同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【番外編非公開中】

光月海愛(こうつきみあ)

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夢ならさめないで

突撃

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 神城くんは車の中で電話をかけている様子。

 私?
 私に掛けてる?
 スマホの電源を入れてみると、着信お知らせのショートメールが届く。
 それとほぼ同時にリアル着信も。さっきと同じ番号だ。

 ブブブ……!

 数十秒間スマホが震えて、そしてピタリと止まる。
 ホッとする間もなく今度はインターホンが鳴った。
 え、電話出ないなら突撃訪問?! 
 神城くんてそんな強気なキャラだった?
 そもそも他に恋愛してるなら、もう私の事なんて放っておけばよくない?
 それとも実は子煩悩で、私に子供がいるかもしれないとわかって、親権を取りに来てる?
 嫌よ。
 胡桃は渡さない。


「おかあさん! 出ないで!」

 階段から玄関へ声を掛けると、ドアノブに手を掛けていた母を押しのけて、父が勢い良く扉を開けた。


「突然お邪魔して申し訳ありません、僕………」

「帰れ!! なつみは会いたくないと言ってる!」


 父が、神城くんを力任せに玄関から追い出しているのがわかった。
 出ないで、とは言ったがそこまでしてくれなくていいのに。
 父の中では、神城くんが完全に悪者になっているようだ。

 もう一度、二階の窓から外を見ると、神城くんは運転席のドアを開けて、乗り込む前に顔を上げた。

「あ…………」

 二階を、こっちを見てる―――一瞬、目が合ったような気がして、慌てて窓から離れる。

 静まれ、心臓。
 鼓動が少し落ち着いてから窓から覗くと、彼の車は居なくなっていた。

 ……これで、良かったの、かな?

 一年前と同じように、彼に何も言わないで完全なサヨナラをすることが正しいのか。
 あの時は、命の危険も感じていたから、一択しか無かったように思うけれど、今は、これが正解なのか良くわからなくなってきて、そのまま床にしゃがみ込む。

 見慣れた山吹色のカーペットの柄。
 昔付けたコーヒーの染み。
 色褪せた縫いぐるみ。

 実家の自分の部屋は、昔から変わらない安心感プラス、奇妙な哀感と焦燥感を感じるのはなぜだろう。
 いつまでも甘えててはいけない。
 未練タラタラでもいけない。

 その夜。
 胡桃を寝かしつけたあと、私は退職手続きの書類を記入し封筒へ入れた。




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