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ほんとうの姿
車内
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私の話を黙って聞いていた藍野さんは、車を公園の有料駐車場に停めた。
テニスコートや池があるが、利用者は少なく静寂の中で、クヌギがシャラシャラと若葉を揺らしていた。
「おかしいと思った」
竹林部長が私達の関係に気が付いた上での昨夜の件だ。二人を引き離す為の行動だと考えたのは、藍野さんも同じだった。
「で? 明日美は嬉しかった? 好きだって言われて」
藍野さんの横顔は、相変わらず不機嫌だ。
「……裏があると分かってるのに、嬉しいわけないです」
たとえ、梅野家が裏で糸を引いてなくても、竹林部長の気持ちを受け入れるなんて出来なかった。
「私は、思い違いをしていたのかもしれません」
歳上の男性に惹かれたのは、きっと、父親の影を追っていたから。
父親から愛された記憶が少ないからこそ、父性に近いものを求めていたのかもしれない。
だけど、歳上の男性が皆、そんなものを持ち合わせているとは限らない。
昨夜の竹林部長は、すがるように私の脛や膝、内腿に唇を這わせてきた。スカートを捲り、ストッキングがグッショリと濡れるほど、舌先も同じように駆使していた。
ショーツにまで届きそうな所で、私は部長を制した。
飴を取り上げられた子供のような目をしていた。
あの時の部長の顔を思い出すと、何とも言えない気持ちになる。
私も、藍野さんに対して、あんな表情をしているのかもしれない。
「もういい。のろけは聞きたくない」
のろけ?
何でそうなるの?
反論しようとしたら、藍野さんが手を伸ばして助手席のシートを倒した。
いつもの香水はつけてないのか、柔軟剤の匂いが私の体を覆った。
突然の重みに不安と期待が入り混じる。彼の吐息が耳と首筋に降りてきた。
しかし、キスを通り越して、いきなり長袖Tシャツの裾をまくり上げられ、咄嗟に「こんな所で?!」と、その手を掴んだ。
「こんな所だけど、ご覧の通り、人居ないから」
冷ややかに声を落として、藍野さんは構わず私の下着にも手を掛けた。
「待って、今はたまたま人は居ないけど、誰か来たら……」
間違いなく通報モノなのに。
拒否する私の口を、彼の手が覆った。
「明日美に拒む権利はないはずだけど?」
「でも、」
「でもじゃない。明日美は俺の言う事聞く約束だろ。頭痛くて苛々してるんだ。手を煩わせるな」
ピシャリと言われて、私は抵抗を止めた。
「……せめて外から見えないようにしてください」
「カーテンなんか付けてない。恥ずかしいなら、ほら」
準備良くアイマスクを取り出して、藍野さんは私の顔に着けた。だから、私が見えなければいいって話じゃないのに。
「そんなに心配なら、サンシェードでフロントは隠すよ」
視界は奪われたが、確かにガラスに何かを取り付ける音がして、ちょっとだけ安心した。
露出していた胸に温かい唇が吸い付く。強弱の塩梅が絶妙で、乳首を軽く噛まれたり舌で転がされたりしているうちに、前みたいに乳首でイキそうになるも、藍野さんは弄ぶのを突如中断した。
「あいつ、竹林、どこまで明日美に触った?」
テニスコートや池があるが、利用者は少なく静寂の中で、クヌギがシャラシャラと若葉を揺らしていた。
「おかしいと思った」
竹林部長が私達の関係に気が付いた上での昨夜の件だ。二人を引き離す為の行動だと考えたのは、藍野さんも同じだった。
「で? 明日美は嬉しかった? 好きだって言われて」
藍野さんの横顔は、相変わらず不機嫌だ。
「……裏があると分かってるのに、嬉しいわけないです」
たとえ、梅野家が裏で糸を引いてなくても、竹林部長の気持ちを受け入れるなんて出来なかった。
「私は、思い違いをしていたのかもしれません」
歳上の男性に惹かれたのは、きっと、父親の影を追っていたから。
父親から愛された記憶が少ないからこそ、父性に近いものを求めていたのかもしれない。
だけど、歳上の男性が皆、そんなものを持ち合わせているとは限らない。
昨夜の竹林部長は、すがるように私の脛や膝、内腿に唇を這わせてきた。スカートを捲り、ストッキングがグッショリと濡れるほど、舌先も同じように駆使していた。
ショーツにまで届きそうな所で、私は部長を制した。
飴を取り上げられた子供のような目をしていた。
あの時の部長の顔を思い出すと、何とも言えない気持ちになる。
私も、藍野さんに対して、あんな表情をしているのかもしれない。
「もういい。のろけは聞きたくない」
のろけ?
何でそうなるの?
反論しようとしたら、藍野さんが手を伸ばして助手席のシートを倒した。
いつもの香水はつけてないのか、柔軟剤の匂いが私の体を覆った。
突然の重みに不安と期待が入り混じる。彼の吐息が耳と首筋に降りてきた。
しかし、キスを通り越して、いきなり長袖Tシャツの裾をまくり上げられ、咄嗟に「こんな所で?!」と、その手を掴んだ。
「こんな所だけど、ご覧の通り、人居ないから」
冷ややかに声を落として、藍野さんは構わず私の下着にも手を掛けた。
「待って、今はたまたま人は居ないけど、誰か来たら……」
間違いなく通報モノなのに。
拒否する私の口を、彼の手が覆った。
「明日美に拒む権利はないはずだけど?」
「でも、」
「でもじゃない。明日美は俺の言う事聞く約束だろ。頭痛くて苛々してるんだ。手を煩わせるな」
ピシャリと言われて、私は抵抗を止めた。
「……せめて外から見えないようにしてください」
「カーテンなんか付けてない。恥ずかしいなら、ほら」
準備良くアイマスクを取り出して、藍野さんは私の顔に着けた。だから、私が見えなければいいって話じゃないのに。
「そんなに心配なら、サンシェードでフロントは隠すよ」
視界は奪われたが、確かにガラスに何かを取り付ける音がして、ちょっとだけ安心した。
露出していた胸に温かい唇が吸い付く。強弱の塩梅が絶妙で、乳首を軽く噛まれたり舌で転がされたりしているうちに、前みたいに乳首でイキそうになるも、藍野さんは弄ぶのを突如中断した。
「あいつ、竹林、どこまで明日美に触った?」
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