【虐げヒロインはドSエリートに翻弄される】〜囚える鎖を放すか否か(仮)

光月海愛(こうつきみあ)

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ほんとうの姿

フェチ

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【おはよう。もう買い物行った?】

 土曜日。
 藍野さんからメッセージが来たのはお昼。食べるかどうかわからない皆のブランチを用意した所だった。

【いいえ。もうすぐ出ようと思ってました】

 スマホを打つ手が心なしか速くなる。

【どの辺で買い物する?】

 いつも行くスーパーの名前を打つと、

【そこ、駐車場あるな】

 迎えに行く、と返事が来た。
 本当に会えるのか半信半疑で、髪のブローもメイクもほぼしていなかったから、慌てて整える。

 なるべく、いつものように、それでも所帯染みないように気をつけたつもりだ。

「あぁ、もう、掃除機の音で起きちゃったわよ」

 玄関に向かっていると、継母が不機嫌そうにして部屋から出てきた。
 昨夜は、皆バラバラではあったが、帰ってきたのは二時頃だった。雅夫兄さん夫婦はまだ寝ているらしい。

「買い物行ってきます」

 なるべく継母の顔を見ないようにしていたのに、

「明日美、待ちな」

「……は、い」

 呼び止められ、仕方なくそのしかめっ面に視線をやる。

「昨日、竹林部長は真っ直ぐ帰ったの?」

「え、はい」

「ふぅん」
 
 この人が部長に私を託したのは本当らしい。

「家まで送って貰ったんだから、茶の一杯でも出せば良かったのよ」

「……そうですね」

 安直な企みに気が付かないほど、私を馬鹿だと思ってるのか。

「気が利かない女はだぁれも欲しがらないよ」

 鼻で笑った継母がリビングに入るのを見届けて、靴を履く。
 ふと、昨夜の竹林部長の事を思い出した。


『明日美さんがどうしても、彼を選ぶというのなら、最後に俺の願いを聞いてくれないか』

 あの時、竹林部長は跪いたまま頭を下げた。
 竹林部長の性格と話の流れから、金銭的かつ業務的な要求は無いと思ったけれど、性的な事以外なら、自分に応えられる内容なら、と私は聞いたのだ。

『……願いって何ですか?』

『くちづけをしたい』

 くちづけ。
 いくら部長が一回り以上歳上の男性であっても、キスと言わないのが、古風で違和感あった。

『それ、は……』

 藍野さんを好きだと明かしたも当然なのに、無理な話だ。

『口じゃなくていいんだ』

『え……』

 ほっぺとか、オデコとかそういう?

 今までの竹林部長の親切さを思えば、それくらいなら構わないと思った。

『一瞬で終わるなら』

 失礼とも取られる言い方をしたのに、部長は顔を上げて翳った目元を微かに煌めかせた。

『なら、パンプスを脱いでくれないか』

『………え』

 予想もしていなかった要求。

『できたら、ストッキングも』

『はい……?』
 
 また、未知な世界に足を踏み入れてしまう予感がした。

『俺は足フェチなんだ』
 












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