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第3章 再び、辺境領へ
45(本編完結)
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リエト辺境伯が起こした事件解決から数ヶ月後、ロランは相変わらずブルーナ侯爵家で使用人として働いている。
王都の舞踏会に参加していた辺境伯はその場で捉えられ、令嬢は王太子への不敬罪で修道院へ入れられたそうだ。
裁判は現在進行形だ。罪状が国家転覆罪であり、隣国レパスとの関係も絡んでくるため長引くと予想されている。
『全くこんな厄介なことを起こして......まあ、頑張るしかないよ』
国王にリエト辺境伯の罪を通告したライオネルは、事件の第一人者として忙しく仕事をしている。その側近であるレオナルドも同様だ。
「ロランさーん、おはようございます」
「おはよう、トニー」
トニーの慌ただしくそばにやってきた。
「何してるんですか?」
「ホットミルクを入れているんだ。今日は冷えるからね」
「俺も欲しいです!」
「いいよ、分けてあげる」
トニーは先日の舞踏会で大きな役割を果たした。彼は幼い頃より魔法の才能がある。それを見込まれてブルーナ侯爵家で雇われているのだ。
この短期間で不完全だった魔法を習得し、無事に任務をやり遂げたのである。科された任務とはユーティスになり変わることだった。
ライオネルの采配により、辺境領行きを命じられたユーティスだったが、彼はリエト辺境伯が起こした事件を一番よく調査した人物で、証言者だ。不在は痛手となる。
そこで白羽の矢を立てられたトニーがユーティスに変装をして舞踏会に参加をし、証言することになった。
魔法を身につける他にも作法や振る舞いなどを学ぶ必要があったため多忙を極めていたが見事やり遂げて見せたのだ。
「んーおいしい! 寒い朝にはあったかい飲み物が一番ですね」
「そうだね。今日も一日頑張ろうか」
「はい!」
そしてロランは掃除の用具を取りに、トニーはライオネルが待つ執務室へ向かった。
「また、食堂でね」
「はい!」
トニーは昇進した。舞踏会での活躍が認められ、ライオネルつきの秘書兼魔法使い見習いとして働くこととなった。
ライオネルも魔法を使えるそうだが、魔力量がさほど多くなく体に負担がかかるため滅多に使用しないらしい。
この先トニーの存在はブルーナ侯爵家で重宝されそうだ。
「ふう、できた」
ロランは分担先の掃除を終えると、侯爵家の庭の様子を眺めた。
季節は春。花が綺麗に咲く時期になった。侯爵家の立派な庭園は相変わらず庭師によって整えられている。
「ロラン!」
「ユーティス」
愛しい人の声が聞こえた。
侯爵家の門からユーティスが歩いてきているのが見えた。彼はもうブルーナ侯爵家の人間ではない。
しかし魔法騎士として働く傍ら、王宮の使者として頻繁に侯爵家に出入りできるようになった。
『もう直ぐお昼ですよね? 俺と一緒にご飯を食べませんか? トニーくんも一緒に』
遠くにいるはずのユーティスの声が耳元で聞こえて、ロランはバッと耳を押さえた。
(また魔法を使って......!)
顔を真っ赤にしているロランを見てユーティスが笑う。
魔法は決して常用するようなものではない。魔法陣は貴重で高価なものだ。
無駄なことには使わないで欲しいとロランは何度も頼んでいるが、ユーティスは聞き入れようとしない。
「わかった!」
やられっぱなしは癪なので大声で返事をした。
ライオネルの許可をもらって時々開催しているお昼の会はこれで何度目だろう。
侯爵家の一室で庭を眺めながら昼食をとる。おしゃべりなトニーはいつも楽しそうにしているので気持ちがいい。
うんうんと頷きながらユーティスと一緒に彼の話を聞くのがロランは好きだ。
(そういえば、もらった手紙の返事を書かないと)
ロランの部屋の机には、辺境寮にいるジェラリアやアリアンヌ、マティとルカからの手紙が置かれている。冬に辺境領で再会をしてから文通を始めた。
こんな未来が来ることを誰が予想していただろうか。
きっと、これからも予想することもできないような日々が続いていくのだろう。
何気ない日常を大切にしながら生きていきたいとロランは思うのだった。
______
これにて本編完結です。ここからは番外編が続きます。
ここまで読んでくださった読者の皆さん、本当にありがとうございました!
王都の舞踏会に参加していた辺境伯はその場で捉えられ、令嬢は王太子への不敬罪で修道院へ入れられたそうだ。
裁判は現在進行形だ。罪状が国家転覆罪であり、隣国レパスとの関係も絡んでくるため長引くと予想されている。
『全くこんな厄介なことを起こして......まあ、頑張るしかないよ』
国王にリエト辺境伯の罪を通告したライオネルは、事件の第一人者として忙しく仕事をしている。その側近であるレオナルドも同様だ。
「ロランさーん、おはようございます」
「おはよう、トニー」
トニーの慌ただしくそばにやってきた。
「何してるんですか?」
「ホットミルクを入れているんだ。今日は冷えるからね」
「俺も欲しいです!」
「いいよ、分けてあげる」
トニーは先日の舞踏会で大きな役割を果たした。彼は幼い頃より魔法の才能がある。それを見込まれてブルーナ侯爵家で雇われているのだ。
この短期間で不完全だった魔法を習得し、無事に任務をやり遂げたのである。科された任務とはユーティスになり変わることだった。
ライオネルの采配により、辺境領行きを命じられたユーティスだったが、彼はリエト辺境伯が起こした事件を一番よく調査した人物で、証言者だ。不在は痛手となる。
そこで白羽の矢を立てられたトニーがユーティスに変装をして舞踏会に参加をし、証言することになった。
魔法を身につける他にも作法や振る舞いなどを学ぶ必要があったため多忙を極めていたが見事やり遂げて見せたのだ。
「んーおいしい! 寒い朝にはあったかい飲み物が一番ですね」
「そうだね。今日も一日頑張ろうか」
「はい!」
そしてロランは掃除の用具を取りに、トニーはライオネルが待つ執務室へ向かった。
「また、食堂でね」
「はい!」
トニーは昇進した。舞踏会での活躍が認められ、ライオネルつきの秘書兼魔法使い見習いとして働くこととなった。
ライオネルも魔法を使えるそうだが、魔力量がさほど多くなく体に負担がかかるため滅多に使用しないらしい。
この先トニーの存在はブルーナ侯爵家で重宝されそうだ。
「ふう、できた」
ロランは分担先の掃除を終えると、侯爵家の庭の様子を眺めた。
季節は春。花が綺麗に咲く時期になった。侯爵家の立派な庭園は相変わらず庭師によって整えられている。
「ロラン!」
「ユーティス」
愛しい人の声が聞こえた。
侯爵家の門からユーティスが歩いてきているのが見えた。彼はもうブルーナ侯爵家の人間ではない。
しかし魔法騎士として働く傍ら、王宮の使者として頻繁に侯爵家に出入りできるようになった。
『もう直ぐお昼ですよね? 俺と一緒にご飯を食べませんか? トニーくんも一緒に』
遠くにいるはずのユーティスの声が耳元で聞こえて、ロランはバッと耳を押さえた。
(また魔法を使って......!)
顔を真っ赤にしているロランを見てユーティスが笑う。
魔法は決して常用するようなものではない。魔法陣は貴重で高価なものだ。
無駄なことには使わないで欲しいとロランは何度も頼んでいるが、ユーティスは聞き入れようとしない。
「わかった!」
やられっぱなしは癪なので大声で返事をした。
ライオネルの許可をもらって時々開催しているお昼の会はこれで何度目だろう。
侯爵家の一室で庭を眺めながら昼食をとる。おしゃべりなトニーはいつも楽しそうにしているので気持ちがいい。
うんうんと頷きながらユーティスと一緒に彼の話を聞くのがロランは好きだ。
(そういえば、もらった手紙の返事を書かないと)
ロランの部屋の机には、辺境寮にいるジェラリアやアリアンヌ、マティとルカからの手紙が置かれている。冬に辺境領で再会をしてから文通を始めた。
こんな未来が来ることを誰が予想していただろうか。
きっと、これからも予想することもできないような日々が続いていくのだろう。
何気ない日常を大切にしながら生きていきたいとロランは思うのだった。
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これにて本編完結です。ここからは番外編が続きます。
ここまで読んでくださった読者の皆さん、本当にありがとうございました!
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