【虐げヒロインはドSエリートに翻弄される】〜囚える鎖を放すか否か(仮)

光月海愛(こうつきみあ)

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SM(藍野視点Ⅱ)

弱い女

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 コンサルタントとしての業務の傍ら、買収交渉の準備もする忙しい日が最終日まで続いていた。  


「明日美さーん、複合機のカートリッジ交換しておいてくださーい」

 上野が交換のサインを見ても明日美に振っていた。俺が常駐している間も、社員達の明日美へのぞんざいな扱いはあまり変わらなかった。


「は、……い」
 
 己の業務で手一杯なはずなのに、明日美は相変わらず皆に良いように使われている。

 どうやら、サインが出ていたのはカートリッジだけじゃなく、廃トナーボックスが満杯になっているようだった。
 UMENOはリース機の古い機種を無料で借りてるから、トナーボックスの交換はちょっと面倒くさい。
 やれやれ、と手伝いに行く。

「飲み会、二次会までくる?」

 送別会の話をすると、明日美の顔に生色が戻り、我慢しきれずと言った感じで微笑んだ。

 その素直さに惹かれる反面、罪悪感も湧く。 

 彼女が真性のМで、仕事でも良いように使えると俺が思っていた事は当人も知ってるはずなのに。

 純真過ぎて、俺みたいな男に依存させるのが気の毒になって来たのかもしれない。

 それでも、彼女を仕込んでセックスを愉しみたい欲の方が強く、土曜日に会う約束をして送別会に出たのだが――

 社長達と二次会まで同じという、最悪な飲み会だった。

 俺に吐かせたいのか、一次会から社長の雅夫や、常務、女子社員達によるお酌の無限ループ。

「義母から聞いてたけど、あなた、男前ねぇー」

 副社長の葉月は酒癖が悪く、旦那の雅夫がいても平気で俺になだれかかったりしてきた。仏頂面に輪をかけて雅夫の機嫌が悪くなっていく。

「おい、明日美」

 八つ当たりされたのは、明日美だった。
 離れた所に座っていた彼女に、取り分けや片付け、注文を命令していた。
 手伝おうと腰を浮かせた俺に、今度は上野が絡んできた。

「藍野さんて、どういう人が好みなんですかぁ?」

 酔った女は嫌いじゃないが、上野は俺のストライクゾーンには入らない。
 見た目云々じゃなく、性格が悪い。
 同性を苛める女が、昔から嫌いだった。

「それ、教える必要ある?」

「置き土産に教えてくださいよー」

 しつこく聞くから、俺は適当に返事をした。

「線の細い女。蝶とか虫にも怯えるような弱い人」

 なにそれー、と上野は笑っていたが、少し離れた所から雅夫が俺を睨んでいた。
 これだけで、明日美のことだと分かったようだった。









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