29 / 595
1.恋愛初心者
29.彼女
私達の学校の制服は、学年ごとに色がある。
今は、1年生が緑、2年生が赤、3年生が青だ。3年生が卒業すると、1年生が青、2年生が緑、3年生が赤となる。
だから、あの男が1年生であることはわかっていた。
昨日の“用事”というのは、2人でカフェに行くことだったらしい。
立派なデートじゃないか!…腹立たしい。
あの後、雷が鳴るたびに、穂が男に抱きついたのを思い出して、今もそうしているのではないかと考え、苛立った。
あの男の目が、完全に彼女を好いている色をしていた。
彼女に抱きつかれて、鼻の下を伸ばしていたし。
だから、一体どういう関係なのか、私は知らなければならない。
あの後何をしたのか、知らなければならない。
彼女の目が彷徨って、私の質問にすぐに答えない。
やましいことでもあるのか?
ジクジクと胸が痛みをおびてきて、つい彼女に顔を近づける。
この唇を奪ってしまえば、あの男よりも…なんて考えた。
彼女の両腕を自販機に押し付けて、絶対に逃してやらないと強く握る。
なのに「私も永那ちゃんが好きだよ」と耳元で言われ、一瞬で力が抜けた。
彼女の唇の感触が耳にふわふわと残る。
彼女が子供をあやすように話してくるから、ドキドキして、なんだか恥ずかしくてなって、でも嬉しくて、彼女に抱きついた。
晴れて、私達はれっきとした恋人同士になった。
今日は一緒に帰りたかったのに、生徒会のある日だった。
やっぱり教室…校内から逃げてきて正解だったと思う。
ちょうど1週間後に体育祭が控えていて、穂は忙しいらしい。
そしてその1週間、穂と全然話せなかった。
でも穂が頻繁に私に視線を向けてくれるようになって、あまりに可愛くて、頬が緩む。
そしたら彼女も微笑んでくれるから、くすぐったいような気持ちになる。
毎日メッセージは送り合っていた。
物足りなかったけど、ほとんど話したこともなかった状態から考えれば、恋人らしいと思える。
でもこの間にも穂があの後輩の男と一緒に過ごしていると考えると、それだけは不満だった。…どうしようもないことなんだけど。
それなら私も生徒会に…それは無理でもせめて体育祭委員になればよかったと一瞬思って、首を横に振った。
毎日そんな遅くまで学校に残るなんて、私にはできない。
…そういえば穂が好きと言ってくれて曖昧になったけど、結局後輩にどんな恋の相談をしたんだろう?
体育祭当日、生徒会用テントの最前列に穂は座っていた。
こちらは地面に直に座っているけど、生徒会の人達はパイプ椅子に座っているからよく見える。
どこか緊張した面持ちの穂を見て、癒やされる。
こっち見ないかなあ?なんて思っていたら、あの憎き後輩が穂の手を握った。
ふざけんな!私の彼女だぞ!さわんな、変態!
…もしかして、あの男に、私が穂に告白したってことを相談したのか?どう返事をすればいいのか…みたいな相談をあいつに持ちかけたのだろうか?
だからあいつは私に穂を取られまいと、こうして全校生徒の前で見せつけるように穂の手を握っているのか?
ふざけんな!!もう穂は私の彼女だ!バーカバーカ!!
内心で悪態をついても、物理的な距離が、私を地の底に突き落とす。
選手宣誓が終わって、体育祭が始まっても、私の気分は晴れなかった。
二人三脚で千陽が危なっかしいから、それを支えるのに集中したら、多少は気が紛れた。
その後のみのむし競争で、誰かが顔面から転んだ。
すぐに穂が駆け寄って、対処する。
その姿がかっこよくて、見惚れた。
障害物競争は、個人的に1番楽しい競技だと思ってる。
みんながハードルに頭やお尻をぶつけて痛がってるのは見てて楽しいし、最後のカード次第で勝敗が大きく分かれるのがまた良い。
最終地点まで1位でも、引いたカードが最悪だと、簡単に追い越される。
最後まで勝敗がわからないのが良い。
私の番になって、スタートの合図と共に猛ダッシュ。
最終地点まで1位をキープして、カードを引く。
“好きな人”…ああ、神は私を見捨てなかった。
でも、穂のところに行ったら迷惑だろうか?と一瞬頭を過ぎって、彼女を見る。
彼女の顔が見えなくて焦った。
すぐにひょこっと机の下から顔が出る。…ちゃんと私のこと見ときなさいよ。
目が合って、彼女がきょとんとしてる。
あまりに可愛くて、笑ってしまう。
彼女を実況ブースから攫ったら、生徒会長までもがそれを盛り上げてくれた。
今は、1年生が緑、2年生が赤、3年生が青だ。3年生が卒業すると、1年生が青、2年生が緑、3年生が赤となる。
だから、あの男が1年生であることはわかっていた。
昨日の“用事”というのは、2人でカフェに行くことだったらしい。
立派なデートじゃないか!…腹立たしい。
あの後、雷が鳴るたびに、穂が男に抱きついたのを思い出して、今もそうしているのではないかと考え、苛立った。
あの男の目が、完全に彼女を好いている色をしていた。
彼女に抱きつかれて、鼻の下を伸ばしていたし。
だから、一体どういう関係なのか、私は知らなければならない。
あの後何をしたのか、知らなければならない。
彼女の目が彷徨って、私の質問にすぐに答えない。
やましいことでもあるのか?
ジクジクと胸が痛みをおびてきて、つい彼女に顔を近づける。
この唇を奪ってしまえば、あの男よりも…なんて考えた。
彼女の両腕を自販機に押し付けて、絶対に逃してやらないと強く握る。
なのに「私も永那ちゃんが好きだよ」と耳元で言われ、一瞬で力が抜けた。
彼女の唇の感触が耳にふわふわと残る。
彼女が子供をあやすように話してくるから、ドキドキして、なんだか恥ずかしくてなって、でも嬉しくて、彼女に抱きついた。
晴れて、私達はれっきとした恋人同士になった。
今日は一緒に帰りたかったのに、生徒会のある日だった。
やっぱり教室…校内から逃げてきて正解だったと思う。
ちょうど1週間後に体育祭が控えていて、穂は忙しいらしい。
そしてその1週間、穂と全然話せなかった。
でも穂が頻繁に私に視線を向けてくれるようになって、あまりに可愛くて、頬が緩む。
そしたら彼女も微笑んでくれるから、くすぐったいような気持ちになる。
毎日メッセージは送り合っていた。
物足りなかったけど、ほとんど話したこともなかった状態から考えれば、恋人らしいと思える。
でもこの間にも穂があの後輩の男と一緒に過ごしていると考えると、それだけは不満だった。…どうしようもないことなんだけど。
それなら私も生徒会に…それは無理でもせめて体育祭委員になればよかったと一瞬思って、首を横に振った。
毎日そんな遅くまで学校に残るなんて、私にはできない。
…そういえば穂が好きと言ってくれて曖昧になったけど、結局後輩にどんな恋の相談をしたんだろう?
体育祭当日、生徒会用テントの最前列に穂は座っていた。
こちらは地面に直に座っているけど、生徒会の人達はパイプ椅子に座っているからよく見える。
どこか緊張した面持ちの穂を見て、癒やされる。
こっち見ないかなあ?なんて思っていたら、あの憎き後輩が穂の手を握った。
ふざけんな!私の彼女だぞ!さわんな、変態!
…もしかして、あの男に、私が穂に告白したってことを相談したのか?どう返事をすればいいのか…みたいな相談をあいつに持ちかけたのだろうか?
だからあいつは私に穂を取られまいと、こうして全校生徒の前で見せつけるように穂の手を握っているのか?
ふざけんな!!もう穂は私の彼女だ!バーカバーカ!!
内心で悪態をついても、物理的な距離が、私を地の底に突き落とす。
選手宣誓が終わって、体育祭が始まっても、私の気分は晴れなかった。
二人三脚で千陽が危なっかしいから、それを支えるのに集中したら、多少は気が紛れた。
その後のみのむし競争で、誰かが顔面から転んだ。
すぐに穂が駆け寄って、対処する。
その姿がかっこよくて、見惚れた。
障害物競争は、個人的に1番楽しい競技だと思ってる。
みんながハードルに頭やお尻をぶつけて痛がってるのは見てて楽しいし、最後のカード次第で勝敗が大きく分かれるのがまた良い。
最終地点まで1位でも、引いたカードが最悪だと、簡単に追い越される。
最後まで勝敗がわからないのが良い。
私の番になって、スタートの合図と共に猛ダッシュ。
最終地点まで1位をキープして、カードを引く。
“好きな人”…ああ、神は私を見捨てなかった。
でも、穂のところに行ったら迷惑だろうか?と一瞬頭を過ぎって、彼女を見る。
彼女の顔が見えなくて焦った。
すぐにひょこっと机の下から顔が出る。…ちゃんと私のこと見ときなさいよ。
目が合って、彼女がきょとんとしてる。
あまりに可愛くて、笑ってしまう。
彼女を実況ブースから攫ったら、生徒会長までもがそれを盛り上げてくれた。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。