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2.変化
63.王子様
永那はあたしの言葉をすんなり信じて、その後も誰とセックスしたとか、それがどうだったかとか話してきた。
今考えれば、最初にいじめられていたことを話したとき、あたしは“手を繋ぐのも気持ち悪い”と彼女に話していた。
手を繋ぐのも気持ち悪いのに、セックスなんてできるわけがないのに。
でも、今でもそのことに永那は気づいていない。
あたしは、今の今まで一度もセックスなんてしたことない。
だから永那の話を必死に聞いて、ネットでもたくさん調べて、知ってるフリをし続けてる。
永那の話を聞くたびに、胸が痛んだ。
痛くて痛くて仕方なくて、家に帰って1人で泣いたこともある。
永那が好きだったから。
永那だけが、私の王子様だったから。
「なんで永那は、好きでもないのにセックスするの?」と聞いたことがあった。
「え?楽しいじゃん」
当たり前のように答えるその姿を見て、あたしもこうならなきゃいけないんだって思った。
それからあたしは、嘘の話をたくさんするようになった。
「昨日のセックスは~」って、ありもしないことを永那に話した。
永那はいつも興味なさげにしてたけど、最後まで話を聞いてくれた。
あたしの作り話。永那の話を聞いて、ネットで調べて、想像して、作った話を。
中学3年生になって、高校受験の話が盛んになった。
ほとんどの人が近所の高校に進学すると口にしていて、永那も“そのつもり”だとみんなに言っていた。
でも校舎裏でこっそり教えてくれる。
「電車通学できる学校が良いと思ってる」
本当はみんなも合わせているだけで、他の高校に行く人もたくさんいるのかもしれないと思った。
あたしは永那と同じ学校に行きたくて、必死に勉強した。
永那は「そんなレベルの高い高校ではないよ」と言っていたけど、それでも、どんな高校でも受験できるように、あたしは必死に勉強した。
無事同じ学校に入学できて、ホッとした。
クラスも同じだったし、やっぱり運命の人だと思った。
高校に入ると、永那は授業中、よく寝るようになった。
少し雰囲気も落ち着いて、2人の時間でもあんまり悪態をつかなくなった。
相変わらず永那はモテて、あたしは嫉妬した。
それでも、中学のときみたいにセックス三昧ということにはならなかった。
そういう話を、もうしなくていいんだと思って、ホッとした。
永那がよく寝てるから、あたしはクラスメイトと話すようになった。
普通の学校生活。
憧れていた、普通の…いじめられない、学校生活が送れた。
たまに告白されたけど「好きな人いるから」と断ると、相手はすんなり引き下がってくれた。
夏に、永那は髪をバッサリ切った。
顔が整っているからなんでも似合うけど、中性的な感じが増して、女子からモテモテになった。
だからあたしは牽制するように、あたしが誰よりも永那のことを知ってるって言うようになった。
あんた達よりも、あたしのほうが永那を知ってるし、永那との付き合いが長いし、あんた達なんかに簡単に取らせないって…必死になった。
永那は鬱陶しそうにするけど、あたしは、永那には中学のときみたいになってほしくなかった。
できればあたしだけを見てほしかった。
だから、永那がセックスしたいなら、あたしが相手をしようと思った。
あたしは自分が可愛いと自覚しているし、胸だって大きくなってきたし…。
本当は、胸が大きくなっていくことに嫌悪感を抱いているけど、永那が求めるなら、それだって武器にしてやろうって思った。
でも。
永那はあたしに手を出さない。
どうして?
どんなにあたしから誘っても、永那は全くノッてこない。
永那は変わらず、朝あたしを迎えに来てくれる。
一緒に帰る日もあるけど、学校で寝るようになってから“起こさないで”とお願いされたから、放課後まで寝てるときは起こさないようにした。
いつもあたしのことを気にかけてくれているのは感じる。
一緒に帰らない日も、毎回『ちゃんと帰った?』とメッセージをくれる。
だから、手を出されないことも、大切にしてくれてるからだって思うようになった。
2年生になって、男同士でキスしてる生徒がいたと話題になった。
永那が「いいなあ、私も学校でしてみたいなあ。絶対ドキドキするよね」と笑った。
みんなが「なに堂々とそんなこと言ってんの」ってツッコんで、笑い話になる。
あたしは、永那と学校でキスするところを想像してみた。
なんかすごいエロくて、胸がキュゥッてなった。
やっぱり、相手が永那なら、そういうこともできるなって思った。
…でもすぐに冷静になって思い出す。
あれ?永那って中学のとき、散々学校でヤッてなかった?
…少し、永那のことがわからなくなって、不安になった。
それでも、永那のいつものノリの良さからの発言だろうと考えて、深くは考えなかった。
クラス委員長の空井さんが「そんなこと、どうでもいい」と言い放って、盛り上がるクラスメイトを鎮めた。
それを聞いた永那が、プッと吹き出すように笑った。
みんなシーンとしていたから、その笑い声がやけに通って、みんなが顔を見合わせた。
それから、みんなの熱はすぐに冷めて、話題にものぼらなくなった。
あたしは現場を見ていなかったからよく知らないけど、空井さんは掃除についてもクラスメイトを叱ったらしい。
高校に入って仲良くなった篠田 優里が「掃除は空井さんに任せたほうがいいらしいよ」と耳打ちした。
一瞬いじめかと思って眉間にシワを寄せたけど、空井さんが「出て行って」と言ったらしい。
空井さんにその意図はなかったのだろうけど、みんなが空井さんに掃除を任せるようになった。
「都合がいい」と嫌味な言い方をする人もいた。
空井さんも特に文句も言わずに毎日掃除してるから、最初は大丈夫かな?と思っていたけど、そのうちあたしも気にしなくなった。
今考えれば、最初にいじめられていたことを話したとき、あたしは“手を繋ぐのも気持ち悪い”と彼女に話していた。
手を繋ぐのも気持ち悪いのに、セックスなんてできるわけがないのに。
でも、今でもそのことに永那は気づいていない。
あたしは、今の今まで一度もセックスなんてしたことない。
だから永那の話を必死に聞いて、ネットでもたくさん調べて、知ってるフリをし続けてる。
永那の話を聞くたびに、胸が痛んだ。
痛くて痛くて仕方なくて、家に帰って1人で泣いたこともある。
永那が好きだったから。
永那だけが、私の王子様だったから。
「なんで永那は、好きでもないのにセックスするの?」と聞いたことがあった。
「え?楽しいじゃん」
当たり前のように答えるその姿を見て、あたしもこうならなきゃいけないんだって思った。
それからあたしは、嘘の話をたくさんするようになった。
「昨日のセックスは~」って、ありもしないことを永那に話した。
永那はいつも興味なさげにしてたけど、最後まで話を聞いてくれた。
あたしの作り話。永那の話を聞いて、ネットで調べて、想像して、作った話を。
中学3年生になって、高校受験の話が盛んになった。
ほとんどの人が近所の高校に進学すると口にしていて、永那も“そのつもり”だとみんなに言っていた。
でも校舎裏でこっそり教えてくれる。
「電車通学できる学校が良いと思ってる」
本当はみんなも合わせているだけで、他の高校に行く人もたくさんいるのかもしれないと思った。
あたしは永那と同じ学校に行きたくて、必死に勉強した。
永那は「そんなレベルの高い高校ではないよ」と言っていたけど、それでも、どんな高校でも受験できるように、あたしは必死に勉強した。
無事同じ学校に入学できて、ホッとした。
クラスも同じだったし、やっぱり運命の人だと思った。
高校に入ると、永那は授業中、よく寝るようになった。
少し雰囲気も落ち着いて、2人の時間でもあんまり悪態をつかなくなった。
相変わらず永那はモテて、あたしは嫉妬した。
それでも、中学のときみたいにセックス三昧ということにはならなかった。
そういう話を、もうしなくていいんだと思って、ホッとした。
永那がよく寝てるから、あたしはクラスメイトと話すようになった。
普通の学校生活。
憧れていた、普通の…いじめられない、学校生活が送れた。
たまに告白されたけど「好きな人いるから」と断ると、相手はすんなり引き下がってくれた。
夏に、永那は髪をバッサリ切った。
顔が整っているからなんでも似合うけど、中性的な感じが増して、女子からモテモテになった。
だからあたしは牽制するように、あたしが誰よりも永那のことを知ってるって言うようになった。
あんた達よりも、あたしのほうが永那を知ってるし、永那との付き合いが長いし、あんた達なんかに簡単に取らせないって…必死になった。
永那は鬱陶しそうにするけど、あたしは、永那には中学のときみたいになってほしくなかった。
できればあたしだけを見てほしかった。
だから、永那がセックスしたいなら、あたしが相手をしようと思った。
あたしは自分が可愛いと自覚しているし、胸だって大きくなってきたし…。
本当は、胸が大きくなっていくことに嫌悪感を抱いているけど、永那が求めるなら、それだって武器にしてやろうって思った。
でも。
永那はあたしに手を出さない。
どうして?
どんなにあたしから誘っても、永那は全くノッてこない。
永那は変わらず、朝あたしを迎えに来てくれる。
一緒に帰る日もあるけど、学校で寝るようになってから“起こさないで”とお願いされたから、放課後まで寝てるときは起こさないようにした。
いつもあたしのことを気にかけてくれているのは感じる。
一緒に帰らない日も、毎回『ちゃんと帰った?』とメッセージをくれる。
だから、手を出されないことも、大切にしてくれてるからだって思うようになった。
2年生になって、男同士でキスしてる生徒がいたと話題になった。
永那が「いいなあ、私も学校でしてみたいなあ。絶対ドキドキするよね」と笑った。
みんなが「なに堂々とそんなこと言ってんの」ってツッコんで、笑い話になる。
あたしは、永那と学校でキスするところを想像してみた。
なんかすごいエロくて、胸がキュゥッてなった。
やっぱり、相手が永那なら、そういうこともできるなって思った。
…でもすぐに冷静になって思い出す。
あれ?永那って中学のとき、散々学校でヤッてなかった?
…少し、永那のことがわからなくなって、不安になった。
それでも、永那のいつものノリの良さからの発言だろうと考えて、深くは考えなかった。
クラス委員長の空井さんが「そんなこと、どうでもいい」と言い放って、盛り上がるクラスメイトを鎮めた。
それを聞いた永那が、プッと吹き出すように笑った。
みんなシーンとしていたから、その笑い声がやけに通って、みんなが顔を見合わせた。
それから、みんなの熱はすぐに冷めて、話題にものぼらなくなった。
あたしは現場を見ていなかったからよく知らないけど、空井さんは掃除についてもクラスメイトを叱ったらしい。
高校に入って仲良くなった篠田 優里が「掃除は空井さんに任せたほうがいいらしいよ」と耳打ちした。
一瞬いじめかと思って眉間にシワを寄せたけど、空井さんが「出て行って」と言ったらしい。
空井さんにその意図はなかったのだろうけど、みんなが空井さんに掃除を任せるようになった。
「都合がいい」と嫌味な言い方をする人もいた。
空井さんも特に文句も言わずに毎日掃除してるから、最初は大丈夫かな?と思っていたけど、そのうちあたしも気にしなくなった。
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