上 下
42 / 88
第2章 冒険記

Chapter20 第1皇子

しおりを挟む
城の中が慌ただしくなる。
床に伏せてた皇帝の前に青銀髪の長い髪に青い目をした大柄の男が来る。
「陛下!ただいまエル皇子が戻って参りました!」
跪いて報告をする。
「誠か!ブレスオール!」
皇帝がそう言い起き上がる。
「陛下…無理をなさらずに…調子が思わしくないのですから、私が様子を見てきます」
ブレスオールはそう言い皇帝を寝かせる。

一方アサール達は長い廊下を歩いていく。
「すげぇ」
エルセンは周りをキョロキョロする。
「ディレン下に降りるなよ。迷子になるぞ」
ヴァルハラートは肩に乗っているディレンに言う。
『キュー』
ディレンはギュッとヴァルハラートの肩を掴む。
「我々は陛下に拝謁はいえつしてくるから君達は別室に案内させよう。そこに食事を持ってこさせる」
アサールは皆にそう言い立っていた金髪の短髪で青い目をした軍服の男に指示を出す。
「アスナベル。まずは客人を風呂に」
「はっ!」
アスナベルは言いアサールに軍礼をする。
「どうぞ、こちらへ」
アスナベルが皆は浴場に案内される。
「これはこれは、勇者様この度はエル皇子を助けて下さり、ありがとうございます」
ブレスオールが皆の前に来た。
「あっ!おっちゃん久し振り!ツケはちゃんと払ってね」
エルセンがブレスオールに言う。
「おう、エリクトゥラドラゴンブレスオール!久し振りだな。最後に会ったのは魔界だっけ?大人になったなぁ」
ヴァルハラートも笑いながら言う。
「せめて〝ブレスオールさん〟って呼んでね。ここでは私は偉い人なんだから」
ブレスオールは引きつり笑いをしながら言いルディースを見る。
(右手が闇で覆われてる…魔界の王子様この子黒水晶アレに触ったな!)
ブレスオールはルディースに近づく。
「君アラルで有名のルディース先生だよね。触ってみてどうだった?」
ブレスオールはカマをかけてみる。
「はい!とても痛くて、身体にドロドロと黒いものが入ってきて心まで毒された様な不思議な感覚でした」
ルディースは笑いながら素直に答える。
「駄目でしょ!触っちゃ!」
ブレスオールはルディースの頭を叩く。
「アレは特に危険だからね。ほらぁこんなに衰弱してるじゃないか」
そしてルディースの顔を撫でる。
「私の力で治るといいけど…」
ブレスオールは跪いてルディースの右手に口を当て闇を吸い上げる。
「んっ…」
ルディースは身体の中の闇が暴れるせいか少し声が出る。
の位が限界か…)
「おい!気取りのブレスオール。公衆の門前で恥ずかしい事するなよ」
ヴァルハラートは言いディレンにブレスオールの頭を噛みつかせる。
「痛っ痛いっ!」
ブレスオールはルディースから離れる。
「あっ動く!」
ルディースは右手を動かした。
「手は余り無理をさせない様にね」
ブレスオールは手を振り行ってしまった。
アークトゥルスとセオドアは少しホッとした顔をしている。

「ここでゆっくりと汗を流すといい」
アスナベルは言い行ってしまう。
「あ~浴場一つしかねぇの?」
ヴァルハラートが言う。
「あの私達は後でもいいですよ」
アリムレスとセナンディアスが言う。
「そんな訳いかない二人共、先に入りなさい」
ヴェルニクスが二人に言う。
「男性集団の入った汚い風呂に女性達を入れる訳にはいかないよ。さぁ入って」
ルディースは微笑んで言う。
「そうですか。では御言葉に甘えて」
アリムレスは一礼して入る。
「ありがとうございます。早く上がりますので!」
セナンディアスも入っていく。
「ゆっくりでいいよ~」
エルセンが大声で言う。
「立ってるのも何だなぁ」
ヴァルハラートが呟く。
「こっちに来てくれ。君達と話もしたいしな」
小声でアークトゥルスが言い皆をある部屋に案内する。

その部屋はとても豪華な寝室だった。
「変わって無いな…」
アークトゥルスは呟き顔を緩ませる。
「ちょ何?この豪華な寝室は?」
エルセンは驚いて周りを見回す。

アークトゥルスはピアスを取り髪の色と目の色を戻す。
「金髪の青い目はグオーリアの人の特徴…もしかして、グオーリアの者か?」
ヴェルニクスがアークトゥルスに聞く。
「そうだな…そして死んだ事にされている者だ。本当の名はジキリア・ムーブ・ラリューセル。名はそのままで呼んでくれ」
アークトゥルスは真面目に言う。
「私はフォーセル・デア・バイエオーン。元グオーリアここの将軍だ」
セオドアも自分の事を明かす。
「えぇ!何で、生きているって明かさないの?」
ルディースは驚きながら二人に聞く。
「いや、今更、帝王学を学んで無い第1皇子が戻ったとしても混乱するだけ…それに…ここにはがいるしな」
アークトゥルスは深刻な顔をして言う。
「奴?」
エルセンが聞く。
「アレシア・オルバスだ。私を殺そうとした男だ」
アークトゥルスが言うとルディースとエルセンがショックを受ける。
「あわわ、伯父さんがアークトゥルスを…」
エルセンが顎に手を当て震える。
「ごめんなさい。その方は私の身内です」
ルディースはアークトゥルスに謝る。
「二人共似てないな」
アークトゥルスは率直に言う。
「義理の父だから。血は全然繋がっていません」
「俺も全く…繋がって無い」
二人は言い落ち込む。
「生前ルディアーシス将軍は子供が好きで教育熱血と聞いていたからな。そうか君達はルディアーシス将軍の息子か」
セオドアは真顔で言う。
「さぁ顔を挙げて、私は君達を責めたりしない。ただお願いがある」
アークトゥルスは言う。
「お願い?」
ルディースが首を傾げる。
「ここに居る間私が第1皇子って事を黙ってて欲しい」
アークトゥルスが真剣に言う。
「分かりました。黙ってます」
ルディースは言い頷く。

「あの…これ…ブラーシュ皇帝しゅじんが見ているのですが…」
ヴェルニクスが申し訳無さそうに手を上げる。
「別にここでバレなければいい。目を通して見てると言うなら…ブラーシュ皇帝お願いします。この事は胸に閉まっておいて下さい」
アークトゥルスはヴェルニクスの目を通して見ているブラーシュ皇帝に頭を下げる。
「私からもお願いします」
セオドアも言い頭を下げる。
ヴェルニクスは困りながらも真面目に二人を見る。

「さぁさぁ、バレない為にもさっさと浴場の前に戻るぞ。もうすぐ女性達が上がる頃だ」
ヴァルハラートが言う。
「ああ、行こうか」
アークトゥルスはまたピアスを付け髪の色と目の色を変えた。
そして皆で元の浴場の前に戻った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

全てを諦めた公爵令息の開き直り

key
BL / 連載中 24h.ポイント:312pt お気に入り:1,519

コーヒー挽きのテディ 第1巻

児童書・童話 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

真冬のカランコエ

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:33

RISING 〜夜明けの唄〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:235pt お気に入り:16

まおうさまは勇者が怖くて仕方がない

BL / 連載中 24h.ポイント:71pt お気に入り:271

『僕の家』(ホラー)

ホラー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

聖女の姉ですが、宰相閣下は無能な妹より私がお好きなようですよ?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:30,899pt お気に入り:11,546

処理中です...