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1.恋愛初心者
4.好きってなに?
「珍しい」
ジーッと彼女を見つめて言う。でもすぐに、少し嫌味っぽくなってしまったかな?と、自分の言動に自信がなくなって俯いた。
みんなが教室の片側に机を寄せ終えて、各々出ていった後、両角さんはいそいそと一人で自分の机を運んだ。
そして、箒を持って掃除を始めようとしていた私の前に仁王立ちしている。
「昨日を反省して、お手伝いしようかと思いまして」
執事みたいに片手をお腹の辺りに当て、ペコリと頭を下げた。チラリと上目遣いして私を見るその表情に、全く反省の色などない。
すぐに体を起こして、満面の笑みを浮かべる。
私は彼女の笑顔から逃げるように視線をそらして、「ハァ」とため息をついた。
「じゃあ、箒持ってきて」
「りょーかい!」
キラリンと星が出そうな見事なウインクをして、彼女は小走りでロッカーに向かう。
彼女が起きたことが珍しいからか、教室内にはチラホラまだ人が残っている。ロッカーに向かった彼女を見逃すまいと、パタパタと走って、数人の女子が彼女を囲んだ。
キャッキャ、キャッキャとはしゃぐ女子たちに囲まれて笑顔を振りまく彼女は、箒を手にしたまま、その場から動けなくなった。
「ねえ、掃除をしたいのだけど。教室に残るなら、あなたたちも手伝ってくれないかな」
そう声をかけると、シンと静まり返る。
「…あ、ああ。ごめんなさい、空井さん」
「そうだね、今日は私達も掃除しようよ」
「そうしよう、そうしよう」と両角さんを囲んでいた3人の女子が慌ててロッカーから箒を取り出した。
私から逃げるように、またパタパタと走って、床のゴミを集める。
「ハァ」とため息をつくと、肩に手が置かれた。
ふわっと良い香りが漂って、何かがそっと耳に触れる。
「空井さん、かっこいい」
あたたかい息が耳にかかって、心臓が跳ねる。
「バカ…!」
つい、後ろにいた彼女を強く押した。
ガンッと教室中に響く鈍い音がした後「いったー」という笑い声が聞こえてきた。
「え!?永那、大丈夫!?」
3人の女子は目を丸くして、こちらに来ようとした。でも隣に私がいたからか、来るのを躊躇ったようだった。
「ご、ごめんなさい」
ロッカーの角に頭をぶつけたのか、両角さんはしゃがみこんで、頭をさすっている。
どうすればいいかわからず、空中で手を彷徨わせていると、彼女は私を見上げてニコニコ笑った。
「大丈夫だよ」
私は3人の女子から刺々しい視線を感じつつ、掃除に集中するようにした。
両角さんはなんだか機嫌が良さそうで、鼻歌を歌ってる。
早くこの場から消え去りたい。
「ねえ、永那」
「なに?」
「この後みんなでクレープ食べに行かない?」
「ああ、駅前に新しいお店ができたんだっけ?」
「そうそう、めっちゃ美味しいらしいよ」
5人でやったからか、いつもの何倍も早く掃除が終わる。私は最後に、ゴミ箱の袋を取り替えていた。
女の子たちが予定を楽しそうに立てている様子を見ると、いつも私の心はジクジクと何かに蝕まれる感覚になる。その輪に、私は入れないとわかっているから。
「空井さんは?」
不意に聞かれて、私は振り向く。
両角さんがなんの躊躇いもなく聞くから、私の胸は期待に膨らんだ。
でも、他の3人の目を見たとき、私の頭は酷く冷静になって、口角を必死に上げた。
「私は、遠慮しとく。誘ってくれてありがとう」
「あー、そっかー!じゃあ4人で行こ」
すかさず1人の女子がそう言って、2人が賛同する。
袋を握る手が震える。
自分のせいだ。わかってる。仕方ない。
袋を取り替えて、ゴミの入った袋を縛る。
彼女たちは既に鞄を持って、両角さんの腕に寄りかかるようにしながら教室を出ようとしていた。
同じタイミングで私も教室を出た。でも歩く方向は違う。
私は学校の裏へ、彼女たちは校門へ。
「ねえ“バカ”ってなんだったの~?いきなり~。酷すぎない?」
「いや、あれは私が空井さんをくすぐっちゃってさ」
「だからって“バカ”はないよね~、しかも危うく怪我させそうになってさ」
「そーだよー!永那、怪我ない?痛くない?大丈夫?」
1人が両角さんの頭部を触る。片手を肩に置き、もう片方の手で髪を撫でるようにして、彼女の背中に引っ付いている。
モヤモヤと心の中に暗い渦が生まれるような感覚。
私は足早に校舎裏に向かった。
ジーッと彼女を見つめて言う。でもすぐに、少し嫌味っぽくなってしまったかな?と、自分の言動に自信がなくなって俯いた。
みんなが教室の片側に机を寄せ終えて、各々出ていった後、両角さんはいそいそと一人で自分の机を運んだ。
そして、箒を持って掃除を始めようとしていた私の前に仁王立ちしている。
「昨日を反省して、お手伝いしようかと思いまして」
執事みたいに片手をお腹の辺りに当て、ペコリと頭を下げた。チラリと上目遣いして私を見るその表情に、全く反省の色などない。
すぐに体を起こして、満面の笑みを浮かべる。
私は彼女の笑顔から逃げるように視線をそらして、「ハァ」とため息をついた。
「じゃあ、箒持ってきて」
「りょーかい!」
キラリンと星が出そうな見事なウインクをして、彼女は小走りでロッカーに向かう。
彼女が起きたことが珍しいからか、教室内にはチラホラまだ人が残っている。ロッカーに向かった彼女を見逃すまいと、パタパタと走って、数人の女子が彼女を囲んだ。
キャッキャ、キャッキャとはしゃぐ女子たちに囲まれて笑顔を振りまく彼女は、箒を手にしたまま、その場から動けなくなった。
「ねえ、掃除をしたいのだけど。教室に残るなら、あなたたちも手伝ってくれないかな」
そう声をかけると、シンと静まり返る。
「…あ、ああ。ごめんなさい、空井さん」
「そうだね、今日は私達も掃除しようよ」
「そうしよう、そうしよう」と両角さんを囲んでいた3人の女子が慌ててロッカーから箒を取り出した。
私から逃げるように、またパタパタと走って、床のゴミを集める。
「ハァ」とため息をつくと、肩に手が置かれた。
ふわっと良い香りが漂って、何かがそっと耳に触れる。
「空井さん、かっこいい」
あたたかい息が耳にかかって、心臓が跳ねる。
「バカ…!」
つい、後ろにいた彼女を強く押した。
ガンッと教室中に響く鈍い音がした後「いったー」という笑い声が聞こえてきた。
「え!?永那、大丈夫!?」
3人の女子は目を丸くして、こちらに来ようとした。でも隣に私がいたからか、来るのを躊躇ったようだった。
「ご、ごめんなさい」
ロッカーの角に頭をぶつけたのか、両角さんはしゃがみこんで、頭をさすっている。
どうすればいいかわからず、空中で手を彷徨わせていると、彼女は私を見上げてニコニコ笑った。
「大丈夫だよ」
私は3人の女子から刺々しい視線を感じつつ、掃除に集中するようにした。
両角さんはなんだか機嫌が良さそうで、鼻歌を歌ってる。
早くこの場から消え去りたい。
「ねえ、永那」
「なに?」
「この後みんなでクレープ食べに行かない?」
「ああ、駅前に新しいお店ができたんだっけ?」
「そうそう、めっちゃ美味しいらしいよ」
5人でやったからか、いつもの何倍も早く掃除が終わる。私は最後に、ゴミ箱の袋を取り替えていた。
女の子たちが予定を楽しそうに立てている様子を見ると、いつも私の心はジクジクと何かに蝕まれる感覚になる。その輪に、私は入れないとわかっているから。
「空井さんは?」
不意に聞かれて、私は振り向く。
両角さんがなんの躊躇いもなく聞くから、私の胸は期待に膨らんだ。
でも、他の3人の目を見たとき、私の頭は酷く冷静になって、口角を必死に上げた。
「私は、遠慮しとく。誘ってくれてありがとう」
「あー、そっかー!じゃあ4人で行こ」
すかさず1人の女子がそう言って、2人が賛同する。
袋を握る手が震える。
自分のせいだ。わかってる。仕方ない。
袋を取り替えて、ゴミの入った袋を縛る。
彼女たちは既に鞄を持って、両角さんの腕に寄りかかるようにしながら教室を出ようとしていた。
同じタイミングで私も教室を出た。でも歩く方向は違う。
私は学校の裏へ、彼女たちは校門へ。
「ねえ“バカ”ってなんだったの~?いきなり~。酷すぎない?」
「いや、あれは私が空井さんをくすぐっちゃってさ」
「だからって“バカ”はないよね~、しかも危うく怪我させそうになってさ」
「そーだよー!永那、怪我ない?痛くない?大丈夫?」
1人が両角さんの頭部を触る。片手を肩に置き、もう片方の手で髪を撫でるようにして、彼女の背中に引っ付いている。
モヤモヤと心の中に暗い渦が生まれるような感覚。
私は足早に校舎裏に向かった。
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