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追い込みと反撃
一人ぼっち
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その言葉だけで脳内で実写化され、子宮が突き上げられたような感覚に陥った。
そんな私こそが変態だ。
それに、
「犯す、って、恋人同士では使わないものじゃないですか?」
たとえ契約であっても、私達は付き合ってるのだから。今でもその関係だと信じたい私は、彼の手をギュッと握った。
「私、藍野さんになら、……何をされてもいいです」
「ふぅん、何でも?」
彼の眼鏡が鈍く光る。
「……あ、でも、公然猥褻とかじゃない方がいいです」
言い直すと、藍野さんは、「くっ」と小さく笑った。
「じゃあ、最後に頼み聞いてもらおうかな」
「何、ですか?」
最後にって言葉が引っ掛かるけど。
「明日美が、兄や、義理弟に性的な虐待をされた証拠を俺に渡してほしい」
「え」
ここでまた私の顔は茹でダコのようになった。藍野さんに一番知られたくないことだったし、何より、もっと別の依頼を期待していた自分が滑稽に思えたからだ。
「その反応だと、推測は当たったんだな」
「い、いえ、あの」
雅夫兄さんからは幼い頃、裸の写真を撮られたり触られたりしたけれど、義理の弟は酔った時に絡まれるくらいで触られたりはしていない。
正直に答えると、
「その写真、兄弟で共有してるんだろ。明日美持ってる?」
私は首を横に振った。
脅しに使われているが、手元にはない。
「そう。じゃあ、新たに何かされたら証拠取っておいて」
軽く言われて、私は傷付いた。
「そしてすぐに俺に回して」
やはり、この人は梅野家に、会社に報復する為に私に近寄ったのだと確信したからだ。
「あいつらが来る前に、ここは出た方がいい」
藍野さんは私の手を取り、外に出た。
薄暗くなったが、外に人がいるのが確認できた。大きな人影だった。
「竹林部長……」
私を閉じ込めた張本人。
「鍵を返してください」
竹林部長は憤慨した様子もなく、藍野さんに鍵の返却を求めていた。
「竹林さん」
低い声で藍野さんは唸るように言った。
「あんたは誰の犬?」
「何の事でしょうか?」
穏やかで優しい、頼れる上司だったのに。
すっかり印象が変わってしまった。
竹林部長は鍵を奪うように受け取ると、私の方を見ずに上司の言葉を放った。
「お疲れ様。廃棄は俺がやるから。明日美さんはもう帰っていい」
「……は、い」
そのやり取りを見ることもなく、藍野さんは駐車場の方へ行ってしまった。
「彼に何か渡した?」
竹林部長には、「いいえ」と藍野さんの為に嘘をついたが、心は虚無が占めていた。
本当は、藍野さんに連れて行って貰いたかった。
しかし、実父が不正を働き、彼のお父さんに罪を擦り付けたのを知ると、そんな願いは口にするのも憚れた。
あんな家にはもう帰りたくないのに、逃げる場所は変わらず無い。そして、会社にも味方はいなくなったのだ。
買収云々の前に、取り残された私は、どうなるのだろう、と怖くなった。
そんな私こそが変態だ。
それに、
「犯す、って、恋人同士では使わないものじゃないですか?」
たとえ契約であっても、私達は付き合ってるのだから。今でもその関係だと信じたい私は、彼の手をギュッと握った。
「私、藍野さんになら、……何をされてもいいです」
「ふぅん、何でも?」
彼の眼鏡が鈍く光る。
「……あ、でも、公然猥褻とかじゃない方がいいです」
言い直すと、藍野さんは、「くっ」と小さく笑った。
「じゃあ、最後に頼み聞いてもらおうかな」
「何、ですか?」
最後にって言葉が引っ掛かるけど。
「明日美が、兄や、義理弟に性的な虐待をされた証拠を俺に渡してほしい」
「え」
ここでまた私の顔は茹でダコのようになった。藍野さんに一番知られたくないことだったし、何より、もっと別の依頼を期待していた自分が滑稽に思えたからだ。
「その反応だと、推測は当たったんだな」
「い、いえ、あの」
雅夫兄さんからは幼い頃、裸の写真を撮られたり触られたりしたけれど、義理の弟は酔った時に絡まれるくらいで触られたりはしていない。
正直に答えると、
「その写真、兄弟で共有してるんだろ。明日美持ってる?」
私は首を横に振った。
脅しに使われているが、手元にはない。
「そう。じゃあ、新たに何かされたら証拠取っておいて」
軽く言われて、私は傷付いた。
「そしてすぐに俺に回して」
やはり、この人は梅野家に、会社に報復する為に私に近寄ったのだと確信したからだ。
「あいつらが来る前に、ここは出た方がいい」
藍野さんは私の手を取り、外に出た。
薄暗くなったが、外に人がいるのが確認できた。大きな人影だった。
「竹林部長……」
私を閉じ込めた張本人。
「鍵を返してください」
竹林部長は憤慨した様子もなく、藍野さんに鍵の返却を求めていた。
「竹林さん」
低い声で藍野さんは唸るように言った。
「あんたは誰の犬?」
「何の事でしょうか?」
穏やかで優しい、頼れる上司だったのに。
すっかり印象が変わってしまった。
竹林部長は鍵を奪うように受け取ると、私の方を見ずに上司の言葉を放った。
「お疲れ様。廃棄は俺がやるから。明日美さんはもう帰っていい」
「……は、い」
そのやり取りを見ることもなく、藍野さんは駐車場の方へ行ってしまった。
「彼に何か渡した?」
竹林部長には、「いいえ」と藍野さんの為に嘘をついたが、心は虚無が占めていた。
本当は、藍野さんに連れて行って貰いたかった。
しかし、実父が不正を働き、彼のお父さんに罪を擦り付けたのを知ると、そんな願いは口にするのも憚れた。
あんな家にはもう帰りたくないのに、逃げる場所は変わらず無い。そして、会社にも味方はいなくなったのだ。
買収云々の前に、取り残された私は、どうなるのだろう、と怖くなった。
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