【虐げヒロインはドSエリートに翻弄される】〜囚える鎖を放すか否か(仮)

光月海愛(こうつきみあ)

文字の大きさ
79 / 81
SM(藍野視点Ⅱ)

変化

しおりを挟む
 これは迂闊に動けない。
 仕事の成功を第一優先に考え、梅野家の前で明日美に近寄るのはやめた。
 だけど、明日美の隣が竹林なのは気になっていた。役員なんだから、下座にいるのはおかしい。まるで彼女を監視してるみたいだ。

 奴を含め、梅野家の人間が俺と明日美を怪しんでいるのは間違いなかった。

 そうしたら、案の定だった。

「竹林部長に好きだと言われました」

 翌日、彼女は正直に俺に話した。
 裏があるとわかってはいても、昨夜の事を思い出しているのか、話す横顔は戸惑いつつも、嬉しそうにも見えた。

 ――ムカつく。

 こんなに苛つくのは、きっと、二日酔いで頭が痛いせいだ。そう思いたかった。
 頭痛は、中に溜め込んだモノを出してしまえば治る。
 狭いのが苦手だし、本当は外でやりたいのを堪えて、車の中で彼女を辱めた。

 誰かに見られたら、と恥ずかしがる姿に興奮する。
 目隠しをして、表情筋から彼女の心理を推測するのも愉しい。

 寝取られ願望は自覚していなかったが、自分の女に他の男が欲情する様子は見たい。

 俺を思ってる女が、他の男に陵辱される様子を妄想すれば、昂りが増す。
 己の惨めさと嫉妬が興奮材料になる。

 それも、SとМが紙一重だと言われる由縁だと思う。

 まさか、誰かに撮影されているとも思わずに、(その時は興奮状態で晒されても構わないという気分になっていた)中断し、ホテルへ行った。

 はじめからホテルへ行くつもりで誘っていた俺は、アイマスクの他に結束バンドも用意していた。
 SMルームに入れば他のグッズも揃うが、まだ明日美には早いと思った。

 縄や蝋燭に玩具は定番だけど、ガッツリ準備すると萎えてしまうのは、きっと俺がリアリストだからだ。

 SMもセックスも、日常から掛け離れると途端に安直に感じる。
 矛盾しているけれど、欲しいのは精神と肉体の従事者だ。
 見た目だけのSMでは満足できない。

 おまけに明日美に、今まで女に抱けなかった慈しみや情が湧いてるのを自覚してしまっていた。
 その証拠に、ホテルでは拘束や言葉責めはしても、痛みや苦痛を伴う行為は極力避けた。

 ――俺らしくない。

 明日美といると、自分が変わってしまう気がする。

 そんな得体の知れない不安を決定づけたのは、彼女の一言だった。

「帰りたくない」












しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

一夜の男

詩織
恋愛
ドラマとかの出来事かと思ってた。 まさか自分にもこんなことが起きるとは... そして相手の顔を見ることなく逃げたので、知ってる人かも全く知らない人かもわからない。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

たとえ夜が姿を変えても ―過保護な兄の親友は、私を逃がさない―

佐竹りふれ
恋愛
重なる吐息、耳元を掠める熱、そして——兄の親友の、隠しきれない独占欲。 19歳のジャスミンにとって、過保護な兄の親友・セバスチャンは、自分を子供扱いする「第二の兄」のような存在だった。 しかし、初めてのパーティーの夜、その関係は一変する。 突然降ってきた、深く、すべてを奪うような口づけ。 「焦らず、お前のペースで進もう」 そう余裕たっぷりに微笑んだセバスチャン。 けれど、彼の言う「ゆっくり」は、翌朝には早くも崩れ始めていた。 学内の視線、兄の沈黙、そして二人きりのアパート――。 外堀が埋まっていくスピードに戸惑いながらも、ジャスミンは彼が隠し持つ「男」の顔に、抗えない好奇心を抱き始める。 「……どうする? 俺と一緒に、いけないことするか?」 余裕の仮面を被るセバスチャンに、あどけない顔で、けれど大胆に踏み込んでいくジャスミン。 理性を繋ぎ止めようとする彼を、翻弄し、追い詰めていくのは彼女の方で……。 「ゆっくり」なんて、ただの建前。 一度火がついた熱は、誰にも止められない。 兄の親友という境界線を軽々と飛び越え、加速しすぎる二人の溺愛ラブストーリー。

珈琲とチョコレート

あすもすあ
恋愛
某食品卸会社に勤務する若い男女のほのぼのラブストーリーです。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

恋に臆病な私と恋を知らなかった御曹司の距離が、ゼロになるまで

夏目萌
恋愛
過去の恋愛が原因で、「女にだらしない男」を何よりも嫌う向坂 来海(29)。 一方、御曹司で誰にでも優しく、来る者拒まず──けれど、誰にも本気になったことのない羽柴 充輝(29)。 本来なら交わるはずのなかった二人は、ある出来事をきっかけに関わるようになる。 他の女性とは違い媚びることも期待することもない来海の態度に、充輝は次第に強く惹かれていく。 「誰にも本気にならない」はずだった彼の、一途すぎる想いに触れ、恋を信じることを避けてきた来海の心は少しずつ揺らぎ始めていき――。 不器用で焦れったくて、簡単には進まない二人の恋の行方は……。 他サイト様にも掲載中

鬼上官と、深夜のオフィス

99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」 間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。 けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……? 「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」 鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。 ※性的な事柄をモチーフとしていますが その描写は薄いです。

処理中です...