【虐げヒロインはドSエリートに翻弄される】〜囚える鎖を放すか否か(仮)

光月海愛(こうつきみあ)

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ほんとうの姿

二人きり

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「どこまで買い物行ってたのよ? 無駄なモノまで買っったんじゃないだろうね?」

 夕方に帰宅すると、継母が買い物袋を覗き込んだ。

「しかし、相変わらずしけた食材だね。野菜、萎びてんじゃないの」

 冷凍食品を買っていないのが幸いした。
 さっきまでいたラブホの冷蔵庫に、冷凍室は無かったから。

「今日の晩と朝食に使いますので、問題ありません」

「あー、私は出掛けるから要らないわ」

「そうですか」

 いつもより、さらにキツい香水の匂いがリビング一帯に広がっている。


「葉月と凱也も出掛けてるみたいだから」

「……はい」

 てことは、雅夫兄さんだけ?
 それはそれで嫌なんだけど。

「あの、瑠衣さんて、まだ……」

 まるで禁句のように感じていた義理妹の行方。

 本人からも連絡ないし、ずっと気になっていた。

「今は一人でホテル住まい。でも、もうすぐ戻ってくる。彼氏とは別れさせたから」

「……え?」

 ″別れさせた″?

「あぁ、もうこんな時間。あんたまで夜ほっつき歩くんじゃないよ。この家の女どもは遊んでばかりって言われちゃうからね」

 それは、結婚してる葉月さんに言ってほしい。
 お金目当てで雅夫兄さんと一緒になったらしいし、凱也の口ぶりから、きっと外に男の人がいる。
 私じゃなくて、嫁の監視を強めたらいいのに。

 さて、と。
 余韻に浸る間もなく夕飯を作っていると、二階から雅夫兄さんが降りてきた。気だるそうなスリッパの音が近づくと、自然と身構える。

「あぁ、気分わりぃ、……なんだよ。お前だけかよ」  

 まだ二日酔いなのか、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して飲んでいる。
 ソファーに座り、スマホを触りながら、「チッ」と舌打ちしていた。

「あの女、人の金で遊びやがって」

 どうやらスマホでWeb通帳を見ているらしい。ブツブツと言っているがなるべく耳に入れないように、炒め物の火力を強くしたりした。八つ当たりされないよう願っていると、

「お前さー」

 ……きた。

「男いるんだって?」

 ソファーから反り返ってつまらなそうに聞いてきた。

「いません」

「嘘つけ。凱也が言ってたぞ。お前が一丁前にキスマーク付けてたってよ」

 私は聞こえないふりをして、鍋の中をかき回す。普段は仲良くないくせに、そんな事は情報共有するんだから。

「おい、無視すんなよ」

 トン! と床を踏み鳴らす音が聞こえ、内心ビクついたがひたすら鍋と向き合う。
 近寄る気配に心臓が激しく脈打つ。

 ……この感じ。
 幼い時から敏感に感じ取ってきた、″苛めっ子″のオーラだ。
 これを感じると、私は息が苦しくなる。
 結婚してから減っていた兄の虐めが、再開されるのだろうか?
















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