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2.変化
78.友達
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永那ちゃんは当たり前のように、30分後には寝息を立てていた。
佐藤さんは1人でノートを眺めている。
私は優里ちゃんに数学を重点的に教えた。
「そこは穂ちゃんのノート見てわかったよ」
たまにそう褒めてくれるから、嬉しくなる。
最後は日本史の問題を出し合って、確認する。
私が教科書の隅に載っているような問題を出すと落ち込まれた。
4時前に誉が帰ってきて「また永那ちゃん寝てる!」と言って笑っていた。
永那ちゃんの顔を覗き込んで、恐る恐る頬を突いている姿に笑ってしまう。
この人懐っこさは誰に似たんだろう?
「誉君可愛いー」
優里ちゃんに頭をわしゃわしゃ撫でられて、満更でもない顔をしている。
「佐藤さん、綺麗」
頬杖をついて、まっすぐ佐藤さんを褒める。
佐藤さんは何も言わないけれど、ニコッと微笑んでいた。
「誉君、将来はプレイボーイだなー?」
優里ちゃんが言う。
「プレイボーイ?」
誉が首を傾げる。
「モテモテってこと!」
「えー!俺が?」
「そうだよー」
また頭を撫でられている。
「俺、姉ちゃんみたいな人と結婚したいな~」
急に話題を振られた上に、とんでもない告白をされてギョッとする。
それって小さい娘が父親に言うことじゃない?
「わあ!お姉ちゃんっ子だ!」
「いってー!」
急に永那ちゃんが起き上がる。
「永那ちゃん!?」
「大丈夫?」
誉が永那ちゃんの顔を覗き込む。
永那ちゃんは涙目になりながら、足元を見た。
右足を椅子の上に乗せて、小指を擦っている。
「おい、千陽だろ。っざけんな、マジで痛いんだけど」
「いつまでも寝てるからでしょ」
佐藤さんは足をブラブラさせて、謝る気は全くなさそうだ。
「なんか冷やす物持ってこようか?」
誉が永那ちゃんに話しかける。
「うぇ!?…あ、た、誉君」
永那ちゃんの声が裏返る。
「だ、大丈夫。ありがとう」
永那ちゃんはしばらく小指を擦っていた。
どんな力で踏んだんだ…。
佐藤さんが片付け始めて、優里ちゃんも慌てて片付ける。
「またこんな時間?」
永那ちゃんが項垂れる。
「永那ちゃん、ずっと寝てるからだよ」
誉が笑いかけると、永那ちゃんの耳が赤くなる。
「なんで知ってるの?」
「姉ちゃんが言ってた」
永那ちゃんは目を細めて、私をジッと見た。
「でも永那ちゃんって頭良いんだよね?」
「っえ?…ああ、どうかな?」
頭をポリポリ掻きながら、優里ちゃんへの対応と全然違って面白い。
「この人は頭がおかしいから、参考にしちゃだめだよ、誉君」
優里ちゃんが人差し指を立てながら言ってる。
「おい、優里、やめろ」
誉が永那ちゃんと優里ちゃんを交互に眺めて笑ってる。
佐藤さんがもう廊下に続くドアの前に立って暇そうにしている。
「ねえ、みんな明日も来る?」
誉が3人を見て聞く。
「明日も来ていいの?」
優里ちゃんが誉に目線を合わせて言ってくれる。
「うん、毎日来てもいいよ!」
「嬉しい!…じゃあ、明日もお邪魔しちゃおうかな?」
優里ちゃんが私をチラリと見るから、私は頷く。
今日は玄関でお見送りして、誉とリビングに戻った。
「佐藤さんは無口なんだね」
誉が楽しそうに笑う。
「永那ちゃんと優里ちゃんは面白い」
私は誉の頭を撫でる。
「俺、姉ちゃんの友達好き」
「よかった」
私達はローテーブルに移って、床に座る。
「そういえば誉、さっきのなに?」
「さっきの?」
「お姉ちゃんみたいな人と結婚したい、とか」
少し恥ずかしくなって、顔が熱くなる。
「え?…だって姉ちゃんのご飯おいしいし」
そこ?…そこなんだ。単純だなあ。
しかもそれだと、相手に作ってもらう前提だな…。
もうちょっと教育しないと、将来結婚したとき、マズいかもしれないと危機感を抱く。
「あとはー、まあ、ちょっとウザいけど、いつも勉強見てくれるとことかは、ありがたいなーって思ってるよ?」
“ちょっとウザい”は余計じゃない?
なんでお姉ちゃんには素直に褒めてくれないかな?
佐藤さんは1人でノートを眺めている。
私は優里ちゃんに数学を重点的に教えた。
「そこは穂ちゃんのノート見てわかったよ」
たまにそう褒めてくれるから、嬉しくなる。
最後は日本史の問題を出し合って、確認する。
私が教科書の隅に載っているような問題を出すと落ち込まれた。
4時前に誉が帰ってきて「また永那ちゃん寝てる!」と言って笑っていた。
永那ちゃんの顔を覗き込んで、恐る恐る頬を突いている姿に笑ってしまう。
この人懐っこさは誰に似たんだろう?
「誉君可愛いー」
優里ちゃんに頭をわしゃわしゃ撫でられて、満更でもない顔をしている。
「佐藤さん、綺麗」
頬杖をついて、まっすぐ佐藤さんを褒める。
佐藤さんは何も言わないけれど、ニコッと微笑んでいた。
「誉君、将来はプレイボーイだなー?」
優里ちゃんが言う。
「プレイボーイ?」
誉が首を傾げる。
「モテモテってこと!」
「えー!俺が?」
「そうだよー」
また頭を撫でられている。
「俺、姉ちゃんみたいな人と結婚したいな~」
急に話題を振られた上に、とんでもない告白をされてギョッとする。
それって小さい娘が父親に言うことじゃない?
「わあ!お姉ちゃんっ子だ!」
「いってー!」
急に永那ちゃんが起き上がる。
「永那ちゃん!?」
「大丈夫?」
誉が永那ちゃんの顔を覗き込む。
永那ちゃんは涙目になりながら、足元を見た。
右足を椅子の上に乗せて、小指を擦っている。
「おい、千陽だろ。っざけんな、マジで痛いんだけど」
「いつまでも寝てるからでしょ」
佐藤さんは足をブラブラさせて、謝る気は全くなさそうだ。
「なんか冷やす物持ってこようか?」
誉が永那ちゃんに話しかける。
「うぇ!?…あ、た、誉君」
永那ちゃんの声が裏返る。
「だ、大丈夫。ありがとう」
永那ちゃんはしばらく小指を擦っていた。
どんな力で踏んだんだ…。
佐藤さんが片付け始めて、優里ちゃんも慌てて片付ける。
「またこんな時間?」
永那ちゃんが項垂れる。
「永那ちゃん、ずっと寝てるからだよ」
誉が笑いかけると、永那ちゃんの耳が赤くなる。
「なんで知ってるの?」
「姉ちゃんが言ってた」
永那ちゃんは目を細めて、私をジッと見た。
「でも永那ちゃんって頭良いんだよね?」
「っえ?…ああ、どうかな?」
頭をポリポリ掻きながら、優里ちゃんへの対応と全然違って面白い。
「この人は頭がおかしいから、参考にしちゃだめだよ、誉君」
優里ちゃんが人差し指を立てながら言ってる。
「おい、優里、やめろ」
誉が永那ちゃんと優里ちゃんを交互に眺めて笑ってる。
佐藤さんがもう廊下に続くドアの前に立って暇そうにしている。
「ねえ、みんな明日も来る?」
誉が3人を見て聞く。
「明日も来ていいの?」
優里ちゃんが誉に目線を合わせて言ってくれる。
「うん、毎日来てもいいよ!」
「嬉しい!…じゃあ、明日もお邪魔しちゃおうかな?」
優里ちゃんが私をチラリと見るから、私は頷く。
今日は玄関でお見送りして、誉とリビングに戻った。
「佐藤さんは無口なんだね」
誉が楽しそうに笑う。
「永那ちゃんと優里ちゃんは面白い」
私は誉の頭を撫でる。
「俺、姉ちゃんの友達好き」
「よかった」
私達はローテーブルに移って、床に座る。
「そういえば誉、さっきのなに?」
「さっきの?」
「お姉ちゃんみたいな人と結婚したい、とか」
少し恥ずかしくなって、顔が熱くなる。
「え?…だって姉ちゃんのご飯おいしいし」
そこ?…そこなんだ。単純だなあ。
しかもそれだと、相手に作ってもらう前提だな…。
もうちょっと教育しないと、将来結婚したとき、マズいかもしれないと危機感を抱く。
「あとはー、まあ、ちょっとウザいけど、いつも勉強見てくれるとことかは、ありがたいなーって思ってるよ?」
“ちょっとウザい”は余計じゃない?
なんでお姉ちゃんには素直に褒めてくれないかな?
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