた。
「ホラね!」
「『ホラ』の意味が分かんないですよ! 『ホラ』の意味が!」
「因みに、こちら『極上イチゴのフロマージュサンデー』につきまして、メニュー表では小ぶりに見えますが、お客様からよく逆掲載詐欺と言われておりまして、実際には二人前程度の量があると、ご理解下さいませ」
「それは萌えますね! 全然大丈夫なので、お願いします!」
「何で萌えるの⁉」
「それでしたら『マシマシ』で注文していただけましたら、更に1.5倍増しに、萌えることも可能でございます」
「えッ⁉ ラーメン屋さんなの? っていうか、更に1.5倍に萌えるって、何ですか?」
「その挑戦受けるわ! 1.5倍萌えで、お願いします」
「挑戦って何? そもそも萌えるって、一般的なの?」
「かしこまりました。狛彦の方は、いかがいたしますか?」
急に振られたおかげで、ドギマギした。
「ええ⁉ えぇっと……つ……通常サイズで、お願いします」
「かしこまりました」
女性の店員さんは、キビキビとした動きで注文を受け付け、空いたお皿を片付けていった。
妙な感じで、思わず流されてしまったけど……何だろう? 何かもの凄い敗北感があるんですけど……。
んん……何だ?
何やら外の方が騒がしく、サイレンの音とかが鳴っている気がする。
何かあったのかな? ちょっと気になる。
だが、その疑問は、直ぐに吹き飛んでしまった。
絹江さんが、和風キノコパスタを食べ終わると同時に、お目当てのデザート運ばれてきたからだ。
イチゴのソフトサンデーは、噂に違わぬ味であった。
イチゴはその名が示す通り極上に甘く、その中に程よい酸味があるからさっぱりともしていて、フロマージュは滑らかで、舌触りの良いチーズクリームになっており、かかっているシロップがアクセントになっていて、良い仕事をしている。土台部分のアイスクリームは非常に濃厚で、これが更に美味しさを、引き出している気がする。
これ……マジで滅茶苦茶、美味しいのですけど!
絹江さんには殴られたが、ちょっと幸せな気分であった。
「……何かしら?」
「……?」
絹江さんに促されて見ると、窓際に人が集まっていた。
「……何でしょうね」
少し気になったが、それ以上に気になることがあった。
絹江さんの目の前にある『マシマシの極上イチゴのフロマージュサンデー』が、既に三分の二はなくなっていた。
あの細い体のどこに、こんなに入るのだろうか? 本当に成長期だからなのか? というか成長期って、そんな万能な言葉だったか?
そんなことを考えていると、聞きなれた言葉が、耳に入ってきた。
「……赤目?」
絹江さんも頷く。
「私もそう聞こえた」
流石にそれは気になったので、席を立ち、声のした窓際に向かった。絹江さんも、後ろからついて来る。
何事かと思って窓から外を眺めると、数台のパトカーと、野次馬と思しき人たちがいた。
警察官たちが、野次馬を押さえる先の方には、見慣れた奴がいた。
赤目だ。しかも、この前出くわした強敵、黒狼が居る。
それを取り囲むように、専用の防護服と、ヘルメットに身を包み、腰から象徴的な手斧をぶら下げ、自動小銃と、ライオットシールドを構えた、三人の武装警察が対峙していた。
武装警察の隊員たちは、遠目でも分かるほどの屈強なガタイで、特に真ん中にいる隊員が、やけに体格が大きくて、ちょっと目立っていた。
マジか……全然気づかなかった。これも極上イチゴのフロマージュサンデーによる、魔性のなせる業なのか……。
黒狼は周りを、激しく威嚇していた。
遠目ながらも、張り詰めた空気を感じる。
黒狼と、武装警察は睨み合ったまま動かない。
その後方では一般の警察官が、懸命に野次馬を抑えようとして、頑張っていた。だが、普段滅多に見ることのない、赤目に興奮しているのか、これがなかなか、下がっていかない。
武装警察は、一向に発砲しなかった。
本来であれば三人で取り囲んでいる現状、自動小銃による十字砲火で、有利にことを進めることが出来る。だが、周りに野次馬がいるおかげで、跳弾や流れ弾を恐れて、発砲出来ないのであろう。
そんな中、黒狼が気をそらして、野次馬の方を向いた。
野次馬の方から、何か物が投げられたみたいだ。
次の瞬間、真ん中の大柄な男が、手斧で切り込んでいった。
黒狼は俊敏にそれを避けると、逆に襲い掛かった。
大柄な男がライオットシールドで、何とかそれを防ぐ。
すると、その隙に他の二人も、続けて切り込んでいった。
激しく抵抗する黒狼に、少々持て余しながらも、武装警察が必死に、肉参戦で応戦する。
流石の黒狼も多勢に無勢で、段々と弱まり、最後には力尽きた。
その光景を目にして、思わず絹江さんと目を見合わせた。
仕事柄、赤目の怖さは知っているし、黒狼の強さも、身をもって知っている。この前黒狼に抑え込まれた時なんか、簡単に動けなくなるくらい、もの凄く強い力であった。
それを肉弾戦で倒すなんて、到底考えきれない。
武装警察が持つ手斧が、街中での戦闘の際に、市民への被害を考慮して、実戦で使用するとは聞いていたが、眉唾物だと思っていた。
そんな自分たちをしり目に、武装警察は悠々と引き上げて行く。
それにしても、最近多い気がするな。絹江さんに鉄拳を貰ったことも含めて、何か嫌な感じがした。
建物の一階は赤目を引き取ってもらう窓口になり、こちらで赤目の種類や、状態などを査定してもらう。
二階は証明書などの書類を、発行する行政機関となっており、持ち込んだ赤目に関しての、駆除証明書を発行してもらい、後日それに基づいた請求を環境省に行い、政府の方から報酬を得る。
三階は職員施設で、直接的には関係はなく、隣接するプレハブ小屋は引き取った赤目を、保管しておく倉庫となっていた。
引き取った赤目は有用な資源や、貴重な研究材料として大学などの研究機関や、企業などに卸される。聞くところによると、希少な薬剤の原料や、レアメタルの代わりなどに使用されているらしい。
まあ、そんなに詳しい仕組みは分からないのだが、取り敢えずそれらのおかげで、猟人の報酬は割と高額である。
回収センターは割かし混んでいたので、順番待ちになった。
シゲさんは顔見知りの猟人達と、タバコを吹かしながら談笑し、絹江さんは自販機から購入した、缶ジュースを飲んでいた。
それにしても、今日は疲れたなぁ。大細鹿に会うまでは、楽勝だったのに、簡単にはいかないね。
ポーチから板チョコを取り出す。思いの外溶けていないことに、少し感動しながら、丁寧に銀紙を剥いて頬張った。
……チョコって、素晴らしいね。疲れている時も、そうでない時でも至福を与えてくれる。
絹江さんが話しかけてきた。
「狛彦君、ちょっといい?」
「ハイ、何でしょうか?」
「実はちょっと、お願いがあるの」
結構真剣な顔だな。ということは……。
「チョコ欲しかったですか?」
「違う!」
違うのか⁉ この世の中に、チョコを欲しがらない人がいるとは……。
「では、何でしょうか?」
「実は……ね」
絹江さんは話しづらそうに、急にモジモジとし始めた。
「えぇとね……呼び方を……変えてくれないかと……」
「………?」
絹江さんの意図することが、よく分からなかった。
「どういうことでしょうか?」
「だから……私のことは『絹江』以外で、呼んで欲しいの」
これはどういうことだろうか? 絹江さんを『絹江』以外で呼んでほしいとは?
瞬時に色々と考えたのだが、答えは出なかった。
なので、素直に聞いてみることにする。
「どうしてでしょうか?」
「何というか……『絹江』って、何か古臭い感じがしない? ちょっと変な感じで目立つし、だから、名前で呼ばれるのは、あまり好きじゃなくて、違う呼び方に変えて欲しいの」
確かに今風の名前ではないな。今時の女子高生としては、結構な悩みごとなのだろうか? そういえば初めて会った時に、微妙な表情をしたのはこの為か、それなら今まで我慢していたことだろうし、ご期待に沿えたいところだ。
しかし、何と呼べばいいのだろうか? 苗字の『蜂須賀』で呼ぶ手もあるが、その場合だと事務員の美咲さんと被ってしまい、区別をすることが難しくなる。シゲさんの様に『嬢ちゃん』と呼ぶ方法もあるが、同い年でこの呼び方は如何なものか。
瞬時に色々と考えてみたが、答えは出なかった。
もう一度、素直に聞いてみよう。
「……何とお呼びすれば、良いのでしょうか?」
「そこは色々と考えたけど、良いのが思いつかなくて、狛彦くん、何か良い名前を考えて欲しいの」
えッ⁉ それこっちが決めるの? 今まで我慢していたのだから、呼び方を変えるのは構わないけど、それをこちらに決めて欲しいと言われても……正直、面倒くさい。疲れていることも相まって、余計に面倒くさい。
何よりも、それが思い浮かばないから、素直に聞いてみたのに……。
絹江さんは期待に満ちた眼差しで、こっちを見つめている。
ちょっと視線が痛い。う~~ん、どうしよう?
「出来るだけ可愛らしい感じで、お願い」
あッ! ハードル上げやがった。
そう言われても……取り敢えず、可愛らしいというと、アイドルみたいな感じだよな?
考えに考えて、出した答えは……。
「『キューティー絹江』はどうでしょう?」
「何? その安直な感じは! それにどこかで聞いた覚えがあるし」
「名プロデューサー秋〇康さんの、過去のネタを潔くパクリました」
「パクリはダメ! それに『絹江』は入れないで!」
「でしたら『暫定、絹江さん』でお願いします!」
絹江さんにデコピンされた。
「痛い!」
「『絹江』変わってないじゃない! というか『暫定』って何よ⁉」
「世界ランキングみたいで、可愛らしいかと思って」
「そんなものが、可愛い訳ないでしょ!」
「それじゃあ『絹江・ネンダマギン・スー』で!」
絹江さんにまたデコピンされた。
「 ouch!」
「何よ、その変な名前!」
「NFL選手みたいで、可愛らしかと思って」
「あんなゴツイ奴らの、どこに可愛らしいがあるの⁉ 『絹江』は入ったままだし、さっきの方がまだマシよ!」
「なら『暫定、絹江』さんで、お願いします!」
またまた絹江さんにデコピンされた。
「Aua!」
「ま・じ・め、・に・か・ん・が・え・て!」
絹江さんは今にも噛みつきそうな勢いだ。
ただ、そうは言ったところで、思いつかないものは、思いつかない。
「ええと……じゃあ最後に……」
「なぁに?」
「ギブアップします!」
「何だと~~ッ⁉」
絹江さんが鬼のような形相で、襟首を締め上げてきた。
「ギブ……ギブです……ギブ……アップ……」
視界が暗くなっていくなか、必死に絹江さんの手にタップする。
その時、救世主が現れた。
「何やってんだ? お前たち……」
シゲさんが、不思議そうな顔をして立っていた。
「何でもないです」
先ほどとは打って変わって、絹江さんは天使のような笑顔で返した。
この人、二面性があるな。今の暴力的な部分が、本性だよね。
何だよ~~結構厄介な人なのか?
「順番が来たから行くぞ」
シゲさんは先に歩いて行った。
絹江さんは笑顔で答える。
「分かりました。直ぐ行きます」
絹江さんが、シゲさんを追いかけて歩いていく。だが、突然踵を返して、急に顔を近づけてきた。
「さっき私の悪いこと、考えていたよね?」
「いえ、そのようなことは……」
ドキッとして、絹江さんから顔を背けた。
「本当に?」
絹江さんが背けた顔を逃さないように、回り込んでくる。
「本当です! 天地神明に誓って、そのようなことは考えていません」
絹江さんは、イマイチ納得していない顔つきだ。
「ふ~~ん、まあ、いいわ。さっきの件、ちゃんと考えておいてね」
絹江さんはそう言うと、シゲさんの後を追いかけていった。
……どうしようかな? というか、どうすればいいの?
自問自答しながら、二人の後を追いかけていった。
事務所に帰ってきて、銃のメンテナンスと、報告業務を終わらせると、三階の喫煙所に向った。
無論未成年なのでタバコを吸う訳ではなく、絹江さんが先に着替えているので、時間を潰す為だ。
更衣室は一部屋しかなく、一応カーテンで区切られているのだが、若い女性と同じ部屋で着替えるのは、ちょっと気が引けてしまう。
だから、絹江さんとは時間をズラして、着替えるようにしていた。
喫煙所に着くと、いつもの様に小鳥遊所長と、シゲさんがタバコを吹かしながら談笑していた。
疲れていたこともあって、ぼんやりと外の街並みを眺める。
数分後に二階の方から、ドアの開閉する音が聞こえた。
下を眺めると、階段を下りていく女性の後ろ姿が見えた。
事務員の美咲さんは、この時間は既に上がっている筈だ。となると、件の女性は絹江さんであろう。
疲れているし、とっとと帰ろう。
小鳥遊所長と、シゲさんにお疲れの挨拶をして、下へと向かった。
更衣室のドアを開けて、中へと入る。
そこには、予想外の光景が広がっていた。
ブルーのスポーツブラと、ショーツ姿の絹江さんが立っていたのだ。
透き通るような白い肌と、美しくくびれた腰回り、小さくキュッとしたお尻に、細く長い綺麗な足が際立っていた。因みに、胸は少々小さいかな。
思わず、素っ頓狂な声を上げる。
「へッ……何で?」
「……………………」
絹江さんと無言で見つめ合い、一拍ほど置いて、絹江さんは悲鳴を上げた。
「きゃぁぁーーあqwせdrft………」
そして、右拳が飛んできた。
「和風キノコパスタを、一つ下さい」
絹江さんがメニュー表を指しながら、パスタを追加注文していた。
その前にはハンバーグステーキと、ドリアの空き皿が広がっている。
痛む左頬を擦りながら尋ねた。
「……よく食べますね」
絹江さんがスマホの画面を覗きながら、すました顔で呟いた。
「へぇ~~覗きって、軽犯罪法違反何だ……知らなかったなぁ」
「うッ………」
左頬が更に痛んできた。
ここは雑居ビルの三階に入っているファミレス。
現在の状況を説明すると。
忘れ物を取りに来た美咲さんが、絹江さんと世間話をした後で帰る。
それを見た俺が、絹江さんと勘違いする。
更衣室を開けて、下着姿の絹江さんを発見。
絹江さんによる鉄拳制裁が発動。
食事を奢ることで示談が成立。
ファミレスで食事。← 今ここ。
食事をしながらも絹江さんは、チクリチクリと攻めてくる。
「普通ノックもせずに、ドアを開けるかなぁ?」
ノックをせずに、ドアを開けた非は認めますけど、カーテンを閉めていなかった絹江さんにも、責任はあると思いますけどね。
一切口には出しませんけど、取り敢えず、思うだけは思っておきます。
ふと、メニューに載っている、デザートが目についた。
最近やたらとCMでよく流れている、イチゴのサンデーだ。
鮮やかな赤と白の断面のアイスに、フワリとした雲のようなソフトクリームがかかっていて、その上に瑞々しいイチゴの群れが咲き乱れ、煌びやかなシロップが掛かっている。
見た目もすごく美味しそうだし、なにより『サンデー』って響きが、これまた良いよなぁ。CMを見た時から気になっていたし、頼んじゃおっかな~~?
タイミング良く食器を下げに、女性の店員さんがやって来た。
「あ、すみません。この『極上イチゴのフロマージュサンデー』を一つお願いします」
絹江さんが便乗してきた。
「私にもそれ一つ」
「ええッ⁉ まだ入るの?」
絹江さんがニッコリ笑った。
「成長期なので」
成長期って自分で言うなら、そうなんだろうけど、少々存在感の薄い胸も、これから成長していくのだろうか?
ていうか、人の奢りだと思って~~!
「……それ本当に、全部食べられますよね? 嫌がらせに、無理やりに無茶苦茶な、注文していないですよね?」
絹江さんが、半ギレ気味に答えた。
「そんなことない! これぐらい余裕よ! 嫌がらせだなんて、失礼しちゃうわね!」
「……本当に?」
絹江さんに疑惑の眼差しを向けると、何故か、女性の店員さんが代わりに答えた。
「こちらのお客様、一見華奢な体つきでございますが、内臓がすこぶる健康で丈夫ときており、成長期なのも相まって、無尽蔵の胃袋となっております。お客様の懸念もご理解出来ますが、特に問題なく完食されるでしょう」
「急に何を言っているんですか⁉ というか何でそんなこと分かるんですか? それにイマイチ褒めているのか、けなしているのか分かんないですけど?」
これまた何故か、絹江さんが誇らしげに答えた。
「ホラね!」
「『ホラ』の意味が分かんないですよ! 『ホラ』の意味が!」
「因みに、こちら『極上イチゴのフロマージュサンデー』につきまして、メニュー表では小ぶりに見えますが、お客様からよく逆掲載詐欺と言われておりまして、実際には二人前程度の量があると、ご理解下さいませ」
「それは萌えますね! 全然大丈夫なので、お願いします!」
「何で萌えるの⁉」
「それでしたら『マシマシ』で注文していただけましたら、更に1.5倍増しに、萌えることも可能でございます」
「えッ⁉ ラーメン屋さんなの? っていうか、更に1.5倍に萌えるって、何ですか?」
「その挑戦受けるわ! 1.5倍萌えで、お願いします」
「挑戦って何? そもそも萌えるって、一般的なの?」
「かしこまりました。狛彦の方は、いかがいたしますか?」
急に振られたおかげで、ドギマギした。
「ええ⁉ えぇっと……つ……通常サイズで、お願いします」
「かしこまりました」
女性の店員さんは、キビキビとした動きで注文を受け付け、空いたお皿を片付けていった。
妙な感じで、思わず流されてしまったけど……何だろう? 何かもの凄い敗北感があるんですけど……。
んん……何だ?
何やら外の方が騒がしく、サイレンの音とかが鳴っている気がする。
何かあったのかな? ちょっと気になる。
だが、その疑問は、直ぐに吹き飛んでしまった。
絹江さんが、和風キノコパスタを食べ終わると同時に、お目当てのデザート運ばれてきたからだ。
イチゴのソフトサンデーは、噂に違わぬ味であった。
イチゴはその名が示す通り極上に甘く、その中に程よい酸味があるからさっぱりともしていて、フロマージュは滑らかで、舌触りの良いチーズクリームになっており、かかっているシロップがアクセントになっていて、良い仕事をしている。土台部分のアイスクリームは非常に濃厚で、これが更に美味しさを、引き出している気がする。
これ……マジで滅茶苦茶、美味しいのですけど!
絹江さんには殴られたが、ちょっと幸せな気分であった。
「……何かしら?」
「……?」
絹江さんに促されて見ると、窓際に人が集まっていた。
「……何でしょうね」
少し気になったが、それ以上に気になることがあった。
絹江さんの目の前にある『マシマシの極上イチゴのフロマージュサンデー』が、既に三分の二はなくなっていた。
あの細い体のどこに、こんなに入るのだろうか? 本当に成長期だからなのか? というか成長期って、そんな万能な言葉だったか?
そんなことを考えていると、聞きなれた言葉が、耳に入ってきた。
「……赤目?」
絹江さんも頷く。
「私もそう聞こえた」
流石にそれは気になったので、席を立ち、声のした窓際に向かった。絹江さんも、後ろからついて来る。
何事かと思って窓から外を眺めると、数台のパトカーと、野次馬と思しき人たちがいた。
警察官たちが、野次馬を押さえる先の方には、見慣れた奴がいた。
赤目だ。しかも、この前出くわした強敵、黒狼が居る。
それを取り囲むように、専用の防護服と、ヘルメットに身を包み、腰から象徴的な手斧をぶら下げ、自動小銃と、ライオットシールドを構えた、三人の武装警察が対峙していた。
武装警察の隊員たちは、遠目でも分かるほどの屈強なガタイで、特に真ん中にいる隊員が、やけに体格が大きくて、ちょっと目立っていた。
マジか……全然気づかなかった。これも極上イチゴのフロマージュサンデーによる、魔性のなせる業なのか……。
黒狼は周りを、激しく威嚇していた。
遠目ながらも、張り詰めた空気を感じる。
黒狼と、武装警察は睨み合ったまま動かない。
その後方では一般の警察官が、懸命に野次馬を抑えようとして、頑張っていた。だが、普段滅多に見ることのない、赤目に興奮しているのか、これがなかなか、下がっていかない。
武装警察は、一向に発砲しなかった。
本来であれば三人で取り囲んでいる現状、自動小銃による十字砲火で、有利にことを進めることが出来る。だが、周りに野次馬がいるおかげで、跳弾や流れ弾を恐れて、発砲出来ないのであろう。
そんな中、黒狼が気をそらして、野次馬の方を向いた。
野次馬の方から、何か物が投げられたみたいだ。
次の瞬間、真ん中の大柄な男が、手斧で切り込んでいった。
黒狼は俊敏にそれを避けると、逆に襲い掛かった。
大柄な男がライオットシールドで、何とかそれを防ぐ。
すると、その隙に他の二人も、続けて切り込んでいった。
激しく抵抗する黒狼に、少々持て余しながらも、武装警察が必死に、肉参戦で応戦する。
流石の黒狼も多勢に無勢で、段々と弱まり、最後には力尽きた。
その光景を目にして、思わず絹江さんと目を見合わせた。
仕事柄、赤目の怖さは知っているし、黒狼の強さも、身をもって知っている。この前黒狼に抑え込まれた時なんか、簡単に動けなくなるくらい、もの凄く強い力であった。
それを肉弾戦で倒すなんて、到底考えきれない。
武装警察が持つ手斧が、街中での戦闘の際に、市民への被害を考慮して、実戦で使用するとは聞いていたが、眉唾物だと思っていた。
そんな自分たちをしり目に、武装警察は悠々と引き上げて行く。
それにしても、最近多い気がするな。絹江さんに鉄拳を貰ったことも含めて、何か嫌な感じがした。
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